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突入!!

今回も連続投稿していますので確認お願いします

「外出許可を取ってる暇がないからって学園抜け出して大丈夫ですか!?」


「大丈夫なわけない。けど今の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「エルデちゃんは気づいてたんだねえ。誰が犯人で何をして来るのかを。」


現在俺たちは馬を一頭拝借し、夜の学園の外へと逃走を図った。


リリムさんが手綱を握り、俺は彼女の華奢な腰に手を添える。

クレアさんはかなりのスピードを出す馬と並走している。


ちなみに一度間違えて胸を触り、平手打ちされた。

仕方ないだろ?ペッタンコだったんだから。


「何を考えた?」


「ロゼさんの安否について。」


考えが見透かされたような嫌疑の目にまじめに考えていた意見を言う。


「ロゼはまだ生きてる。能力が発動しているところを見るとね。」


「けどロゼちゃんの体はどうなってるか分からないわよ?さてここで問題です、まーくんは情報を持った女を拷問するとしましょう。その時、何が1番効果的かな?」


「……暴力とか?薬とか?」


「間違いじゃない。けど、国への忠義を尽くす女性に対しては快楽が1番いいのよ。ここまで言えば大体分かるでしょ?」


「汚されているかもしれないと!?」


「だからなるべく早く助ける。運が良ければまだ純潔はあるかもしれない。真面目な人ほど堕ちると取り返しがつかなくなるわ。」


夜風を切りながら星すら見えない夜空の下で俺は願うしかなかった。


どうか無事でいてくれと。







「スティーブどうだ?コソコソ嗅ぎ回るネズミ達は?」


「彼らは情報収集が上手くいっていないのか、あたふたしていますね。大丈夫でしょう。」


やっぱりか。

いくら歴戦の強者がいたところで俺の監禁場所がわかる訳がない。


何故なら普通の人には見えないからな。

()()()()()俺以外はな。


魔眼さえあれば……魔眼?


「待て、スティーブ。確かお前の決闘時に側にいたあの美少女は何の種族だ?」


何故だ?何故こんなにも嫌な予感がする!?


「リリムでしたら……確か学園唯一の魔族ですが?」


魔族…なにかの話で聞いたぞ!?

何だ、思い出せ!思い出さないと何か不味い!

何だ!?何がこんなにも焦らせる!?


