【真実の愛】を探しに行くと婚約破棄をした男の話
「イザベラ、話がある」
「・・・何のお話ですか?」
ササッ
・・・私の護衛騎士、アポロが、私を守る為に、前へでたわ。あら、義弟が、後ろから、婚約者をニラミつけている。可愛い。
私は悪役令嬢の立ち位置の、王女イザベラ、この釣り目の顔と裏腹に、心根が優しいと分って・・私のファンが沢山出来ましたの。
対して、婚約者は、私のファンから睨まれていますの。何の功績もない。一代限りの大公家の令息では、釣り合いが取れないってね。
・・・おい、護衛騎士、俺は婚約者なのに、いつも、俺がイザベラと話すと、身を守るように、前へでる。イザベラを半身で隠し。まるで守るように、イザベラの前に腕を伸ばして、イザベラを隠して・・・
丸わかりだ。少しは恋心を隠せよ。
そして、後ろにいる・・側妃腹の義弟君、俺を恨めしそうな顔で見るな。何歳だ。15歳?シスコンで通る年ではないぞ。
そして、脇にいる奴、誰だ?また、増えている。眼鏡をかけて・・ああ、宰相の息子か。
俺の婚約者はモテる。
だから、
「いや、この場でいいや。婚約破棄を宣言する」
婚約破棄をした。
おい、眼鏡が、ササッと書類を持って来る。用意がいいな。
「理由をお伺いしても?」
「ああ、真実の愛を探しに行く」
婚約破棄の契約書を見たら、
「え、賠償金無し。気前がいいな。破棄されたのだぞ」
「ええ、ご心配なく」
・・・フフフフフ、ここで、ごねられても嫌だからね。私の婚約者が、遂に、婚約破棄をしたわ。これから、壮絶なざまぁ返しをされるのに、
さあ、ここで、私を罵倒するのよ。没落の序章よ。
「今まで、世話になったな。イザベラの幸せを願っているぜ!」
・・・余裕ぶってなさい。貴方が貴族でいられるのは、私との婚姻するのが、条件よ。
そして、俺は家に帰ったら、人だかりだ。
「よお、お前達、どうした!」
「「「是非、真実の愛を探す旅に同行させて下さい!」」」
「おい、本当は、お前ら、嫁が欲しいのだろう」
・・・こいつらは、下級貴族の三男以下の貴公子だ。婚約者を見つけられなかった。王都では職も困る奴らだ。
「好きにしろ。しかし、自己責任だぞ」
「「「はい!」」」
「母上は、実家の侯爵家に、一緒に来た使用人達と帰し、それ以外の使用人たちには、慰労金と紹介状を渡した。弟妹たちはそれぞれ養子先に入った。
爺、他にないか?」
「若、よろしいのですか?」
「ああ、どうせ、一代限りの大公家だしな。それに、イザベラは、恐らく、公爵家出身の護衛騎士と結婚するだろう。父上が早くに亡くなり。計画が早まるだけだ」
「・・・そうでございますか。辺境で冒険者をなさるおつもりですね」
「まあ、そんなところだ」
☆
「王家から使者が参りました!」
「おう、早いな」
使者の口上は、
婚約破棄により。大公家は、消滅。
家禄は打ち切り。
私は大公殿下のご子息の地位を喪失。
「まあ、順当だな。謹んでお受けします」
・・おかしい。イザベラ様のお話では、この男、怒って、王宮に殴り込みに来るハズだが、至って冷静だ。
「しかしながら、亡き大公殿下の功績に鑑み。男爵位を授けます。辺境、ザクソン村を与えます。そこで、開拓の指揮を執れとのことです」
「はあ、父上が何の功績をあげた?!」
「はい、長年にわたる王宮での文書業務でございます」
「それって、年功序列的な何かだよね!」
☆王宮
「お父様、何故でございますか?男爵位を授けるなんて、平民で惨めな生活でも事足りないですわ」
「・・・イザベラ、あのエスコートの近さで、いつも、びっしりくっついているあの護衛騎士は公爵家の三男だそうだな」
「・・・それは関係ありませんわ」
「そうか。なら、我が男爵位を授けたのも関係ないな」
・・・見限られたか。イザベラの男関係は絶妙なバランスで成り立っていたのに。
☆辺境
俺は、貴族学園の男やもめを家来にして、辺境に赴いた。
辺境、山林藪沢、之、宝の山なり。
普通、黙っていても繁栄するが、寂れているのは理由がある。
女神教と土着の宗教が混じって、変なBBAが聖女と言って、教会を取り仕切っている。
女神様は女性だ。だから、女神を信仰する国では、女性が大事に扱われる傾向にあるが、
ここでは、女性が女性を虐げていた。
「女神様は女性、だから女性は女神様の代りとして、敬うべし」
だけなら良いが、生活も規制しやがる。
「膝下スカートは禁止!男に媚びて女神様を冒涜する行為だ!」
「女性を容姿でチヤホヤするのは、女神様への冒涜よ!」
聖女が、女神教の大義名分を持ち出すので、反論しづらい。
しかし、
大きな問題は、結婚適齢期の娘を生け贄にしていることだ。
河辺で、娘達が着飾られて、手を後ろに組まれて、縛られているな。ヒドイ。
「新任の男爵様ですね。この娘たちは、女神様の眷属、河の大精霊様に、お仕えしますわ」
・・・ほほ、聖女もどきは、独身のBBA、周りにいる男は・・ツバメだな。他のシスターもどきも、どちらかと言うと、・・・個性的な顔立ちをしている。
そういうことね。
河の大精霊って何だよ。
生け贄の娘たちは可哀想にブルブル震えている。
だから、俺は策を講じた。
「おい、聖女殿、河の大精霊様に、お仕えする娘たちにしては、・・・ブスだ!俺がもっといい娘を捧げるから、精霊様に、お伝えしてくれないか?」
「・・・分りました。今、河の精霊様に、お伝えします。あ~~~~~~~今、精霊様のお言葉が私の頭の中に届きました。
『それはならん!』とのことです」
「いや、お前が直接行けよ!」
ドン!バチャ~~ン!
