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正義の実現者になりたくて  作者: 藤本悠
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第一話【血と汗と鉄と剣と精霊】

何とか一話書き上げました。

まだ書きたかったのですが、一話にこれ以上詰め込むのは情報過多かと思い、次の話に書くことにしました。

それは、誰かの悪意であった。

それは、誰かの悲しみであった。

それは、誰かの願いであった。

少年は、正義の味方を志した。

弱きを助け、強きを挫く正義の実現者に憧れた。

その答えは、今出された。

「……脆いな」

飛び掛かってくる兵士の剣を掴み、そのまま引き寄せて腹を貫き、投げる。

腰の剣は抜かず、ただ体術のみで全ての兵士を返り討ちにする。

「さて」

まだ剣を支えに立つエルフを死体の山の上から眺めながら。

「心が屈しておきながら未だ立つか。―――よもやまだ戦う気ではあるまい」

その赤い瞳には、何の感慨もなく。

ただ、己に屈した少女が立ち上がった事に少しの興味を覚えていた。

「契約か取引か……私に何を望む」

「ふむ。実はな、ちょうど配下を所望していたところだ。お前の願いを一つ叶えてやろう。その代わりに、契約に反しない限り俺の剣として仕えよ」

受け入れるなら、見逃してやっても良い。

「その契約、結ぼう。我が剣は汝の元に、汝の命運は我が手に」

ほう、とその目に新たな感情が浮かぶ。

「我が命運は汝の手に、汝の剣は我が元に」

「「《契約(ゲッシュ)》」」

少年は魔王に。

正義は虚構に。

あらゆる因果の収束により、この地に魔王が目覚めた。

「我が財宝の一つだ、受け取るが良い」

空間から引きずり出した美しい刀にて騎士の叙勲を済ませ、エルフに渡す。

「ありがたく頂戴いたします。()()ラウンズガーデン、ゼロ様に忠誠を捧げましょう」



***六年前***



朝。

正確には午前6時ちょっと前。

雪解けはしていると言えどもノクター公爵領の4月はまだまだ冷える。

少し身震いしながら、訓練用の木剣(ぼっけん)を脇に抱えて裏庭の方へ走る。


「姉さん!」


「遅い」


いや起こされてから最高速で来たんですけど……という僕の嘆願は風に流されて彼女の耳には届かなかったようだ。

どの道姉さんを怒らせるのは得策じゃない。


「うん、次からはもっと早く動くよ」


「は?私より早く起きてどうするの?」


……。

毎度の事だしもうこれも一種の歪んだ愛情表現なのだと諦めてはいるが、正解ないじゃんこれ。

まあ姉さんの理不尽(こういうの)は今に始まった事じゃないし気にしててもしょうがないか。

「じゃあ始めよっか、姉さん」

「アンタが仕切ってんじゃないわよ」

始まりの合図もなしに、木剣で殴りかかってくる姉さん。

まあもう慣れたので、特に何か言うこともなくそのまま打ち合いを始める僕ら。

自前の筋力自体は僕が上だが、姉さんと違い僕は魔力が使えないので身体強化(フィジカルブースト)込みなら姉さんが上だ。

だから僕は毎回、必然的に受け太刀になるのだが。

「……ちょっと、大人げなくない?魔力なしの僕相手に身体強化まで使って勝ちたい訳?姉さんの腕なら魔力使わなくても最終的には勝つでしょ」

