ローラーするのか
残された、高広が言った。
「…これで、オレ目線でも一人外落ちることになる。明日吊られるにしても、ホッとしたよ。」
高広の様子は、直樹とは違って落ち着いていた。
37歳と歳上なのもあるだろうが、それでもそれが村感情にも見えた。
裕馬が、言った。
「ごめん、オレからしたら、朝誰が襲撃されているのかも知らないのに、先に結果を言おうとしていた直樹は真だと思ってるんだ。でも、高広もこうして見ると白いな。もしかしたら、直樹は狼なのか?徹を狂人置きしておけば、狩人がそこを守るはずがないとそこを噛んでいたとしたら辻褄が合う。何しろ、徹の部屋は直樹の目の前なんだ。出てきてないのも真っ先に分かったはずだし。昨日徹を狂人置きしようとしてたのも、それなら分かるけど。」
正志が、面倒そうに手を振って言った。
「ローラーするなら霊媒の精査はもう良いだろう。それよりは、霊媒が頼りにならないとなると、占い師だぞ。何としても真確してもらわにゃならねぇ。でも、グレーは広いし狐を呪殺するにも何日掛かるか。」
煌が、言った。
「ならば、狐が占い師に出ていることに賭けて、占い師同士の相互占いをさせてはどうだろうか。」皆が、煌を見る。煌は続けた。「悟と美智さんはもうお互いに色を知っている。少なくともお互いは狐でも狼でもない。ならば残りの2人だ。そして、残りの2人は悟と美智さんを占う。それで呪殺が出る可能性もあるし、占い師の内訳が透けて来る。グレーに潜む狼の数も位置も、確定占い師の白先以外を詰めて行けば分かるだろう。そうでなくても、悟と美智さんの二人は、もし人外なら呪殺を出せないので、相手が狐であったら黒を打つしかない。結構な確率で、各占い師目線での人外が透けて来て、そこが矛盾していないか皆で精査することができる。」
裕馬は、手を打った。
「確かにそうだ!一回グレーを置いといて、占い師同士にしよう。何しろ、既に2人はお互い色を知ってるんだ。それで見えて来ることが多くなる!」
そうなって来ると、占い師達に誰を占わせるのか決めて行かねばならない。
海斗が、言った。
「…それもいいけどさあ。」今度は、皆が海斗を見た。海斗は続けた。「役職ってどうするの?今出てるのは玉緒さんだけで、それでも皆に疑われてるよね。こうしてても、黙ってるしなんか別の事を考えてるように見えるんだよなあ。心ここにあらずって感じ。村人だって必死に人外探してるのに、こんな役職ほっといていいの?他に居るなら考えても良いんじゃないかなとか思うけど。」
玉緒は、ハッとこちらを見る。
和彦が、言った。
「確かにボーっとしてるし会議には遅れて来るし、やる気あんのかって感じだよな。でも、今日は直樹だろ?明日は多分高広。だったら、今日のところはCOは置いといていいんじゃないか?透けて来たら噛まれるだろう。いや、猫又だったら噛まれた方がいいのか。」
裕馬が、言った。
「そうだよな、噛まれた方がいいから待ってる感じだけど、どうせ噛むのはオレとかしか無いんじゃないか。グレーは詰まってしまうし噛めないだろうし、白先も猫又が居たらと思うと噛めないだろうし。」
海斗は、フフと笑った。
「狼は共有は今夜は絶対噛めないよ。だって、昨日は霊媒守りだっただろうけど、今夜は共有に護衛が入るんじゃない?高広が仮に真だったとしても、吊り縄消費に使いたいから噛まないだろうと思うし。狼も困るんだろうなあって思うよ。狐だって居るしね。それで縄が増えてくれたらいいんだけど。」
正志が、言った。
「オレが狼でも噛み先悩むよなあ。噛んだら猫又だってなったら最悪だ。だから、役職は隠せるだけ隠した方が良いんだと思うぞ。今日は霊媒吊りだって決まってるんだし出さなくていい。それとも、お前が猫又噛みたくない狼じゃないだろうな、海斗?」
海斗は、正志を睨んだ。
「なんでだよ。僕からは霊媒精査は要らないって話を止めた正志の方が黒く見えたよ。亜由美さんの色結果は重要なんだぞ?知りたいと思わないの?僕は知りたいから、高広さんの話を聞いておきたいよ。後から、人外数知りたくなった時にイライラするより霊媒が生きてるうちに話を聞いて、情報は落としてもらっておいた方がいいんだ。」
