誰もが持ってる魔法の悲しい使い方。
人一倍、体力がなく、人一倍、精神力も脆い私だけれど、攻撃性は割と高い。
殴る蹴るなどの実戦ではない。
もしそんなことをしたら、私はものの数秒で床に倒れ伏す。
返り討ちに合うのは目に見えている結果だ。
私の武器は口。すなわち言葉である。
言葉には言霊という力が宿り、人を簡単に傷つけることが出来る。
それは誰もが使える魔法。誰もが紡ぎだせる呪文。
その傷は目に見えず、傍目からではどんなに酷い傷でも気付かれない。
他人がその痛みを理解することは出来ず、治療することも困難だ。
人一倍、臆病で弱い私は、
『自分を擁護する』呪文と『誰かを傷つける』呪文を持っている。
その呪文は事実を真実に塗り替えることが出来る。
例えば私が『誰かを傷つける』呪文を唱え、加害者となる。
けれど自分がどうしてこんなことをしたのか、
私が『自分を擁護する』呪文を唱え続ければ、最終的には私が被害者で守られる立場に立てる。
そうして私の呪文に傷ついた相手は、
気の毒なことに、『悪』というレッテルを貼られるのだ。
なんて最低な私。
事実を真実で塗りつぶしては、怖いものから逃げる弱い私。
けれど、これが私が身に付けてしまった処世術。
これが私の生き方。
…あぁ、私はなんて悲しい生き物なんだろう。
まだまだ私生活は落ち着きを取り戻せないまま、
ふいに開いたひと休みの時間。
連載中の話を書きたいとも思ったけれど、
頭が回らず、話の方向性もなんだか暗い方に…。
でも、せっかく時間が出来たので短編でUPさせていただきました。
ここまで読んでくださりありがとうございました。