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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

【真実の愛】を探しに行くと婚約破棄をした男の話

作者: 山田 勝
掲載日:2023/08/22

「イザベラ、話がある」

「・・・何のお話ですか?」


 ササッ


 ・・・私の護衛騎士、アポロが、私を守る為に、前へでたわ。あら、義弟が、後ろから、婚約者をニラミつけている。可愛い。

 私は悪役令嬢の立ち位置の、王女イザベラ、この釣り目の顔と裏腹に、心根が優しいと分って・・私のファンが沢山出来ましたの。


 対して、婚約者は、私のファンから睨まれていますの。何の功績もない。一代限りの大公家の令息では、釣り合いが取れないってね。




 ・・・おい、護衛騎士、俺は婚約者なのに、いつも、俺がイザベラと話すと、身を守るように、前へでる。イザベラを半身で隠し。まるで守るように、イザベラの前に腕を伸ばして、イザベラを隠して・・・

 丸わかりだ。少しは恋心を隠せよ。

 そして、後ろにいる・・側妃腹の義弟君、俺を恨めしそうな顔で見るな。何歳だ。15歳?シスコンで通る年ではないぞ。

 そして、脇にいる奴、誰だ?また、増えている。眼鏡をかけて・・ああ、宰相の息子か。


 俺の婚約者はモテる。


 だから、


「いや、この場でいいや。婚約破棄を宣言する」


 婚約破棄をした。

 おい、眼鏡が、ササッと書類を持って来る。用意がいいな。


「理由をお伺いしても?」


「ああ、真実の愛を探しに行く」


 婚約破棄の契約書を見たら、


「え、賠償金無し。気前がいいな。破棄されたのだぞ」

「ええ、ご心配なく」


 ・・・フフフフフ、ここで、ごねられても嫌だからね。私の婚約者が、遂に、婚約破棄をしたわ。これから、壮絶なざまぁ返しをされるのに、

 さあ、ここで、私を罵倒するのよ。没落の序章よ。


「今まで、世話になったな。イザベラの幸せを願っているぜ!」


 ・・・余裕ぶってなさい。貴方が貴族でいられるのは、私との婚姻するのが、条件よ。


 そして、俺は家に帰ったら、人だかりだ。


「よお、お前達、どうした!」


「「「是非、真実の愛を探す旅に同行させて下さい!」」」


「おい、本当は、お前ら、嫁が欲しいのだろう」


 ・・・こいつらは、下級貴族の三男以下の貴公子だ。婚約者を見つけられなかった。王都では職も困る奴らだ。


「好きにしろ。しかし、自己責任だぞ」


「「「はい!」」」


「母上は、実家の侯爵家に、一緒に来た使用人達と帰し、それ以外の使用人たちには、慰労金と紹介状を渡した。弟妹たちはそれぞれ養子先に入った。

 爺、他にないか?」


「若、よろしいのですか?」

「ああ、どうせ、一代限りの大公家だしな。それに、イザベラは、恐らく、公爵家出身の護衛騎士と結婚するだろう。父上が早くに亡くなり。計画が早まるだけだ」


「・・・そうでございますか。辺境で冒険者をなさるおつもりですね」

「まあ、そんなところだ」


 ☆



「王家から使者が参りました!」

「おう、早いな」


 使者の口上は、

 婚約破棄により。大公家は、消滅。

 家禄は打ち切り。

 私は大公殿下のご子息の地位を喪失。


「まあ、順当だな。謹んでお受けします」

 ・・おかしい。イザベラ様のお話では、この男、怒って、王宮に殴り込みに来るハズだが、至って冷静だ。


「しかしながら、亡き大公殿下の功績に鑑み。男爵位を授けます。辺境、ザクソン村を与えます。そこで、開拓の指揮を執れとのことです」


「はあ、父上が何の功績をあげた?!」


「はい、長年にわたる王宮での文書業務でございます」


「それって、年功序列的な何かだよね!」



 ☆王宮


「お父様、何故でございますか?男爵位を授けるなんて、平民で惨めな生活でも事足りないですわ」


「・・・イザベラ、あのエスコートの近さで、いつも、びっしりくっついているあの護衛騎士は公爵家の三男だそうだな」


「・・・それは関係ありませんわ」


「そうか。なら、我が男爵位を授けたのも関係ないな」


 ・・・見限られたか。イザベラの男関係は絶妙なバランスで成り立っていたのに。



 ☆辺境


 俺は、貴族学園の男やもめを家来にして、辺境に赴いた。

 辺境、山林藪沢、之、宝の山なり。

 普通、黙っていても繁栄するが、寂れているのは理由がある。


 女神教と土着の宗教が混じって、変なBBAが聖女と言って、教会を取り仕切っている。


 女神様は女性だ。だから、女神を信仰する国では、女性が大事に扱われる傾向にあるが、

 ここでは、女性が女性を虐げていた。


「女神様は女性、だから女性は女神様の代りとして、敬うべし」


 だけなら良いが、生活も規制しやがる。


「膝下スカートは禁止!男に媚びて女神様を冒涜する行為だ!」

「女性を容姿でチヤホヤするのは、女神様への冒涜よ!」


 聖女が、女神教の大義名分を持ち出すので、反論しづらい。


 しかし、

