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抵抗

「…え?」ボーッと他人事のように聞いていた、玉緒が目を見開いた。「私?!どうして、私は狩人よ!私を吊ったら、それこそみんな噛まれてしまうわ!昨日はあなたを守ったのに!」

裕馬は、顔をしかめた。

煌が言った。

「君が狩人をCOして、他に狩人が居てそちらの方が白いと裕馬が判断したのだ。そもそも初日から、議論にも参加していないし、発言の内容は薄いし、誰の白先でもないのに、こうなった時に信頼を得られると思うのか?」

玉緒は、言った。

「だって、狩人だもの!狩人だから、白だし発言なんか別にいいじゃない!誰が狩人なの?!その人と対抗にしてくれたら良いじゃない!みんなに言わないで、共有者の主観で決めるなんておかしい!みんなに決めてもらいましょう!」

正志が、言った。

「…他を見てみな。君以外の役職者はみんな、誰かの白先で発言が伸びてる。煌、祈さん、清。この中に共有者、猫又、そして対抗の狩人が居て、そちらの方が白いと共有が判断したんだ。昨日同じ事を言った詩子さんは結果的に騙りだった。共有は間違っていなかった。今狩人を出したら、真狩人は今夜襲撃される。だから、言わないのは正しい。猫又が皆をガードして役職者は噛まれない。内訳は、絶対に明かさない方がいい。」

煌は、頷いた。

「出してもいいが、今夜じゃない。」煌は、言った。「狩人は筆頭噛み位置なので、疑わしいなら明日以降そこを露出させて噛ませたら良いだけだ。君の色が重要だ。狩人だけが二人居るのだ。もう、相互護衛など言っていられる縄数ではない。今夜は玉緒さんを吊るのが一番村のためになるのだ。」

裕馬は、頷いた。

「…じゃあ、それで。オレは内訳を知ってるし、相方も知ってる。話し合って決めたことだ。後は、玉緒さんを吊った後の事だ。狐であった場合も、白が出るので狩人は明日、護衛成功を目指して欲しい。出なければ…吊る事になってしまうかもしれないから。」

和彦が、言った。

「…でも、高広さんは真なんだな?それでいいんだな?不安になるんだが。」

高広は、答えた。

「村目線でオレが真でないかもしれないのは分かるが、オレは真だ。直樹の死に方を見たら分かってもらえると思うけどな。とにかく、玉緒さんの色が見たい。死ななければ…必ず、色を落とせる。」

玉緒は、言った。

「私を残せば必ず高広さんは生き残れるわ!今夜守れるのに!」

皆は、顔を見合わせる。

だが、初日から疑われながらCOし、議論にも参加していなかった玉緒の言葉を、まともに聞いてくれる人は一人も居なかった。


場所をリビングに移して、玉緒吊りからの動きを確認し、グレーの話になった。

玉緒は、リビングに移る時に泣きそうな顔をしながら部屋へと戻ってしまっていた。

いつも思うが、そんなことをしたら余計に真ではないと言っているようなものなのだ。

それでも、訳のわからない意見で乱されることがなくなったので、裕馬はホッとしていた。

玉緒が真ではないと、煌を信じるよりなかったのだ。

裕馬は、言った。

「各視点からのグレーはどうなってるのかな。みんな黒が出てなくて、狼は3人。占い師にもし一人出てたとしたら、役職に一人、グレーに一人の考えだろう。真占い師が美智さんだったとしても、必ず一人は残ってる。煌さん、みんな視点でのグレーは分かりますか?」

煌は、頷いた。

「悟視点、役職者を除くと今のグレーは真希さん、正志、諒、和彦の中に最低1狼。美智さん視点、真希さん、正志、諒、海斗の中に最低1狼、咲子さん視点、真希さん黒で正志、諒、和彦、海斗の中に1狼居るかもしれない。真悟視点、真希さん、諒、和彦、海斗の中に最低1狼となる。従って、全員目線での狼の可能性があるのは、真希さんと諒だな。」

