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5話

待たせたな(誰も待ってない)

どれだけ気を失っていたであろうか、俺は頬をくすぐる草の感触にに起こされ、上体を持ち上げた。


「ぐっ!」


その途端、背中に激しい痛みを感じ体を戻した。


「あ!起きた?ダメだよまだ動いたら!」


どこからか涼やかな女性の声がきこえてきた。聞き覚えのあるようなないような声だ。


「大丈夫?どこが痛むの?」


その声は俺を労るかの様に話し掛けてくる。

俺は困惑しつつも、


「ええと、背中が特に。先程盛大に打ったので。」


痛む身体に顔を歪ませながら、なんとか体を起こし、そう言った。


「え!?大変!ちょっと見せて!」


そんな事を言いながら俺の視界に入ってきたのは、美しい銀色だった。

後頭部で一括りにまとめられた、美しい銀色の髪、透き通るような肌、整った目鼻立ち。その全てが芸術品のような美少女がそこにいた。


「ほら、背中見せて!」


そう言って美少女は俺の背中側に周り俺の服を捲りあげた。


「きゃっ」


いきなりの行動に女子のような悲鳴をあげてしまう。


「うん、見た感じ大きな傷とかはなさそうね。――――慈愛の女神よ、かの者に癒しを、治癒。」


彼女がそう言うと、先程まで痛んでいた背中の痛みが嘘のように引いた。俺の女子のような悲鳴は流されたようだ。


「どう?楽になった?」


そう、愛らしい笑顔で問いかけてくる美少女に、俺は


「あ、ああ。はい。」


と、何とも情けない答えしか返せなかった。


「それなら良かった。じゃあ私はこれで行くね。〈子喰い〉は貰ってっちゃうけど、いいよね?」


「え?あ?はい、どうぞ?」


彼女は突然なんだかよく分からないことを言い出した。〈子喰い〉ってなんだ?


「ありがと。じゃあ貰っちゃうね。――――万象の入れ物、万物箱、解錠」


彼女がそう唱えると、そこに転がっていた熊の死体が虚空に消えた。というか彼女に見とれてて気が付かなかったが熊が死んでる?


「あっ!」


「え!?どうしたの!?」


突然叫んだ俺に、美少女が驚いて振り返る。

そうだ!やっと思い出した!彼女の声はさっき気絶する直前に聞いた厨二臭いセリフと同じ声だ!


「え、あ、あの!もしかしてその、熊から助けてくれたのは貴女ですか?」


あまり女の子に話しかける経験が豊富では無い為に変にどもってしまったが、俺は立ち上がって彼女に聞いた。


「ええ、一応そうなるわね。」


「あ、ありがとうございます!この御恩は一生忘れません!」


完璧なDOGEZAが決まった。


「え!?ええ!?い、いや、そこまで畏まらなくても!私も仕事だし!」


はっ!いけない、ドン引きされてる。俺はとりあえず立ち上がって、若干混乱している彼女に自分も混乱しつつ


「いやそれでも、助けてもらったのは事実だし、それどころかさっきは傷も治してもらったみたいだし、しかも俺が目覚めるまで待っててもらっちゃったみたいだし・・・。全部引っ括めて、本当にありがとうございます!」


とりあえずテンパりながらも、彼女へお礼を伝えたが、彼女の方は何故か狼狽しており、


「えっと、いや、そんなお礼を言われるほどの事では。〈子喰い〉は元々今回の仕事の標的だった訳だし、あなたを治したのだって、私たちがさっさと見つけて倒せていればかけなかったはずの迷惑の謝罪としてだし、起きるまで待ってたって言っても〈子喰い〉の扱いについて話さないとだったからだし・・・。」


そう言い募る彼女を見て、もしかしたらお礼を言われ慣れてない人なのかと思った。よく自分より強い感情を露わにしている人と見ると逆に冷静になるみたいな話を聞くが、本当だった様だ未だに「えーとえーと」と言いながら今回の事態について目を回しながら話している彼女を見ると微笑ましくなる。落ち着いて考えると、どうやら〈子喰い〉と言うのはさっきの熊の事を指すようだ。そして彼女は仕事として討伐しに来た様だ。見ると俺よりだいぶ若そうなのに、偉いもんだ。彼女の姿を改めて観察すると、服の上に金属製のプレートを要所要所につけた軽鎧の様なものを着用し、腰にはレイピアの様な細身の剣を帯びている。他にも腰にはポーチの様なものもついているし、その見た目から弾き出された答えは


「わかってたが日本じゃねぇな!」


「そもそも気絶させちゃったのも私が斬り飛ばした〈子喰い〉の首が当たったからでできれば組合には黙ってて欲しい・・・って、え?」


突然そういった俺に対して彼女が言い募っていた事を中断して俺を見る。なんか気になる言葉がさっきからちょくちょく出てきてる。

まあそれはさておき、


「俺が気絶した原因は確かに〈子喰い〉とやらの頭のせいだけど、別にぶつかって無いよ。目の前に落っこちてきたからびっくりして気絶したんだ。」


正直ダサいし格好悪いが、彼女が気にしてるようだったから本当の事を話した。


「え?あ?本当?ほんとに当たってない?」


「本当本当。俺が小心者だったけ。」


俺がそう言うと


「良かった〜。ぶつけて気絶させたとかだったら、組合からお父様に連絡が言ってまた怒られちゃう所だった・・・。」


彼女は相当安心したのか言わなくていい事まで言っている。どうやら彼女のお父様とやらは怖いらしい。

あの熊を軽々倒すような子なのに、普通の事に一喜一憂する姿を見て、失礼ながら、俺は噴き出してしまった。


「ぷっ。くっ、ははは!」


「ちょ、ちょっと!何がおかしいのよ!」


笑い出した俺に、彼女が詰め寄って来る。


「あ、ああ。ぷふっ、ご、ごめんごめん。ふふっ。簡単に〈子喰い〉とやらを倒した、剣士様も、普通の子みたいに親が怖いって思うと、ははっ、なんか面白くて。」


俺が堪え切れない笑いを零しながらそういうと、怒った様子の彼女は、


「お、怒ったお父様は本当に怖いんだから!それと・・・。」

と、言葉を一度区切ると、おおきく振りかぶり、


「悪いと思ってるなら笑うなーーーーー!」


そう叫び、手に持っていたものを全力で投げ付けてきた。


「なんとぉーーー!?」


俺の眼前に迫り来るその茶色の毛玉の正体は、先程の熊の頭であった。


「ぐはっ!!?」


見事、俺の顔面の中心を捉えたそれは、俺の頭と意識を弾き飛ばし、宙を舞った。


「ああ!?ごめんなさい!つい!」


そんな、焦ったような彼女の声が聞こえてきたが、急速に視界が暗くないって行く俺は、答える事もできず、ただ、「ああ、これはお父様とやらが厳しいといよりこの子が問題児なんじゃなかろうか」という事を漠然と考えながら、意識を手放すことしか出来なかった。



これが、俺こと、神無月離都と、銀色の彼女、今はまだ名前も知らない美少女とのファーストコンタクトであった。


取り敢えず、肩つえぇ。

深夜のテンションで執筆してるのでいささか文章に整合性などないですが大目に見てね。


誤字脱字意味不明な点などございましたらお気軽にお教えください。

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