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ヨシキ達は門を離れ、城の裏手まで歩いた。
ゼロはヨシキの後ろから言った。
「裏に行ってどうするのよ、あいつらはったおした方が早いじゃない」
「裏にじじいの小屋がある。そっからなんとか中へ入れてもらう」
裏手までつくと小さな木造の小屋があった。
ノックもせず扉を開ける。
「おおっ、誰じゃ!」
中でお茶を飲んでいた老人がこっちを向いて叫んだ。
「俺がわかるか?」
ヨシキ達3人は図々しく中へドスドスと入っていく。
「なんと、ヨシキかい。久々じゃの」
「まだボケてはいないようだな」
ヨシキは以前からこの城に用事があるときは、この老人の小屋から裏道を通って中へ入っていた。
「まあせっかく来たんだから茶でも」
老人は立ち上がり台所に急須を持って行った。
「ああ、すまない。この女はゼロ、そしてこの大男はジャックだ」
「初めましてご老人。お茶まで頂いて。自分で入れますわ」
ゼロは台所へ行きお茶くみの手伝いをした。
「俺はジャックだ。ヨシキのお供さ」
「まあその辺に適当に座ってくだされ」
老人は言った。
ヨシキとジャックはちゃぶ台の前に胡坐をかいた。
ゼロがお茶を乗せたお盆を持ってきた。
老人はゆっくりと椅子に腰かけた。
ヨシキは小屋の中を眺める。外から見た小屋は小さかったが、中に入ってみると意外と広く感じた。
壁にはトナカイのはく製などが飾ってある。老人が仕留めたのだろうか?
3人はお茶をすすりながら話し始めた。
スベンソンでの出来事、ヨシキがどれほどアンドロイドが憎いかなど。
老人もアンドロイドが憎いのは同じだった。
「実は孫娘をさらわれて1年たつ。その後どうなったか行方はわからんのじゃ」
老人はうつむきながらそうつぶやいた。
「その孫が無事を祈るばかりだ」
ヨシキは言った。
「奴らを倒すためにここまで来た。女王に会いたい」
「それはたやすいことじゃ。あんたなら何かできそうじゃわい」
すこし涙をにじませ老人は言った。
「私たちで絶対そのお孫さん探し出すから!」
ゼロは立ち上がり言った。
「俺たちならできるぜ、きっとな」
ジャックは老人の肩をポンと叩いた。
小屋の奥に扉があり、そこから城の中へ通じている。
「さあ、たのんましたぞ。あんたらしか頼れるものがおらん。」
老人は扉の鍵を開けた。
「ああ、絶対見つけ出して見せる」
3人は扉を開けて城の中へと入っていった。




