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公衆電話な女の子。  作者: 夕凪
第1章
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第9話

 お風呂を出た。


「う~、ふらふらする……」


 電気の消えたリビングの扉を開ける。

 キッチンの方に目をやるが、ラメンタの姿は見えない。

 どこ行ったんだ…?

 そう思ってぐるっと視線をまわすと、いた。

 リビングの庭側に面したちょっとした縁側のような場所に、窓を開けて月明かりを浴びてラメンタが腰かけていた。

 そよそよとまだ夜は少し肌寒い風が入ってくる。

 その風と一緒に、ラメンタの綺麗な金髪が月光を反射してきらきらと輝いていた。

 のぼせた僕には気持ちのいい風だったけど…。


「ラメンタさん?湯冷めしちゃうよ?」

「ん……出てきたんだね。……星をね、みてたんだ。」

「星?」


 そこまで都会と言うわけじゃないが、そこまでの田舎でもない町だ。

 星なんて見えるだろうか?

 ラメンタの隣まで歩いていって隣に座る。

 星……?

 まぁ、見えないこともないけど…。


「月明かりがない方が星はよく見えるらしいね」


 理科の先生が言ってた気がする。小学校の。


「うん、知ってる」


 知ってたのか。


「きょうは…色んなことがあったな、って。きのうまでは想像つかなかったもん」

「僕はここ最近想像つかないことだらけだよ」

「そっか……」


 改めてラメンタに顔を向ける。

 星を見上げるその横顔は、優しそうな表情で、何でも包んでくれるかのような抱擁力を内に秘めていた。

 それを見ていると、すごく落ち着く。やっぱり。

 目の前で家族が殺されてから、ずっと泣かなかった。

 泣いたら、それが現実であることを認めてしまうような気がして。

 だけど、そろそろ限界だったっぽい。


「…………………っぐ、………ぅぅ……………」


 

 いもうとを、みごろしにした。


 気絶なんて、しなければ。


 警察に急いで通報でもなんでもしていれば。


 助かったかもしれないのに。


 なのに、なのに。


 ラメンタは何でも許してくれるようなそんな顔で。


 ぽんぽんと、僕の肩を撫でてくれた。


 視界がぼやける。


 下を向いて、ラメンタの視線から逃れた。



           †



 落ち着いてきたころ、ようやく顔を上げる。


「ごめん……」

「優陽くんは、わるくないよ」

「!!」

「わるいのは………………」


 そこまで言って、抱き寄せられる。

 驚いて思わず身を固める。


 すると、すーすーといった規則的な息遣いが聞こえてきた。


 どうやらラメンタは寝てしまったようだ。

 

 僕はしばらく、ラメンタの温もりに包まれていた。



           †



 と、ちょっといい感じ風に締めようと思ったけど、無理でした。

 いや、だってさ、抱きつかれた状態なわけですよ?

 今まで妹以外に抱きついてくる女子なんていなかったし。

 妹なんて女性という認識ないし。身内だから。

 ラメンタは抱き枕ないと寝れない系?

 ほんのりと漂てくるのはシャンプーの香り。

 おそらくは、妹が使っていたやつ。

 妹が使ってる時にはこんなにドキドキしなかったのに、不思議なものである。

 さて、どうしようか。

 お風呂でラメンタを泊める泊めないで悶々と悩んだけれど。

 ラメンタが寝てしまったわけだから仕方ない。

 家に、泊めよう――そう、決意した。

 早速実行に移そう。


 ものすごくいとおしかったけれど、ラメンタを起こさないようにそっと抜け出してから、態勢を整える。

 ラメンタの足に片方の腕を通してもう片方は背中にまわす。

 いわゆるお姫様だっこ。

 実際にしてみて分かったのは、ラメンタの顔が思いのほか近くて心臓が早鐘を打ち鳴らし、穴が開くんじゃないかと思ったほどだ。

 なるべく顔を見ないようにしつつ客室に運ぶ。

 我が家にはお客さん用の部屋が一階にあるのだ。

 そっとベッドに寝かせる。

 普段から鍛えてるせいもあってか、ラメンタはさほど重く感じなかった。

 掛布団を軽く掛けてやる。



「ふぅ……」



 任務終了。

 ホッとしたせいもあって、すぐに眠気がやってきた。

 ここ最近、ほとんど眠れていなかったからかな?

 部屋に戻るのも億劫に感じてラメンタが寝ているベッドのそばに腰を下ろして、眠りについた。



続きをご希望の方はコメント等でご連絡ください。ご希望等ございませんでしたら、この作品は第9話を以て打ち切りとさせていただきます。

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