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三日目の朝

もう目が覚めないかもしれない。

裕馬は、そう思って夜の通信可能な一時間、清とじっくり話した。

グレーを噛めない以上、噛んで来るのは役職だ。

そして、正志が釘を刺したので、恐らく狩人の中の偽物は、真狩人が高広を守っているのを恐れてそこを噛めない。

となると、共有が一番噛みやすいのだ。

もちろん、狩人のうち本物が居たら、そちらが守ってくれるだろう。

なので、相互護衛指定は、しなかった。

どちらが偽なのかわからないからだ。

それでも祈が、こっそり裕馬を守ると言ってくれたが、祈が狂人だったりしたら、それこそ狼は祈を捨ててでも噛んで来るだろう。

狼も、噛み先に困っているはずだからだ。

玉緒には、正直期待出来なかった。

玉緒が真であったとしても、そんなことに気が回るとは思えないのだ。

清にもそんなことを言いながら、遺言のように必ず勝ってくれと言い置いて、そして夜の通信を終えた。

次の日の朝は、どうなるのだろうと裕馬はベッドに入って目を閉じたのだった。


次の日の朝、ハッと気が付くと、扉の方からいつものガツンという音がしていた。

…朝?!6時?!

裕馬は、飛び起きた。

…生きてる。

急いでベッドから降りた裕馬は、廊下へと飛び出した。

昨夜寝る前に三階に残っていたのは、和彦、海斗、清、裕馬、咲子の5人だけだった。

清が、一つ飛ばして隣りの扉の前から言った。

「裕馬!生きてるな?!」

裕馬は、頷いた。

「おれ、生きてる。みんな居るか?」

海斗が、答えた。

「この階はみんな居るようだよ。二階に行ってみる?」

裕馬は、早く結果を知りたかったが、しかし今目が覚めたばかりだ。

「ちょっと待ってくれ、トイレだけ。すぐに追い付くから。」

和彦が、呆れた顔をした。

「早くしろ。なんか下から声がしてるぞ。」

二階に犠牲者がいる…高広か…?

裕馬は急いで引っ込んでトイレを済ませると、待ってくれていた三階の人々と共に、階下へ駆け降りて行ったのだった。


二階に着くと、煌と正志が3号室から出て来たところだった。

「…確認した。昨夜は美智さんだ。」

占い師噛み…!

裕馬は、言った。

「え、それは、美智さんが真占い師だってことか?だとしたら、昨日の指定に入ってた諒と煌さんが怪しくなる?」

清が、言った。

「落ち着け。噛まれたからと真とは限らない。狂人だったかもしれないからな。とはいえ、美智さんが真だと分かって噛んだんだと思うのが一般的だがな。」

裕馬は、混乱しながら言った。

「高広さん?生きてるか。」

高広は、頷く。

「生きてる。詩子さん白。」

ということは、村人か狂人か狐だ。

悟が言った。

「オレも結果を言うか?海斗白。」

真悟が言った。

「オレの結果は、清が白。」

咲子が、固い表情だ。

裕馬は、促した。

「咲子さんは?」

咲子は、思いきったように言った。

「私は、真希さん黒!真希さんは人狼だった。まさかと思ってた…騙されたわ。」

真希が黒…?

真希は、驚いた顔をしてブンブンと首を振った。

「私は村人よ!どういうこと?咲子さんは偽だわ!じゃあ、美智さんと、あと一人は悟さんか真悟さんだわ!」

結果は出揃った。

ということは、今夜は真希吊りになるのか。

だが、恐らく真である美智が噛まれていることから、三人の内、一人しか真占い師はいないと考えるのが普通だ。

占い師ローラーを掛けるよりないのか…?

だが、まだ早いはずだ。

裕馬は、混乱して何も考えられなかった。

清が、言った。

「すぐには答えは出ない。準備して8時にリビングで会議だ。」と、裕馬を見た。「裕馬落ち着け。とにかく縄が足りなくなってくる。しっかり整理したら、何か見えて来るはずなんだ。狼が美智さんを、真だと決め打った何かが。とにかく、一旦解散だ。」

皆が、ぞろぞろと部屋へと帰って行く。

裕馬は、まだ混乱していた。


それでも、清に促されてキッチンへと入って行くと、今朝はパンやスープ、サラダなどが並ぶ洋風の朝食を囲んで、煌、正志、海斗、祈が食事をしていた。

朝食は部屋に菓子パンを持って行って済ませる人が多い中、この4人は全くぶれずに毎回ここで、集まって食事を摂っていた。

「お前らも菓子パン取りに来たのか?」

正志が言う。

清は、頷いた。

「そうなんだ。裕馬が混乱していて無理やり連れて来たんだがな。」

裕馬は、煌の顔を見て、急いで側の椅子に座った。

「煌さん!オレ、頭がぐちゃぐちゃで。整理してくれませんか。」

煌は、コーヒーを飲みながら、いきをついた。

「落ち着け。慌ててもしようがない。まず、今朝は美智さんが襲撃されて、14人残り。相変わらず偶数進行だ。吊り縄は6。人外は仮に処理できていたとして確実なのは一人。直樹目線の亜由美さん黒と、高広目線の直樹だ。直樹は色がわからない。」

