神竜討伐戦 後編
今回は二話投稿なので前編もよろしければどうぞ
「おい生きてるか!?」
「な、なんとかですわ!他の皆は!?」
創造した堅固な壁が破壊された瓦礫後からエルデが顔を出し、ガルディを引き上げる。
両者ともかすり傷で済んではいるが
「酷え有様だ………」
辺りを見回すと騎士団達はほとんどが地面に倒れ伏せ、地形が変わり、地面に入った亀裂からマグマが吹き出している。
「やべぇな。今の爆発で火山の活性を後押ししちまってる!このままだと噴火しちまうぞ!?」
「それはまずいですわ!ロゼさん!リリさん!生きてますか!?無事なら返事を!!」
「マコト達も心配だ、あいつらあんな至近距離で受けて無事な訳がねえ!!」
エルデは剣を地に突き刺し、そこから自分と全く同じ人形を創り出すと怪我をした騎士団の回収に入る。
「無事でいてくれよ、頼むから!」
*
「危なかった………火、水、光、風の4属性でギリギリなんてどんな威力してるのよ、あの魔法!」
ロゼ、リリ、ルナールはロゼが咄嗟に魔力を混ぜた4属性混合魔法『誉れ歌う神聖領域』による防御魔法で怪我1つ負うことはなかった。
ロゼはすぐに魔法を解き、騎士団達の怪我を癒そうとリリさんを連れて走り出す。
「なあ………そなたは全属性混ぜられるのか?」
「ええ!それが何か?」
だがいきなり後ろからかけられた声にロゼは焦りながらも手早く答える。
「そなた、本当に人間か?」
だが次にかけられた言葉にロゼは足を止める。
「………どういう意味かしら?」
「妾は九尾、今は分身体を3体町に放っておるから今は6本じゃが。妾は尾の数につき100年の時を生きて来た。ーーそんな中で妾は9属性、もしくはそれに属する魔法使いなど見たことがない。」
ルナールの言葉にロゼは黙り込む。
ロゼは自分でも不思議に思っていた。
あの事件以来、魔法に関する知識が泉のようにこんこんと溢れ出して来たのだ。
それに従って魔法を唱えれば固有魔法すら再現でき、見た魔法なら瞬時に再現出来るなど普通ではありえない領域に踏み込んでいた。
「人間じゃないなら………私は何だって言うのよ!」
ロゼは苛立ちを隠さずにルナールへ詰め寄る。
リリが止めようとするがルナールはそれを片手でせいした。
「かつて妾は6属性を操る者には会った事がある。あやつは獣人と精霊のハーフであった。」
その目はとても親愛に満ちており、彼女の大切な人だったのだろうと容易に推測がつく。
「それを踏まえるとそなたはおそらく全種族の血が均等に混ざっておるのだろう。いわば種族が別れる前の存在、太古の人類への先祖がえり。それがそなただ。」
ロゼは以前、父からの言葉を思い出した。
イノセンティア家は数多の血が混じり合った家系だと。
その為に迫害を受けて来た歴史もあり、貴族の地位を得て安定した後も忘れぬようにと無罪の涙と家名をつけたことを。
「そなた、体力がないであろう?おそらく魔法に特化しすぎた体の作りをしているからだ。魔力貯蔵量、魔力回復量はずば抜けて高い。それこそ、魔導王を名乗る精霊族の英雄よりもな。」
ロゼは驚きのあまり、目を見開く。
それもそうだ。かつて無能と蔑まれた自分の才能が英雄を超えるものだと言われたのだから。
「例え、貴方の言う通りだったとしても。私はマコト君の婚約者、人族、ロゼ・イノセンティアよ。」
だとしても何も変わらない。
強いて言えば自分にも戦える力があったと体の血が湧き上がるような多幸感があるだけだ。
彼のそばで戦えると。
「なるほどな、そなたのその心の強さも関係してそうだ。忠告だ、バランスを崩せばそなたは自壊する。他ならぬ自分の中に流れる血によってな。だから自分を持ち続けるのだ。自分は自分だと。」
ルナールはそう言葉を締めくくるとリリとロゼの手をつかみ、その場から飛び退く。
それとほぼ同時に地面が爆発し、溶岩が噴水のように噴き上がった。
「むう、不味いな。火山が噴火しようとしておる。」
