俺の好きな色
世界は様々な色で溢れている。
「その中でも、この色が大好きなの」
そう言って君は色鉛筆を取って、白い紙の上に線を書いた。
俺もその色が好きだったので素っ気ない振りで同意したけど、君と同じ物が好きと言うだけで、鼓動が速まった。
そしてある考えが浮かんだ。 かなり恥ずかしいが、これなら告白できるかもしれない。
「貸して」
そう言って俺は君の手から色鉛筆を取ると、さっき書いた線に繋げる様にハートマークを書いた。
「な、何でハート書いたの?」
ちょっと焦った君の声。
あぁ、引かれちゃったかも? やっぱりやらなきゃ良かった。
後悔したが、ここまで来たら言ってしまおう。
「だって好きだから」
頑張ってキメ顔をしてみたけど、
「綺麗な色だよね」
と君は可愛らしい笑顔で言った。
この時点で一気に力が抜けた。
「いや、色じゃなくて…」
【君が好きなんだ】
と言いたかったのに、やっぱり勇気が出なくて言えたかった。
恥ずかしさの余り目を逸らすと、暫くしてから、
「私も、好きだよ」
とても小さな声がした。
…これは夢なのだろうか?