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会議

裕馬が祈の部屋を出ると、そこには正志が立っていた。

…もしかしたら、聴こえた…?

裕馬が思っていると、正志は言った。

「…ちょっと寄れよ。話があるんだ。」

裕馬は、正志が狼だったらとドキドキしながらそれを聞いていたが、仕方なく正志について、正志の部屋へと入った。

正志は、部屋へ帰って扉を閉じると、言った。

「…まず、オレは狼じゃねぇ。狐でもねぇ。その上で盗み聞きしたのは先に謝っとく。」

やっぱり聞いていたのか…!

裕馬は思ったが、正志は続けた。

「そもそもオレが人外だったら、お前が出て来るのを知ってるのにここで待ち構えたりしねぇ。さっさと部屋に入って知らねぇふりをする。で、仲間に話す。いちいちお前と話そうなんざ考えねぇよ。で、その上で言うが、お前、大丈夫なのか?煌のやつは祈さんが文字通り命だ。命懸けで守ってやがる。ってぇ事は祈さんが人外だったらあいつは真猫又でも祈さんのために犠牲になるぞ?信じて良いのかよ。そもそも悟も偽なら、祈さんは呪殺もされねぇしな。」

裕馬は、答えた。

「狼は真占い師は絶対に残してると思う。真悟さんには占われてるから、悟さんが白を出したらほんとに白だ。狐でもない。悟さんが狼で、呪殺できないなら黒出して来るだろうし。それから吊ればいいだけだよ。それに、煌さんが噛まれるか噛まれないかでいろいろ見えるじゃないか。」

裕馬は、ため息をついた。

「あのなあ、悟が偽だとしたら多分狂人だが、祈を占えと言われたと狼に言うぞ。狼がそれで聞いて、祈が狩人だと気取ったらどうする。というか、気取るぞ。やめた方がいい。悟が真なのか偽なのかわかってねぇのに。煌が猫又なら噛まれてもらわにゃ。それで祈さんの真贋も透けるんだしよ。狂人なら、狼を犠牲にしようとは思わねぇよ。多分あと2狼だろうに。高広真なら玉緒さん、直樹真なら亜由美さんで落ちてるわけだろ?」

それはそうだが…じゃあ、どうしたらいいんだ。

「じゃあどうしたらいいんだよ。確実に2人外落ちるように高広吊りか?」

正志は、顔をしかめた。

「それじゃあ祈さんが真だった時に煌も縄消費に使わせようと噛んで来ないかもしれない。煌は噛ませなきゃならねぇんだっての。残しても縄消費に使えないと思わせにゃ。というか、そうなるとヤバいからお前を噛んで来るか。他の村人なら説得できるとお前を噛むかも知れねぇ。で、煌は縄にかけようと。」

裕馬は、ウーッと唸った。

「だったら、じゃあどうしろって言うんだって!」

正志は、顔をしかめたままじっと考えた。

「…そうだな、祈さんが護衛成功を出したらいいわけだろ?」正志は言った。「お前を守るって言ってるんだから、仮に祈さんが偽でもお前は今夜噛まれねぇ。となると清が危ないし、煌には必ず裕馬を守ると言わせておいて、祈さんに清を守らせたらどうでぇ?それも、ギリギリになってから部屋に訪ねて言うんだよ。そしたら、仮に狂人でも狼にも言いには行けないだろ。護衛成功が出なくて清が噛まれたら祈さんは狂人だ。狼だったらお手上げだし、狐でも成す術ないだろうし良いんじゃないか?それで行け。」

裕馬は、頷いた。

「だったらそうするけど、正志を信じていいのか?オレから見たら真悟さんの白でしかないから、まだ白なのかも分からないのに。」

正志は、むっつりと言った。

「オレは白だっての。まあ、明日になったら分かる。オレは誰とも通じてねぇ。海斗のことも、わからねぇようになったからこそ一緒に居ねぇんだ。だってよ…あれから冷静になって考えたが、真悟はオレにも白出してるし、狐だったらどっかに黒打っとかないとヤバいんだよな。狼に利用されてるって言っても、そんなに上手い事連携できるか?無理だろうなって思ってて。疑う気持ちは分かる。だが、咲子さんと美智さんが真っていう世界線は、いくら何でも無いような気がするんだ。悟も、偽だったら真悟を噛んでから白出した方が真悟を利用するより簡単だった。だから悟も白く見えてる。あいつら両方共、もしかしたら真なんじゃねぇの?としたら海斗も白になるから、美智さんと諒と和彦が一気に怪しくなるんだけどさ。」

