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神の言葉は正しいか?

今日も2話投稿なのでよろしければ19時からもご覧下さい。

「シエルたち曰く、この街も落とされた人達が寄り添って出来た街らしいからな。」


「聖女に拾われるか、又はこの街に辿り着くか。どちらかじゃないと死ぬ。厳しすぎる。」


現在俺たちはタイフネにある喫茶店、WS本店にて早めの夕食を食べていた。


本店なだけあって内装は、落ち着きがあって、目立ちはしないが細部までこだわりが見て取れる装飾の施された重厚なテーブルに雰囲気にそった壁紙や店員たちなど居心地がいい空間を作り出している。


店員にシエル、ティフォンの話をすると快く、半額にしてくれたのでここの人達も聖女様に育てられたのだろう。


「だからといってメニューに肉じゃがに蕎麦、そしてうどん。聖女様は間違いなく日本人で転生者だろ、これ。」


「随分と食べ慣れてるわねえ。はいまーくん、あーん。」


「あーん、うんうん。いや良いわ、これ。普遍的な味がより美味しく感じる。という事でお返しにあーん。」


「うん、まーくんの太いの美味しいわぁ。」


「うどんが太いだけだからな?周りの皆様、生暖かい目はおやめください。」


クレアさんも慣れた手つきで箸を使いながら恋人同士のように食べさせあう。

それをロゼさんやリリムさん、ルナールさんはじとーっとした視線で箸の扱いに試行錯誤している。


「あのね、クレアさん?マコト君は私の婚約者なんだからね!あんまり色目使わないでよ!」


「色目じゃないわ、誘惑よ。」


「意味変わってないわよ!クレアさんってマコト君に無理させたりしてないでしょうね?」


やはり婚約者としての立場があるのか、クレアさんを責めるロゼさんだがクレアさんは全く気にしていない。


「無理はさせてないわ。ベッドの上だってまーくんが満足したら終わらせてるし、週に一、二度とくらいよ?」


「え!?私の方が多いの!?」


「それにまーくんの時間はあんまり取ってないわ。朝の訓練だけ、放課後は彼にだってしたい事があるだろうから自由にさせてるしね。」


「私と過ごしてる時間の方が多いの!?」


「本当に彼の事を考えているならちゃんと信じてあげなさい。無闇矢鱈に管理しない事。それがいい女の証よ。」


「うぐっ!」


クレアの猛攻が止まらない!ロゼさんの胸に、次々と言葉の杭が打たれていく。

ここに来てお互いの恋愛経験の差が浮き彫りになってしまった。


「本来はクレアがマコトのパートナーだったから、相性がいいのは当たり前。気にすることはない。パートナーとして負けていても。」


「励ますなら最後まで頑張ってよ!!」


最近、事あるごとに火花を散らす彼女達に俺は内心自分を責めながら仲裁に入るのだ。

最も仲裁を邪魔する存在2人がいるのだが。

貴方達だよ、リリムさん、ルナールさん。


「お待たせしました。店長のウィンディです。皆様はシエルとティフォンのお知り合いだそうで。」


争いの内容を聞いていて身悶えを起こしながら、グラマソーサリーの和食より洗練された日本食に舌鼓をうっていると店長がわざわざ足を運んでくれた。


エルフなだけあって端正な顔つきにモスグリーンの髪を短く切りそろえたウィンディと名乗る女性に聖女様について聞くことに。


「ウィンディさんも聖女の存在を知っているんですか?」


「はい、この街において、皆、聖女様は知っています。ですが誰も口には出しません。」


「え?何でなのだ?」


「口にものを入れて喋らないで下さいよ。」


口に物を含んだまま喋るルナールさんに注意し、詳しく彼女から話を聞く。


「聖女様の存在は上からすれば神の教えを一番全うしているからこそ邪魔な存在なのです。"弱者に救いの手を"をそれが唯一にして絶対の教えなのですから。」


枢機卿、すなわちシルビアの父と母はこの国の悪習をどうにかしようと試みてはいるのだが、今代に教皇に着いたものが予想以上に駄目な奴だったらしい。


