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公衆電話な女の子。  作者: 夕凪
第1章
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第7話


「ラメンタ~?黒衣洗濯機まわしとくよ~?」

「う~ん、おねが~い」


 お風呂に入ってるラメンタに許可を取って洗濯機に黒衣一式ぶち込んでさっと蓋を閉めてスイッチを押す。

 DDMインバーターが唸りを上げながら回転速度を上げていく。

 ラメンタの下着。

 黒衣に合わせているんだろうか?

 大胆な黒だった。

 それは、もう、やばかった。

 理性が暴走しかけたのでなるべくささっと洗濯機にぶち込んで鍵をロックしてもらった。

 これで安心。

 ちなみにEカップでした。

 


           †


 緊急事態発生。緊急事態発生。エマージェンシー。エマージェンシー。


 着替えが、ない!!


 そのことに気が付いたのはラメンタがお風呂に入って洗濯機をまわし始めたあと。

 僕はバカなんだろうかバカですねそうですね。

 お母さんの服は………なんだかちょっと着せたくない。特に下着なんかは。

 妹は体格的に論外。

 ラメンタマジナイスバディ。

 というわけで、セブンである。

 いやぁ~、困ったときはセブンだね!!



           †



 帰宅。

 呆然としてしまい、思わず買ってきた下着を取り落す。

 な、な、な、ななな、なななな、ななななな、なななななななななななななななな!!

 なぜにこうなった!?

 玄関で靴を脱ぎ、リビングの扉を開けたところで問題が発生した。


「ら、ラメンタさん?」

「ぅぅぅ……どこ、いってたの……?…………わ、わたし、…………うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」


 いきなり泣き出しちゃったよラメンタさん。あと、それと同時に僕に抱き着いてきたわけですがどうしようどうしようどうすればいいの!?


「ご、ごめん……?その……ど、どうしたの?」

「うぅ、……ぅぅ」ぐしゅぐしゅ。


 女の子に抱き着かれた経験なんて勿論ありませんよ?ええ。

 なので私の頭は今現在大変混乱しておられるわけです。

 ただ抱き着かれるならともかく、ラメンタの格好がヤバいわけですね、はい。

 Yシャツですよ!Yシャツ!!

 僕の!!

 ラメンタのたわわなソレが僕の顔にあたっているわけですね、はい。身長小っちゃくてよかった!!

 じゃなくて、その、ね?いや、うん、なんというか、ね?下着、ね?洗濯機、だよね?うん?Yシャツの下?何もないわけだよね?当然だよね?要するにだね?


 ノーブラなんだね?


 うん?そうだね?当たってるわけだね?顔にね?たわわなソレとその中心部に位置してるんじゃないかと思われる突起がね?リア充は死ねばいいのにね?簡単に死ねとか言っちゃだめだね?


 お、落ち着こう。

 まずは泣いてる理由を聞きださねばならぬ!


「よしよし、泣かない泣かない。………その、ちょっと苦しい、かも」窒息しちゃう。

「んぁ……ごめん」


 そう言って顔からたわわさんが遠ざかる。

 ちょっと残念。


「その……ごめん、なんでラメンタさんが泣いてたのか、わからないんだ」


 ここは正直に言ったほうがいいだろう。そう、判断した。

 いや、まぁ、しかし。顔からたわわさんが遠ざかって視界が確保されたわけなんだけれど、これはこれでヤバいかもしれない。

 前述のとおり、Yシャツなのだ。下?……そういえば下はどうしたんだろう?

 期待と不安を胸にたわわさんから目線を下げると……うん、僕のパンツだね。トランクス。

 宝物が一つ増えたよ!!

 ラメンタは上にYシャツ、下に僕のトランクスという格好であった。

 当然のことながら、エロい。

 皆さんにも想像してもらえばわかると思うが、僕の身長は大体155センチくらいなのであえる。それに加え、ラメンタは165センチくらい。

 体格差が結構あるのである。

 つまり、その、たわわさんが大きいためにYシャツのボタンはいつ弾けてもおかしくないくらいの状態で、加えてノーブラなのである。

 もう、お分かりいただけただろうか?

 そう、突起が見えるわけである!!

 神様の飽くなき努力と、叡智によって生み出された女体の神秘、に加えてラメンタの開発者の素晴らしい仕事ぶりがうかがえるものだった。

 ヤバいです。

 綺麗な突起ですね、ラメンタさん。

 うん。

 もう、死んでもいいかな。眼福満腹。

 さて、話を戻そう。

 肝心の泣いていた理由をまだ聞いていない。

 たわわさんに持っていかれそうになる視線を無理やりラメンタの顔に戻して、再度問う。


「僕、何か、マズイことしちゃった……のかな?」

「……その、三沢さんが……どこかいっちゃったっておもって……」ぐす。ずず。


 う~ん、なんだか要領を得ない解答だな……。

 どこかに行ってたのは事実だけど……たったそれだけの理由で普通、泣いちゃうか?

 もう少し踏み込んで聞いてみようか?


「僕は……その、ラメンタさんの下着がないことに気が付いて、コンビニにちょっと行ってただけなんだけど…」

「…そっか……ごめんなさい……」

「え!?いやいや、謝ることないよ?僕が何か悪いことしちゃってたんだよね?」

「その……てっきり、わたしのことなんか放っておいて、どっかに行っちゃったのかな……って。わたしみたいなのにはなしかけてくれたひと、三沢さんが初めてだったから……それに、一緒におはなししてて楽しかったの……だから、また、ひとりぼっちに戻るのかなって……そう考えたら、すごくかなしくて」


 そうか、そういうことか。

 僕がてっきりラメンタを放置して逃げるなりなんなりしちゃったのかと思ってしまったと。

 一人ぼっちの寂しさはつい最近、身を持って知ったばかりだ。

 だからなのか、無意識に。


「そっか。僕はラメンタさんにもう近づかないでって言われるまではずっと友達でいるつもりだよ。だから、そんな風にラメンタさんを置いてどこかへに逃げたりはしないよ。僕も一人で、今日ラメンタさんから元気をたくさんもらったわけだから。ラメンタさんが僕を必要としてくれる限り、傍にいるよ」


 ものっそ恥ずい。

 でも、大事なことだから。

 きちんと言葉で伝えないと。


「あと、いくら入浴中だったからって声をかけないでコンビニに行っちゃったことは謝るよ。ごめんなさいでした。次からは気を付けます」

「ん……わたしの方こそ取り乱しちゃってごめんね。三沢さんがそんなことするわけないもんね」


 そう言ってまだ潤んだままの瞳で微笑んだ。

 

 見とれた。


 それは、たわわさんよりも僕の視線を惹きつけるものがあった。


 どうしたら、そんな風に笑えるんだろうか?

 

 まるで―――女神様のような、そんな慈悲深い笑顔。


 に、見えた気がする。あくまで見えた気がするだけです。はい。


「ところで……ごめん、下着はとりあえずこれを着てくれないかな?」


 目のやり場に困っちゃうわけですね。

 指摘すると、ラメンタが今自分がどんな格好をしているのかようやく理解できたらしく、顔を赤らめた。

 なんでYシャツと僕のトランクス着てたんだろうね?

 トランクスは苦渋の決断だとしても、上はもうちょっとだぼっとしたようなジャージとかが転がってたと思うんですけどね?

 むやみに聞くまい。



次話は4/30 19時頃に公開する予定です。

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