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7話

おかしい。

pixiv時代と流れが違う・・・。

「大変な変態が変体して大変なんだよ〜!!」


私とイビーのいるところまで走ってきたらしい緑の美女は相当慌てているのか何を言っているのかわからない。


これは落ち着かせなければ何が大変なのかもわからないだろう。またおそらく語感が近いだけで変態は変体してないだろう。


「ジュリア、落ち着いてくれ。1から、とは言わないが、何があったのか教えてくれねば、どう助ければいいのかもわからん。何があった?」


「え、あっそっそうだね。スーハァー」


言うが早いか彼女、ジュリアは深呼吸をして落ち着きを取り戻そうとする。

彼女が落ち着くのを見計らって声をかける。


「落ち着いたな?ではジュリアよ。何があった?」


私が問いかけると、彼女は、


「えっと、ええっと・・・。」


まだ落ち着ききっていないのか、伝えたいことが纏まらないのか、少し俯いて考えるようにしている

。中々言葉が出てこないようだ。


「そうだ!」


すると彼女は突然顔をあげると、


「りっちゃん!思念伝達!思念伝達しよう!」


言うが早いか彼女は私の手を掴むと力を込め始めた。


ここで、彼女の説明を挟ませて貰おう。

彼女は今から2年程前に出会った木の精霊であり、日本に馴染みのあるゲームなどに当て嵌めると、ドリアードと呼ばれる者達に近い。というかまんまそれである。この世界では〈樹精族〉と呼ばれており、彼女の話の出てくる〈樹人族〉と近い存在である。〈樹精族〉は主に森などの木の多いところに生息し、木々及び森全体を管理している。ちなみに、〈樹精族〉は森の管理といったが、〈樹人族〉は森の守護を行っている。

また、〈樹人族〉の多くは人型の木、と言う様な見た目をしているが、〈樹精族〉はジュリアの様に見目麗しいことが多い。

そのため、一部の心無い人々から、愛玩用、または剥製としての人気が高く、裏社会で高値で取引されたりしている。彼女達〈樹精族〉は人族と違い、交配によって子孫を残す訳では無いので、魔物の一種として扱われており、「魔物だから何やってもいい」と言う狂った理論で非道な事が行われている。

そんな事をしている外道連中が、ジュリアを始めとする彼女の一族を襲っているところに出くわしたのが昔の私で、ちっぽけな正義感から彼女達を助けてやった結果、本来は森の奥深くに隠れ住んでいるはずのジュリアは私についてきてしまっている。


そして、私とジュリアは従魔契約を結んでいる。この契約があると、相手の位置がなんとなく分かったり、今まさにおこなおうとしている、思念伝達などができるのである。

この思念伝達とは、自分が持っている漠然としたイメージのようなものを相手に伝えることの出来るものであり、本来は会話が困難な魔物とのコミニュケーションをより円滑に行うためにつく出された魔術である。

しかしこれを応用する事により、会話より早く情報を伝えることが可能となる。

しかし問題点もあり、



『は〜ん♪りっちゃん今日もかっこいい!お姉さん見てるだけで元気出ちゃうよ〜♪あ!でもさっき走っちゃったから髪型とか服とか大丈夫かな?って言うか汗かいて無いよね?大丈夫だよね!?ってああ!〈樹人族〉からの救援依頼の一報ですっ飛んできてそのままだから手洗ってない!さっきまで34階層の森の調節手伝ってたからあんまり綺麗じゃないのに!後でりっちゃんに謝らないと!でもやっぱりりっちゃんの手おっきいしあったかい。初めて会ってときとは随分色々かわっちゃったけど、それでもこの手から伝わってくる優しさは全然変わらないな〜♪あーもうりっちゃーん!♪』