「それは不味い!早く皆を連れて逃げ出さないと!」
「けどアレは逃してくれるかなっ!?」
無詠唱かつこれ以上ない速度で唱えられた水、風、光、土、無の五重属性の混合魔法。
それは喉の奥まで見えそうなほど口を開けた神竜へと被弾し、神竜の動きが僅かに留まる。
「泥を啜って星を見よ!!」
固まった泥が神竜の翼を固め、完全に沈黙させた時、空が落ちたような閃光が神竜を貫く。
「まだまだぁ!!」
彼女の腕と手の動きに従って、創り上げられていく数多の魔法陣。
五重までは知識にあったもの。だがここからは完全に自身のオリジナルだ。
「見たことがない魔法陣だ………これはいったい?」
「私のオリジナルだもの。水、雷、土、光、無、火の混合魔法。名付けるならそうねーー」
彼女が魔法陣に拘束された神竜を前にかざした手を握りしめた。
刹那、飛び交うのは五本の剣。
火、水、雷、土、光で出来たその剣は踊るように舞うように頭部から胴体へ赤の剣が滅多切りにし、両翼を青の剣と白の剣がそぎ落とす。
「我を守護する無数の剣」
5つの光を帯びた剣戟が果敢に勇敢に飛び回り、傷跡を残していき、とどめとばかりに動かなくなった神竜めがけて全ての剣が突き刺さり、込められていた魔力が神竜の体を消しとばした。
「やったか!?」
「いえ!柔らかすぎます!多分、アレは偽物!!」
「その通りだ。よく我のもう1人の自分を見破ったな。」
上空から空気を震わす咆哮とともに真紅の極光が地へと降り注いだ。
*
頭痛え………!
そうだ皆は無事か!
「まーくん………大丈夫?」
「クレアさん!?その体まさか!?俺を爆発から!?」
目覚めた俺の目に移ったのはその美しい鱗の殆どが消し飛び、夥しい出血が彼女の体表を覆っていた。
「守れてよかったわ………まーくん。」
彼女が傷ついたのは俺のせいか!!
俺がついてくるなんて言わなきゃ!!
「ふん、いい気味だな。クレアシオン。」
「神竜!!」
「団長………貴方の目的は一体…?」
クレアさんの有り様が余程滑稽なのか翼をはためかせながら愉快に笑う神竜へ俺は銃を構える。
「やめておけ、貴様の弾丸よりも我がブレスを放つ方が早い。」
確かに言う通りだ。
神竜の体力はまだ半分ほど残っている。
銃弾1発撃ち込んだ程度じゃあ削りきれる訳がない。
「さて目的だったな?決まってるだろ、貴様への復讐だ。」
「復………讐?」
クレアさんのかすれかけの声に神竜は弱っていると感じてとても嬉しそうだ。
「クレアシオン、貴様が騎士団に入団した時、すでに貴様は様々な伝説を打ちたてていたな。騎士殺しの魔獣単独撃破。採掘場の落盤事故から全員を生還させる。姫様から慕われる。素晴らしいじゃないか。」
神竜は昔を懐かしむようにそこで区切る。
「笑わせるなぁ!」
そして咆哮、大気を震わした衝撃波が俺を襲い、俺は地面に全身をくまなく叩きつけられた。
「貴様が副団長になり、我がどれだけ周りから言われていたか知っているか!?『団長より副団長の方がいい』『団長は弱いよなぁ。その点、副団長はすげえよ!』『エイト、そろそろお前も若い奴に譲ったらどうだ?そうだ、クレアシオンがいい。あいつは中々に骨がある』どいつもこいつも貴様を崇めた!俺は長年国に尽くした騎士だったんだぞ!」
神竜の怒りに呼応するように真紅の鱗が血よりも深い赫へと変化し、熱もマグマ熱を勝るほどだ。
「だから我は長年火山の噴火をさせる神竜を討伐しようとした。クレアシオンに援護を頼み、俺は自力で奴を討伐した。」
地面が揺れる。
赤い蛇が地面の下を這いずり回るようにマグマの噴出が始まっていく。
「神竜は討伐できた。代わりに神竜に交渉されて我は神竜になったがまあいい。クレアシオンよりも強くなれると思った上に神竜を討伐した我の名声がどんなものか知りたくなったからな。」
このままじゃまずい。
魔眼にはこのままだと20分以内に噴火する!と読み取れた。
何とかしないと!