ウィンディ曰く、魔王の方が遥かに良いと言われるほどの老害だとか。

早く後継者に譲ればいいものを


「義賊王としての腕がなるな!」


「何しようとしてんねん。」


問題があると聞くや否や立ち上がって興奮しだすルナールさん。

何とか抑えているとウィンディさんが重そうに口を開いた。


「皆さまも試験が終わったなら早めに帰った方がよろしいですよ。この1週間ーー」


「相変わらずだな!この店は!」


店の羽扉が開き、客が入ってきたが…何時もとは様子が違う感じの一団だ。

中央にいるのは、態度の大きそうなガリガリの男

豪華な礼服を着て、眼鏡をかけていた。


「教皇の息子が降りて着ているんですよ………って遅かったですね。」


「おい、君!私に対して言ったのですか!?これだから下民は礼儀がなっていないんです!客が来たなら席に案内して料理を出す!基本ですよ!」


「はい!ただいま作りいたしますので、お好きなお席にお座りください!」


店長は何とか表情を作って、店の奥へ引っ込んで行った。

残された教皇の息子はこちらを見ると何故か近づいて来た。


「そこの君たち、目上の人が来たら挨拶をするのが普通じゃないですか?」


俺はさ、別に異世界無双をしたいわけでもないし、新たな国を作りたいわけでもないんだ。


なのに!何でこう、突っかかって来るのかな!

席、いっぱい空いてるじゃん!

わざわざこっちに来なくてもいいじゃん!


「あら?どこかで見たことあると思ったら、セルド様じゃない。」


「ほう、クレアシオンではないか。」


まさかの展開、クレアさんの知り合いだと。

だからこっちに来たのか。

いや偶々だな、うん。


「傭兵関連の話ですか?」


「そうそう。以前、護衛として雇われてね。それだけよ、まーくん?」


「君が今の彼女のパートナーか。駄目だな、君には相応しくない。見ただけで分かるよ、君は人を馬鹿にして生きているような人間ですね?」


驕りぶっていわれましてもそんな事してないよ、馬鹿にできるほど素晴らしい生き方なんてしてないもん。

だからいいもん。泣いてないもん。


「………あのねぇ、セルド様?今のパートナーの目の前でそういうのはやめてもらえます?セルド様だって愚痴や馬鹿にすることだってあるでしょう?」


「何を言うんだ、私は君のためを思って言ってるんだ。それに間違っている下民に間違っていると指摘して何が悪いんですか?むしろ、有り難く思って下さい。神の教えを的確に把握している私からの指摘は神からの言葉だと思って貰って構いませんよ。」


セルド様はどうやらイグニスと似たタイプか?

違うな、信仰心が強すぎるために考え方を他人にも押し付けるタイプか。


「ところでですが、先程から人の顔を見ない彼女は失礼だとは思いませんか?顔をあげたらどうです?」


セルド様の目はリリムさんに向けられており、セルド様は声をかけるがリリムさんは俯いたまま無視を決め込んでいる。


「仕方ありません、言って分からないなら体で教えるしかありませんね。」


「ま、待ってください!彼女は恥ずかしがり屋でして、初めて会う人の顔を見れないんですよ!」


痺れを切らしたのか、取り巻きを使って無理やり顔を上げさせようとするので流石に止めに入る。

だが取り巻きたちは俺を押しのけて、無理やりリリムさんの顔を上げた。


しかし、セルド様はリリムさんの顔を見た瞬間、店内全てに響くほどの悲鳴を上げた。


「き、貴様!雪の魔女か!汚らわしい!穢れた血の魔族が何故こんな所にいるんですか!」


「だから、顔を伏せていたのに………マコト、店を出よう。」


どうやら精霊族にとって魔族は穢れた存在だったらしく、周りの他の精霊族も怯えた目でこちらを眺めている。


「君も何故こんな下等種族をパートナーにしているんですか!まさか洗脳か何かされているのですか!」


「お言葉ですがセルド様、彼女達は自分を選んでくれました。そしてここまで寄り添ってくれたということはそれだけ自分に信頼を寄せてくれているということ。それを踏まえて、発言には注意してください。」


