表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/182

新歓旅行3日目

2話投稿なので前回も読んでください。

次回から二章最終決戦に入ります。

昨日は酷い目にあった。

まさか再契約のシーンをロゼさんにバッチリ見られていた上に


『ロゼちゃん、悪いけどお姉さんは彼の隣に立つ事に決めたわ。』


まさかの宣戦布告。

戸惑うロゼさんに更にルナールさんが


『なら妾も立候補するぞ!』


爆弾を投下し、大混乱。

俺も必死に止めようとしたがリリムさんに魔眼で動きを止められ、修羅場を防ぐ事は出来なかった。


結局、物理と魔法が飛び交う話し合いを終えてロゼさんは譲歩した。

どうやら最初からクレアさんが第2夫人や愛人としての立ち位置でいいなら認めるつもりだったようだ。


無論、彼女の名誉や強さをイノセンティア家に取り込む為である。


ルナールさんはパートナー契約はするがロゼさんが認めない限りは駄目だとの事。


更にそこから契約などでルナールさんが熱烈な契約をしたせいで更に一悶着あったり、起きたエルデがそれに巻き込まれたりしたがとりあえずは落ち着いた。


『クレアシオンを迎えいれるのならば貴殿との関係もいいものになるな。』


食事の時に言われたその言葉に俺のパートナー達の修羅場った空気の中、晩餐会を終え、疲れていた俺は床についた。


「………まーくん」


「マコト君は………私のー」


起きたら右にロゼさん、左にクレアさんが俺の体をがっちりホールドしており、先に起きていたリリムさんは冷めた目で眺めて朝風呂に行ってしまった。


ルナールさんは俺の太ももを枕にして爆睡している。

ポジション的に1番危ない。


こうなればリリムさんが帰ってくるのを待つしかないのだが期待薄だろう。


「そんな顔してどうしたの?まーくん?」


「クレアさん!起きてたんですか!?」


非常に艶めかしい表情で俺の方に擦り寄るクレアさん。寝ている間にはだけていた浴衣からは豊かな双丘が晒されている。


「まーくんのえっち。」


ウインクとともに言われたその言葉に理性が飛びかけるも彼女は何もして来ない。非常に珍しい。


だがわざと胸のお餅を寄せて浴衣を少しずつずらしていき、変わる俺の表情を楽しんでいるようだ。


これで何が不味いかと言われればルナールさん近くの息子が立ち上がる可能性が生まれてしまう。

そんな我慢をする中で彼女は甘えるような声でこちらに質問を投げかける。


「ねえ、まーくん?お姉さんは昨日、貴方に愛を囁いたわけだけど………まだ答えが返って来てないわ。」


「答え………ですか?」


「そう、まーくんは私をどう思ってるの?」


難しい質問だ。

きっと多分おそらく、俺もクレアさんは好ましく思っている。あのモヤモヤも今、思えば嫉妬の類いだったのだろう。


「頼りになるお姉さん………」


「それで?」


分かっているのだろう、だけど彼女はあえて言わない。

俺は自身の顔が赤面していると気付きながらどうにでもなれと言葉を彼女に伝える。


「俺が………好きなかっこいいお姉さんです。」


「ふふっ、ありがとう。言質は取ったわ、ロゼちゃん。」


「えっ?」


「マコト君?私は貴方のなんなのかしら?」


ゆらりと背後で起き上がる白髪鬼。いつからか起きていたようだ。

この場をくぐり抜けるには彼女にも吃る事なく、真摯に愛を伝えなくてはいけない!


