朝の会議
結局、リビングには7時半ごろに全員が集まった。
全員と言っても、もう7人が犠牲になったので、残っているのは悟、真希、高広、正志、真悟、諒、煌、祈、和彦、海斗、清、裕馬の12人しか残っていない。
そして、そのうち役職COしているのが悟、高広、真悟、煌、祈、清、裕馬の7人なので、残りは真希、正志、諒、和彦、海斗5人で、その中の完全グレーは諒だけだった。
つまり、5人のうち4人は誰かの白先であり、誰かと繋がりがあるということだった。
裕馬は、言った。
「今日は咲子さんが犠牲になって12人、相変わらず偶数進行で、占い結果は真悟さんが咲子さん白、悟さんが真悟さん白、霊媒結果は玉緒さん黒で、狩人は昨日から咲子さん守りだと共有者が聞いていた。ってことで、事実だけならこうなったけど、和彦から真悟の呪殺でない場合の意見もあったことから、誰が真占い師だったのか、その占い師の視点からの整理を、煌さんにしてもらう事になった。じゃあ、煌さん宜しくお願いします。」
煌は、面倒そうだったが、口を開いた。
「本当は、全員がそれぐらいは考えて来て欲しかったが仕方がない。全員で確認のためにも、では一から整理して行こう。ちなみに長くなるぞ、6パターンある。」と、和彦を見た。「まず、和彦が懸念していた事態の場合。真悟は偽だが咲子さんは噛めているということになるので真か狂人となるな。まず、咲子さんと美智さんが真の場合。美智さんが悟を占っているので悟は狂人確定、真悟はその狂人に囲われた狼と見るのが妥当だ。知らずに狐を囲ってしまったと考えても良いが、もうここまで生きていたら占い師の狂人は間違いなく狼と通じているだろう。狼が出ていないとしたら、狼から見て狐としか考えられないはずなので黒を打つように言うはず。だが白を出していることから、囲われていたら真悟は狼。そして、狼は呪殺を装うために咲子さんを噛んだ。なので死体は1人。となると、そこを守ったと言っている狩人も偽になる。そうなると、昨日吊られた玉緒さんに黒を出している高広は偽。咲子さんが真なので、その黒先の真希さんも狼。そして、高広が偽なら直樹が真なので、亜由美さんも狼。咲子さんと美智さんが真の場合、狼は真悟、真希さん、亜由美さん、狩人、狂人は悟、高広。狼の数が一人多くなくては成り立たない。仮に、狩人が狂人で高広が狼の場合もそう。つまり、咲子さんと美智さんが両方真という説はないと考える。」
さっきキッチンで話していたことだ。
そこに居なかった皆は、それを聞いてじっと黙っていた。
煌は、それを理解したとして次へと進んだ。
「では、次に悟と美智さんが真の場合。悟から見て真悟は白なので狂人になる。となると、咲子さんは襲撃されているので同じく狂人。狂人二人が占い師に出ている視点になる。となると、霊媒師には狐か狼が出ていた事になる。そこで他の役職の視点、真悟の呪殺を装った噛みという事になるから、残っている狩人は狼。玉緒さん黒を打っている高広は狼。直樹が真なので亜由美さんが狼。つまり、悟、美智さん視点での狼は高広、残っている狩人、亜由美さん、狂人は真悟と咲子さんということになるかな。数は合うが、狂人が二人とも占い師に出ているというのが現実的であるのかどうなのかというところだな。だったら狐は…悟と美智さんのグレーの真希さん、正志、諒プラス、直樹の中に2人が狐だということになるか。」
裕馬は、言った。
「これもなさそうですね。仮に2人狂人がバッティングしてしまったのだとしても、狐が2人共潜って生き残るのは難しいですし。占い師に出て来て、もう一人をどこかで囲うのが筋ですよね。」
煌は、頷いて先を続けた。