裕馬は、ウンウンと頷いた。

「はい。」

煌は、続けた。

「昨日、詩子さんは自分が村人だと言って死んだが高広目線白結果だった。村目線では、彼女が人外であったか、そうではないのかわからない状況だ。勝ちを目指すためには、今夜からは確実に黒を目指して吊らねばならない。なぜなら、縄が足りないからだ。亜由美さんと詩子さんが人外だったというのは希望でしかないから、村は最悪の状況を元に動く必要があるわけだ。」

皆、黙って聞いている。

そこで、キッチンの扉が開いた。

「あれ」和彦が言う。「キッチンに居たのか。今リビングに人が集まってるけど。」

清が、言った。

「飯なんだよ。議論は8時からだろ?まだ7時だぞ。」

すると、わらわらと他の人達も中を覗いた。

「あれ、何か話してるのか?」

諒が入って来たのを皮切りに、全員がキッチンへとなだれ込んで来た。

裕馬は、面倒そうに言った。

「ああ、今話してるから静かにしてくれ。」と、煌を見た。「続きお願いします。」

煌は、一気にいっぱいになったキッチンに顔をしかめたが、続けた。

「…なので、確実に人外を吊る必要があるので、今日は役職精査だろう。役職は全部出して各占い師視点のグレーを詰め、その上で議論を進めていくべきだろう。吊る位置は、一番良いのは役職だ。人外が吊れる可能性が高まる。もし占い師からなら、美智さんが真だったとしたら、悟はあって狂人、和彦も白だ。だが、私は狂人であってもおかしくはないと考えている。なので、確実ではない。なぜなら、囲われた狼が漂白噛みをしてきた可能性もあるからだ。占い師からなら、黒を出した咲子さんと、打たれた真希さんで精査することになるだろうな。次に役職だが、これだけ集まったのだ。もうCOさせても良いんじゃないかね?」

裕馬は、頷いた。

「オレからでなく、本人達に言ってもらいましょう。」と、皆を見回した。「役職者は、手を上げて。」

すると、玉緒、煌、祈、清の4人が手を上げた。

清まで上げたことに驚いた裕馬だったが、顔に出してはいけないと踏ん張って、頷いた。

「はい。これが役職者達だよ。もちろん、中には猫又も共有者も含まれているけどな。」

正志が、皆を見回した。

「…ふーん、そうか、こう来たか。真悟の白先は役職者に二人刺さってるな。咲子さんも二人。悟は美智さん除いて一人。囲われた人がわざわざCOする必要はないから、そう考えると誰も囲っていないのか。」

海斗が、言った。

「どうして美智さんを噛んだかなんだよね。煌さんが言う通り、狼が美智さんを噛んだのは、漂白噛みの線もあるし、結果が偽だから狐かもしれないから確認のために噛んだのかわからないけど、真だと思ったなら誰かが囲ったからだよね。仮に狼が出てたら、占い師を噛んだらまずいはずだから、占い師には狂人が出てると思う方が自然だ。狼も、昨日までは誰が誰なのか、分かってなかったのかもしれない。他の三人の占い先だけど…悟さんの結果、美智さん白、煌さん白は昨日の時点でおかしくないよな。何しろ狼は美智さんを噛めてるし、結果は間違ってない。煌さんは見ての通り役職だし咲子さんからも白だ。咲子さんはと言うと、煌さん白、清さん白。これもどちらも白いし、清さんも今朝の真悟からの白で2白もらっててやっぱり囲われてそうにない。真悟さんの白先は祈さん白、正志白だけど…となると、囲ってるとしたら正志が濃厚なのかな?でも、それで美智さんが真だって思うかな。美智さんは悟さんと和彦さんにしか白打ってないんだよ。みんな真っぽいから、とりあえず噛んだってこと?」

煌が、答えた。

「その3人の中では囲いは発生していないように見えるな。とはいえ、真役職は共有含めて今出ている4人の内3人。一人は人外だ。4人の中で一番怪しい所を吊って色を見れば、これだけ白結果ばかりの中で考えると必ず黒が出るはずだ。高広が真であればの話だがね。」

高広は、渋い顔をした。

「オレは真だが、明日生き残れるとは思えないんだよな。昨日は狩人が守ってくれてるだろうと思ってたが、今夜はさすがにヤバいだろうし。」

煌は、言った。

「狩人が生きていたら、必ず君を守るだろう。誰を守っていたのかは共有が後で知るだろうし、守り先は共有が指定すれば良いだろう。もしかしたら、今夜は君を守れる可能性もあるしな。何しろ、狼は君を噛んで来なかった。狩人が生きていて、守られる事を懸念したのだとしたら?狩人だって、水面下で考えて動いているのだ。」

裕馬は、それをじっと聞いていた。

そして、言った。

「…狩人ローラーを続行しよう。昨日の詩子さんは結果的に村人だったと言って死んだが、人外が狩人を騙っているのは確か。オレは、この中で完全グレーの役職である、玉緒さんを吊る事を提案する。」

皆が、息を飲んで玉緒を見た。

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