「あら、そんなの簡単な理由じゃない。―――アンタを徹底的に虐めたいからよ」

……どうやら手加減は期待しない方が良さそうだ。

引きつった笑顔を浮かべながら、僕は姉さんの剣と切り結んだ。


***


「あ痛たたた……」


結局姉さんから一本も取れず、逆に全身ボコボコにされた。

回復魔術が無ければ全治1ヶ月にはなっている。

「はい、大人しくして……」

姉さんが回復魔術をかけてくれる。

この時だけは優しいんだよな……。

「まったく、いつまで経っても弱っちいわねアンタは」

前言撤回、姉さんは常に辛口だ。

お互い難儀な姉弟を持ったね、と内心ぼやいていると

「……弱っちいんだから、アンタは工房で鉄いじりでもしてなさいよね。すぐに死んじゃうんだから」

「……うん」

そうだ。

僕の姉さんは、弱っちい僕の事がとても嫌いで、腹立たしくて、情けなくて……愛しているんだ。どこかで死んでしまうくらいなら自分の手で殺してしまいたいくらいに。

もう何か考えるのはやめた。

何だか、それ以上考えると良くない気がした。

姉さんの治療が終わるまで、僕は無心でいるようつとめた。


***


僕はナギーニャ・ヴィ・ノクター。

皆にはナギって呼ばれている。

先ほど姉と呼ばれていたのは、僕の双子の姉フレアマリー・ヴィ・ノクター。

僕たち姉弟は、現在ノクター公爵家の養子……という形で色々とお世話になっている。

僕と姉さんの母親は、ここの公爵の妹だったらしい。

僕たちを産んでから幾ばくも経たずに、母さんは死んだ……らしい。

僕たちが知る由もないので、これらは後になって聞かされた事だ。

教会の軒先に、手紙と一緒に捨てられていた僕らを公爵が引き取ってくれた。

子宝に恵まれなかったから、というのも大きいんだろうけど。

まあでも?僕としては大変結構な事だ。期待されているのは才能に満ち溢れた姉さんだから、僕はやり過ぎない程度に好き勝手やっていれば良い。

姉さんは僕の事を何だかんだ愛しているから、余程の事をしなければ叔父さんが僕を追い出したりしないよう働きかけてはくれるはずだ。……多分、僕の考えが的外れじゃなければ。

ちなみに、僕には魔力は無いっぽい。

日常生活に使える程度はあるけど、まああるとちょっと便利ってくらいだ。実際無いに等しい。

だから、僕は最初から華やかな騎士や魔剣士の道は諦めて武器鍛冶師を目指すことにした。幸い、公爵領の中に細工師兼鍛治師が工房を構えていて、そこで下働きや仕上げを手伝わせてもらっている。

……それと並行して、僕の密かなる夢のための修練も行っている。

最も、魔力が使えないから頭打ちに近いんだけど……。

「……じゃあ、行ってくるから。大人しくしてなさいよ」

「え?ああうん、行ってらっしゃい。やだなぁ、僕はいつも大人しくしてるじゃないか」

「チッ」

露骨に舌打ちされた。

まあ確かに限りなく嘘に近い言い訳ではある。

姉さんの邪魔にならない程度に好き放題しているのは確かなので、今回ばかりは自重しておこう。

いつにもまして気が立っているのだ、それぐらいの配慮はしてあげないとね。

とりあえず、ここにいると邪魔だろうし工房に行こー。

「ナギ様、どちらへ……」

「工房。日が暮れるまでには帰るから!」

何か文句を言われる前に、僕は屋敷を飛び出した。


***


「それで抜け出してきたって訳か、(リン)