「リリムって研究論文出してたよね?位相についての研究と邪道とされて提出されなかった魔眼について。」


「フィリア!どういうことだ!?」


俺の肩に頭を預けていたフィリアはまだその考えに思い当たっていないらしく、自身が知る情報を述べていく。


「魔族代表として学園にやってきた研究者で生徒の1人。確か魔王の娘だったかな……あれ!?不味くない!?」


「そうだ!もし仮に魔眼の王の血を引いているなら彼女に魔眼が宿っていてもおかしくはない!スティーブ今すぐ彼女を処分しろ!」


「処分ですか!?何もそこまで…?」


「馬鹿か!たかが魔族!理由なんて幾らでもつけられる!さっさとやって来い!」


俺は部屋からスティーブを追い出すと扉を閉めて監禁場所に連絡を入れる。


ハーレム仲間の一人、念話の力だ。


『スレイだけどなんかあった?』


『そこに侵入された形跡はないか!?調べてくれ!』


『?りょーかい。』


念話が切れた。

俺は疲れたように体をベッドに沈みこませる。


予想外に疲れた。

今日はもう寝て、明日朝早くに監禁場所に行こう。


決闘の件は全てスティーブに押し付ければ問題はない。







「リリムさん、いますか?」


押し付けられた仕事を果たしにやってきたのは彼女の研究室。


だが時刻は既に深夜の所だ。

起きていないだろうと思ったが扉が開き中から小さな少女が顔を覗かせた。


「……こんな時間に失礼。」


「すまない、だがちょっと貴方の研究について聞きたいことがありまし……てっ!」


後ろ手に隠していた爪を装着して彼はリリムの死角にまわり、彼女の心臓を貫いた。


「スティーブ様?殺して良かったのですか?」


「仕方ないだろ!アルフレッド様に逆らった方が怖いからだ!彼にかかれば僕の家なんて簡単に潰せてしまうんだぞ!なら、魔族の彼女を殺す方を俺は選ぶね!」


とにかくとばかりにエレノアを説き伏せてまだ温もりのある死体を外に運び出そうと死角移動を行う。


二回三回と死角移動を行い、寮の裏側へとたどり着いた彼らはリリムの死体を背中に背負って何処かへと埋めるために建物の陰から飛び出した。


「この死体はどうしますの?」


「アルフレッド様に頼んで消してもらうしかないだろう!?それよりも早く!エレノア!………エレノア?」


スティーブはゆっくり錆びたような首を回して後ろを確認する。

後ろから追いかけていた筈のエレノアの姿はそこにはいなかった。


()()からの反応が消えたので来てみれば焦って尻尾を出した憐れな獣がいるとは好都合ですの。」


そうだ、俺は先程まで誰と話していたんだ?

エレノアの口調ではなかった。

じゃあつまりーー!!


(希望)も見えない夜で御座いますがこれもまた一興ですの。貴方もそうは思いませんか?スティーブ?」


雲が切れて月がのぞく。

月の光は舞台の上の役者を照らすようなスポットライトのようで。

美しい桃の色をした竜の姫がそこにはいた。


「ガルディエーヌ!?」


夜闇に誘われて顕現したのはエルデバランのパートナー、ガルディ。


彼女の片手には見知った顔立ちの女性が引きずられていた。


(落ち着け、まだ大丈夫だ!相手はパートナーがいない女1人。死角移動は使えないとしても魔法を使えば逃げ切れる!)