「だが神竜殺しと2つ名を与えられただけで国ではクレアシオンの方が遥かに名声があった。火山地帯にくる奴らの話し声を聞けば魔王軍から国を守り続けたらしいな?どれだけ………どれだけ貴様は俺を下にすれば気がすむのだ?」
「私は………別にそんなことは………」
「自覚なしの方がタチが悪い。守ることは大いに結構だが今の貴様はただ力を振り回しているに過ぎない。」
クレアさんが図星を突かれたように黙り込む。
「だから俺は貴様に復讐しようと思った。そのためにお前が帰った来た時に合わせて、姫様を誘拐。そうすれば貴様は追いかけて来るからな。ついでに来た貴族の娘は予想外だったが、他国の貴族を守れなかったとすればお前の名誉も地に堕ちるだろう?その点では都合が良かったがな。」
「いい加減にしろよ!聞いていればただの嫉妬じゃないか!クレアさんはーー!」
「いや言う通りだ。クレア。貴様の理想は破綻している。」
俺の叫びを遮るようにひとりの男が空から落ちてきた。
側には父もいる。
「ドラゴーラ………!!」
「そんな貴様の壊れかけた理想など捨ててしまえ。クレア」
クレアさんが敵意を発しながら人を殺せるような表情でこちらへと歩いてくる男を見つけている。
「誰だ?」
「勇猛の英雄ドラゴーラ。クレアシオンの父親だ。」
この人が英雄ドラゴーラ。
父と同じ英雄の1人!
ドラゴーラさんは俺を挟んでクレアさんの前に立つと
「貴様はその理想を捨てた方がよっぽどいい。以前も俺はそう言って、貴様は俺様に怒りをぶつけてきたな。」
「当然よ………私が誰かを守りたいという夢を馬鹿にして黙っていられるとでも?」
大小様々な傷を負っているはずなのに無理にその体を起こそうとするクレアさんを抑えようとするがドラゴーラさんに突き飛ばされ、地面を転がされた。
「貴様は本当に頭が足りないな。まあいい、貴様よりも俺様は神竜に会いにきたんだ。」
「龍人の英雄ドラゴーラか………ふん!悪いが負ける気はしないぞ!」
神竜は心武器を出すよりも早く先手をとり、天から地へ向けてドラゴーラさんだけを巻き込むブレスを放つ。
収束されたそれは熱量、威力共に桁違いに跳ね上がっており、いくらクレアさんの父でも受けたらただではーー
「落ち着け、マコト。あいつは問題児だが仮にも英雄だ。実力はーー俺をも凌ぐ。」
そして俺は見た。
神竜の一撃を部分だけ龍化した右手だけで受け止める男の姿を。
「………期待はずれだな。」
「何故だ!何故防げる!?龍の鱗すら焼き尽くすブレスだぞ!?」
だがブレスを防ぎ終わるとまるで飽きたように欠伸をして、どかっと座り込んでしまった。
「おい、マコトとか言ったな?貴様がやれ。1人でだ。」
「はあっ!?」
俺が1人で?出来るのか?