正志が、顔をしかめた。
諒が、割り込んだ。
「言われてみたらそうだ。正志は真悟から白が出てるが、その点では怪しい。亜由美さんが白だったか黒だったかで、後々分かって来ることもあるだろう。だからこそ、狼も護衛成功する危険を冒して徹を噛んだんだろうしな。」
裕馬が、言った。
「そういう諒は、どっちだったと思うんだ?」
諒は、答えた。
「オレは白だったんじゃないかと思う。昨日は白でも良いって流れだったが、三人の中でヘイトを溜めてたのは真希さんだった。当然真希さんが吊られると思ってたし、オレは村のためなら特に怪しい所がない他の二人より、真希さん吊りが村のためだと思った。だから亜由美さんに入れてる人の方が怪しいかと思ったんだけどな。」
清が、言った。
「オレから見たら、真希さんに入れてる方が怪しいと思ったけどな。何しろ、真希さんは確かにゲーム外のことでごちゃごちゃしてたが、発言自体はしっかりしてた。偏ってはいたがな。真希さんに入れるぐらいならと考えて、他の二択で亜由美さんに入れただけだ。ヘイトを溜めてるだけで吊れると見た狼が、真希さんに入れてるんだとオレは見てたけどな。」
和彦も、頷く。
「そうだ。オレだって困った奴だなと思ってたが、あんなに目立つ人外もいないだろうと真希さんに入れた。そもそも、占い師の票は咲子さんが詩子さんに入れてる以外はみんな亜由美さんだぞ。この中に真占い師が最低一人は居るはずなのに、その怪しみ方はおかしくないか。」
諒は、言った。
「じゃあお前には亜由美さんの色が分かるのか?真希さんは?もし真希さんが狼で亜由美さんが白なら、絶対怪しいはずだろうが。しっかり話す人外も居る。昨日はあんまり情報もなかったんだ、他でリスクのありそうな所に投票するのは間違ってないだろう?」
確かにそうだ。
裕馬は、ため息をついた。
色が見えないからこそ、あちこち票がバラけてしまうのだ。
だが…。
「…となると、逆に一票しか入ってない詩子さんは黒くないか?」裕馬は言った。「狼が避けたってことだよな。三人の中に狼が居たなら、票が分かれた真希さんと亜由美さんには黒はいなかったってことなんじゃ。つまり、亜由美さんは、白?」
高広が、顔をしかめた。
「だから白なんだって。村がもうオレと直樹を吊るって言ってたから言わなかったが、直樹の出方がおかしいだろうが。それに、みんなに狂人だと最初言われてなかったか。煌さんが、キョロキョロしてて出そびれたように見えたとか言ってたような気がするんだが。それなのに、なんでか目立つ行動してるから白いとか言い出して、あいつは調子にのって後からあんなCOしたんだ。オレは今はそう思うぞ。そもそも、徹は真だったのに、悟の部屋に集まってたとかでみんなが怪しいとか言い出したから、そんな隙を与えてしまったんだぞ?あいつは、今なら出ても真が取れるかもとか思ったんじゃないのか。」
それを聞いて、皆が顔を見合わせる。
言われてみたら、そうだったからだ。
普通なら、後から実はと出て来ても、だったら霊媒から吊る、直樹からとかなったはずだった。
だが、あの時みんなが怪しんでいた所にたまたま徹が居たので、あっさり受け入れてしまった。
何しろ、その時疑われていない状態なのに、出て来たからだ。
美智が、言った。
「私から見たら、悟さんはまだ狂人の可能性があるけど、和彦さんは白だったわ。徹さんも真霊媒師。残りは諒さんだけど、和彦さんとラインを見られていたぐらいだもの、きっと白でしょう。あの時疑われた人達って、軒並み白なのよ。だから、それを疑ってた直樹さんは限りなく人外よ。占い結果と合うから分かるわ。でも、あのお粗末さから考えたら、狂人なんじゃないの?」
ということは、亜由美は白か。
直樹が出て行って話を聞けないのでわからないが、直樹はここに居るべきだった。
そして、弁明するべきだった。
村の空気が、霊媒ローラーをどうするのか、揺らいだ気がした。




