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どのパターンか

諒が、口を開いた。

「…煌さんが言うのはよく分かった。でも、もし狩人が狐だったら?高広も偽で、そちらも狐ということはないんだろうか。」

煌は、答えた。

「真悟が真でもそこを噛むことで狩人と霊媒に潜む狐を吊らせようと結果を合わせて来たと。だが、もし狩人が狐なら、わざわざそこを守ったと言う必要があっただろうか?破綻する可能性があるのに?そもそも狼は、狐狩人がどこを守ると共有者に言っているかどうやって知ったのだ?君が言うのは、結果ありきの考察であって、その時に何も知らない狼と狐がどう動くかなど、お互いに分かってはいないだろう。分かっているなら狼だ。が、狩人が狼だとして、わざわざ守り先を言っておいて次の日呪殺を確定させようと思うだろうか?こうして疑われた時には、芋づる式に全てが見えて来るのに?」

裕馬は、言った。

「…つまり、煌さんは残っているのは真狩人だと言うのですね。」

煌は、頷いた。

「真でしかあり得ない守り先だからだ。偽なら適当に真悟なり、高広なり守り先を言っておけば、破綻することも疑われることもないだろう。」と、息をついた。「…もう、面倒だから言っておこう。私が狩人だ。」

皆が、息を飲む。

祈が、慌てて煌を見た。

「そんな、まだ早いですわ。内訳を透かすのは。」

だが、煌は言った。

「知っておかねばおかしな考察になるからだ。つまり、私目線では高広は真。咲子さんを守ったのは、こうなることを危惧してのことだった。咲子さんが真なら、生き残るだろうと考えた。やはり真悟が真だった。呪殺でなければ、咲子さんを殺せないのは私は知っている。その上で、今日はグレー吊り、真悟目線のグレーである、真希さん、諒、和彦、海斗から吊って残った中から占う。真悟は必ず守る。あと5縄、7人外のうち、直樹、咲子さん、玉緒さんで最低3人外が落ちているのが分かっているので、あと最大4人外だ。今夜吊り間違ってもまだ間に合う。真悟が白を引いても残りを吊りきれば人外のはずだ。むしろ、白狙いで占わせて、残りを吊りきれば勝つ。残り4グレー5縄、悟まで吊ったとしても縄は足りる。問題は、狐が混じっていた時の吊り順だけだ。」

勝ち確定盤面…?

裕馬は、胸がドキドキするのを感じた。

煌を信じるなら、祈を信じるならそうだ。

狼は、こうなるのを恐れて、真悟が真占い師と確定するのを恐れて、咲子を噛み合わせたと考えたら合点がいく。

だが、本当に祈を信じて良いのだろうか。

煌は、何かを隠しているのではないのか。

何か、祈が偽だという決定的な証拠を握っていて、だからこそ祈を残して自分が犠牲になっても残そうとこんなことを言っているのでは…。

裕馬は、ただただ絶句してそれを聞いていた。


海斗が、口を開いた。

「…確かに、煌さんはとても真っぽいよ。共有が煌さんを残した気持ちもすごく分かる。でも、煌さんが狩人だと聞いてしまったら、素直に聞けないんだ。裕馬は信用してるみたいだけど、オレ達目線じゃ狩人は玉緒さんと煌さんだったわけでしょ?玉緒さんなんか、煌さん相手だったら一溜りもないよ。上手いこと動かされて、高広さんと狼同士で隠れているのかとか、思ってしまうんだ。真悟さん真だって、そうかも知れないけど…それを利用して、全部吊りきらせようとしてるみたいに見えちゃう。確かに煌さんは、悟さんと咲子さんから白をもらってるけど、美智さんとのペアだったらグレーじゃないか。もし悟さん狂人、咲子さん狐でたまたま囲ってたら…?役職者の中の、黒は永遠にわからないまま、真悟さんは噛まれちゃうし、残されるんだ。それが怖いんだよ。やっぱり、だからここは猫又か、共有が仕切って欲しい。もっとしっかり話し合おうよ。」

猫又なんだよ。

裕馬は、そう思いながら海斗の意見を聞いていた。

だが、その確定猫又の煌が言うのに、今さら祈が狩人だとは、ここでは言えない。

明日、恐らく煌が噛まれて猫又だったと知られるまでは…。

だが、煌はニヤリと笑った。

「ほう。私を怪しむのだな。その方が良いかも知れない。狼は、私を噛まなくなるだろうから。私は間違っていない。護衛成功を出せば縄が増えるし、私の真が透けるだろう。それから慌てても仕方がないからな。」と、裕馬を見た。「君が進めるといい。私は、出来ることはやった。これ以上言うことはない。」

どうしたら良いんだ…?