「あー、ジュリア。非常に言いづらいのだが・・・。」


「えへへ。」


この様に関係ない思念までも伝達してしまう事があるのだ。まあジュリアの場合いつもの事だが。

そしてジュリアは私の手に夢中で話を聞いていない・・・。

なんと言うか・・・。


『って言うかそもそも〈樹人族〉の人達には前から迷宮(うち)に来たら?いつか人が大挙してくるかもよ?って言ったのに無視して「ここを守るのが私たちの務め、離れるわけにはいかない」ってカッコつけちゃってさ。そりゃあ自分たちが生まれ育った森を捨てないといけないって言うのは辛い事だしお姉さんだって無理にでも移動しろなんて非道なことは言いたくないけど。でも暫く前からかの〈普人族〉の国にはその兆候があったって言うのに無視して・・・。それにしてもあの勇者って人達の強さは異常みたい。あの大きな〈樹人族〉が束になってかかっても、一人も傷を負わせられないどころか逆にボロボロにされちゃうなんて・・・。しかもそれが他にも5人くらい居るなんて・・・。りっちゃんでも負けちゃうのかな?ううん、そんな筈ない。だってお姉さんのりっちゃんは最強なんだから!』


会話にしたらそこそこ時間が掛かりそうだが思念伝達の為、実施は数秒程度だろう。

しかし、かなり余分な思考も混ざっていたが大まかな情報は把握出来た為、これ以上ジュリアの思考を読まない為にも手を離す。


「あ・・・。」


一瞬寂しそうな声を出して名残惜しそうにするジュリアだが、正直付き合ってられる状況でもなさそうなので、ここは心を鬼にして話を先に進めさせてもらう。


「だいたい把握出来た。昔ジュリア達のいた森の〈樹人族〉が勇者を名乗る集団に襲われて壊滅状態の為、助けて欲しいってことだな?」


「あ、うん!そう!流石りっちゃん!理解が早いね!」


ことある事によいしょしてくるジュリアに初めの頃は戸惑ったが今ではなれたもの。


「なぜ勇者が唐突にあの森を襲ったかの理由は定かでは無いが、ジュリアの顔見知り達を見殺しにするのも寝覚めが悪い。とりあえず助けに行くか。」


「ありがとうりっちゃん!それと、迷惑かけてごめんね?」


そう、少し泣きそうな顔で私に謝ってくるジュリアだが、その顔を見て、また、ジュリアの性格を知ってここで見捨てる程、私は非道になった記憶はない。


「とりあえず、まだ勇者と敵対する訳には行かないのでジュリアは〈樹人族〉に森を捨てて勇者から逃げるように言え。もし正義感のある勇者なら逃げる背中を攻撃したりはしないだろう。とりあえず〈樹人族〉迷宮に回収する。扱いはジュリアに一任することになると思うが、構わないな?」


そうジュリアに話しかけると、


「うん!分かった!お姉さんに任せて!上手く〈樹人族〉を説得してみせる!」


そう言うとジュリアは来た時同様ダッシュで戻っていった。


「と言う事だイビー。しばし留守にするので頼む。後迷宮に新しい奴らが来るかもしれないからその準備も頼む。」


「はぁ・・・。わかりましたよ。どうせ迷宮への生物転移など(あるじ)しか出来ませんからね。ですが、戻ってきたら、ちゃんと迷宮の今後の考えを話してもらいますからね。」


そんな小言を返してくるイビーに対し、私はおざなりに、


「検討しておこう。」


とだけ返し、玉座の間をあとにする。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〈樹人族〉に話をつけに行ったジュリアを追うように迷宮の30層へ繋がる転移門のある部屋へ向かう。我が迷宮は現状、開放されている層及び10層毎に転移門が設置されている。ジュリアは森林区域である30〜35層を管理しているのでおそらく30層へ向かっただろう。

30層への転移門のある部屋の中は何もなく、地面に魔法陣が書いてあるのみだ。

私は魔法陣の上に立ち、魔力を送る。


「其は、此の地と彼の地を繋ぐ門。其の門戸を開けて我を彼の地へ――――転移。」


瞬間部屋が光に満たされ、目をくらます。暫くして目がなれると、さっきまでいた所と余り変わらない部屋にいた。私は躊躇いなく部屋を出ると、出てすぐの廊下を左に歩いていく。そちらからは慌しい声が聞こえてくる。


「ですので、早く33階層のこの区画に場所を設けてください。いくら彼らが〈樹人族〉だからと言っても、生活空間は必要なのです。家を必要としない彼らの為にも、この河川の近くの区画に休憩、睡眠用の場所を確保して下さい。」


