ハーレム王、お持ち帰りがしたい。
「はぁ……。」
「おにぃちゃん、ため息なんかついてどうしたんですか?」
俺がテーブルに突っ伏していると、ミューナが声をかけてくる。
「あぁ、なんて言うか、新しい嫁が欲しい。どこかに落ちていないかなぁって。」
「……ぶぅ。おにぃちゃんはミューナでは満足できないんですか。……それは、その……おっぱいはおねぇちゃん達ほど大きくないけど……。」
ミューナがモジモジしながらそんな事を呟く。
それを見て、俺は失言したことに気付くが、遅かった。
「ご主人様?娘に手を出さないでってお願いしましたよね?娘に手を出さない代わりって事で、私にあんなことやこんなこと、色々ご奉仕させてますよね?」
ミレーネさんが怒りの形相で立ちはだかっていた。
「ご主人様は今度は女王様プレイをお望みでしょうか?」
「いや、そういうわけでは……。」
どうしよう、ミレーネさんが怖すぎる。
「いいでしょう、今夜から、私が、大人の魅力というのを骨の髄まで叩き込んであげます。」
「「「「「「ロリコン死すべしっ!」」」」」」
いつの間にか、ミレーネさんの背後にサキュバスたちが並んで、ミレーネさんに従っていた。
「あ、うん、それについてはまた今度な。っと、集落の視察に行ってくるよっ!」
俺は適当な仕事を口にして、慌ててその場を離れる。
因みに、ミューナはいつの間にかミレーネさんの手によって遠ざけられていた。
「はぁ……。ロリコンじゃないっての。」
俺はターミナルに逃げ込みながらそう呟く。
『マスターの性癖を検索……41%でロリコンの可能性あり。』
「うるさいよっ!」
ターミナルのビャクレンを一喝して黙らせる。
「それより、現状の報告を頼む。」
『了承。現在、集落地区に問題ありません。酪農地区の生産量については現状維持。農村地区の生産量ははやや低下ですが、許容範囲内です。鉱山ついて……。』
ビャクレンがエリア内の状況について次々と報告してくれる。
内容は昨日の定期報告時と何ら変わらない。
『……以上となります。つまり平和そのものですので、マスターが退屈するのも無理はないかと。』
「ありがとう。そうなんだよなぁ。」
現状は平和そのものと言っていい。
一度は死に別れしたはずのアンジェと再会できた。
クリムも大きくなった。
クリムとアンジェと契りを躱し、念願の脱童貞もした。
クリムとアンジェの体質により、エッチは1週間~10日に1日だけという制限はあるが、その他の日にヤりたければ、ミレーネさんやサキュバスたちが相手をしてくれる。
念願のエッチ三昧という日々を送っていて、これ以上何を望むのだろう。
「そんなの決まってるっ!嫁が足りないんだよ、嫁がっ!」
別に、アンジェ達に飽きたという訳でもない。アンジェ達は可愛いし、愛おしい。エッチをするときは、朝までやっても足りないぐらいに燃える。
「だけどなぁ……。分かるだろ?毎日コーヒーを飲んでいたら、たまには紅茶を飲みたくなるんだよっ!」
『はぁ……、おっしゃりたいことは理解できますが、そう言う事は、奥方の居らっしゃらないところで言うべきでは?』
「だからここで言ってるんだろ?」
俺にとって、最近のターミナルは愚痴の吐き出し口だったりする。
『はぁ、そうですか……。(マスターはここでの会話ログはすべてアンジェ様にチェックされているって事を知らないようですね)』
「だからと言って、ミューナはまだ幼いから手を出せないだろ?」
『手を出す気はあるんですね、やっぱりロリ……。』
「うるさいよっ!」
俺は手近にあった缶をビャクレンに向かって投げると、カンっと小気味いい音が響く。
何故、空き缶がそこにあったのかは謎だが、深く考えたら負けだと思っている。
『はぁ、それで、マスターは何をお望みで?』
「そうだなぁ。例えば、この近くの森を旅している女の子が、森にすむ魔獣に襲われる。絶体絶命というその時に、俺が颯爽と現れて魔獣を倒し少女を救う。命を救われた少女は、吊り橋効果と相まって、恋に落ちる……。ってのはどうだ?それがお姫様だったりした日にはもぅ、もうっ!」
『……8%未満。ダメですね。』
「何でだよっ!」
俺の妄想に対し、ビャクレンは冷静にダメ出しをする。えぇぃっ、何がだめだって言うんだよ。
『まず、この近くの森に迷い込めば、80%以上の確率で魔獣に襲われることは間違いないでしょう。』
「だろだろっ?だから常に監視体制を敷いておけば、いいタイミングで飛び込めるじゃないか。」
『……マスターが助けに入ったとして、近くの森の魔獣との戦闘で勝利する確率47%。半分を切っています。さらに、ウルフ種など複数相手の場合、助け出す前に勝利できる可能性は10%を切ります。』
