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二日目午後の会議と追放

まだ二日目とは思えないほど、裕馬は疲れ切っていた。

何しろ直樹があんな感じで追放され、もう直樹吊りで、固定されていたはずの盤面が一気におかしくなった。

そして、詩子の役職COだ。

わけが分からなくなって来たが、一人ずつ話を聞いたことで少し、冷静になれた。

何より、共有だけでも役職内訳が見えたのが、とても気持ちが楽になったのだ。

とはいえ、油断は出来なかった。

あれから、結局みんなリビングに集まっていたので、キッチンで一人昼食を済ませてから、すぐに議論に移ることになった。

皆が役職が出たこともあり、それを知らない中での議論なので、少し緊張気味にしている中で、裕馬は口を開いた。

「結論から言う。今日は、詩子さんから吊る。」

皆が、え、と目を丸くする。

詩子が、言った。

「そんな!どうして?!私は役職なのよ!?」

裕馬は、答えた。

「全員と話して来て分かったのは、狩人が三人居るということなんだ。でも、そのうち二人はまだここでは言わないが、一人は詩子さん。共有者としては狩人が三人出た時点で、狩人ローラーをかけるのが一番だと思った。今日は真を吊らなければいいので、一番偽目の高いところを吊ることにした。だから、すまないが詩子さんからで。三人居るということは、その中に確実に二人人外が居るんだからね。明日からはまた考える。占い師の結果も出るし。」

全員が、何も言わない。

だが、詩子はブルブル震えていた。

「私は納得いかない!私が真なのに、他に二人出ているからって私から吊るなんて!共有者は横暴だわ、その二人も出してみんなに精査させたら良いじゃない!」

清が言った。

「裕馬は間違ってない。狩人を全部出したら、真は必ず噛まれる。出すにしても明日以降で良い話だ。狼にわざわざ噛み先を教えてやる必要はないからな。君は完全グレーだし、明日高広が色を見てくれる。」

だが、詩子は言った。

「誰も噛まれないわよ!だって私が真なんだもの!それに、高広さんは襲撃されるわ!私が居なくなったら噛み放題だもの!色を見せたくないはずでしょ?!」

正志が、言った。

「どうだろうな。狩人が前日にどこを守ってたかだよな。徹でないことは確定だ。仮にもし、直樹だったなら高広は守れる。そこは噛んで来ない。もし、守れないと言った狩人が居て、護衛成功が出たらその狩人は破綻する。三人居るからなあ。確実にここを守ったとわかっているのは、真狩人だけだ。狼だって、徹が噛めたからと絶対高広守りだと言えるか?言えないはずだ。真狩人だけがそれを知っているんだ。狼との読み合いなんだからな。狂人っぽいから何でもいいから噛もうとして来るかもと、直樹を守っていないとなぜ言える?だから、問題ない。君が真狩人だと、狼だって狐も狂人も居るのにわからないから。三人だぞ?とにかく共有がそう決めたなら君から吊る。どうせ明日にはまた、いろいろ見えて来るしな。そもそも、高広が真だとはまだ決まってないしな。まあほぼ真だろうけどよ。」

煌は、言った。

「護衛成功が出たら直樹で失った分の縄が戻って来る。そして、詩子さんが偽だと村目線で確定する。また奇数進行になるのだ。いいではないか、詩子さん吊り。それで行こう。」

皆が皆、誰が出ていようと詩子より黒いはずはないと思っているらしい。

詩子が、反論できずにいるので、裕馬は言った。

「詩子さん吊りだ。残った二人の狩人には高広さんを守ってもらって必ず色を見る。それでいいだろう?どこを守っていたのかも、噛み抜けるかそうでないかで偽が判明するし。明日になったら人外が一気に露出して来て順番に吊って行けるようになるはずだ。それで行く。」

これで、まさか詩子までが直樹のように部屋へと籠って出て来ないという事があってはならないので、清が言った。

「…ちなみに、直樹は忘れていたのか混乱していたのか分からないが、ルール違反で追放になったら、もし自分の陣営が勝利しても賞金は出ないぞ?そう書いてあったからな。どちらにしろ、真でも村勝ちを信じてここはおとなしく吊られてくれ。」