クレアさんすら倒したこの龍を倒せるのか?
「無理なら構わん。だがクレアシオンは死ぬだろうな。貴様の弱さのせいで。」
その言葉に俺は水をぶっかけられたみたいに頭が冴える。
そうだ………俺がついてきたせいで今、クレアさんは倒れてんじゃねえか。
何やってんだ俺は!鍛えてもらった力は何のためにある!?
「大切な人達を守るためだろうがぁ!」
俺は構え、魔眼を全力で開放する。
ありとあらゆる情報を演算で無理くり扱えるレベルまで落とす。
脳がいかれる。
視界がぐねる。
そんな中で、1つの声が聞こえた。
「ほう………クレアシオンの父とだけあって随分と上からだな。そこの白髪のパートナーすら守れないガキが我を倒せるとでも?」
それは冷静になれば分かることだった。
彼女との繋がりはまだ途切れていない。
彼女はまだ生きていると。
だが一気に頭はクリアになる。
視界には敵しか映らなかった。
オレは地面にヒビを入れる勢いで跳躍すると神竜の腹を蹴り上げ、そのまんま防御無視の弾丸を叩き込む。
「ぐおぁっ!!貴様!これだけの力を!?」
ナイフよりも何倍も鋭い歯が空中で確実かつ迅速にオレへと迫る。
喰われる!?と認識た瞬間、オレは喰われた。
鴉間真は死んだ。
「マコト君!!」
「ロゼちゃん!無事だったのね!」
ロゼ・イノセンティアは生きていた。
ならオレが死ぬのは間違っている。
「ぎぃ!ぐぼおっ!?」
口の中を虫歯菌より酷く荒らしたおかげで血を吐き出すのと一緒に外に出された。
オレはそのまま地面に受け身を取り、着地する。
「マコト………君?だよ…ね?」
「ああ、オレはマコトだよ。ロゼ。」
オレは抱きしめたい気持ちもそのままにまた跳躍する。
空中では血を吐きながらも戦意を失わない竜の姿があった。
「どうした?来ないのか。」
上がったり、下がったりを繰り返しながら挑発するが奴は襲い掛かってこない。
「何だ?お前は?これでも騎士団の団長だ………いきなり動きが変わった事くらい俺には分かる。」
「オレが誰かなんて関係あるのか?まあでも教えてやる。」
オレは不敵に笑い、宣言した。
「ーー正しい天眼の使い方をな。」
オレは横方向にジェット噴射のごとく、加速。
弾丸を避けるように旋回する神竜を追い、片手の銃を操作して脇腹へと入った一撃が神竜の内部を破壊する。
オレはそのまま物理法則を無視して赤い岩盤のごとき龍肌を弾丸を楔のように打ち込みながら駆け上がっていく。
「おらあっ!」
背中にたどり着くと神竜の翼膜を銃弾で撃ち抜き、穴だらけのチーズのようにしてから翼の根元を蹴りおる。
大木が根本から倒れるような音と共にひしゃげたそれは使い物にならなくなった。
「離れろ!貴様ぁ!」
オレは神竜のザラザラした鱗にしがみつきながらも奴が抱えた傷跡へ向けて銃弾を撃ち込んでいく。
「生き物は痛みを感じれば体の動きを止める。小さくても大きくてもだ。」
痛みに一瞬、動きを止めたところで神竜の鼻先へ駆け寄り、神竜の頭蓋を粉砕する勢いで拳を叩きつけて、暴れる神竜に合わせて空中へ身を投げる。
「この眼は痛みの動きさえ見抜く。そこを正確に射抜けば相手は動きを止める。」
神竜の目が落ちるオレと交差したところでその横っ面に回し蹴りが炸裂、幾本もの牙をへし折り、動きに停滞が出たところで両手の拳銃の標準を双眼に合わせて引き金を引いた。
「がぁぁぁぁ!!目がぁぁ!!」
「動きを止めて凶器があればガキだって人を殺せる。」
目に吸い込まれるように弾丸が眼球を潰したのを確認、体力が赤ゲージレベルまで減っているのも読み取った後に暴れる龍へ狙いをつける。
「これが天眼の正しい使い方だ。参考になったか?」
そろそろ見えたぜ、お前の弱点。
狙うは喉元。
穿つは反転した鱗、つまり逆鱗。
そこに核がある。
「ゲームオーバーだ。じゃあな。」
オレの弾丸は暴れ狂う神竜の喉を貫き、神竜の喉から紅玉がこぼれ落ちる。
神竜はそのまま火口へ落ち、マグマに飲まれていった。
・
俺はその紅玉を魔眼で見抜きながら手に取る。
名前 神竜の紅玉
説明 火山の噴火を抑えていた紅玉が龍の血を得て変質したもの。火山の噴火を止める役割がある。
なら!この噴火も止められるか!?