「ヒィ!?」
と河に蹴っ飛ばした。
溺れてやがる。
☆数時間後
「ほお、まだ、帰って来ないか?次はシスターと男たち、聖女殿を帰すように催促してくれないか?」
「「「ヒィ、やめろ!罰が当たるわ!」」」
俺はいやがるシスターと男たちを、俺の家来に命じて、縛って河に投げ込ませた。
「儀式では縛って、河に投げ込むのが流儀だよな」
「おお、精霊様に慰労の言葉をかけてもらえ」
ドン、バシャーーーーン
うん。これで、ウミは取ったが、娘達はブルブル震えている。
長い間、綺麗な娘達に嫉妬して、河に投げ込んでいたのだ。ああ、怖い。女の敵は女だな。
俺は、発展の障害を取り除いた。
後は、元大公家の肩書きと、男爵の特権で、辺境で、専横をふるうことに決めた。
「ああ、聖女様が河の大精霊様に気に入られて帰ってこないから、儀式は終わり。君たちは帰っていいよ」
「あの、私たちは、今更、村に、帰れませんわ」
「うん。なら、こいつらの嫁候補になってくれないか?いやなら、男爵家で、メイドで雇うぞ。金はないが、三食は保証する。
あ、メイドになって、それから、愛を育んでくれ。どのみち、メイドだ!」
そして、BBAの自称女神教会に行ったら、何か乙女が好きそうな建物で大理石が沢山つかってある。大金が眠っていそうだな。
教会には、まだ、騒ぎをしらないシスターたちと、ツバメたちがいたから、
「はい、ファイヤーボールして、火の精霊様がお呼びだってさ」
「「「ファイヤーボール!」」」
「「「ギャアアアアアアア」」」
家来達は、貴族学園出身だ。と言うことは、ファイヤーボールは標準装備。
密集して戦う奴らなら、ファイヤーボール一発で全滅できるぐらいの戦力差がある。
この辺境では最大武力だな。
財産を没収した。・・・・結構ため込んでいたな。これで、メイドの給料は払える。
俺は、四分の一を、母上の実家に、送り後ろ盾になってもらい。
もう、四分の一を、正統な女神教会に献金。
四分の一を、男爵家の運営費にし、
残りの四分の一を、領民に還元した。
ただ、配るのは良くない。
肥料を買って安く販売した。土魔法士や回復術士も呼んだ。
領民を雇い橋や用水路の工事といろいろだ。
冒険者ギルドを呼んだら、商人も来て、そこそこ、繁盛するようになった。
☆数年後
「男爵様、王都から、使者が来ています」
「お、お祖父様からか?叔父上?母上からか?」
「違います」
「ええ、今、子供と遊んでいるから、追い出してくれない?」
「無理ですね。王族からの使者でございます」
「パパ!」
「ソフィ、少し頼むわ」
「エエ、お父様に行ってらっしゃいは?」
「パパ、いってらっしゃいませ」
「おお、行ってくるぜ」
・・・幸せだぜ。 しかし、ロクな予感しかしない。いや、貴族は勝手に領地替えや逮捕はできないハズだ。後ろ盾に母上の実家の侯爵家がついているから、なおさらだ。
「ザクソン男爵に朗報でございます。イザベラ様と再婚約を結べます。それに伴い結納金をお願いします」
「断る」
「な、何故!」
「理由、俺は結婚しているからだ。以上」
「・・こちらの事情を聞かれないのですか?」
「興味ないもん」
断っていたら、大公家時代の爺がやってきた。あれ、
「爺は、隠居していたのじゃなかったの?」
「それが、孫の進学先をチラつかれて・・・」
「ほお、事情を聞こうか?」
・・・と言ったが、事情は出入りの商人から大まかなことは聞いている。
俺が去った後、
イザベラの逆ハーレムは、崩壊したのだ。
「まず。宰相の三男殿の不行跡が発覚しました・・・婚約者への費用を流用していました」
「ほお、しかし、イザベラは受け取らないだろう?」
「ええ、勝手に、イザベラ様との新居を用意して、イザベラ様用のドレス、宝石などを新居に保管していました。何でも婚約破棄をされて、無実の罪を着せられた令嬢の劇を真に受けていたそうです。優しいヒーローを夢見ていたと・・・」
「あちゃ、それで廃嫡で、宰相との仲が悪くなった」