詩子は、涙を流し始めた。

だが、もう今夜は詩子吊りで決定だった。

何しろ、誰も異議を唱えないのだ。

普通なら誰も庇わないのだから白だろうかと思うところだが、今の状態では庇うのは無理だ。

なので、仲間が居ても何も言い出せない状態なのだと思われた。

「…酷いわ!他に誰が出てるのかも教えてくれないで、そんなの反論のしようもないじゃない!」

詩子は捨て台詞のようにそう言うと、リビングを飛び出して行った。

…もし、真だったらどうしよう。

裕馬は思ったが、自分と清の判断を信じて、今夜は詩子を吊るしかないのだ。


その夜、誰もが重苦しい表情でリビングへと集まった。

ギリギリまで来なかった詩子も、清に釘を刺されていたので、問題なく投票には間に合った。

そして、言った。

「…正直に言う。私は村人。ただの素村なの。」え、と皆が詩子を見る。詩子は続けた。「噛まれるならまだしも、吊られるなんて絶対にいやだったから、狩人を騙った。どうせ、昼間にこの事を言ったところでグレーからなら私になるでしょう?だから言わなかっただけ。もう、なんでもいいやって。役職に出ても吊られるんだから、グレー吊りでも私でしょ?だから、好きにしてやったわ。最後に素村だったって明かすのは、せめてもの慈悲よ。勝ってもらわなきゃならないから。でも、私は素村。白が出るわ。だから分かる。」

だから狩人3COとかになってたのか…!

裕馬は、清が言っていた違和感に今、やっと気付いた。

詩子が村騙りだったからなのだ。

「…それでも村の思考を混乱させて。勝っても君には賞金なんかあげたくない気持ちだよ。本当に村人だったらだけどね。狂人でも白は出るし。」

海斗が言う。

詩子は、フンと鼻で笑った。

「それを決めるのはあなた達じゃないわ。お生憎様。」

裕馬は、顔を赤くした。

こっちは必死になってるのに、ホントに村人だと言うならマジで腹が立つ。

『投票してください。』

モニターから声が響き渡った。

そして、ただ一人だけ裕馬に投票して、詩子は吊られて行った。

他は、全票詩子に入っていたことから、狼であったとしても、狂人であったとしても狐であったとしても、切って来ているのだと思われた。

そして、本人が言ったように村人だったとしても、これで面倒な位置は一つ消えたのだ。

裕馬は、気を取り直して、言った。

「占い指定をする。」

占い師達が、こちらを向く。

もう、正志、海斗、清は詩子さんを運ぼうと椅子から下ろして、あちこち分けて持って移動し始めていた。

「まず、悟さんは海斗か…そうだな、祈さん。美智さんは諒さんか煌さん、咲子さんは真希さんか正志。真悟は…もう完全グレーが居ないから、和彦さんか清で。」

占い師達は、頷いた。

「明日は呪殺が出ると良いけど…狐が怖いわ。狼はなんやかんや数が多いし霊媒結果も黒が出るから分かりやすいけど、そろそろ真を確定させないとまずい。」

真希が言う。

裕馬は、頷いた。

「黒も重要だが、狐を狙ってくれ。オレ達だって白結果ばかり見たくないんだ。そろそろオレもヤバい頃だし…その時は、相方が出てくれるから。よろしく頼む。」

猫又が怖い狼は、高広が噛めないとなると共有ぐらいしか噛む位置はないだろう。

とはいえ、裕馬は知っていた。

高広は、両狩人目線今夜は守れないのだ。

だが、正志が言ったように、狼目線では徹を守っていなかったことから、高広か直樹のどちらかを守っていたとしか分かっておらず、偽が狼だった場合は、破綻を恐れて高広を噛めない。

真狩人が、どこを守っていたのか知らないからだ。

…どちらにしろ、明日次第だ。

裕馬は、思って部屋へと戻って行った。

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