焦りながらも生み出した考えに従い、魔法を唱えようと手をかざしたところへ意識を失ったエレノアが砲弾並みの速度で飛んで来た。


あまりの早さに避ける間も無く、彼女を受け止めるようにして地面を転がった彼が夜空を見上げた先にはーー


「龍闘流法ーー"雷電回天"」


ーー白雪の竜がいた。


瞬間、学園中に一時の朝を迎える。

否、それと見間違うほどの雷光。

これが『白雪の竜姫』と呼ばれた英雄を除いた名高い竜種のトップ3三つ首龍(アジ・ダハーカ)の1柱だ。


「殺しはしません、ですが全て吐いてもらいますよ?」


彼女の構えられた拳は泡を吹いているスティーブの顔の横に落とされていた。


今の光で直ぐに先生たちが駆けつけるだろう。

なら今のうちにエルデが前もって()()()()3人の人形を集めておこう。


「後は任せましたよ、皆様。」


辺りが騒がしくなって来た。

ガルディは気を引き締めなおす。

私の旦那様を取り戻す戦いはこれからなのだと。







「今の光はーー姫様ね。急ぐわよ、まーくん!彼女が光を上げたということは不測の事態が発生したということだもの!」


「なら直ぐに片付けないと!リリムさん!まだつきませんか!?」


「もう着く。」


事前に三つ首龍の2柱『黄金の雷撃龍』と『白雪の竜姫』は決めていた事がある。


よほどの不測事態。例えばエルデとガルディの心武器によって『生成』され『創造』された自立人形が破壊された場合などに光を上げろと。


「着いた。」


「……どういうことですか?何もありませんが?」


「リリムちゃん?冗談はよしてよ?」


馬を止めたのは見晴らしの良い草原。

建物の影はなく、洞穴のようなものすら見当たらない。


「クレアには見えない……けどマコトには見える筈。」


「もしかして……魔眼でしか見えない建物?」


「なんだって!?じゃあ来い!魔眼!!天眼!」


俺は何とかして魔眼を発動させようとするがうんともすんとも言わない。


「落ち着きなさい。魔眼は無理に発動するものじゃない。貴方はその目で一体何がしたい?」


体を捻り始めた俺にリリムさんが呆れたような声をかけた。


「難しい?なら貴方の目は何をする目?」


俺は目を閉じて考える。


この魔眼はありとあらゆるものを見抜く。

そして今、1番見抜かなければならないものは1つだけだ。


「この目は……彼女への道を見抜く目だ。」


「合格。」


視界が変わった。

世界が変わった。


現れたのは地球でよく見たことある建物。

東京に行けば天を貫くかのように聳え立つ構造物。

その残骸、人が消えた建造物。


「……廃ビル?」


「知ってるの?この建物を。」


「え?あ、ああ俺たちの国じゃあこういう建物なんだよ。これはだいぶ前に人がいなくなったみたいだけど。」


「ちょっと〜2人だけの世界に入らないでよ〜お姉さんにも教えて〜。」


事情説明を行い、俺からの情報を得たクレアさんはいくつか問いただすと納得がいったように頷いた。


俺たちは蜃気楼のように揺らぐその先の廃ビルの前に立つ。


「で?ここからどうするんだ?」


「これは魔眼持ちに見えたのならアルフレッドも魔眼持ち。ならアルフレッドはここを行き来できた筈。なら私たちも行き来できる……多分。」


自信なさげに推論を語る彼女、だが今それしかないのなら危険だとしても乗り込むしかないだろう。


「お姉さんは2人にくっついていればいい?」


「そうして下さい。何が起きるか、分からないので。」


俺とリリムさんが並んでクレアさんが背中にひっつく。


俺たち2人が手を伸ばすとそこから沈み込むように手が腕が肩が飲まれていく。


再び月が見え、明かりの先に彼らの姿はなかった。







「来ましたね。」


「来た。中々興味ぶかい。」


「これって石?それとも別の素材?」


幽霊が出ると言ったら素直に信じられそうなほど劣化した廃墟ビルの前に俺たち3人は立っていた。


ほかの2人は近くに転がっている崩れた壁の破片などを興味深々に触っている。


「少し魔力の質が違うわね?」


「まるでここだけ魔力が充満しているだけでこの敷地の外は魔力が霧散しているみたい。」


外から聞こえるのは車の激しい往来音。

漏れるのは夜間営業の店の明かり。

間違いなくここは地球の延長線上……いや地球そのものだ。


「さてこの建物の確認はここまでにして、乗り込みましょうか。」


「……その前に聞いといた方がいい。」


「ああ、見抜いたよ。そこの建物の入り口にいるやつ出て来い!!」


入り口を見つめる俺らに1つの影が現れる。


「うわぁ〜見張りを始めて良かったよ!キミ達みたいな招かれざる客がおとずれるからね!」


入り口から出て来たのは金髪の優男、背に構えるのは巨大な鎌。


「悪いけどここから先には行かせないよ。よっと!」


鎌を地面に突き刺した場所からこちらへ向けて地面が蠢く。


「クレア!!彼をよろしく!」


「リリムちゃんも気をつけて!行くわよ、まーくん!!」


「えっ!?うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


クレアさんに横抱きにされたかと思うと一気に地面が遠くなり、綺麗な夜景を少し眺めた後に腹の中をかき混ぜるかのような衝撃が俺を襲う。


つまり、なにかの攻撃を避けたクレアさんが俺を抱えて廃ビルの3階くらいまで跳躍、そのまま壁を破壊して乗り込んだのだ。


「さあ吐き気と戦ってる暇はないわよ!貴方の目だけが頼りなんだから!」


「分かった……!分かったから下ろしてくれ!自分の足で歩く!!」


うぐっ!待ってろよ!ロゼさん今、助けに行きます!





