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投票はどこに

正志と煌、祈の三人で座っていると、そこへ直樹、裕馬、和彦、諒、清、海斗、高広、徹、悟、真悟の男性達皆がキッチンから出て来た。

つまり、キッチンには今、女子ばかりという事だ。

海斗が、嬉々として走って来て無理やり煌と祈の間に割り込むように尻を入れて、そこへ座った。

「祈さーん!僕が守ってあげるからねえ。」

祈は、驚いた顔をした。

「え、どういうこと?」

すると、皆が回りに次々に座って行き、裕馬が答えた。

「真希さんなんだよ。出て行った後、結婚してるのに堂々と不倫とかおかしい、とか言って大変だったんだ。」

直樹は、その時の事を思い出した。


「何あれ。祈さんが自分で言ってたのよ?結婚してるって。それなのに、煌さんとべったりして、堂々と不倫なんておかしくない?」

女子達は、顔を見合わせて黙っている。

海斗が、言った。

「それを言うなら煌さんだってそうでしょ。真希さんは煌さんが既婚者でもいいって言ってたんじゃなかった?祈さんを責める権利ないよね。それに、どう見ても煌さんの方が祈さんにくっついてってるし、祈さんから寄ってってる感じじゃなかったじゃないか。責めるんなら煌さんの方なんじゃないの?それに、そもそも指輪の跡があるだけで今も結婚してるとは限らないじゃないか。」

正論で責められて、真希はぐ、と黙る。

美智が言った。

「もう、ほんといい加減にして欲しいのよね。」これまであまり言わなかった、美智の強い言い方に皆がそちらを見た。美智は続けた。「それどころじゃないのよ。命が懸かってるのよ?多分、だけど。今夜誰かが追放されたら、実際どんなものなのか分かって、実際死ななくてあんまりピリピリしないのかもしれない。でも、今は私は不安だわ。夜に襲撃されたらとかも考えるし。私はそんな風に必死で考えてるのに、誰が誰と付き合うとか結婚してるとか、どうでもいいわ。それこそ全部終わって思い出してからで良いことだわ。あなたのその余裕は何?もしかして、襲撃されないと知ってる人外なんじゃないでしょうね。発言のしっかりしている人外だって居るし、むしろその方が面倒なんだから初日に吊っておくべきだと思うけど。」

直樹は、ハッとした。

そうだ、恐らく真希は白なのだから、これを理由に票を集められたら…。

「…それはオレもそう思うな。」直樹が言うと、皆が直樹を見た。「仮に白でも、盤面が濁るんだよね、そんなゴタゴタを持ち込まれたら。初日は白でもいいって考えだけど、出来たら黒を吊りたいし、オレも黒を見たいと思っていろいろ考えてたけどさ、そうなんだよ、発言が白い人外だって居るんだよな。襲撃を怖がってないって言われたらそうだし。役職者だったら、怖くて仕方がないと思うし、あっても素村だよね。もう、真希さんでいいかな。」

だが、真希は反論した。

「私は、さっきは祈さんが私を怪しまなかったから白いのかなと思ったけど、今は違うわ。こうして見ていたら、煌さんが白くて発言が強いから、それに擦り寄って守ってもらおうとしている人外なんじゃと思って来てる。自分を怪しんだ私を白く見ることで、私からの票も避けようとしてるんだって思った。」

真悟が、言った。

「オレは祈さん白を見てるからそれはないと断言できる。祈さんを黒塗りして利益があるのは人外だけだぞ。…と言いたいが、私情が絡んでるように見えてるからどっちか分からんな。」

裕馬が、ため息をついた。

「だから嫌なんだよね。ほんとにそう見えてたとしても、みんなからはただ妬んでいるだけに見えるからさ。そもそも、祈さんは怪しい所なんかないぞ?君は嫌味を言ったんだろ?正志が耳が良いから聴こえたみたいだけど。それなのに祈さんは別に、煌さんに言いつけたりしてないし、我慢ならなかったのは正志の方だった。そういうのをやめておけって言うんだよ。ゲームの間だけでも。分かったか?」

真希は、むっつりとした顔をして不貞腐れている。

亜由美が、言った。

「…とりあえず、収まらないようだったら本当に吊るしかないかも。だって、村が勝ちたいならこういうゲーム外のバイアスは排除したいでしょう。面倒が起きるかもしれないわ。それができるのは、確実に縄があるって分かってる初日だけだしね。」

