ハーレム王の新しい嫁 3
……えっと、ピンチです。
私、アイリは今、人生最大の選択を迫られています。
強いていうならばDead or Alive……いえ、Dead or Dethでしょうか。
私は、ある男たちに追われ意識を失ってしまいました。
その時に捕まり、乱暴の限りを尽くされ殺されるのだと覚悟を決めたのですが、意識を取り戻した時は暖かいベッドの中でした。
その時、私の前に現れたのが、今、目の前で、私に究極の選択を迫っている男……ソーマさんです。
そして彼の横で、私が選択するのを待っている二人の妖精さんがいます。
彼女たちはアンジェさんとクリムさんと言って、ソーマさんのお嫁さんだそうです。
何故妖精さん二人をお嫁さんにしているのかは分かりません。
というより分からないことだらけです。
私が意識を取り戻し、色々あった後、皆さんは私に衣服と食事を与えてくれました。
まだ、何も説明もしていないのに、こんなに親切にしてくれるなんて、感謝しかありません。
ただ、食事を終えた後「自由にするわけにはいかない」と言われ、先程まで私が寝ていた寝所に連れてこられました。
ここまでは分かります。
誰だって、素性の分からない、得体のしれない不審人物を自由に歩き回らせることなんてできる筈がありませんから。
実際、私にとっても、ソーマさん達にとっても、お互いに敵か味方かが分からない状態なのですから。
そして、寝所に連れてこられた私は、衣類を剥ぎ取られました。
一応毛布を撒いて身体を隠していますが、とても恥ずかしいです。
でも、これは逃亡を防ぐためには有効な手段だと思います。……だって、こんな格好では逃げたくても逃げ出せませんから。
と同時に、この処置は、私を辱める為ではなく、私にある程度の自由を与える為なのだと思います。
今の私は拘束されていません。恥ずかしくて外に出ることは叶いませんが、逆に言えばこの部屋にいる限り、自由にしていいといわれているようなものだと思います。そうでなければ動けないように拘束されるはずですので……。
……そうですよね?そういう意味ですよね?間違っても私を視姦したいから脱がせたわけじゃないですよね?
……そうだといってくださぁぁい……。うぅ、ソーマさんの視線がやらしく感じますぅ。
うぅ……。でも、ここまではまだいいのですが、分からないのはここからですよ。
ソーマさんは、私をベッドに座らせるなりこう言ってきたのです。
「俺の嫁になって一生尽くすか、性奴隷になって一生ご奉仕するか選べ」……と。
ソーマ様は何を言っているのでしょう?
私はクリムさんに視線を向けます。
すると、面白くなさそうに、プイッと顔を背けられました。
さっきまで、口は悪いですが、色々と気遣ってもらっていただけに、ちょっとだけ淋しいです。
仕方がないので、アンジェさんに視線を向けます。
すると彼女は、「諦めなさい」というように首を振ります。
私はもう一度、彼の言葉の意味を考えます。
どっちを選んでも、同じように感じるのは気のせいでしょうか?