それでスキャンダルになった。貴族ってのは、噂が立つだけでも致命的だ。
「あの公爵家の護衛騎士いたじゃん。公爵家はどうしたの?」
「・・・それが、イザベラ様の義弟、次期王を、弑しました」
「病死としか聞いていないな。爺、詳しく」
「義弟が、イザベラ様の寝室に入ろうとしたのを、護衛騎士に咎められ、・・・惨殺されました。
熊のヌイグルミを抱いて、寂しいと言っていましたが・・・もう、18歳を越えた男子です」
「あちゃ、義弟君は、腹違いの姉弟だから、結婚出来ないのに・・」
そして、公爵家と王家の争いになり。公爵家は、領地を大幅に減らすことに・・なりました。
「分った。爺、お孫さんの貴族学園の推薦状は、お祖父様にお願いして、書いてもらうわ。だから、安心してよ」
「有難うございます」
断り続けていたら、遂に、イザベラ本人が来やがった。
「・・・私と婚約をしたくないの?」
「やだよ。俺は真実の愛を見つけたんだ」
「相手は、村長の娘ですわね。離婚しなさい!養育費ぐらい払って差し上げますわ」
「はあ?無理だよ。真実の愛は利害を超えるのだよ」
「じゃあ、認めるわ。その女、二番目でいいわ。大公家は復活、村長の娘との子に継がせればいいわ」
「だから・・」
俺は事情を話した。
「ソフィは、村長の娘だ。中央貴族の社交なんて無理だ。今、生き生きと男爵夫人として活動しているよ。
近隣の有力者の奥様方との社交を立派にこなしているし、メイドや使用人を指揮して、男爵家を立派に運営している。
それを取り上げるのは嫌だよ。
俺、輝いているソフィを見るのが好きだもの」
「私が王位を継ぐのは、貴方との婚姻が条件なのよ。ねえ。私の体を好きに出来るのよ」
「だ、か、ら、俺は真実の愛の相手を見つけたのよ。誘惑には負けないよ」
「ウウウウウウ、グスン、グスン、なら、私はどうすればいいのよ」
「さあ、イザベラは、人に仕えると本領を発揮するタイプだと思うぞ」
ここは適当にアドバイスをして帰した。元婚約者への最後の情けかな。
☆
「さて、備えるか。俺の代では王位は回ってこないし、なる気もない」
「ソフィ、もし、息子が、大きくなって、王都の貴族学園に行きたいと言ったら、どうする?」
「う~ん。寂しいけど、アドルの意思を尊重するわ」
「ああ、俺の息子だ。ダメなら俺の血、上手く行ったら、ソフィの賢さを受け継いだ証明になるな」
「・・・旦那様」(ポッ)
・・・ソフィは賢い。しかし、中央貴族の社交は、また、別物だ。
魑魅魍魎が住まう社交は経験させたくない。
「しかし、まだ、この子は、俺たちが可愛がって、可愛がりまくるぞ!」
「ええ」
「パパ、ママ、弟か妹、欲しい」
「「ポッ」」
・・・息子に頼まれたら仕方ない。ナイス息子よ。
そして、アドルが8歳になった年に、侯爵家に養子に出し。貴族学園に通わせる準備をさせた。
辺境の財力に、中央貴族の人脈がつけば、安泰だろう。
俺の読みだと、このまま王太子は空位だ。今上の陛下は、若い側妃を迎えて、後20年は頑張りたいだろうが、それは無理だ。令嬢は良くて伯爵家出身、次の王の後ろ盾にはなれない。
「陛下は何を考えているのだろうな」
イザベラはスキャンダルで、王宮予算を減らされ、信用と後ろ盾を失った。
それに、年を取った。どこかの老貴族の後妻に行くのだろう。
やるせないが、真実の愛に、犠牲はつきもの。
俺は助けられない。
☆20年後王宮
「謹んで、王位をお受けします」
「おお、アドル殿、ワシはもう疲れた。後は、姫に、王宮を案内させる」
アドル、28歳、王族の血を引く侯爵家出身、婚約者は、陛下が晩年に作った姫18歳と仲良く王宮を回る。
「グギャーーーーーー、フジ※――――――」
「部屋から、大声が聞こえて来る・・」
「ああ、あれは私の腹違いのお姉様です。気になさらずに、それよりも、こちらに私が育てたお花がありますの」
「おお、是非、見に行く」
二人は仲良く手をつないで、中庭に向かった。
最後までお読み頂き有難うございました。