裕馬は、もう何を信じていいか分からなかったが、とりあえず頷いた。

「…とにかく、今夜はグレー、真悟さんのグレーから吊る。そう煌さんと約束したし、煌さんが首尾よく噛まれてくれたら、どこが道連れになるかで狼位置が透けて来るんだ。真悟さんが真だったら、祈さんは白だから良いんだよ。でも、真悟さんが偽だった時が怖いんだ。オレは、悟さんと真悟さんのグレーが重なってる所に投票するつもりだけど。だから、真希さんか諒さんか和彦さん。どっちかが真に賭けてね。」

正志は、頷く。

「グレーからならオレもそうする。海斗はひとまず保留だ。とはいえ、この中にもう人外が残ってなかったらほんと、マズいよな。祈さんが真だったら、高広が真だと思えるし結果を信じてやっていけるんだけどよお。もう、面倒だから早く終わって欲しい。それだけだ。」

正志の気持ちは、分かる。

裕馬だって、もう早く終わって欲しかった。

だが、まだ昼の議論をしなければならない。

皆の中の狼を、騙して何とか煌を噛ませねばならないのだ。


昼食を終えてから、皆を促してリビングへと集合した。

清には、先に話しておいたが、部屋の中で話したことすら聞いてしまう正志の事は、人外だったら面倒だなと顔をしかめていた。

裕馬も同じ気持ちだったが、どうしようもない。

少なくなった12人の前で、裕馬は言った。

「…煌さんを信じる事に決めた。」裕馬は、宣言するように言った。「いろいろ意見はあったが、相方の共有と話し合って煌さんを真狩人だと決めて、進めて行く。オレ達共有が生きている限り、絶対に煌さんは吊らない。生かしてオレ達を守ってもらう。だから、今日は煌さんが勧めるように、グレーから吊る。真悟さんのグレー、真希さん、諒さん、和彦さん、海斗の4人から投票して欲しい。残った所を、悟さんと真悟さんに占ってもらって詰めて行く。この4人から意見を聞いて行くよ。」

すると、海斗が言った。

「…そんなに妄信していいの?煌さんは狂人かもしれないんだよ?そうしたら高広さんだって偽になる。内訳がガラッと変わってしまうんだからな。霊媒師は1人が噛まれて1人が追放されてるんだから、高広さんを吊れば、必ず直樹か高広さんで1人外、つまり、二人の黒結果と合わせて2人外落ちたって村目線分かるんだ。霊媒師から吊り切ってしまうべきだ。それこそグレーは占ってから決めたらいいじゃないか。」

和彦も、頷く。

「そうだ。狩人が偽だった時、玉緒さんに黒を打ってる高広も偽になるんだ。狩人を吊り切らないなら、せめて霊媒を吊り切るべきなんじゃないのか。」

裕馬は、言った。

「でも、オレは煌さんを信じてるから。それを真だと証明できる結果を落としている高広さんの事は、真だと置いてる。そもそも真霊媒師だったら噛まれるかもしれないし。わざわざ吊る必要はないと思う。ここまでグレーから吊られた人の事を考えても、完全グレーの諒さんや、咲子さんから黒を打たれているだけの真希さん辺りから吊って他を占う形にしたい。そもそも昨日玉緒さんを吊った時点で狩人は決め打ちだったと思ってる。真悟さんがそこまで偽だと思うなら、咲子さんが真だったと考えるんだから真希さんに投票したらいいじゃないか。グレー吊りの何がいけないんだ?自分が信じる位置を残して、他から吊ればいいだろう。」

海斗と和彦は、黙る。

諒が、言った。

「…それなら仕方がないが、だったらオレをいつまでもグレーに置いておかないでくれ。」諒は、悟と真悟を見た。「オレが今夜残ったら、どっちかに占わせて欲しい。でないとオレは、いつまで経ってもグレーって言われて発言力が無くなるだろう。共有者が考えてるのは分かるが、それでもオレは煌さんが怪しいと思うし、だからこそ高広が偽だと思っているぞ。黒でも出して来たらそっちが偽だとオレ目線でもハッキリするから意見も落としやすくなる。今のままじゃ、何も見えないから良い意見も出せないんだよ。」

煌が、言った。

「…まあ、言われなくても諒は占い指定筆頭位置だろうが、しかし君は、初日から玉緒さんを怪しんで吊ろうとまでしていたのではなかったか?そして、結果が黒と出たし、私はその対抗の狩人だった。それなのに、君は私をそこまで怪しむ、根拠はなんだ?そもそも、単体精査で私が対抗だと知らない時から怪しんでいたではないか。もしや、玉緒さん黒を知っていたから、自分を漂白するためにあんなに玉緒さんを怪しんでみたりしたのかね?」

言われて、裕馬はハッとした。

言われてみたらそうなのだ。

初日から、即殺しかねない勢いで、玉緒を怪しんでいたのは諒が筆頭だった。

それに和彦も追随していた。

それなのに、対抗として煌が出た途端に怪しむのはどうしてなのだろう。

裕馬は、諒を見た。

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