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全てはこの時のために

………2話目です、

なんか4章に入ってからあんまりな感じですが頑張りたいです。

そうとなれば四章さっさと終わらせよう

「ほう、場所は判明したか。やるではないか、エルデ王子よ。」


「お前はなかなか見所があるじゃないか!なあ親父!」


「確かにな、だが貴様が挙げた条件はまだ満たしてはいないぞ?そこは分かっているな?」


「勿論です。ですが私はやらなくてはいけないことがあり、ここに足を運んだのです」


 エルデはロゼ達と別れた後、1人王宮へと来ていた。

 彼の呼び出しに快く応じてくれたレグルスとゾーンはエルデの言葉に首をかしげる。


「あら皆様、お揃いで。ベスティアただいま帰りました」


「おお………ベスティアか。祭りは楽しかったかのう?悪いな、急に呼び出してしまって」


「大丈夫ですよ、お父様。ベスティアは我慢が出来る子ですから」


 王の間に来たのはベスティア姫で彼女はエルデの姿に気づくと優雅にお辞儀をする。


「さて、エルデバラン王子。なぜベスティアまで呼び出したか聞いてもよいな?下らない理由なら貴様の首が飛ぶぞ?」


「ーー呼び出した理由は以前に国の秘宝が盗まれかけたという話です」


 その言葉に王族3人がそれぞれ異なった反応を見せる。

 レグルスは面白そうにゾーンは不愉快げにベスティアは訳もわからず、首を傾げていた。


「以前に秘宝が盗まれかけた時、ゾーン様が盗っ人を捉えたという話は本当ですか?」


「くどいが俺が捕まえのだ!奴は黒兜の副団長だった!まさか俺を疑っているのか!」


「そんなまさか、私が言いたいのはなぜ秘宝とされるもののありかを彼らは知っていたのか、という話です。」


「グハハハ!まさかとは思うがそんな昔話をしに来たのか?あの犯人もすでに分かっている!犯人は王宮の執事だった男だ!奴は捕まえられて、砂漠の大監獄に送られた!心配はない!」


 堪えきれずに他の者達も笑い出すがそんな中でもエルデは冷ややかに笑っていた。


「そうですね、ですが彼は最後までやっていないと言っていたようです。彼のことはお調べになりましたか?」


「調べる必要もないわ!ベスティアが誰かに手紙を書く姿を見たと言っていたのだ!問い詰めて手紙を取り上げてみれば、確かに秘宝のありかを教えるものだった!」


「そうですよ!彼が黒兜と繋がっていて、情報を渡したんです!まちがいなく、この目で見ましたから!」


 レグルスの言葉にベスティアが同意する。

 だがエルデの表情は変わらない。

 むしろ更に刺々しさを増している。


「彼には子供がいたようです。ですが犯罪者として父が逮捕された後、家が襲われ、金目のものに母をも亡くし、つい食べ物を盗んだ罪で大監獄に送られました」


「貴様、何を言っている?」


「そしてその子供は父に頼まれ、復讐を果たすために力をつけました。そして罪を償った後、看守となりますが感情制御が上手くないために冤罪で捕まった王族を殴ったのです」


「だから何だと!!」


「その子の名はーーガルム。俺の専属メイドで自分の父を嵌めた者の名を知る生き証人です。貴方なら知ってますよね?ベスティア姫?」


「………お戯れをエルデ殿下」


 その名に僅かに顔色を変えたベスティアに家族2人の視線がぶつかる。

 それを一笑に付し、エルデに笑いかけるもエルデはただ淡々と流れるように言葉を紡ぐ。


「貴方は罪をなすりつけることに成功した。だが、証拠である手紙がなくなり、焦ったはずだ。そして内偵の結果、ガルムの母がガルムに渡していたことが判明した」


 ガルムの父が捕まり、同じく侍女だったガルムの母は隙を見て証拠の手紙を盗み、ガルムに手渡した。


「だから貴方は確実に秘密を消すために彼女の家族を強盗に襲わせた。しかし、何とか生き延びた彼女は貴方と強盗が話す姿を見たのでしょう。そして大監獄に保護されたために今の今まで貴方は死んだと思っていた筈。だがグラマソーサリーの事件で僅かに情報が漏れたのだろう、貴方は焦った筈だ」


