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ハーレム王の新しい嫁 1

「はぁはぁはぁ……ここまでなのかなぁ……。」


私は息を切らせながらも走り続ける。


だけど、脚が思うように動かない。もはや走っているのかどうかも分からないくらいだ。


遠くから草を踏みしめる音が聞こえる。


「もう、そんな近くまで来たのっ。」


私は今にも倒れそうな身体に鞭打って、脚を動かす。


だけど、意識が朦朧として、その場に倒れ込んでしまう。


「ダメ……、逃げなきゃ……。」


私みたいな女の子が、アイツらに捕まったらどうなるかなんてわかりきっている。


幸いなのは、この場で犯されることは無いという事だ。


空気中の毒素の強いこの場所で、装備を外されれば、すぐに死んでしまうだろう。


奴らに辱められるくらいならそれもいいかもと思うが、奴らだって死体を抱く趣味はないだろうから、毒素が薄まるエリアの近くまで連れていかれる筈。


それまでの間に、何とか勝機をつかむことが出来れば……。


そう考えて、それが無理な話だという事を思い出す。


「姫様……メイちゃん……ゴメンね。」


私は意識が薄れゆく中、そう呟く。


完全に意識が途絶える前に、誰かが近づいてくる気配を感じる。


……あぁ、私はここまでなのね。


もう抗う力も気力も残っていない。


このまま私はどこかに連れて行かれ、男たちが飽きるまで嬲られ続けるのだろう。


姫様には申し訳ないが、このまま意識が戻らなければいいな……。


それが私が覚えている最後の意識だった。



「……ん、ここは?」


私が目を覚ましたのはふかふかのベッドの上だった。


こんな柔らかなベッドで寝たのは久しぶりだ。


あ、でも……。


私は何も身に着けていないことに気付く。


「……そう、私の純潔は散らされたのね……。」


思わず涙がこぼれる。


いつか、愛する殿方の為に、大事にしてきたモノ……だって、私にはそれくらいしかないから……。


だけど、それさえも失ってしまった。


私が意識を失っている間の出来事……私は何も覚えていない、誰が相手で、何人に、どれだけ慰みみのにされたのか、それすらも分からない……。こんな立派な寝具に寝かされていた所を見ると、複数人に力づくで乱暴されたわけじゃないかもしれない……だけど、それが何の慰めになるのだろうか。