「いやあ、早くガト爺に会いたくて」

感心しねぇな、と僕は眼前の筋骨隆々の好好爺に諭された。

その筋肉なら王都の騎士にも負けないんじゃないかと思うほどに逞しいこの人が、ガトラム・アームストロング。ここの工房長にして、僕の鍛治の師匠だ。

ちなみに、リンってのはこの工房での僕の名前だ。

ガト爺曰く、「本気(マジ)でやる気なら、屋号の一つも持っとかんかい」とのこと。

「まあ良いでしょ、それだけ手伝いに来たかったって事で」

「阿呆、儂の目はごまかせんぞ。お前さん、極力家に自分の場所を作らんようにしとるな?()()は分からんが、なんもかんもから逃げとる」

……その分、鍛冶には全力で取り組んどるんだから性質(タチ)が悪い。

「ま、お前の人生だ。あんまり口うるさくは言わねえがよ」

気には食わねえがな、とぼやきながら、ガト爺は「んなことより仕事だ仕事」と話しを切り上げた。

……ま、いっか。

僕も、それ以上は深く考えずにガト爺の後を追った。


***


「―――ふう、これで全部?」

「ああ、今入ってる分はな。お前さん、今日はもう帰ったらどうだ。今からならまだ日は暮れねえだろ」

「あ、そうだね。そろそろ帰るよ」

鋏や鎚と言った道具を片付け、お茶でも飲んで帰るかとお茶の用意をしていると

「おや、来てたのか」

「リンガルさん、帰ってたんだ」

ガト爺に負けず劣らずのごつい男が工房に入ってきた。

彼はリンガル・アームストロング。ガト爺の弟だ。

行商人をしていて、こうしてたまに帰ってくると工房に顔を出しに来てくれる。

「おお、リンガル!来たか」

「おう、兄者。山越えにちっとばっか時間を喰ったが、こうして帰って来たぜ」

元気そうだな、兄者こそ壮健そうで何よりだ、と背中を叩き合いながら再会の喜びを分かち合う兄弟二人。

……いいなァ。

リンガルさんの分も淹れるか、と三人分の茶器を用意する。

「いやあ、リンもデカくなったなあ。前見た時より二回りは大きくなってる」

「ったく、ガキってのはすぐデカくなるからなあ。ま、そろそろ作品を打たせてもいいぐらいにはなってきたな」

お、それは良い事を聞いた。

今度自分用の実剣が欲しかったんだよね。

「リンガルさん、王都の方まで行ったんでしょ?何か気になる事とか聞かなかった?」

「気になる事ォ?そうだな……話半分に聞いてたが、この領内に精霊がいるって噂ァ聞いたな。まあ、いたからなんだって話だがな」

精霊……本当にいればだが、上手くいけば修行に進展があるかも……?

「リンガルさん、その精霊が領内のどこにいるか聞いた?」

「あ?えーとな……ウガル山の泉……だったか?つーたかて、泉なんてなかったと思うんだが……」

「ありがとリンガルさん!」

それだけ分かれば十分だ。

僕はお茶を飲み干して工房を走り去っていった。

「あんの莫迦……」

「ははっ、良いじゃないか。それぐらいの夢は見ても」

「……良かねえんだよ」

「?」

首を傾げるリンガルに、ガトラムはぶすっとしながら話した。

「あのバカガキはいつもつらっとしてやがるが、その実あいつが一番焦ってやがる。どんだけ身体鍛えようが、技と魔力で上回られ、そんで自分に魔力は使えない。それじゃあいつがなりてえモノには絶対届かねえんだ。だから可能性があんなら何にでも手を出しやがる」

十歳の態度じゃねえよ、と吐き捨てた。


***


「ハッ、ハッ、ハッ……」

僕は、ひたすら走った。

ウガル山は、侯爵邸の後ろ側にそびえている。

屋敷からは目と鼻の先である。

そして、肝心の泉だが僕には心当たりがある。

屋敷の地下には、ウガル山の地下洞窟につながる扉―――正確には『大門』があるのだ。

僕は、そこに一度こっそり入った事がある。その奥に草花が生い茂り、向こう岸が見渡せないほど広い湖があったのを見た。

リンガルさんの言う通り、ウガル山に泉など見たことがない。

―――泉が地上に無いのだとしたら?