 ベスティアは考えた、エルデ王子がいつガルムの言うことを真に受けて追求してくるか。

 それによって引き起こされる、自分の地位の陥落にベスティアは怯えた筈だ。


 だがエルデにとり入ろうにも警戒を露わにしたガルムの目は誤魔化せない。

 となればエルデの関係者をねらうしかない。


「だから俺の親友と繋がりを持てばいいと考えた。又は弱みを握ろうとした。幸いにも厄介のタネであるリリムがいたからな。そして目論見は成功し、マコトに借りを作ることが出来たーーが」


「その時、僕たちがマコトを護衛にしてこの国に来た。いい機会と思ったかもしれないが、まさかのレグルス陛下が貸し借りはなしと宣言したために弱みは無くなった。それでも貴方は何とかマコトと2人っきりになろうとしたが、あいにく話を聞いてたエルデ様達が周りにいたせいで無駄だったけどな」


 城に響くほどの音を立てて、扉を開けたのはクラシックメイド服の狼の獣人ガルムだった。

 彼女は毛を逆立てるほどの怒気を放ち、ベスティアを萎縮させる。


「………面白い推測ですね。ですが私が犯人だと言う証拠はございません。その手紙も私が書いたという証拠がない以上、貴方達の言葉は王家への侮辱とーー」


「証拠ならあるさ。なぁ?ラ(・)ク(・)ー(・)ン(・)」


 ガルムはエルデに向けてそう聞くと、エルデは自分の髪の毛をつかみ、そこから痛々しい音を立てて皮を剥がす。


 剥がした後に現れたのは褐色肌の明るい黄色の髪の狸の獣人でレグルスとゾーンの顔から血の気が引く。


「ご紹介に預かった。ラクーン・コンジュレイだ。面倒だがエルデ殿下に頼まれてな。アンタに罪を突きつける役目を果たしに来た」


 ラクーンはエルデに殺されかけた瞬間、ある取引を行い、命を助けてもらったのだ。


「その取引がこれ、手紙を書いた主を筆圧から突き止めるアーティファクトと実力行使した場合のガルムの護衛………面倒くさいが前金をたんまり貰ったんだ。仕事はしっかりやるぞ?」


 ラクーンが懐から出したのは色あせた封筒でその封筒を見た瞬間、目を白黒させる。

 それも当然、自分が処分したはずの手紙だったのだから。


「驚くのも無理はないが、お前を罪に問うため、幼かったガルムはそれを確保し、今の今まで大事に保管していた」


「何の力もない僕がそれを突きつけてもお前はしらをきるだろう?エルデ様はどこからその情報を掴んだのか、知らないが復讐の機会を与えてくれた!随分と遠い回り道だったがここでようやく終着だ!」


 ガルムの目に迷いはない。

 今までの全てはこの時のために。

 王家が隠蔽した罪を暴くため、復讐の罰を与えるため、そしてーー


「お前が奪った両親の尊厳ーー1つ残らず返してもらう!!」


「アーティファクトの結果が出たーー犯人はベスティア、お前だな? お前が盗賊団と繋がり、王家の秘宝の情報を流した」


ラクーンの圧に歴戦の勇士であるレグルスとゾーンは思わず、意識を失うところだった。

その圧にまともに当てられたベスティアは両腕で自分を抱きしめながら震えている。


「何が、何が悪いんですか! ベスティアはあの方のためなら何だってします! 組織の運営費? 人員の補充? 何でもいたします! それであの方が私に笑顔を見せてくれるならーー国だって滅んだって構わない!」