いえ、これには深い暗号が隠されているに違いないです。
私はよく考えてみます。今こそ私の灰色の脳細胞の活躍を見せる時なのです。
……ダメです。
いくら考えても、私はソーマ様に一生尽くさなければいけないという結論しか思い浮かびませんでした。
一縷の望みを託して、ソーマ様の後ろに控えているミレーネさんというエルフの女性に視線を向けます。
彼女は何やら様々な道具を用意していたのですが、私の視線を受けると、にっこりと笑って、手にしたロープを見せてくれます。
そのロープは、片方は柔らかい素材で出来ていて、もう片方は堅めの革で出来ているようでした。
彼女は視線で「どっちがいい?」と聞いているような気がしました。
……きっと私の気の所為だと思いたいです。
ただ、ミレーネさんの笑顔を見て分かったことがひっつだけありました。
ミレーネさんの笑顔と用意している道具から推察すると、どちらの答えを選んでも、私はこの後、大変な目に合いそうなのです。
「えっと、別の選択はないのでしょうか?」
私は勇気を振り絞って聞いてみます。
「別の選択か……。」
ソーマさんは少し困った表情を見せます。
そして考えた末に口を開こうとした寸前、遮るようにアンジェさんが目の前に来て言います。
「ないわね。あなたには気の毒だと思うけど。」
そして、私にだけ聞こえる声で(残された選択は、あなたが死ぬことよ。もちろん、どうせ殺すなら、という事で死ぬまで酷い目にあうわよ)と教えてくれました。
私のその答えにゾッとします。ソーマさんは優しい人だと思っていたのに……ちょっとショックです。
「何か勘違いしているようだけど、これはあなたへの精一杯の優しさなのよ。」
アンジェさんはそう言って、私に理解しやすいように説明してくれます。
「詳しくは言えないけど、ここは私達の拠点なの。今の時代、拠点の場所や内情が晒されるのがどれだけ危険な事か分かるでしょ?」
よくわかります。強固な人間族のエリアであっても、その内情は限られたものだけしか知りません。もし万が一、弱点などが漏れたら、そのエリア内全ての人々が危険に晒されるからです。
「危険を承知で、ソーマはあなたをここに連れてきた。……あのまま外に放置していたらあなたどうなっていたか分からないからね。ここまでは理解できる?」
私はコクンと頷きます。
意識が戻った当初は、ショックから色々と誤解してしまいましたが、ソーマさんは見ず知らずの私を、リスクを背負い込む危険を冒してまで助けてくれたのです。
少なくとも、それだけは感謝してもしきれない恩義を受けたと思っています。
「それで、私達はあなたの事情を知らない。話してもらったとしても、それが正しいのかどうかを確認するまで長い時間がかかるの。これは納得してもらえる?」
私は再びコクンと頷きます。
私の事を信用でいないというのはアンジェさんに言われなくてもよくわかるお話です。私にとっても、果たしてソーマさんが敵か味方なのか、信用できない状態なのですから。
これは命を救ってもらったこととは別の問題なのです。
「かといって、あなたが信用できると分かるまで、閉じ込めておくというのもね。常に見張ってるわけにもいかないし。かといって身動きできないように拘束しても食事や排泄のお世話しないといけないし、ぶっちゃけ面倒なのよ。」
「はぁ……ごめんなさい。」
アンジェさんの言いたいことは分かるし、正しいものの見方だという事も分かる。だけどねぇ、面倒って言われるとちょっとショック。
「まぁ、拾ったところに戻してらっしゃいって言うのが本当は正しいのかもしれないんだけど……ねぇ?」
アンジェさんが少しだけ揶揄うような目つきで私を見る。
確かにそうなのかもしれないけど、今捨てられたら、私は生きていけないって事はよくわかる。
聞いた話では、私の身に着けていた装備は壊れてしまっていたらしい。瘴気を遮断するあのマントがないまま外に放り出されれば、持って1日、下手すれば範囲地で命を失うことになる。それ以前に、外界をうろつく魔獣に襲われる方が早いかもしれない。
一度は死を覚悟したものの、折角ながら得体の地を無駄に捨てるわけにはいかなかった。
「まぁ、ソーマもね、拾った責任?それを果たそうっていうのよ。」
「それがさっきの選択なのですか?」
「そう言う事。あなたがソーマのお嫁さんになれば、身内になるわけだし、奴隷だったら主人の言う事に逆らえないでしょ?」
アンジェさんはそう言うけど、そんな簡単なものなのでしょうか?
もし、私がお嫁さんになるといって、自由を手にした後、裏切るとか考えていないのでしょうか?
私がそういうとアンジェさんはにっこりと笑って答えてくれました。
「大丈夫よ。あなたの事は信用しているし、それに何より、お嫁さんになるのなら、絶対に裏切れないと骨の髄まで浸み込むくらいに可愛がってあげるから。」
アンジェさんがそう言うと、準備が出来たのか、ミレーネさんが近づいてきて、私の毛布を剥ぎ取り四肢を縛り上げます。
身動き取れなくなった私の前で、アンジェさんとクリムさんが揃って答えを求めてきます。
「「奴隷?お嫁さん?どっちを選ぶの?」」
……姫様、ごめんなさい。私はソーマ様の元に嫁ぐことになりそうです。
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