清が、言った。

「分かっている。だが、余裕があると言っても1縄だけなんだ。できたら黒を吊りたい。だから、オレも含めて話してないグレーがもっと話して、裕馬が言う通りにグレー詰めして行くのが安パイだろうが。真希さんが真実黒だと思うならそこへ投票してくれたらいいが、今日は投票からも色を見たいから、明日出る霊媒結果と照らし合わせて、どこへ投票したかで色を探って行きたい。村人なら、怪しまれないようにきちんと考えて黒っぽい所へ投票するんだ。もし黒が吊れたら、そうでない所へ投票した者達は怪しまれると思ってな。」

色が全く見えていない村人にはキツイ要求だ。

だが、狂人である直樹にもまだ、全く色は見えていなかった。

「どうして私ばっかり責められなきゃならないの?!」真希は言った。「祈さんと煌さんだって、あれだけ一緒に居るじゃないの!人外同士で一緒に居るとか考えた事はないの?!真悟さんと咲子さんが偽だったら、あり得ることなのよ?!」

確かにそうだ。

だが、そんなあからさまな事を、あの煌がするだろうか。

咲子が、言った。

「あのね、私は煌さん白を見ているの。そもそもあんなあからさまな事があると思う?無いわよ。」

真希が、反論しようと口を開き掛けたところで、海斗が手を上げて立ち上がった。

「あーもう!ハイハイ!じゃあ僕、祈さんが白だと思うし守る!だって、占い師の中で疑わしい動きをしてないのは真悟さんぐらいだし、真悟さんが真の一人だと思うから。それでいいでしょ?真希さんだって煌さんと僕、祈さんの三人で常に居たら、問題ないでしょ?僕のご飯も、祈さんに作ってもらおうっと。言って来る!」

皆が茫然としている中で、海斗が立ち上がってキッチンの扉へ向かった。

他の男性達も、慌ててそれに倣った。

「あ、じゃあオレ達も行くか。」と、裕馬は皆を見た。「まだ食べてる人はゆっくりしてていい。」

だが、男性達は一刻も早くここから逃げたかったのか、すぐに立ち上がって海斗を追った。

そして、リビングへと出て来たのだ。


裕馬の説明を聞いてから、海斗が言った。

「だからねえ、僕がこれから一緒に居るよ?いいよね、祈さんは僕がお母さんみたいって言ったらそう思ってくれた方がいいって言ってたし。三人で居たら、誰も疑わないよ。僕白だよ、だから安心して。」

煌が、少し複雑な顔をした。

祈は、戸惑うような顔をした。

「私は良いけど、海斗さんは良いの?常に一緒に行動って面倒ではない?」

正志が、言った。

「だったらオレも。」え、と皆が驚いた顔をした。「4人だぞ。海斗が目を離すような事があっても、まさかの海斗襲撃とかあっても4人体制だったら強いぞ?ちなみに、オレも白だし。でも、これだけ集まったら人外も紛れてるような気がするのかな、みんな目線。」

清が、顔をしかめた。

「最初はそう思ったんだが、人外だったら仲間と接触できないから常に一緒ってめんどくさいと考えるはずなんだよなあ。何しろ、仮に人外が混じっていたとするだろ?全部が人外はあり得ない。普通に考えて。騙りにも居るからな。つまり、この中に村人が必ず居る。その村人に、あの時は居なかったとか、あの時は誰かの部屋へ行っていたとか、誰かと話していたとか証言される可能性もあるし、めんどくさいはずなんだ。それをかって出たんだから、海斗と正志は白く見える。人外が居たとしても、煌さんか祈さんのうちのどちらかだと思うな。まあ、どっちも白先だから今夜は吊り先ではないし、仮に人外だったら占い師達のどっちかが偽ってことになるから情報も落ちやすいな。」

裕馬は、頷いた。

「そうだよな。オレも思った。めんどくさいけどとりあえずこのまま見て、どうせ発言で白かったんだし他のグレーから精査するよ。」と、キッチンの方を見た。「…今頃、女子達は何を話してるんだろうな。全部が人外だとは思ってないけど、混じってるよなあ、あっちも多分。」

諒は、ため息をついた。

「ってことは、ラインがあるとか言われてるオレと和彦と、それから亜由美さんと詩子さんって事になるのか?真希さんを外せるか?…オレ的には、後々めんどくさいのに処理できなくて困るのは嫌なんだがな。もし祈さんが村、真希さんも村だったら、最終局面まで生き残ってたら面倒な事にならないか。真希さんは祈さんに入れるんじゃないのか。オレは死にたくないし勝ちたいんだが。」

それは、皆が思っていることだった。

裕馬は、言った。

「…それも合わせて考える。もう7時半だ、投票時間が近い。女子達を呼んで来よう。最後の話し合いをしないと。」

そうして、気は進まなかったが年下でもあるし直樹が立ち上がって、キッチンへと向かった。

誰に入れるのかはまだ決められていなかった。

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