地下にあるのではないか。

まあ、最悪まったくの見当違いなら他の方法を探すまでだ。

とりあえず、今はこっそり地下に降りる事が最優先だ。

「さて、どうしたものか……」

当然、扉に繋がる階段は厳重に封鎖されており、僕がこっそり入れる場所ではない。

……ならば。

「ちょっと危ないけど、こっちから入るか」

迷路のようになっているが、山のふもとに洞窟の入り口があるのだ。

もっとも、マッピングされておらず中がどうなっているのかも分からないため入る人間はまずいないが。

でもまあ、やりようは色々あるよね。

糸を垂らしながら進む。

光源を角に置きながら進む。

そして、それを逐一記録する。

五歳から始め、五年でだいたい八割をマッピングした。

効率は酷いモノだったが、これも修行の一つである。

だいたいどこに扉があるのかは屋敷の位置と照らし合わせて分かっている。

あとは、そこを基準点に記憶を辿れば良い。

安全対策もしつつ、進むこと一時間ほど。

泉というにはいささか豪勢な湖に、五年ぶりに辿り着いた。

「いやー、でっかいな相変わらず」

ま、大きさが変わる訳は無いのだから当然だけども。

えーっと、精霊にはどうやって会えば……あ

「どうすれば会えるのか聞いてこなかった……」

しまった、僕としたことが失敗した。

うーん、でも行き方はこれで完璧に覚えたからまた今度試すか……

「お?」

帰ろうと踵を返したその時、背中に光を感じ振り返ると、泉の上に光が灯っていた。

まるで僕を引き留めるように瞬いているそれに興味を覚えて、僕はその瞬きに近づき、指で触れた。当然の様に水面を歩いていたが、まったく気付いてはいなかった。

瞬間。

不可思議な現象が起きた。

上下が逆さまになり、()()()()()

どぷんっと沼にでも落ちたかのような音と共に、湖に落ちた僕は、気付くと浅い泉に座り込んでいた。

周りは草木に覆われ、鮮やかな花々が地面を埋め尽くしている。

「ここは……?」

妖精にでも化かされたか。

いやだが、それにしては……

「静か過ぎる」

普通、妖精はもっと騒がしい。

となると、やはりここに呼んだのは妖精ではなく―――

「わ、わあ!本当に来た!」

―――精霊のようだ。それもかなり高位の。

明るいエメラルドの髪、輝く金の瞳。

白いドレスがよく似合う、美しい少女がひょこっと出てきた。

「君が……僕を呼んだのか?」

少し放心しかけながら、尋ねた。

「うん、そうだよ。精霊を探していたみたいだから、招待しちゃった」

よし。

どうやら友好的な精霊の様だ。

これでお前が気に食わないからここに引きずり込んで帰れなくしてやったとか言われたらどうしようかと思った。

精霊も性格や方針はそれぞれだから、そういうのもいるんだよね。

「あー、僕は……」

ちょっとどっちにするか悩んだが、

(リン)。僕はリンって言うんだ」

こっちにした。

特に深い理由は無いけど、ハリボテの貴族としての自分よりも、鍛冶師見習いとしての自分として名乗りたかった。

「そっかそっか。リンって言うんだね。私は、アナ。母なる大精霊にして、このアルヴヘイムの守護者なんだよ」

「え?」

「え?」

少し思考が追い付かない。

確かに高位の精霊だとは思ったが、大精霊と来たか。

当たりも当たり、大当たりじゃないか。

いやでも、彼女が力を貸してくれるとも限らないし……

「……あの、ね?その、私って、妖精の母でもあるから、人の心が読めるの」

なんと。

大精霊にそんな力があるとは。初耳だ。

「それで、その……。私の願いを、一つだけ叶えてくれるなら、リンに力を貸しても……良いよ?」

何っ。

く、だがそんな安易に契約を結ぶのはいけないとこれまでの経験則で……

あれ?

何でそんな経験があるんだ?