「漸く化けの皮剥がしやがったな………お前だけは絶対にぶん殴るって決めてんだよ!」


「貴方の父もそうよ! 私が黒兜と繋がりがある事を突き止めて、手を切れだなんて言うから!」


なんとも身勝手でわがままに自分のしたい事を優先して、他人の人生を潰すベスティアに身内の2人は口をパクパクさせるだけだ。


「マコトだってそう、私は別にあの人なんて好きじゃありません! だけどそう言ってれば黒兜の団長が好きなんてことの隠れ蓑になりますもの!」


マコトへの思慕すら偽物で、彼女からすれば誤魔化しやすい馬鹿な男だったのだ。


「あのお方は姫という退屈な人生に自由の風を吹きこんだんです!決められた道しか歩めなかった私が自分で選んだ道です!その為の民でしょう!私が自由に使える道具なのですから!」


人命すら道具と見て自分を悲劇のヒロイン気取りで人生を狂わせたベスティアにもはや身内達も庇うことはない。


「お前ら、どうするんだ? 俺はこいつを大監獄に送る事をお勧めするが? 決めるのはお前らだ」


「ゾーン………地下牢へ連れて行け。後日、カルチェーレに受け渡すぞ」


「………ああ、わかった」


ラクーンの言葉はまさに神の言葉の様なもの、2人は背中を恐怖からの冷や汗で濡らしながらゾーンがベスティアを連れて退出する。


「逃亡を防ぐために僕も行く。ラクーン、僕が帰って来なかったら」


「国を潰すさ、ルナールがやったみたいにね」


それは宣告だった。

国の全てを人質とした要求を受理するしか道はなく、レグルスは頭を抱えた。


「待て、最後に聞きたい………エルデバランはどこに行った?」


退出しようとするガルムを止め、焦りからか呂律が回らない口を何とか動かしながらそう聞くとガルムは鼻で笑った。


「エルデ様なら、既に復讐作戦の締めに入ったよ。僕達は復讐同盟。エルデ様は今頃、奴と対峙してるよ」




*




地を揺らす程の轟音が幾度となく響き渡り、生息する生き物が半ば恐慌に陥ったかのように爆心地からの必死の逃亡を図っていた。


爆心地の中心には風と炎、更に改造、無視を使って、文字通りの人間砲弾となった俺が壁を破壊しながらジェームズを追っていく。


「あ、足止め………出来るかぁ!逃げろぉ!」


足止めに用意された死刑囚達も追尾する光弾に無残に吹き飛ばされ、壁に前衛的なアートとしてめり込んでいる。


「追いついたぞ! ルナールさんの宝物庫には行かせない!」


疾風の如く、ついに集団の先頭に躍り出た俺はだいぶ人数が減ったジェームズと愉快な仲間たちに銃口を向ける。


「ふう、君もしつこいですね。仕方ない、僕自ら相手になりましょう」


やれやれとばかりに首を振り、こちらを格下扱いする犯罪者にちょっとイラっと来た。


ただでさえ、監獄生活でのストレスがあるのだ。

少しばかり荒っぽいのは目を瞑ってほしい。


「さあ、かかってーーぶへえ!?」


片手を上げてくいっくいっと動かしたのでその端正な顔まで一拍で近づき、渾身の拳を撃ち込む。

更に吹き飛ぶジェームズに火と風の弾丸をサブマシンガンに変えてぶっ放す。


ヒャッハー汚物は消毒だぜー!

