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運のいい男

作者: じゃ権三郎

 男は非常に運が良いことで有名であった。じゃんけんをしても、トランプゲームに興じても、ランダムな事象の絡む事柄においては、彼はその実力にどれほどの差異があろうとも、尽くを運のみで覆してしまうほどであった。これまで特別努力をしてきたというわけではないのであるが、また自ら金を稼ごうとしたわけでもないのに、男の手元には巨額の金が集まってくるのであった。

 金の力か運の力か、男は女から人気で、常に隣には綺麗な女がいるのであったが、色恋に興味がないことは男の人生における唯一の不幸であるといえよう。

 

 (また女に言い寄られた。皆は私のことを世界一運のいい男などと称するが、そんなことはない。こうして何度も女に言い寄られるし、面倒だからと根負けしても結局いいことにはならない。特に努力をしてきたわけでも誰かのためにと働きかけてきたわけでもないから人に慕われることなどないし、寄ってくるのは金に目のくらんだ女だけだ。運の良さだって皆は知らないだろうが高頻度で事故に遭いかけることを加味すれば対して優れたものではない、ただ金に困っていない無気力な無職の男なのだ。)


 男はまた、言い寄ってきた女と男にとっての何度目かの結婚をすることにした。きれいな漆黒の長髪の女で、皆が男を羨んだ。女は男を大変愛しており、女は若いながらも十分にキャリアを積んでおり、男の経済力などはなから気にしておらず、ただ男のために人生をささげることを誓った。

 男はただいつもと変わらぬ無気力で自堕落な生活をしていた、既婚者である間は、いつもと違って女に言い寄られることもないので、男にとっても結婚は一応のメリットがある選択なのだ。そんなある日、女から今度の休日に二人で出かけようと提案があった。女は男と二人で過ごす時間がたまらなく好きであった。二人で歩き、二人で食事をし、二人でただ座っているだけでも幸せであったのだ。

 次の休日、男はまたしても事故に遭いかけた。その事故で男を愛していた女は亡くなり、女が自身にかけた多額の保険金が男の手元にわたった。

 慣れた様子で女の死亡に関する手続きを済ませた男美女に囲まれながらはつぶやく。

「金には困らないんだけどな、、、」

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