「貴方の心武器は鎌に軟化の能力を付与したものね?」


「正解。だけど軟化して沼みたいになった地面に埋まった以上、そこからどうするんだい?」


現在、両手を上げて万歳の状態で腰まで土の中に埋まったリリムの首に妖しく光る鎌の刃が添えられている。


「貴方のパートナーはどこかしら?最後に会わせて?」


「断る。彼女は恥ずかしがり屋だから。」


「そう。」


鎌が触れれば彼女の華奢な体など骨なしの軟体人間にされてしまう。


「なら実力行使。」


彼女は鎌にメガネの縁をぶつけ、軟化、緩んだ眼鏡はそのまま顔から外れ、彼女の青の螺旋の瞳が彼を射抜く。


それと同時にスレイの体が硬直する。

糸で縫われたかのよう張り付いた足に強い力で雁字搦めにされているようだ。


これこそ彼女の魔眼『地眼』

見たものすべての動きを止める魔女の目だ。


雪造形(スノーマジック)階段」


短く唱えた水と風の混合詠唱である氷の魔法。

地中に埋まった彼女の体を押し上げるように階段が現れ、彼女は一段ずつ上がると無事な地面に足をつけた。


「我が呼ぶは最古の吹雪、あらゆる敵に永劫の死をーー"永遠に続く雪の中(ニブルヘイム)"」


彼女の凍てつくような冷笑と共に顕現したのは巨大な氷の壁、まるで全てを閉ざす地獄のようだとスレイは素直にそう思った。


「まさか押し潰す気か!?この冷徹な悪魔め!!」


「私は悪魔だから貴方のそれは賞賛にしかならない。」


彼女の小さな両手に鼓動して青の壁は速さを増し、彼を永遠に続く氷の中へと閉ざそうとする。


だがそこに飛来する1つの黒い影。

音もなく彼女の背にまわったそれは隙だらけのリリムの脇腹に踵を減り込ませた。


華奢ということは線が細いということだ。

つまり、彼女の体は並みの一撃でも吹き飛びやすいということ。

そして脆いということだ。


「ぐっ……!!」


地面と平行に吹き飛んだ彼女は瓦礫や劣化した鉄筋の山の中に突っ込んでいく。


「おっ!動ける!ありがとな!ハニー!!」


「大丈夫よ、ダーリン?多分彼女も魔眼持ちね。()()()()()()()()()()()()が彼女の魔眼の力じゃない?」


現れたのは筋肉質な女性、発達した足に僅かに割れた腹筋を惜しげなく晒した服の彼女の耳には白くふわふわなウサミミが生えている。


「死んだかな?」


「いいえ?多分まだ生きてるだろうから気を抜かないで」


同時に瓦礫の山が吹き飛ぶ。

挫傷、裂傷で少女趣味のヒラヒラの服は千切れ、口からは一筋の血が流れているが彼女は生きていた。


「この世界の地下に水を流す通路があって良かった……天の恵みから大いなる地へ受け渡すは海寄りきたし災害ーー"海より来るは絶望の波デスペア・グロスヴァーグ


両手を地面につけた彼女の膝下から大海原を思わせる大質量の水が逆巻く萼となって2人を軽々と覆い尽くす異様を見せつけるが


「フレッフレッ!ダーリン!負けるなダーリン!」


「へへっ負ける気がしねえ!!」


それでも果敢に否、無謀にも突っ込んでいくスレイを呑み込もうとした所から水の動きが固まっていく。


「俺の力は軟化と硬化。氷は柔らかくして水は硬くする。だからお前と俺じゃあ相性が悪すぎる。出直しなぁ!!」


迫る一面の青の壁は地鳴りを起こした激流を硬めて水飛沫が虹を作る暇もなく彼に突破された。


海は割れ、迫る男の死の鎌が彼女の体を切り裂いた時、血の雨が降り注いだ。







「クレアさん、ここだけの話。リリムさんて戦えるんですか?」


アルフレッド達の痕跡や巧妙に隠された罠を見抜きながら進む中でずっと気になっていた事を聞いた。


短い間で戦った所や優れた魔法を使っている所からパートナーとして強いのは分かる。


だが今回は彼女1人でパートナー持ちの相手と戦わなくちゃいけない。