 大きな問題は、結婚適齢期の娘を生け贄にしていることだ。


 河辺で、娘達が着飾られて、手を後ろに組まれて、縛られているな。ヒドイ。


「新任の男爵様ですね。この娘たちは、女神様の眷属、河の大精霊様に、お仕えしますわ」


 ・・・ほほ、聖女もどきは、独身のBBA、周りにいる男は・・ツバメだな。他のシスターもどきも、どちらかと言うと、・・・個性的な顔立ちをしている。

 そういうことね。


 河の大精霊って何だよ。


 生け贄の娘たちは可哀想にブルブル震えている。


 だから、俺は策を講じた。



「おい、聖女殿、河の大精霊様に、お仕えする娘たちにしては、・・・ブスだ!俺がもっといい娘を捧げるから、精霊様に、お伝えしてくれないか?」


「・・・分りました。今、河の精霊様に、お伝えします。あ~~~~~~~今、精霊様のお言葉が私の頭の中に届きました。

『それはならん!』とのことです」


「いや、お前が直接行けよ!」


 ドン!バチャ~~ン!


「ヒィ!?」


 と河に蹴っ飛ばした。


 溺れてやがる。


 ☆数時間後


「ほお、まだ、帰って来ないか?次はシスターと男たち、聖女殿を帰すように催促してくれないか?」

「「「ヒィ、やめろ!罰が当たるわ!」」」


 俺はいやがるシスターと男たちを、俺の家来に命じて、縛って河に投げ込ませた。


「儀式では縛って、河に投げ込むのが流儀だよな」

「おお、精霊様に慰労の言葉をかけてもらえ」


 ドン、バシャーーーーン


 うん。これで、ウミは取ったが、娘達はブルブル震えている。


 長い間、綺麗な娘達に嫉妬して、河に投げ込んでいたのだ。ああ、怖い。女の敵は女だな。


 俺は、発展の障害を取り除いた。

 後は、元大公家の肩書きと、男爵の特権で、辺境で、専横をふるうことに決めた。



「ああ、聖女様が河の大精霊様に気に入られて帰ってこないから、儀式は終わり。君たちは帰っていいよ」


「あの、私たちは、今更、村に、帰れませんわ」


「うん。なら、こいつらの嫁候補になってくれないか?いやなら、男爵家で、メイドで雇うぞ。金はないが、三食は保証する。

 あ、メイドになって、それから、愛を育んでくれ。どのみち、メイドだ!」


 そして、BBAの自称女神教会に行ったら、何か乙女が好きそうな建物で大理石が沢山つかってある。大金が眠っていそうだな。


 教会には、まだ、騒ぎをしらないシスターたちと、ツバメたちがいたから、


「はい、ファイヤーボールして、火の精霊様がお呼びだってさ」


「「「ファイヤーボール!」」」


「「「ギャアアアアアアア」」」


 家来達は、貴族学園出身だ。と言うことは、ファイヤーボールは標準装備。

 密集して戦う奴らなら、ファイヤーボール一発で全滅できるぐらいの戦力差がある。


 この辺境では最大武力だな。


 財産を没収した。・・・・結構ため込んでいたな。これで、メイドの給料は払える。


 俺は、四分の一を、母上の実家に、送り後ろ盾になってもらい。

 もう、四分の一を、正統な女神教会に献金。

 四分の一を、男爵家の運営費にし、

 残りの四分の一を、領民に還元した。

 ただ、配るのは良くない。

 肥料を買って安く販売した。土魔法士や回復術士も呼んだ。

 領民を雇い橋や用水路の工事といろいろだ。


 冒険者ギルドを呼んだら、商人も来て、そこそこ、繁盛するようになった。


 ☆数年後


「男爵様、王都から、使者が来ています」


「お、お祖父様からか?叔父上?母上からか?」


「違います」


「ええ、今、子供と遊んでいるから、追い出してくれない?」

「無理ですね。王族からの使者でございます」


「パパ!」

「ソフィ、少し頼むわ」

「エエ、お父様に行ってらっしゃいは?」

「パパ、いってらっしゃいませ」

「おお、行ってくるぜ」

 ・・・幸せだぜ。 しかし、ロクな予感しかしない。いや、貴族は勝手に領地替えや逮捕はできないハズだ。後ろ盾に母上の実家の侯爵家がついているから、なおさらだ。


「ザクソン男爵に朗報でございます。イザベラ様と再婚約を結べます。それに伴い結納金をお願いします」


「断る」


「な、何故!」


「理由、俺は結婚しているからだ。以上」


「・・こちらの事情を聞かれないのですか?」


「興味ないもん」


 断っていたら、大公家時代の爺がやってきた。あれ、


「爺は、隠居していたのじゃなかったの?」


「それが、孫の進学先をチラつかれて・・・」


「ほお、事情を聞こうか?」


 ・・・と言ったが、事情は出入りの商人から大まかなことは聞いている。

 俺が去った後、

 イザベラの逆ハーレムは、崩壊したのだ。


「まず。宰相の三男殿の不行跡が発覚しました・・・婚約者への費用を流用していました」


「ほお、しかし、イザベラは受け取らないだろう?」


「ええ、勝手に、イザベラ様との新居を用意して、イザベラ様用のドレス、宝石などを新居に保管していました。何でも婚約破棄をされて、無実の罪を着せられた令嬢の劇を真に受けていたそうです。優しいヒーローを夢見ていたと・・・」