徹底的にリリムさんをこき下ろした発言に少し、怒りを込めて言うがそれを理解できないとばかりに頭を振り、後ろの取り巻き達が俺を無理やり立たせる。


「おい、何を!」


「神よ、今から彼の中に潜む悪魔を追い払います。さあ我が使徒よ。」


祈りを捧げ始めたセルド様ね指示に従って、心武器を取り出す男達は俺を殴りつけた。


「神の教えを!」


「正しくあれ!」


「そこの彼女達には中から清めてやりなさい。私たちの清純な魔力を渡せばきっと中から悪魔が逃げていくでしょう。魔族は殺してしまいなさい。」


俺に生身の拳が突き刺さる、たたらを踏んだと同時に蹴りが背中に入り、前につんのめったところを心武器の鈍器で殴られた。


地面に倒れた先には男たちに囲まれているリリムさんの姿。それを見て、すぐに俺を殴った男たちの急所を殴り、逃げ出すとリリムさんを庇うように立つ。


「どいて!マコト!貴方が傷つく必要はない!」


「その言葉そっくり返しますよ!何もしてないリリムさんが傷つく必要はないでしょ!」


「やはり君は悪魔に取り憑かれているのですね!さあ貴方達、彼を救うのです!」


神に酔っているのか、知らないがただの迷惑だって事に気づいてないのか!

これが問題児だっていう理由か!