ましてや彼女は魔族だ。世界の風当たりを見ると彼女を殺しても罪に問われなさそうだ。


「心配なのは分かるけど今はロゼちゃんを探すのに集中しなさい。」


「……そうっすね。すいません。」


「けど強いていうなら……彼女から血が流れないことを願うわ。」


「血……ですか?」


「ええ……例えば血の雨が出来るくらいの量だとまずいかもしれない。」


クレアさんの顔が曇る。

それだけの量だと彼女でも死に至るからだろう。


だが


「ーー多分相手、死んじゃうわよ。」


予想していた言葉とは反応が丸っ切り違っていた。







これが魔女ねぇ?

意外と呆気なく終わっちゃったな。

流石に肩口から脇腹を切り裂いてあれだけの血が吹き出れば死は免れないだろう。


「お疲れ!ダーリン!」


「ただいま!ハニー!」


まあいっか!

今はそれよりも寂しがり屋のウサミミ少女を可愛がらなきゃな!


彼女も俺も退屈だった毎日、親がいて金があって恵まれた生活を全部自分から壊して来たんだ。だから彼女の気持ちは俺が1番よく分かるし、俺の気持ちも彼女が1番よくわかっている。


俺はピョンピョン飛び跳ねる彼女へ抱きつこうした時に彼女の顔から朗らかな笑みが消えた。


恐怖に怯えて震え始めた彼女の視線は俺の後ろを向いていた。


ありえない


ありえない!!


あれだけの傷だ!ショック死してもおかしくない出血量だ!それなのに何故!?


直ぐに心武器を持ち構えた先にそれはいた。


流れ出た血が全て傷口へと帰結し、口が裂けるほどの笑顔で月を見つめる悪魔がいた。


「キャハッ、キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


彼女は唇の血を親指で拭うと破れかけていた服を引きちぎり、彼女の汚れを知らない純白の肌に親指で赤の線を引いていく。


「あーあー、貴方達には使いたくなかった。けど冥土のお土産話に見せてあげる。私の真の姿、悪魔リリムの姿を。」


「不味い!何か分からないけど不味い!早く!」


だが彼女の魔眼が発動し、再び動けなくなる。

それを見てウサミミ少女は跳躍するがもう遅い。


彼女の周囲を水が血が纏わりつき、もう誰にも近づけない。


制約は我が血によって放たれる。

契約は敵の血によって果たされる。

盟約は互いの血によって交わされる。


月下の中で謳われたその言葉を前にして2人は心臓を鷲掴みにされたような冷えた感覚に襲われていた。


頭で警鐘がなる。

理性が倒せと唸る。

本能が逃げろと諭す。


だがもう遅い。

魔王(サタン)魔帝(リリス)の間に生まれた魔女(リリム)は夜の闇を纏って2度目の生を受けた。


悪魔には沿わない青空の衣を身にまとい、纏めた髪から水のような清廉さを感じ、瞳はまるでサファイアをはめ込んだ様な絶対的な美しさだった。


そして何より目を奪われるほどに成長した彼女の肢体。

しなやかな手足は長く伸び、大きく開いた胸元からは豊かな双丘が見える。

全体的に細身でありながら肉感的に見える女性の体に傷は1つもなく、氷の玉座を作り、そこに頬杖をついて座る姿は"妖艶"を如実に表していた。


「久しぶり、この姿。けどこれでもクレアの胸に大きさで勝てないとなると自信なくす。」


無表情で眺めていた2人は何とか意識を持ち直す。

だが彼女を見ると再び、頭の中に靄がかかる。


スレイは彼女に従えと理性を失えと

ラビは彼女を崇拝しろと平伏せと


「……魅力か!?」


「何て強力な……!!」


「さあ委ねなさい。私が貴方達を導いてあげましょう…………永遠に目覚めぬ眠りまで。」


彼女は彼らに甘く囁く

悪魔は常に優しいのだと。



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