落ち着いた女性の声が指示を出している。その指示に対して、疑問の声が上がった。


「今まで散々こちらの誘いを断ってきた〈樹人族〉が今更本当に来るのですか?」


「確かに彼らの一部、いえ、多くは彼の地に留まり、最後まで抵抗することを望まれるでしょう。ですがわたくし達〈樹精族〉の指名でもある森の存続には彼ら〈樹人族〉も含まれているのです。確かに彼の地は〈普人族〉に占領されてしまうでしょう。それでも、ここに移した木々を保持し、〈樹人族〉を助けるのがわたくし達に残された使命。すべての〈樹人族〉が無理でも、せめて幼き生命は救って見せます!」



そう言い切る女性の声に、多くの人の感銘を受けたような感嘆が漏れる。


「わかりましたジュリア様。では私達もそのように準備致します。」


先ほどの疑問の声をあげていた者が返事をし、その部屋から出てくる。それに複数人の〈樹精族〉が続き、迷宮の方へ駆けていく。全員が部屋を出たのを見計らって部屋に入る。


「〈樹精族〉の中では話はついたようだな。すぐにでも出るが、行けるかジュリア?」


そう声をかける私に振り向いたジュリアは若干頬を染め、


「あ、り、りっちゃん!う、うん!行けるよ!」


少し慌てながら答えるジュリアに背を向けると、


「では行くぞ。一分一秒を争う様な状況なのだろう?」


と声をかけ、歩き始める。

背後からジュリアが追いついてくる音がして、


「うん、急いで向かおう!と、ところでりっちゃん・・・えっと・・・。」


「そう言えば、〈樹人族〉は何処に転移すればいい?お前達の話し合いに参加できれば良かったんだが、着いたのがちょうど〈樹精族〉が出ていくタイミングで、何も聞けてないんだ。」


何か言いたそうにするジュリアの言葉を遮り、そう口にすると、ジュリアはさっきまで恥ずかしそうにしていたのが一気に元気になり、


「そっか!えっと、じゃあ説明するね!まずこれから、東方騎士王国の北にある《魔精森》に行くの。そこで森林伐採しようとする王国軍と戦ってる〈樹人族〉に話を聞いてもらって、この迷宮の33階層に移り住んでもらうの。全員は来たがらないかもしれないけど、だからと言って〈樹人族〉は見捨てられないから、最低限子供だけでも無理にでも連れてこようと思います!」


ジュリアは息巻いてそう言ってきた。確かに〈樹人族〉は仕事へのプライドの高い種族であり、先祖が任された森を代々守るという事に誇りを持っている。森を明け渡すくらいなら全滅しても構わない、森を守らないのは死んでいるのと同じと考えている節まである。勇者とやらがいかに危険で強力だとしてもむしろ討死する事が最後の抵抗だとでも言うように抵抗する事だろう。だが奴らも馬鹿でも考えなしでもなければ、一応〈樹精族〉より下位の存在であり、〈樹精族〉も信仰の対象の一部である。〈樹精族〉の女王であったジュリアを連れて行って説得させれば、何とかなるかもしれない。


「ではまずは《魔精森》に飛ぶか。」


「うん!お願い!」


道の突き当りにある小部屋の中に入って立ち止まると、私に掴まってくるジュリアの腰を支える。昔は〈樹精族〉が治めていた、魔物と〈樹人族〉の住処《魔精森》を思い浮かべ、長距離転移する。迷宮内での転移陣を使用した転移と違い、距離と重量に応じた自前の魔力消費と具体的な行き先のイメージが必要な高度な魔法だが、私には最早片手間に出来る。


「我はリツェームド=ヴァレンディウス。此の地《不死者の迷宮》と彼の地《魔精森》を繋げる者。我が声に応え、道よ開け。――――転移」


先程とは違い、術の行使者の名と効果内容を含めた呪文を唱え、魔法を行使する。

そして、私とジュリアは光に包まれた。

ノリと勢いのみで書いてupしてストックが瀕死です。

次回は遅れる可能性あり?

荒野でフラグ投げてる場合じゃねぇ!

誤字脱字意味不明な点などございましたらお気軽にお願いします。

感想受付中ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううう!

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