「うっ、それは……。」
この近くの森を根城にしている魔物や魔獣は、ゴブリン、コボルト、ロケットウルフ、トロール、ビックボアなど、多岐に渡る。
その中で、俺か確実に倒せるのはゴブリンとコボルト、そしてビックボアだけだ。
ロケットウルフも1対1であれば倒せるのだが、奴らは常に群れで行動している。しかも、大抵の場合、群れを率いているのは上位種だったりする場合が多い。
複数いても倒す自信があるコボルトやゴブリンであっても、5匹以上いれば、全滅させる前に、護る対象が襲われる可能性が高いし、奴らも上位種に率いられていれば、脅威度は一気に上がる。
『それに何より、マスターはお忘れかと思いますが、普通の人族は、特殊な装備がなければ外界を歩くことが出来ません。そして、特殊な装備を用意して迄外界に出てくる場合、何らかの事情があるわけで、あえて危険な森の中に踏み込む可能性まで考えると、7%以下、そしてその相手が貴族以上の女性となると1%未満となります。』
「あーっ、そうだったぁっ!」
完全に忘れていた。今の状況で人間の女の子に会いたいのであれば、こちらから、人族のエリアに行く方が早い。
「じゃぁじゃぁ、近くにダンジョンが出来ただろ?そこを攻略に来た女性冒険者がダンジョン内で危険な目に遭い気を失う。それを俺が助けだしてここに連れてくるんだ。ここの秘密が外部に漏れるのは好ましくないから、その女性冒険者は、命は助かったものの、ここから逃げ出すことは出来ない。軟禁状態で唯一の慰めは、見舞いに来る俺との時間だけ。そういう閉鎖的な状況下で、次第に俺への恋心が芽生え、俺から離れられなくなる……。これならどうだ?」
『……マスターの妄想力に敬意を表します。でもダメですね12%。無いとは言えないけど、まず無理、というレベルですね。』
「クゥッ……ちなみに理由を聞いていいか?」
『まず、冒険者という立ち位置であれば、外界に出ている可能性は十分あります、60%。しかし、その冒険者が、ここのダンジョンを見つける確率となると30%以下まで下がります。』
3割であれば意外と高いと思う。ビャクレンによれば歩いて10日ほどの所に人族の住むエリアがあるらしいので、そこに冒険者がいればこの近くまで来る可能性もある、とのことらしい。
『ただ、ダンジョンを見つけた冒険者の中に女性が含まれている確率は非常に低いと言わざるを得ません。その女性が恋に落ちる云々を無視し、期待値をおまけして、辛うじて10%越えと言ったところでしょうか。』
「くうっ、何でだよ……。」
俺はビャクレンの冷静な分析に頷くよりほかなかった。確かに、女性冒険者の割合は非常に低い。だからこそ、ハーレムパーティなんか組んでいれば、実質はどうあれ、理由もなく目の敵にされるのだ。
「じゃぁ……人族の住むエリアは10日ほど行ったところなんだろ?だったらそこに行って、奴隷の少女を買ってくるっ!これならどうだっ!」
『ホントに、次から次へと……。まぁ、今までよりは現実的ですね41%です。』
「それでも半分いかないのかよっ!……ちなみに理由は?」
『まず、人族エリアで奴隷の売買が行われているかどうかが分かりませんので50%。売買が行われていれば、確実に女性は売られているでしょうから、そこからのマイナスはありませんが……。』
「他にマイナス要因があるっていうのか?」
『えぇ、それも極めて重要な……本来であればこの要因で5%未満という所ですが……。』
「何だよ、その重要な要因ってのは。」
『……お金がありません。』
「はっ?」
『お金がありません。』
「……そう言えばっ!」
俺は頭を抱える。ここで暮らす分には通貨は全く必要ないので忘れていた。
『まぁ、現状で、人族エリア内の経済がどうなっているか分かりませんので、場合によっては、このエリア内のモノが売れるかもしれませんし、物々交換が成り立つ可能性もあります。しかし、購入される奴隷の価格、及びここまで連れてくるための装備、道具一式にどれだけかかるか分かりませんので、一応前世界の経済価値と比較検討いたしまして、期待値も込めて41%になります。』
「盲点だった……。」
俺はショックで項垂れる。
『……マスターの運に驚愕いたします。』
「ん?」
『侵入者です。エリア内に侵入してくる人間がいます。……その数、5。うち一人は……女性です。』
ビャクレンの呆れた声がターミナル内に響くのだった。
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