「ロゼさんはいつまでも俺の特別ですよ。ロゼさんの地位が揺らぐことは一生ありません。」


「〜〜っ!都合のいい言葉なんかで騙されないんだからね!態度で示しなさい!」


えっ?じゃあ遠慮なく。

俺は彼女を抱きしめて熱烈なキスを交わすと彼女はくてくてになって幸せそうにベットに倒れてしまった。


「ロゼちゃん、ちょろいわ。」


「クレアさんは黙ってて!」


「マコト、手慣れてる。」


「いつ帰って来たんですか!リリムさん!?」


「そなた、以前も同じような事があったのではないか?」


「話がややこしくなるから黙って!ルナールさん!」


俺は周りで騒ぐ彼女達を見て、父より女癖悪いじゃねえか!と頭を抱えるのだった。









朝御飯まで御馳走になる訳にもいかないので目覚めて身だしなみを整え次第、城を出た俺たち。


今日は最終日、自由行動なのでクレアさんがおすすめの場所に連れていってくれるということで彼女に着いて行く。


「ここよ」


案内されたのは老舗料亭といった佇まいのお店。

要予約と書かれているがクレアさんは気にせずに飛び入りでお店に入るので俺たちも戸惑いながら後に続く。


「なんだい?まだ開店前………なんだクレアか。」


「朝御飯食べに来たわよ〜タツ婆。」


「あ!クレアさんの祖母の!」


「なんだい、坊主?クレア以外にも女連れて、うちの馬鹿息子みたいだね!」


入んなと言われて開店前の外に面した廊下を渡り、座敷に通された俺たち。長机を挟んでリリムさん、ルナールさんと俺、ロゼさん、クレアさんだ。

ルナールさんだけは作法に頭を抱えているがロゼさんクレアさんとリリムさんはバッチリである。


「昨日の残りもんでいいかい?」


「大丈夫よ。道場のみんなは元気?」


「知りたきゃ、隣の道場に行って来な。まだ時間かかるから。」


クレアさんは立ち上がると障子を開けて外に出て行ってしまった。


「あれ?タツさんって龍闘流法の師範じゃありませんでしたか?」


「儂は引退したよ。いつまでも年長者が粋ってられるほど武闘の世界は甘くはないのじゃ。」


タツさんはおしぼりを渡してくれた女性に二言、三言話すと座布団を持ってきて長机の上座に座った。


「綺麗な庭ですね、タツさんが作ったのですか?」


「そう思うじゃろ?だがあれはクレアが整えたものじゃ。」


庭は色とりどりの花が咲きながらも綺麗に色ごとに分けられていた。

皆がそんな庭に感嘆の声を漏らしていた時に言われたその一言にちょっと驚く。

まさかクレアさんにそんな面があっただなんて。


「ここはかつてクレアの母、シオンの屋敷じゃった。シオンが病気で死んで以来、クレアに頼まれて儂が料亭として管理していたのじゃ。」


「そうか………ここが。」


クレアの終わりであり、クレアシオンとしての始まりだった場所。

彼女の母と月下の対談の席だったのだろう。


「あの子は花が好きじゃった。道場が隣だった儂に彼女はよく花をつんできてくれたのじゃ。国を出てからもたまに帰って来ては花の種を庭に植えていたよ。」


タツさんはその言葉に悲しみを持たせていた。


「あの子にそれに似つかぬ武の才とシオンの言葉さえなければ彼女は花を愛でる優しい子に育ったはずじゃ。」


それは分かる気がする。

クレアさんは優しすぎるのだ。

だがそれを塗り潰さなくてはいけないほど彼女の環境は恵まれてはいなかった。


「馬鹿息子はクレアを儂に預けた。あやつからすれば儂の方が彼女を知っていたという事もあったのだろう。だがあの子は泣いていた。母が死に、父に捨てられた以上、縋ったのは己の才能と母が残した理想。」


クレアさんは言っていた。

強くなければ生きてはいけなかったと。

守らなければ自分を保てなかったと。


「儂には彼女の才能を磨きあげるしかなかった。そして儂の手から離れた彼女は戦乱に身を委ね、父と対峙し、そして国を出た。たまに里帰りしてはふらっと顔を出す。そんな時じゃ、フィリアが道場に送られて来た。」


フィリア、アルフレッドの元パートナーであり、彼女の妹、彼女は国へ強制送還された後、ここにきたのか。


「馬鹿な真似をした馬鹿孫をしつけ直そうとしたらあの小娘、何と言ったと思う?」


「クレアが憎い?」


「クレアさんを許さないとかですか?」


「外れじゃ、奴はこう言っていた」


『お姉ちゃん、いい顔をするようになったよ。』


「そして貴様がこの里でクレアにしごかれてるのを知って貴様が気を失ってから彼女を呼び出した。」


俺が気を失っている間にそんな話、してたのか!

俺なんてタツさんとの対面は最終日に知らぬうちにお世話になっていた礼を言いにいった時だけだぞ!


「儂は彼女に貴様の話を聞いたら凄く嬉しそうに話すんだ。貴様と彼女はほぼ同じ境遇で辛い幼少期を送ってきたからだと直ぐに分かった。たしかにそのような奴ならば彼女の隣に立つのはふさわしい………と思っていたのに………」


タツさんは立ち上がると俺の胸ぐらを掴もうとするのを料理を運びにきた人達が精一杯止めようとする。


「貴様もうちの馬鹿息子と一緒か!うちの可愛い孫を泣かしてみろ!貴様を地の果てまで行って殺してやるぞ!」


「泣かせません。彼女の夢を守るために俺は彼女を離しません。そして隣に立つ彼女をいつか守れるように尽くします。」


ここは誤魔化す場面ではないと分かっていたため、本心を語る。

誠心誠意込めたつもりだが反応は?


「気持ちは分かった………じゃがな!口先だけなら何とでも言える!貴様の寿命が尽きるまで彼女のそばにいつづけろ!」


まだ怒り狂ってはいるようだが何とか落ち着いてくれたか?