「いい加減にしなさいよ。」


そしてその考えを吹き飛ばすように扉が破壊され、取り巻きのデブが空を飛ぶ。

そして外の大木に顔を擦り付けて、気を失った。


「あのねぇ、魔族に洗脳なんかされるわけないでしょう!そもそも彼女はーー」


「まさかクレア!!君まで堕ちたのか!あんなに気高く、誇りを持っていた彼女まで!やはりここでリリム!貴様は殺さねばならないらしいですね!」


「何故そうなるのよ!」


デブを吹き飛ばし、扉を破壊したのは殴られた口から血を吐き捨てたクレアさんで後ろからルナールが庇うようにロゼさんを引き連れている。


「君たち!魔族を庇ってタダで済むと思っているんですか!」


「済むと思ってるから言っているのよ。迷惑料ならいくらでも払うわ。ただし、代価として二度と祈りなんてさせられないようにしてあげる。」


クレアさんの目が射抜くのは彼らの両腕。

間違い無く、彼女はそこを的確に破壊するだろう。

そんなことされたら二度と祈りなんて出来なくなってしまう。


「くそっ!覚えていろ、リリム!貴様を殺して皆を救ってみせよう!」


護衛されていたということは彼女の恐ろしさもよく知っていたのだろう。

慌てて踵を返して、三下以前の捨て台詞を吐きながら逃げていった。


「実際、タダで済みますか?」


「済むわよ。私が殴ったのは取り巻きで、理由も脅されたパートナーを救うためだもの。後は私とまーくんの名声を踏まえればセルドなんて簡単に潰せるわ。」


「ならいいかな。仕掛けられたのはこっち側だし、今回は俺たち悪くないですね。」


キレた口の中から鉄の味がするがすぐさまロゼさんが光魔法で傷を癒してくれた。


「ウィンディさん、暴れてすみませんでした。ここに修繕費と代金、そして迷惑料も含めて置いておきますね。」


「いえいえ!そんなお金もらえ………いやこれ、本当に貰えませんよ!白金貨3枚なんてっ!!」


追いかけて来る前に逃げ出し、すぐさま宿へと到着した俺たちは長旅の疲れが出たのか、全員ぐっすり眠るのだった。






月すら見えない常闇の中でクレアは目を覚ますと異様な気配が周りを囲むように配置されていることに気づく。


「む、起きたか。クレア。」


「本当にこういう時、カンが鈍ってるって自覚するわ〜。もう囲まれているわね。」


大木をくり抜いて出来た宿の周囲から人の気配を感じて起きた2人。

マコトに寄り添うロゼ、そしてマコトのお腹を枕にするリリムを守るように2人は立つ。


「敵は昼の奴であるな。」


「セルドの私兵ね。闇に乗じるとか、勘弁してよぉ。この手口、"漆黒法典"じゃない。」


「漆黒法典?」


「暗殺、誘拐、汚い仕事に特化したヘクセレイの精鋭達。教皇様も危ない権利を息子に渡しちゃダメでしょうに。」


こんな会話をしている2人だが既にマコト、リリムを叩き起こし、ロゼを背負わせて窓の側に体を隠す。


そして外にいる漆黒法典達は既に侵入がバレているとは知らずに窓から音もなく、入り、


「ちょっと寝てなさい。」


苦悶の声すら漏らさずに首を絞め落とされ、壁に立てかけられる。


「武器は爪だな。毒が塗られておる。気をつけろ。」


黒装束の男の荷物を漁り、ヘクセレイの印である黒の十字架をルナールは倉庫型アーティファクトに放り込む。


「迎撃しますか?クレアさん。」


「当然よ、マコト君はロゼちゃんとリリムちゃんを守りなさい。」


「来るぞ!」


ルナールが見上げた先には小さな穴が空いており、そこから数多の黒い影が飛翔する。

顔には鉄仮面をつけており、揺らめくような動きでマコト達に襲いかかる。


「貴方達に恐怖はないのかしら?」


だが唸りを上げた黄金の拳が鳩尾に突き刺さり、吹き出た血に他の黒装束も僅かに足を止めた。


「お客様!どうかなさいましたか!」


「っ!来てはダメ!」


しかし、今の光と音に宿の人が目を覚ましたらしい。

慌てて扉をマスターキーで開いた宿の人にクレアの制止の声は届かず、振り降ろされた凶器が無垢な民の命を刈り取る。


断末魔を上げることなく、狩られた彼は地に伏した。

それを見て、クレアは唇を噛み締めながら、皆に指示を与える。


「マコト君、皆を連れて森へ逃げなさい。奴らもこの夜の森なら追っては来ないでしょう。」


「何でですか?街中で戦えば良くないですか?」


「今のを見て、確信したわ。あの男が自分に不利なものを見た人を生かすと思う?むしろ、多大な被害が出るわ。殿は私が努めましょう。」


帯電状態、臨戦態勢に入ったクレアにマコトは一瞬の迷いを見せた後、心武器の弾丸を倒れた男に撃ち、傷口を改造し、治しつつ毒を抜く。


そして移動を開始した。


それに手を伸ばした男の手はクレアの膝と肘に挟まれて、止められ、そのまま口を塞ぐように首を絞め上げて意識を落とす。


そこへ引き絞られた爪が射出されるが持っていた男を投げつけて視界を塞ぎ、脇の下に潜り込んで肝臓をかち上げる一撃をお見舞いする。


そして迫る相手の股間へ拳を叩きこみ、先ほど殴った男を黒装束の集団に投げ渡し、覇気の漲る宣言をした。