いかん、頭がおかしくなってる。


とはいえ、翠の旋風によって強化された紅蓮の業火弾は周りにいた死刑囚達の手足を撃ち抜き、地面をのたうちまわる。


そして肝心のジェームズも脇腹に弾痕が見えるがあまりの熱のせいで傷口が焼けた様で大した血も出ていない。


「貴様ぁ!この僕を誰だと!」


「黒兜のジェームズ様だろ? 後、危ないよ」


ジェームズが石壁に響く反響音に気づいた時はもう遅く、演算によって定められた弾道をなぞり、4つの弾丸が手足を貫いた。


痛みに動きを止めたジェームズに捕縛用の改造弾を射出するもジェームズはその弾丸を拳で跳ね返した。


どうやら見切ろうと思えば見切れるらしく、少し晒した隙にジェームズはチャンスとばかりに突貫してくる。


相手の能力が分からなければ避けるという選択もあるのだろうが魔眼がある以上、その心配はない


『強奪』と『封印』の力は強力無比なものだ。


強奪は掌に触れたものを奪う力。

奪う物に制限はなく、記憶、魂などの形のないものすら奪える。


封印はその奪ったものを別の所に封じるものだ。

相手の力を奪い、自分に封じるもよし、魂を人形に封じて戯れるもよし、記憶を瓶に封じて楽しむもよし。


人の積み重ねたもの全てを食い散らかす、下賤な力だ。


だからこの場合は手に触れなければいい。

伸びて来た手の手首あたりをつかみ、捻りながら前蹴りを鳩尾に撃ち込む。


痛みに声を漏らしながらも反対の手を伸ばすジェームズの肩に弾丸を撃ち込み、顔面に肘を入れ、後ろに移動して延髄に上段蹴りを叩き込んだ。


「効かないよ!」


「嘘つけ、足震えてるぞ」


精一杯の強がりを吐く、ジェームズから移動で距離をとる。


かなりの人達から力を奪い、封じてるだけあってかなり頑丈だな、再生力も高いが………4月の魔眼ありのアルフレッドが正統進化したらこんな程度だろうな。


今回は俺と奴の相性がとてもいい。

ジェームズは盗むために俺に近づかなきゃいけないが俺は移動で自由自在に動けるし、遠距離からでも攻撃が可能だ。


で、このままなら倒せる気はするがこういう時に限ってーー邪魔が入る!


一瞬で位置を『把握』した俺はその場から移動し、巻きつこうと枝を伸ばす木を燃やしながら隠れている女の足場を破壊した。


「ジェームズ!わっちが来たからにはもう安心じゃぞ!」


「ジーン!」


パートナーの登場らしく、虎の獣人のようだ。


白髪に青い目、美しさならなかなかのものだろう。

勝手な偏見だがハニートラップとか得意そうだな。

しかし、違うとすれば毛の色が白であるところか。


「虎か………幻獣種?白虎?」


「そうでありんす。わっちが来た以上、簡単に倒せるとは思わないでほしいんす。行きなんすよ」


数的優位に立ったからか、にやけた顔のジェームズだがやる事は何も変わらない。

移動で距離を取りながら改造弾と無視弾で倒すだけだ。


「ーーようやくだ」


「ええ、待ちくたびれましたわ」


一気に冷えていく空気、僅かな動きが開始の合図となるなかで全てを切り裂いて俺の前に降り立ったのは2人の男女。


それが邪魔者なら後ろから速やかに無力化しただろう。


だがきっと彼はこのタイミングを待っていたのだ。

そして分かった。心から理解した。


俺の相手はジェームズではなかった。

ジェームズの相手は………ずっと前から決まっていたんだ。


「久しぶりだな、ジェームズ。お前を半殺しにして以来か?」


「私たちの財布を狙っていたスリが随分と大きい組織を動かしてますわね」


それは王子だった。

力がなくとも、誰かが彼を守り、金がなくても民が用意する。


それは姫だった。

美味しい食事に美しい服、望むものなら全てが手に入る。


そんな立場にいながらもこいつらは自らの手で戦いに来たのだ。

理由など知らない、それでも推測はできる。


「後は頼むぞ」


「任せろ」


瞬間、呆気にとられたジェームズへあらゆる技術と、あらゆる手段で得た資金全てを注ぎ込み完成された端正な顔立ちに―――


「ガッ…!」


全ての想いを乗せた拳が――横合いから鼻骨がねじ曲げ歯列を粉砕し頬骨を破壊せんばかりに突き刺さり――ブッ飛ばす!!!



「今度は逃がさねえぞーー必ず、殺す」



所属『ディアブレリー王国』第1王子



序列『Aクラス』トップ



心武器『創造』『維持』



「そして、お前が奪ったジュエの全てをーー1つ残らず返してもらう!!」



名前『エルデバラン』



磨き上げた復讐の刃が今、振り下ろされる!

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