「…それから、咲子さんと真悟が真の場合。悟は狐ではない、なぜなら昨夜咲子さんが占っているはずなので、狂人か狼だ。美智さんは襲撃されているので狂人だろうし、そうなって来ると悟は狼と見るのが自然だろう。そうなった時、真悟の占い先の咲子さんを噛んで、呪殺を装うか?それはおかしな話だ。咲子さんが真なのだから、呪殺は起こらない。真悟をこうやって怪しむためなら分かる。ということは、狩人も偽と言う事になる。なぜなら、狼がどんな理由であれ咲子さんを噛めているからだ。この場合、なので狼が咲子さんを何故噛んだのか、全く分からない。狩人の偽もこれで透け、そうするとさっきも言ったように高広が偽になり、直樹が真になり亜由美さんが黒となる。やっている事が分からない。狂人を噛んで真占い師の占い先を噛んで呪殺を装い、それで他の偽も透けてしまうという。この目線では、狼は悟、真希さん、狩人、亜由美さん、狂人が美智さん、高広となって一人多いし数も合わない。つまり、この二人の真はあり得ない。」
皆が、またウンウンと真剣な顔で頷いた。
煌は、ハアとため息をついて、続けた。
「…次、咲子さんと悟が真の場合。真悟は狂人、そして美智さんも狂人。このパターンはさっきも話したがないとは言えないが恐らく可能性は低い。だが続けると、何度も言うが、咲子さんが真だった場合は真悟は呪殺をしていないから、狼が襲撃した事になる。となると、狩人が偽となり、高広も偽になる。そして直樹が自動的に真になって亜由美さんが黒。ということで、この視点でも狼は亜由美さん、狩人、高広、真希さんの4人で狂人が真悟と美智さんとなって、数が合わない。」
煌の説明が段々雑になって来るが、もうここまで何度も聞いて来たので、皆はきちんと理解できていた。
こうして一々説明してもらうと、頭の中が整理されて本当に分かりやすくなるのだ。
煌は、そこで休んでペットボトルから水を飲むと、ため息をついてまた続けた。
「では、次に真悟と美智さんが真の場合。悟は狂人で真悟は咲子さんを呪殺していると考えられる。何故なら悟が狂人なら、咲子さんが狐というのは自然だからだ。狩人は恐らく真だろう。高広も真だと思われる。確定はしない。咲子さんが狂人だったなら、狼は噛む必要はなかった。そうなると、狼位置は二人のグレーの中に二人居ると思われるので、真希さん、諒、海斗の中に二人と玉緒さん。高広が偽の場合は、亜由美さん、狩人とグレーの中に一人。狂人は悟と高広か直樹の内どちらか。」
清が、考え込む顔をした。
「…これまで聞いた中の、何より可能性が高い内訳だな。他は人数が合わなかったり、不自然だったりするが、これはかなりいい感じに真に迫っている感じがする。」
煌は、頷いた。
「では、最後のパターンだ。悟と真悟が真の場合。美智さんは狂人、咲子さんは狐だ。真悟が呪殺している。この場合も狩人と高広は真の可能性が高いが、確定はしない。そして狼だが、玉緒さんと、占い師二人のグレー、真希さん、諒、和彦の中に二人。狂人は直樹と美智さん。仮に高広が偽の場合は狩人も偽になり、その二人の内訳はわからないが、二人とも人外で亜由美さんも狼。ということになる。つまり、高広偽の場合の狼は、亜由美さん、狩人、グレーに一人、もしくは亜由美さん、高広、グレーに一人となるかな。もちろん高広と狩人両方狼で、美智さんとグレーに一人の狂人ということもあり得るのだがね。これで、全ての内訳での視点整理が終わった。村目線であるが。これを聞いてどう思うかだな。皆はどの内訳だと思う?」
全て出揃った。
が、聞いてみると、どう見ても咲子が狐で真悟が呪殺したという流れの方が、自然に見えた。
何しろ、悟と美智はお互いに白を打ち合っていて、どうしても狐位置がおかしくなるからだ。
しかも悟は、今日真悟に白を打っている。
人外だったら、そんな消極的な事をするだろうか。
悩む皆を、煌は興味深げに眺めていた。