「私の黄金の雷撃を持って闇の刺客を切り裂きましょうーーかかってらっしゃい。」


それを合図に再び黒装束達は飛びかかる。

騎士として主君を守る為の誓いの言葉を潰すために。







「無事かな、クレアさん。」


「無事に決まってるじゃないですか!クレアさんはそんなに弱い人じゃない!」


「黙ってないで走って、クレアの予想が外れるとは思わなかった。」


ロゼさんを担いで昼間の拠点へ移動した俺たちはクレアさんの帰りを待っていたのだが、それよりも早く招かれざる客達が訪れたのだ。


「黒装束がっ!」


闇から浮き出るように出てきた彼らの手には爪ではなく、鎖鎌が握られていた。

心武器には見えないが、あれにも毒が塗られているのだろう。


しかし、奴らは間違えた。

クレアさんがいなくなり、気を抜いたのか、焦ったのかは知らないが考えなしにこちらへ向かってきたのだ。


まだこちらにはクレアさん以上の実力者がいるのも知らずに。


「闇に乗じるのは貴様らの専売特許だと思うなよ。」


木々より高く、上空から飛来するのは義賊王。

脚力にかまけて大木をなぎ倒すほどの横蹴りに巻き込まれた黒装束の男は赤い染みとなった。


「今更だけど六尾でこれってマジでバケモンですね!」


「もっと褒めても良いのだぞ!我が花婿よ!」


ルナールさんは尾があればあるほど力を増す。

現に九尾状態の時に英雄達と喧嘩した時に引き分けにまで持ち込めたのだ。


クレアさんも九尾状態では勝てないらしく、七、八尾くらいで本気を出してギリギリというところからその強さが分かるだろう。


だがそれでも黒装束の男達は退かない。

感情があるんだか、ないんだか、知らないが恐ろしい存在に間違いはない。


ルナールさんは銀の鍵を取り出し、空間から槍を取り出した。


「銘は『夢槍』、行くぞ。」


魔眼でかろうじて捕らえられるが普通だったら残像が残るほどの速さで貫いた死体ごと槍を男たちへ向けて投擲。


木の幹に腕ごと刃が突き刺さり、身動き取れない男の頭蓋を飛び膝蹴りで破壊、吹き出た血肉が魔物達を呼び寄せる。


「花婿よ!ここは妾が請け負う!そなたらは朝まで森の中を駆け巡れ!いくらこいつらでも白昼堂々と襲いはせぬはずだ!」


「ルナールさんは!?大丈夫ですか!」


「心配などいらぬ!さあ行け!」


隙をついてこちらに投げてきた鎖鎌を槍で絡めて木に固定すると懐に潜り込み、男の顎先をルナールさんのつま先がえぐりとる。


脳髄を散らし、血の匂いが辺りに充満し始めた事で獣達が近づいてきているのがわかった。


「リリムさん、援護お願いします。」


「こっちよ。包囲が薄い。」


「ごめんね、マコト君。あなたに背負われたままだけど………」


「体力ないから仕方ないですよ、適材適所ってのがありますから。」


全滅するわけにはいかない。

移動で他の国に逃げてもいけない。

魔眼所持者がいる国に出入りが禁止となる可能性があるからだ。


「ひとまず目指すのは魔眼所持者の所………でいいですかね。」


「森に迷った哀れな学生を演じればいける。体力が回復次第、魔眼の事を話す。」


「マコト君は走ることに専念して!獣は私が退けるから!」


俺たちは獣達を退けながら森の奥を目指す。

魔眼所持者に出会うために。







「よし、洗濯終了だ。」


朝の清らかな日差しをたっぷり浴びながら煌めく若葉色の髪の毛。

タレ目がちな丸い目に通った鼻筋などの整った顔つきだが実年齢より幼く見える。

体型も準ずるように小さめだが胸部にあたる部分は大人顔負けである。


この後、彼女は沢山の同居人である子供達の洗濯をし、次に皆の朝食を作らなければならない。

昨日は新鮮な魔獣の肉が手に入った為、光魔法の浄化で毒素を抜けば食べ応えのある料理が作れるだろう。


「決めた。今日は朝から豪勢にいこう。」


洗濯物が吊るされ、朝の爽やかな空気に揺られているのを見ていると後ろから物音がした。


「な、何者だ!出てこい!」


「待て待て待て!魔法を撃たないでくれ!助けてくれるか!」


出てきたのは顔を伏せた金髪の男性。

背中には少し、憔悴している白髪の女性と彼に肩を担がれているのは青髪の眼鏡をかけた少女であった。


「ひどい傷!直ぐに治す!」


「ここは………?」


「森の喫茶店兼孤児院だ!」


彼女は光魔法で傷を癒していく。

青髪の少女から傷は消えたが疲労のせいか、眠ってしまったようだ。


「助かった、うちの光魔法を使える子が精神的に疲弊しきって気を失ってたんだ。悪いが彼女達を安全な場所で寝かせて貰えるか?」


「その前に君の傷も見せてくれ。隠してはいるが胸あたりを怪我しているな?」


「よく分かるな、すまないがお願いしてもいいか?」


金髪の青年は顔を上げた。

そして彼女は驚きのあまり、目を見開く。


「ま、真先輩!?」


「………えっ?」


その青年はかつて自分がーージゼルとなる前に想いを寄せた憧れの先輩だったのだから。

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