「あちゃ、それで廃嫡で、宰相との仲が悪くなった」


 それでスキャンダルになった。貴族ってのは、噂が立つだけでも致命的だ。


「あの公爵家の護衛騎士いたじゃん。公爵家はどうしたの?」


「・・・それが、イザベラ様の義弟、次期王を、弑しました」


「病死としか聞いていないな。爺、詳しく」


「義弟が、イザベラ様の寝室に入ろうとしたのを、護衛騎士に咎められ、・・・惨殺されました。

 熊のヌイグルミを抱いて、寂しいと言っていましたが・・・もう、18歳を越えた男子です」


「あちゃ、義弟君は、腹違いの姉弟だから、結婚出来ないのに・・」


 そして、公爵家と王家の争いになり。公爵家は、領地を大幅に減らすことに・・なりました。


「分った。爺、お孫さんの貴族学園の推薦状は、お祖父様にお願いして、書いてもらうわ。だから、安心してよ」


「有難うございます」


 断り続けていたら、遂に、イザベラ本人が来やがった。


「・・・私と婚約をしたくないの?」


「やだよ。俺は真実の愛を見つけたんだ」


「相手は、村長の娘ですわね。離婚しなさい!養育費ぐらい払って差し上げますわ」

「はあ?無理だよ。真実の愛は利害を超えるのだよ」


「じゃあ、認めるわ。その女、二番目でいいわ。大公家は復活、村長の娘との子に継がせればいいわ」


「だから・・」


 俺は事情を話した。


「ソフィは、村長の娘だ。中央貴族の社交なんて無理だ。今、生き生きと男爵夫人として活動しているよ。

 近隣の有力者の奥様方との社交を立派にこなしているし、メイドや使用人を指揮して、男爵家を立派に運営している。

 それを取り上げるのは嫌だよ。

 俺、輝いているソフィを見るのが好きだもの」


「私が王位を継ぐのは、貴方との婚姻が条件なのよ。ねえ。私の体を好きに出来るのよ」


「だ、か、ら、俺は真実の愛の相手を見つけたのよ。誘惑には負けないよ」


「ウウウウウウ、グスン、グスン、なら、私はどうすればいいのよ」


「さあ、イザベラは、人に仕えると本領を発揮するタイプだと思うぞ」


 ここは適当にアドバイスをして帰した。元婚約者への最後の情けかな。


 ☆


「さて、備えるか。俺の代では王位は回ってこないし、なる気もない」


「ソフィ、もし、息子が、大きくなって、王都の貴族学園に行きたいと言ったら、どうする?」


「う~ん。寂しいけど、アドルの意思を尊重するわ」


「ああ、俺の息子だ。ダメなら俺の血、上手く行ったら、ソフィの賢さを受け継いだ証明になるな」

「・・・旦那様」(ポッ)


 ・・・ソフィは賢い。しかし、中央貴族の社交は、また、別物だ。

 魑魅魍魎が住まう社交は経験させたくない。


「しかし、まだ、この子は、俺たちが可愛がって、可愛がりまくるぞ!」

「ええ」


「パパ、ママ、弟か妹、欲しい」


「「ポッ」」

 ・・・息子に頼まれたら仕方ない。ナイス息子よ。


 そして、アドルが8歳になった年に、侯爵家に養子に出し。貴族学園に通わせる準備をさせた。

 辺境の財力に、中央貴族の人脈がつけば、安泰だろう。


 俺の読みだと、このまま王太子は空位だ。今上の陛下は、若い側妃を迎えて、後20年は頑張りたいだろうが、それは無理だ。令嬢は良くて伯爵家出身、次の王の後ろ盾にはなれない。


「陛下は何を考えているのだろうな」


 イザベラはスキャンダルで、王宮予算を減らされ、信用と後ろ盾を失った。

 それに、年を取った。どこかの老貴族の後妻に行くのだろう。

 やるせないが、真実の愛に、犠牲はつきもの。

 俺は助けられない。


 ☆20年後王宮


「謹んで、王位をお受けします」

「おお、アドル殿、ワシはもう疲れた。後は、姫に、王宮を案内させる」


 アドル、28歳、王族の血を引く侯爵家出身、婚約者は、陛下が晩年に作った姫18歳と仲良く王宮を回る。


「グギャーーーーーー、フジ※――――――」


「部屋から、大声が聞こえて来る・・」

「ああ、あれは私の腹違いのお姉様です。気になさらずに、それよりも、こちらに私が育てたお花がありますの」

「おお、是非、見に行く」


 二人は仲良く手をつないで、中庭に向かった。



最後までお読み頂き有難うございました。

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