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狼の話2

玉緒さん吊りに限っては、もう仕方ないと諦めていた。

初日から、切ろうとして来たのに今さら庇うのもこちらが危ない。

とはいえ、少しは玉緒さん真もあるんだという印象だけは残しておきたい気持ちになって、そういう意見は出しておいたつもりだ。

だが、玉緒さんは話せば話すほど怪しいし、もうここはやっぱり初日から思っていた通り、吊られてくれた方がいいと思って、その日は追放されてもらった。


その日の夜、占い師同士の相互占いを指示されていた。

狼目線では、もう真占い師が悟と真悟だと分かっていた。

つまり、どちらが咲子さんを占っても、絶対に呪殺が出る。

そうなったら、その占い師を真として他を吊り切ってしまおうと考えるだろう。

その時点で、オレは完全グレー。

吊られなくても占われたら絶対に黒が出る状況だ。

和彦が、その夜言った。

「…あの日、美智さんの占い指定先にお前も入ってたのに。」和彦は、後悔していた。「あんなに急いで噛むことなかった。残しておいたら今朝、きっと諒に白が出た。どのみち今朝咲子さんが偽だと分かるんだし、今夜真占い師のどっちかを噛んでも遅くはなかった。早まった。」

同感だったが、もう噛んでしまったのだから仕方がない。

それよりは、呪殺対策だ。

少しでも呪殺が確定しないようにして、確定をさせたくなかった。

だから、咲子さんを噛むことにした。

呪殺が出るのは分かっていた。

咲子さんは、これで消える。あとは、狐位置だがオレ達目線では、オレ達が狼な以上、悟と真悟の占った先は狐ではないのが透けていた。

つまり、残っている人達のうち、正志、海斗は狐ではない。

咲子さんが黒を打った真希さんも違うだろう。

そうなると、もう狐は居ない。

恐らく吊られた亜由美さん、詩子さん辺りに居たのだろうということでまとまっていた。

後は、生き残るだけ。

和彦かオレ、どちらかが生き残るしかないが、その時点でまだ縄は6本も残っていた。


四日目、思った通り咲子さんは呪殺された。

ここは、疑わせなければならないので、真悟が噛み合わせて呪殺を装ったという意見を出した。

村目線では、分からないはずだった。

だが、狩人が咲子さんを守っていたと言い出した。

呪殺を出しているのかいないのか、分かるようにわざとそこを守ったらしい。

しかも、狩人は煌さんだと言う。

あの人なら、それぐらい先回りして考えるだろうと悔しいながらも納得した。

こうなると、狩人偽を追う必要が出て来る。

そうなると、高広が玉緒さんに黒を打っているので、そちらも怪しまねばならなかった。

どうしたら破綻しないか、必死に考えた。

今夜煌さんを吊れないまでも、皆に懸念材料だけは落としておきたい。

共有が強引にグレー詰めを押して来て、反発した海斗、正志、真希さんを上手く使って、占い両偽のルートを考え出し、それを提示してみた。

かなり上手くやったと思うが、正志はどっちつかずの意見に変わり、最終的に吊り先に指定された真希さん、オレ、和彦、海斗が固まるようになった。

二人は村人なんだから、共有のやり方は強引だったと思うぞ。

間違ってはいないが、煌さん真だと押し進めるやり方がヤバい。

結局、グレーからなら咲子さんが真だったら、真希さんが黒なんだからと話し合い、真希さん自身は高広を吊るつもりでいたようだったが、海斗も納得して真希さんに入れていた。

思いの外票が集まって、その日はなんとか吊りを逃れた。

だが、状況は悪いままだった。

煌さんを怪しんでいる以上、噛めば面倒なのが分かってはいたが、それでも狂人で狼が真だと思わせるために噛んだと言えば成り立つ。

何より、オレはその夜真悟の占い指定先になっていた。

黒が出るのが分かっているし、今の共有は煌さんに完全に従ってしまっている。

煌さんが生きている限り面倒なことになるし、ここは煌さんを噛むしか選択肢はなかった。

オレは、和彦に言った。

「…黒を打たれたら、オレは狼COするよ。」和彦は驚いた顔をした。「その上で、なんとか真悟が狐にならないか考えてみる。明日の状況によるけどな。最初はとにかく煌さん狂人という印象にならないか考えて発言しよう。噛まれたから真だというのは狼の思うツボだと。オレが言うと、その辺は信じなさそうだから、お前が言ってくれ。」