裕馬は、苦悩しながら皆の視線を一身に受けていた。


結局、一旦休憩して昼食後に仕切り直すことにした。

…いったい、どのパターンなんだろう。

裕馬は、リビングの端に一人座って考えた。

どう考えても、真悟は真にしか見えなかった。

ということは、祈は真悟の白なのだから、あって狂人だ。

祈が狂人なら、高広は狼で亜由美も狼、となると残りの狼は、悟かグレーの誰か。

海斗は違うだろう、わざわざ煌偽の意見を出して悩んでいたし、となると誰が真悟の相方なのかで思考は変わって来る。

煌が言うように、真悟が真なのだったら占わせたら良いだけなのだが、どこを占わせたら良いのだろうか。

いや、問題は今夜の吊り先なのだ。

ここは高広を吊りきってお茶を濁すのがいいのか。

だが、もし巧妙に隠された真悟が偽だった場合、全てが一気に崩れてしまう。

内訳だ…内訳さえ分かったら。せめて真悟さんが真なんだって証があれば。

裕馬は、頭を抱えた。

わからない…本当にわからないのだ。

あり得ないと思った内訳すら、あるかもしれないと思えて来る。

そもそもが、あり得るのではと思わせる内訳の、真悟と美智、悟と真悟の占い師ペアでの狩人の真贋がハッキリしないのだ。

祈が狂人であるかもしれない怖さは、どうしてもついて回っていた。

…どちらにしろ、真悟を真と置くよりないのだろうが。

裕馬が苦悩していると、そこへ正志、海斗、諒、和彦が寄って来た。

裕馬が顔を上げると、海斗が言った。

「ちょっといい?」

裕馬は、頷いた。

「ああ、座ってくれ。」

4人は、そこへ座った。

よく見ると、いつも一緒の煌と祈が居ない。

裕馬は、言った。

「…あれ。煌さん達と一緒じゃないのか?」

正志が、頷いた。

「煌が狩人だと知っちまったからな。隠してた役職の中で対抗が居たのは煌だけだ。しかも、相手は玉緒さん。となると、途端に怪しく見えて一緒に居られないんだよ。別行動しようって別れて来た。あいつは、別にどっちでもいいとか言って、嬉しそうに祈さんと二人で上に上がって行ったけどな。まあ、祈さんは確定村人なわけだから、別に大丈夫だろ。」

違う、祈の方が確定してないんだ。

裕馬は思ったが、それを口には出さなかった。

和彦が、言った。

「…なあ、真占い師はまだ残っていると思うか?」

裕馬は、眉を上げた。

諒も、頷いた。

「なんだか、上手いこと狼に誘導されてみんな処理されてしまった気がしてな。その場合、美智さんと咲子さんが真だろう。」

裕馬は、眉を寄せた。

「…つまり、狼は亜由美さん、高広さん、真悟さん、煌さんの中に居て、悟さんは狂人?煌さんは咲子さんの白だから狂人になるよね。真希さんも咲子さんの黒だけど。そうなると咲子さん目線じゃ亜由美さんと真希さんは確定だから、もう一人は高広さんか真悟さんの内の一人だけど、もう一人は何?狐?」

諒は、頷いた。

「考えたんだ。もし、真悟が狐だったらって。もちろん、狼が狐を助ける噛みなんかしないだろう。狼は、悟が狂人なのを知っていた。そして、そこに白を打っている美智さんを狐ではないかと噛んでみた。そしたら噛めた。真だったんだ。となると、残り咲子さんか真悟の内一人が真だ。咲子さんが真希さんに黒打って来た…真だと分かった。真悟は狐だが、利用しようと咲子さんを噛んだ。疑われても狐なんだからいい。村が追い付かなくなってから、真悟を吊らせたら良いだけの事だ。あと5縄ある。狼は亜由美さん以外残っていて、狂人も二人居る。とりあえずあと2縄を村人に使う事ができたら、4人減って8人、パワープレイに持ち込める。真狩人が落ちているので護衛成功は起きない。この村は同数が二回続くと処刑無しになるだろう?勝てなくなる。それを狙ってるんじゃないかって、オレは思い当たったんだ。」

真悟が狐…?

言われてみたら、それもあり得る。

もし煌が…いや、祈が狂人だったなら、それぐらいの作戦は難なく立てそうだった。

そもそも祈は、初日から真希は白いと思うと何度も発言していた。

真希は祈を怪しんでいたが、それも一種のパフォーマンスなのかも知れなかった。

狼から見て、狂人は吊られても吊られなくてもどちらでもいいからだ。

正志が、言った。

「煌ならそれぐらいお手の物だろう?狼に指示を出して動く狂人でも充分あり得る。だから怖いんだ。やたらと真悟真を押して、グレーを吊りきれと言い切る辺り、警戒してもおかしくないだろう。真悟が狐と分かっていれば、パワープレイで吊ってゲームセットまであっさり行ける。咲子さんと美智さん真の世界線では数が合わないと言い切るのも気にかかる。真悟が利用して、それはあり得ないと思わせるための戦略だったらと言われたら、確かにそうだと思っちまったんでぇ。」

煌が…いや、祈が指示をして。

裕馬は、その可能性を考えた。

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