「もうタツ婆、危ないわよ?あんまり怒ってると早死にするわよ?」


「あっ!クレアさぁん!?」


帰ってきたクレアさんは俺に抱きつき、俺を畳に押し倒すと形のいい唇を耳に寄せた。


「最後の言葉、聞かせてもらったわ。私に貴方の死を看取らせてもらえるかしら?」


抱きついてきたクレアさんに肯定を示すように彼女の背中に手を回す。

今は守られてばかりだがいつかはきっとこの優しい彼女を守れるようにと誓うのだった。









マコト達がタツ婆から話を聞いてる間、彼女は道場の扉を開く。


「待っていたぞ、クレア。」


クレアは思いっきり門を閉めた。

そして頭を振り、父親を見たという幻覚を消して再び扉を開けた。


「待っていたぞ、クレア。」


「龍闘流法 雷電回天!!」


雷撃を纏った空気を震わす拳は容易く跳ね除けられ、腕を掴まれた挙句、無理やり道場内へと引っ張られていく。


「離しなさい!てか、何でここにいるのよ!」


「フィリアの様子を見に来ただけだ。そしたら慣れた気配が近づいて来たから出迎えただけだ。」


無理やり跳ね除けようとするも馬鹿力と力の掛け方で抜け出す事ができない。

その間にも彼は歩き続け、ある場所で止まった。


「何かしら?賭博の借金を私の体で払わせる気かしら?」


「その場合、貴様よりも情けないフィリアを使う。まあ入れ。」


ドラゴーラに背中を押されて、木製の引き戸を開けた先には龍闘流法の教え子たちがある1人の女性を囲む光景。


それを瞬く間に倒して行く女性、残されたのは気を引き締めた精悍な顔つきの青年。


「行くぞ」


「あれって、ブラッド様じゃない。何でこの里の後継者がここに?」


「貴様に憧れて道場入りしたらしいぞ。ディアンも貴様並みに強くなるように期待してあいつをここに送り込んだようだ。」


ブラッド、ガルディに兄であり、この国の後継者。

緋色の髪を短く切りそろえた彼はワンステップで懐に踏み込むが女性に跳ね除けられ、晒した顎に拳が叩き込まれ、崩れ落ちた。


「どうかな?お姉ちゃん?私、貴方より強くなったかな?」


「自惚れ過ぎよ、フィリア。」


そこにいたのはドラゴーラが学園で出会った本妻との間に生まれた娘、学園に行く前に付き合っていた女との子であるクレアの妹に当たるフィリアであった。


彼女は白の胴着をきちんと着て、汗を流しながらも快活に笑う。


「で?あなたは私をここに連れて来て何がしたかったの?」


「貴様にフィリアの姿を見せるだけだが?後は手合わせでもさせてやるつもりだったが?」


「お生憎、私が本気でやったら数秒で終わるわよ。それに私は皆んなと朝ご飯食べに来ただけだから。」


クレアはフィリアを許したわけではない。

だがここにいると言う事はタツ婆からえげつないほどのしごきを受けているのだろう。


ドラゴーラでさえ、あまりの厳しさにタツ婆の道場にはよりたがらないのだから。


「まぁ頑張りなさい。そうやって龍人として正しく強くなったならまた相手してあげるわ。」


「約束だよ!お姉ちゃん!」


クレアはやる事は終えたとばかりにマコト達の元へと帰るために引き戸を開けた。

それを止めるようにドラゴーラが腕を組みながらふてぶてしく言った。


「クレアよ、これだけは言っておこう。俺様は強さに執着する男だ。子供の貴様を迎えに行かなかったのも貴様に俺様が興味を惹かれる程の強さがなかったからだ。」


「それで貴方に傷をつけるほど強くなったから私を娘と認めたと。なら………シオンは?」


それはずっと聞きたかった事。

母は彼を愛していたからクレアに強くなれと言った。

彼に見捨てられないように。


「無論、愛していた。彼女には俺様の側にいれるだけの胆力を持っていた。彼女の死を忘れた事など1度もない。我が娘、クレアシオンよ。」


微かに微笑んだクレアが背中越しに引き戸を閉める直前、ドラゴーラからかけられたその言葉に皮肉っぽい笑いで返す。


「クレアシオンなんて娘はいないでしょ?私はクレア。ただのクレアよ、お父さん。」


彼女はそういって引き戸を閉めた。


「お姉ちゃん、良い顔してたね。全部が吹っ切れたみたいだったよ!パパ!」


「貴様にパパと呼ばれる筋合いはない。認めて欲しければ俺様にかすり傷1つつけてみろ。」


フィリアの言葉に挑発で返した彼は彼女の笑顔を記憶に焼き付ける。


シオンに似た太陽のような暖かな笑顔を。

感想、評価してくれるととても励みになります!もしよかったらブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