和彦は、言った。

「どうせ真悟偽を押すなら別に狼COしなくて良いんじゃないか。村人だで押し通したら。」

オレは、首を振った。

「狼が言うから真実味があるんだよ。狐がまだ残ってるって。狐が狼を吊り押している構図はおかしくないし、狼が狐を吊り押すのもそうだ。とにかく、オレは狼として発言する。そもそも玉緒さんを吊り押してたから、狼ではなかったと思われるかもだろ?そしたら狩人と霊媒は偽だ。吊り縄消費に使えるかもしれない。それで行こう。」

オレ達は、それでまんまと煌さんを襲撃した。

狩人が守ってくれていなかったら、どっちか道連れになってたところだ。

だがその時は、煌さんを噛めると信じて疑わなかった。


次の日、オレは驚いた。

煌さんとオレは同じ階なんだが、煌さんが普通に廊下へ出て来たからだ。

…騙された!

その時、オレはそう思った。

頭の中では、どうやってこの状況を打開すべきか迷った。

朝、皆が話しているのを聞いていても、何も頭に入って来なかった。

煌さんは清が狩人だと言ったが、オレは一度騙されているのだからそれは嘘だ、と思った。

煌さんが、命懸けで守る相手なんて一人しか居ない。

どう考えても祈さんが狩人で、煌さんは万が一噛まれても利になる役職、猫又なのではないかと思った。

つまり、清は共有者。

ヤバかった、とオレは思ったよ。

もし、祈さんが煌さんを守っていなければ、オレか和彦が道連れになっていた。

多分、煌さんは守らせるつもりはなかったように思う。

猫又は、噛まれてなんぼの役職だ。

だが、祈さんは煌さんを犠牲にしたくなかったんだろう。

そこで、オレは考えた。

煌さんならヤバいが、祈さんなら真悟とまとめて怪しむ方法がある。

何しろ、祈さんは真悟からしか白が出ていないのだ。

村人は、煌さん噛みで護衛成功が出たから真だと言っているが、狼のオレがそこを噛んだのではない、と言えば?

狼が狐を告発するのは、何もおかしなことではなかった。

むしろ、そのために狼COしたとしたら皆も納得するはずだった。

オレは、和彦にも話して、真悟を噛んだ、と匂わせた。

それで共有は知りたくて仕方がなくなったはずだ。

思った通り、その日はもう海斗吊りだと言っていた共有が会議を召集し、オレはその場でハッキリと真悟を噛んだと皆に告げた。


村の意見は分かれた。

思った通り混乱している。

オレはどうあっても和彦を生き残らせるために、必死に考えていた。

もう、グレーには人外は居ない、と思わせたかった。

あと5縄。

狐対策を始めれば、高広、祈、真悟と吊らねばならない位置は多岐に渡る。

悟も、真悟に白を出しているので偽の位置になり得た。

とにかく、何でも良いから縄を無駄に消費させたかった。

オレは吊られるが、和彦だけは安全圏に置きたかった。

内心必死の訴えが身を結び、その日は高広が吊られた。

あと4縄だ。

疑いを掛けたのが功を奏して、悟は祈さん、真悟は和彦を占う指定になった。

真悟は和彦に黒を打つだろうが、今の村の空気では確定黒とはならないだろう。

それより、問題は祈さんが護衛成功を出すことだった。

狼は、必ずどこかを噛まねばならないが、今夜はどこを噛むのが一番良いのか…。

和彦は、言った。

「…祈さんを残すのはまずい。ここは、悟が真の世界線でも良いから、とにかく祈さんを噛もう。煌さんもそれで使い物にならなくなるかも知れないしな。悟が呪殺したんだと強引に持って行くしかない。」

だが、オレはそうは行かないと顔をしかめた。

「悟が真だったら、真悟はあって狂人だぞ。また視点整理しなきゃならなくなるじゃないか。和彦は、悟のグレーなんだから吊られるぞ。裕馬か清のどっちかにする方が良いんじゃないか?」

しかし、和彦は首を振った。

「それこそ守っていたら護衛成功して面倒なことになるぞ。それから毎回襲撃先に悩むことになる。ここは、祈さんを噛もう。煌さんがそれで戦闘不能になるのが目的だ。それで行こう。」

オレは、強くそう言う和彦に押されて祈さんを襲撃した。

後の事は、明日考えるしかなかった。



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