俺は紅玉を火口へ向けてかざすと紅玉が光だし、噴火の熱を吸い取っていく。
漸く収まった先には熱気だけが残る紅玉が手元にあった。
「ーーおお!」
ひとりの傷だらけの騎士が歓声をあげた。
つられて周りからも歓声が上がる!
「マコト君!」
「ロゼさん!無事でしたか!」
「ルナールさんが助けてくれたの!」
「妾の歩法のおかげだぞ!褒めるがいい!ほれ、ほれ!」
ロゼさんは俺に抱きつき、ルナールさんは頭を撫でろとばかりに擦り寄ってくる。
「やったじゃねえか!すげえよ!マコト!」
「本当ですわ!まさか神竜を撃破するなんて!これは国から報奨金が出るものですわ!」
エルデやガルディさんも肩を組んで俺を称えてくれた。
「でもあの人を助けられなかった。」
「………それはそうだ、マコト。結局、何かを失わなきゃいけない時もある。全部が丸く収まるなんてそう上手くはいかないさ。」
俺の呟きに近づいてきていた父が諭すようにそう言った。
「今は誇れ。お前は他国の姫を救った英雄の子だと。勝鬨をあげるといい。お前にはその権利がある。」
皆が俺から離れる。
俺は紅玉をもち、誰からも見えるように天へと掲げた。
「神竜グラムバーンは俺が討ち取った!俺たちの勝利だ!」
クレアさんが体力を削ってくれなかったら勝てなかった。
騎士団さんたちが魔法で援護してくれなければ間に合わなかったかもしれない。
だからこそこれは皆の勝利だ。
*
「ドラゴーラ、何故まーくんだけで倒せると思ったの?」
「ふん、あの目はシェンデーレがよく逆転する時にしていた目に似ていたからだ。あいつは一歩引いてみているくせにいざ自分がやるとなればその爆発力は凄まじい。あの息子も同じタイプだろうよ。」
胴上げされているマコトを横目に傷だらけのクレアはドラゴーラへと詰め寄る。
だがドラゴーラに腕を掴まれて服を捲られた。
「それにこの傷が何よりの証だ。あの男にやられたのだろう?」
「よく………怪我してたって分かったわね。」
めくった服の下、左脇腹の部分はまるで肉が削げたように火傷と曲がったような傷跡が残されていた。
「ババアから聞いているからな。今の戦い方でお前はやられたのか?」
「弱いと笑う?」
「呆れる。」
私は腕を振り払い、睨みつける。
「私は貴方には従わない。貴方が母を捨てたことに変わりはないからね。」
「勝手にしろ。」
勇猛の英雄はこちらへと駆け寄るマコトへ向けてクレアを突き出す。
マコトに体を触られて心配されているクレアシオンは照れながらもドラゴーラが見たことない幸せそうな笑顔で笑っていた。
「ふん、いい顔をしやがって。シオンの呪縛から逃れた方が貴様は幸せになれるというのに……あとはあの小僧に任せておくか。」
その言葉は歓声にかき消されるのだった。