「うっ、うっ……うっ……。」


堪えてもこみあげてくる嗚咽を、必死に押しとどめながらこれからの事を考える。


少なくとも、私を捕らえている者は、すぐに害するつもりはないようだ。


私に何かする気であれば、もっと、薄汚れた地下牢みたいな場所で拘束されているはずだからだ。


もっとも、意識を取り戻した私を、これからそういう場所に連れて行く気なのかもしれないが。


「意識がない相手を甚振っても面白くないし、何の情報も得られないからね。だとすれば……。」


そこに付け入るスキがあるかも、と私は考える。


もし、私を捕らえたものが、万が一にでも、私に好意を寄せてくれるなら、その好意を利用して……。


「だったらどんな手を使っても気をひかなきゃね。どうせ、もう、失うものは何もないんだし。」


私は自分の身体を見下ろす。


食糧事情が悪かったせいで少し痩せぎすではあるけど、オッパイは見せて恥ずかしくないだけの大きさを何とか保っている。


その顔でその体つきは反則よ!って、よくメイちゃんに言われてたから、少なくとも男の人の気を引くぐらいは出来るはず。


後は、うまくできるかどうかわからないけど、相手に媚びて甘えて見せて、出来るだけこちらの言う事を聞いてもらえるように誘導するだけ……。


「私にできるかどうかわからないけど……ううん、やるのよ、アイリ。私が頑張らなきゃいけないの。」


全てはメイちゃん……姫様の為に。


孤児だった私を救ってくれた彼女に報いることが出来るのは今しかない。


私がそう、決意を固めていると、ガチャッと扉が開く音がする。


いよいよだ……。


私は覚悟を決めて、入ってきた男に抱きついた。



「えーと、確かこの辺り……。ビャクレン、位置情報を送ってくれ。」


俺はブレスレットの魔石を通じてビャクレンと連絡を取る。


『その近くに女性が一人倒れているわ。他4人の反応はそこから500mほど離れた場所でウロウロしてる。どうやら女性を探しているみたいね。』


「了解……っと、女の子見つけたよ。」


ビャクレンと会話しながらあたりを探っていたら、藪に隠れるようにして倒れている少女を見つける。


『アンジェ様とクリム様がそちらに向かっていますので、その場で待機していてください。』


「いや、この先面倒な事が起きても困るからな。」


俺はそう言って、少女を柔らかな草の上に寝かすと、その場から離れる。


そして気配感知を頼りに、うろついている男たちの首を掻き切っていく。


何故ここに人族がいるのか?なぜあの少女を負っているのか?分からない事は多いが、すべてはあの少女が目を覚ましてから聞けばいい事だ。


少女が犯罪者で追われている可能性?……そんなの知らんよ。この子は可愛い顔立ちをしている。それで十分。可愛いは正義なのだ。


俺は、少女を抱き上げると拠点まで戻ることにした。


因みに絶命した男たちは放置だが、2~3日もすれば付近の魔獣が遺体を跡形もなく片付けてくれるだろう。



「……で、その子を嫁にするために攫ってきたの?」


拠点に戻ると、クリムが不機嫌な顔で待ち構えていた。


「本当に「お持ち帰り」してくるなんてねぇ。」


アンジェが呆れたように言う。


「人聞きの悪い事を言わないでくれ。俺は追われていた少女を助けただけだ。」


「ふーん、そこに下心はない、と?ただ純粋に人助けだと、そういうわけ?」


「当たり前だ。」


俺が下心だけで動くような男だと思われては困る。困っている女の子を助けるのは紳士の務めだよ。


「この子が目を覚ませば、助けた俺に感謝するはずだ。そこに付け込んで甘い言葉で篭絡して、モノにするんだよ。」


俺がそう言うと、アンジェとクリムが冷たい視線を送ってくる。


「……えっと、俺、また本音が出てた?」


コクコク……。


二人が思いっきり頷く。


「……まぁ、冗談は置いといて、この子を休ませてあげよう。」


「「冗談、ねぇ……。」」


アンジェとクリムの視線が痛い。


「さっき「本音」って自爆してましたよ」


寝所を整え終わったミレーネさんからも冷たいお言葉を浴びせられる。


「おにぃちゃん……、その子モノにするの?」


責めるようなミューナの視線が一番痛かった。



「どうだった?」


戻ってきたアンジェとクリムに声をかける。


拾った少女は疲労が激しく、体力、マナ共に衰弱していたので、アンジェがドレインの応用で、彼女にエナジーを注ぐことで回復を試みた。


ただ、アンジェの魔力だけでは不足なので、クリムが協力していたのだ。


本当は俺がやるつもりだったのだが、ベッドに寝かす前に、ミレーネさんの手によって彼女の衣類はすべて剥ぎ取られていたため、裸の女の子の側にソーマを置いておけない、と、二人が強固に反対したのだ。


因みに、衣類を剥ぎ取る際、彼女が装備していたごついマントとブレスレットは魔道具という事なので、解析するためにターミナルへ回している。


先程の報告では、ブレスレットは壊れているらしく、ノッカーさん達が修理できないかといじくりまわしているらしい。


「もう大丈夫よ。後はゆっくり休めば回復するわ。あの様子なら、夜には一度目覚める筈よ。」


「うー、結構持ってかれた。今夜話だからね。」


クリムはそう言い捨てて、アンジェと共に部屋へと戻っていった。


クリムとアンジェは、マナの消費を抑えるために、普段はピクシーサイズでいるのだが、俺とエッチするときは、普通の大人のサイズに戻る……まぁ、激しすぎる行為(クリム・アンジェ談)の為、事後はまた小さいサイズで過ごしているのだが。


だけど、今回予定外にマナを消費したため、今夜のクリムとの予定は延期、という事らしい。


ハッキリ言わなかったが、きっと明日のアンジェとの予定も延期なのだろう。


「くぅ……だから俺がやるって言ったのにぃ。」


俺の叫びはむなしく部屋の中で掻き消えるのだった。


夕食後、俺は少女の様子を見るために、客間の寝所へ向かう。


アンジェもクリムも、かなり消耗したらしく、夕食になっても起きてこなかったから仕方がないのだ。


そう、これは決してやましい行為ではなく、純粋に、病人の様子を見るための行動なのだ。


俺は心の中でそう言い訳しながら、そっとドアを開けた……。


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