裕馬は、頷いた。

「今夜は玉緒さんを吊ります。この二人は、占わせた方がいいですか?」

煌は、言った。

「完全グレーはいつでも吊れる。この中の真占い師を確定させる必要がある。数が減ったのでやり易いし、占い師の相互占いをするべきだろう。私は、この中に狐が居ると思っていて、偶数進行の今、呪殺が起きても縄は減らない。美智さんは噛まれたので、真であろうと狂人であろうと狐ではない。よって、そうだな…真悟が咲子さん、咲子さんが悟、悟が真悟でどうか?黒なら黒で良いし、とにかく占い師に色をつけて行きたい。呪殺を出した占い師は、次の日守れるのでグレーで一番色の知りたい位置を占わせたら良いのだ。狼は占い師を噛みたくなるだろうが、高広も残せない。噛み先に迷うだろう。どちらにしろ、咲子さんが真希さんに黒を打ったことで狼からは真贋が透けているはずだ。だからといって、狼は、まだ真占い師を全部噛むことはできない。なぜなら、狼からも占い師の狐が透けていたとしても、グレーの狐までは透けていないからだ。もし、それでも占い師を噛んで来たなら残った占い師の中に、まだ真占い師が居るということで、美智さんは狂人だったと判断できるので、この噛みは美智さんに囲われた狼の噛みだと推測して美智さんの白から黒だと思う所を吊る。私はそんな考えだ。明日になれば、いろいろまた見えて来るはずだ。」

裕馬は、また頷いた。

「そうですね。じゃあ、そうしましょう。」

煌は、片方の眉を上げた。

裕馬が、どこまでも煌に聞くからだ。

もちろん、確定猫又なのだからおかしくはないのだが、共有者の裕馬が盲信しているのは、村から見たら奇異だろう。

だが、清を守るためには、確定村人である煌により多くを託して、狼目線を撹乱させる意味もあった。

煌が共有ではと噛まれても、村から見たら問題ない。

煌は、必ず狼を一匹連れて行ってくれるからだ。

煌も、どことなく分かるのか、何も言わなかった。

「…そこまで言い切るのもおかしくないか?確かに狼が真占い師を全部噛むのはリスクが高い。グレーにまだ狐が居るかもしれないからだ。それでも、今夜狼が占い師を噛む可能性はあるんじゃないのか。」

清が言う。

煌は、ニッと笑った。

「牽制だよ、清。占い師を噛んだら、またいろいろ透けるぞというな。とにかく、私はそう考えている。グレーの狐に華を持たせたい狼ならそれは仕方がないということだ。」

狐位置はまだわからない。

狼目線でも、グレーはわからないのではないか。

いや、真占い師が占った先は違うと分かるので、真占い師が透けている狼にとってはかなり絞れて来ているはずだった。

海斗が、ニヤニヤ笑いながらもため息をついた。

「どうだろうねぇ。狼にはかなり透けて来てるはずなんだけどね。まだ高広さん真なら3狼居るんだろうから、一人だけでも出て狐位置を知らせてくれたらいいのにね?ここまで絞られたら、潜んでここが狐だって言ったら、なんで分かるんだよ、お前が狼か狐だろって吊られるしねぇ。それとももう、少ないのかな?それとも、3狼残ってるけど、玉緒さんで今夜吊られるから出られないとか?おもしろいねぇ。とにかく今夜は玉緒さん。煌さんが言うように、毎日詰められて来てなんだか愉快だねぇ。」

この状況を愉快だと言える、海斗の精神状態がヤバい。

裕馬は思ったが、口には出さなかった。

皆がそのまま黙り込む中、祈が言った。

「…今夜の噛み先は重要になって来る。護衛成功が出ると縄が増える状況だけど、呪殺が起こったらそれもナシだし…私はね、占い師の狐の位置で、なんとなくグレーの狐の位置は透けて来る気がするわ。狐が出ていたら、だけど。ここまで呪殺が出ないということは、多分占い師に1狐居るだろうと思うわ。だから、居ても1狐でしょう。もしかしたら…もう、居ない可能性まで見てるけど。初日に囲いが出ていないだろうことは、役職者にしか結果が刺さっていないことから分かる。次の日からは指定だった。知らずに囲われてた…?うーん、ちょっと整理してみないとわからないけど、狐っぽいところが見当たらないし…。思っていることがあるけど、それは占い師の内訳が確定してから明日にでも落とすわ。それまでは、私の推測でしかないし。」

煌が、祈を見た。

「何か思うことがあるのかね?」

祈は、頷いた。

「ええ。占い師の狐の位置でなんとなく。なので今はまだ。」

煌は、頷いた。

「ならばそれで。後で私には話してくれないか。もしかしたら同じ事を考えているのかも知れない。」

祈は、微笑んだ。

「ええ。今日の占い指定を聞いていて、同じではないかと思いましたわ。」

そうなのか?

裕馬は、この二人の間で何が思われているのか、気になった。

だが、祈はどうあれ煌は確定猫又なのだ。

信じないと、と、裕馬は立ち上がった。

「では、朝の会議はこれで。もう吊り先は決まっているから、次は夕方また集まろう。」

皆が、重い腰を上げて立ち上がり、思い思いの方向へ向かった。

裕馬も、何か飲まないと、と思いながら、キッチンへと向かったのだった。

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