……まあいっか。

「良いよ、僕に出来ない事であっても出来るように頑張ろう」

「……良いの?」

「勿論。僕は、力が欲しい。その為なら()()()()()()

君の願いを叶えよう。

アナは、それを聞くと顔を綻ばせた。

「ありがとう!じゃあね……」

一拍を開けて。

「私をここから連れ出して欲しいな」

彼女が願ったのは、そんな何でもない事だった。

「私ね、アルヴヘイムから出た事がなくて。だから外を見てみたいなって……」

「よし、じゃあ行こう!帰るのは、この泉からで良いの?」

「え?ああうん、そこに立って。今行くから……」

何か驚いているが、そんなに驚くことかな?僕としては早く帰らないと姉さんの機嫌がよろしくないことになるので早く進めたいのだが……ああいや、協力してもらう側があんまり急かすのも良くないな。

「ごめんごめん、あんまり遅くなると姉さん達が心配するからさ。まあでももう約束の時間からは遅れてるし、ゆっくり行こう」

「本当?じゃあ、色々見たいな!早く行こう行こう!」

ぱちゃぱちゃと水音を立てながら、僕の正面までやってきた。

「何をすれば良い?」

「両手を……こう出して。これをつないで……目を閉じて」

「分かった」

言われた通り、両手を出し、アナの手と重ね軽く握る。

そして、目を閉じた。

「……少し、貰うね」

その言葉と共に、僕の中の僅かな魔力が更に減ったのを感じた。

集約(アセム)……同調(リムク)……開門(オルム)

たった三節で、またあの奇妙な現象が襲ってきた。

言の葉からして、閉じている門を開くといったことをしたのだろう。それに引っ張られて流れた水と一緒に移動した訳だ。

……ともあれ、帰ってきた。

「暗いなあ。松明も消えちゃったし……もっかいつけるか」

松明を握り、

着火(イグル)

と唱えると、数秒後には爛々と火が燃え盛っていた

このぐらいの生活魔術なら、僕でも使える。

「行こうか」

「うん」

今度はだいぶ早く、洞窟を出て少し山を登った。

「色々見所はあるけど、僕のおすすめはここかな」

ウガル山二合目辺りから、眼下に広がる街並みを見下ろす。

修行の合間に何度もこの景色を見て癒されていたので、彼女にも見せてあげたくなって連れてきた。

「……どうかな?」

まあ、もっと違うのが見たかったかもしれないが……

「綺麗……」

「そっか。それは良かった」

どうやら、満足してもらえた様だ。

しかし、これでもうだいぶ遅くなってしまったな。

うーん……

「えーと……君の事は……」

「アナで良いよ、私もリンの事はリンって呼ぶし」

ふむ、確かにそれも道理だ。

「じゃあ、アナ。まだ見て回ってあげたいんだけど、流石にこれ以上遅くなると皆に迷惑をかけちゃうから、また明日にしない?」

―――これは、恐怖だろうか。それとも忌避?単純な敬意ではないはずだ。考えたところで答えは分からない。多分今僕の頭の中はごちゃ混ぜだ。

「うん、良いよ。確かにもう遅いし、家族に迷惑をかけるのは良くないからね。私もちょっと眠いや」

眠そうに欠伸をするアナ。

どうやら、彼女も気付いていなかっただけで眠かった様だ。

眠そうに眼をしばたかせている姿が、少し見た目通りで可愛らしかった。

「じゃ、帰ろうか。あ、でもどう説明しよう」

「それは任せて。私は零体化出来るから、人がいるところでは隠れてるし」

「そっか、なら問題ないね。帰ろうか」

そして、道中他愛もないおしゃべりに花を咲かせながら、僕たちは下山し、屋敷に戻った。

結論から言うと、公爵は怒っていなかった。

ただ、それは何も彼が僕に甘い顔をしているということではなく。

「お か え り な さ い。何か申し開きはあるかしら?」

―――姉さんの怒り様に委縮しているだけだった。

あ、これ死んだわ。

その後、絞られながらもアナの事は隠して山に登っていたと嘘は吐かずに切り抜けた。


いやあ、人との約束は破るもんじゃないなあ、と考えながら僕はベッドに身を投げそれ以上睡魔に抗うことなくぐっすりと眠りについた。


7000字以上あるのをここまで読んでくださり、ありがとうございます。次回もこれくらいのペースで更新したいところです。それでは、また次回お会いしましょう。

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