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ハーレム王の切実な問題 1

「ファイアーボール!」


私の放った火球が犬の頭をした魔物……コボルトの胴体に当たり爆散する。


……これで終わり……っとソーマは?


私が視線をずらすと、ソーマが、コボルト2匹を相手に奮闘している。


奮闘というか虐殺?


逃げようと藻掻いている1匹を踏みつけて逃さないようにしながら、もう一匹に斬撃を浴びせ続ける。


その一種の狂気じみた姿にドン引きすると同時に、少し心配になる。


最近のソーマは少し余裕がない。


どこかイライラしているかと思えば、逆にどーんと落ち込んでたり、とにかく精神的に不安定な感じがする。


今も、魔物を倒すというより、やり場のない苛立ちをぶつけているだけのように感じる。


格下のコボルトやゴブリン程度なら問題ないけど、もう少し格が上がった魔物相手になると、その隙を狙われかねない。


これは、一度真面目にソーマと話し合う必要があるかも?


私は戻ったらソーマと話すことに決めた。話を聞けば、私でも力になれることがあるかも?


このときの私は、割とマジでそう考えていた……。



「で、なんでこうなってるのかなぁ?」


私は今、裸に剥かれて、身動きができないように固定されていた。


やったのは、目の前にいる、血走った目で私を見ているソーマだ。


何故こんなことになっているかというと………。



「ねぇソーマ。何か悩みでもあるの?」


私はターミナルに戻ると、ソーマにそう訊ねてみる。


「ん、何でそんなことを?」


「何でって、ソーマが最近おかしいからよ。私にできることなら何だってするよ?だから話してみて。」


悩みなんてものは、人に話せば5割方解決するものだ……と以前読んだマンガに書いてあった。


入退院を繰り返し日常の殆どをベッドで過ごしていた私にとって、読書やネットで得られる情報が全てであり、信用に値するものだったから、今もその知識を総動員して、ソーマの悩みに全力で応えようと、私は張り切っていたのだが……。


「……今のお前じゃぁ、無理だな。」


ソーマは、私を一瞥したあと、そう言って背を向ける。


力になろうと、健気に考えていた私にとって、その答えは非常に乙女心を傷つけるものだった。


「なんでよっ!そんなの話してみないと解らないでしょ。」


「わかるんだよっ。とにかく無理なんだって。」


「いいから話せぇ~。」


「ムダだって言ってるだろ!」


そんなやり取りを続けた結果、ソーマがとうとう折れる。



「まぁ、その………なんだ………。」


「だから、何?」


話すといったくせに、ソーマの歯切れが悪い。少し苛立ったから、ついキツめの口調で先を促す。


「だからな、その………、……いんだよ。」


「えっと、よく聞こえないよ。」


ソーマの言葉は、後半モニョモニョしていてよく聞こえなかった。


「だから、ヤりたいんだって!欲求不満なんだよっ!」


ソーマが吹っ切ったように大声を上げる。


「はぁ?」


私にはソーマが何を言っているのか、一瞬理解できないでいた。


「そうだよっ、だいたい俺はハーレムを目指しているんだ。そして嫁ができたはずなのにエッチができない。苦労してその問題が解決したと思った矢先にすべての嫁を失って、こんなところに閉じ込められているって、どんなクソゲーだよっ!」


そんな私の反応をものともせず、堰が切れたように喚き出すソーマ。


「だいたいクリムだって悪いんだぞ。そんな格好で挑発して……。」


ソーマが私を見る。そしてその目が妖しく光る。


「そうだよなぁ、そういえばさっき、何でもするって言ってたよなぁ。」


「えっと、ちょっと待って………って、イヤぁ~。」



………で、ソーマに捕まって、身動き出来なくされて、裸に剥かれたんだけど………。


目の前に、綿棒みたいなものが迫ってくる。


ソレは狙い違わず、私の胸の先の敏感なところを、強弱をつけながら責めてくる。


「ァン……ダメだってばぁ~。」


その巧みな手捌きに、思わず声が漏れる。


「ほらほら、もっと声出せよ。」


そんな私の反応に気を良くしたソーマは、更に激しく責め立ててくる。


「ァン……ァんッ……、も、もぅ、ダメェぇぇ、アッ、ンンッ〜〜……。」


ただでさえ、絶妙な所を責められていたのに、更に激しくされたら耐えられるわけがなかった。


ブシャッ!


私が達すると同時に、粘っこい白い液体が私の体全体を覆うようにかけられる。


………あぁ、ソーマのね。


私はその液体の正体に気づき、憤りを感じるが、文句を言おううとソーマを見た途端、その気が失せる。


ソーマが、目に見えて落ち込んでいたからだ。


欲求不満が弾けて勢いで私を襲ったものの、発散して我に返ったことで、自分のやったことに自己嫌悪を覚えているのだろう。


……マジに何か考えないといけないよね。


私は周りの匂いに耐えながらそんなことを考えるのだった。



「……ということで、何かいい方法はない?」


私は開放されたあと、念入りに身を清めてから戻ってきて、ターミナルのビャクレンにそう訊ねてみる。


『そうは申されましても、質問が抽象的すぎて………。』


流石のターミナルでも、すぐに答えは出なかった。


だけど、しばらく待つと、ターミナルに反応がある。


『……一時的に性欲を抑える薬などは如何でしょうか?性犯罪者に対する刑罰に使用されていたものですので、効果は保証付きです。』


「それ良さそう。ソーマが我慢できなくなったときに服用してもらえばいいんだよね。」


流石は叡智を備えたターミナル様。ちゃんと解決策を導き出してくれる。


これで私の貞操は安心、と思ったのに、当の本人から待ったの声がかかる。


「ちょっと待て!その『性犯罪者の刑罰』って言うのが気になる。なんか副作用とかあるんじゃないか?」


『副作用ではなく正当な効果として、『数回服用すれば、完全に勃たなくなる』というものがあるだけで、副作用なんてものは特にございません。』


「問題ありじゃねぇかっ!」


『この薬が多用されていた時代では、性犯罪者に勃たなくなるまで服用させたあと、被害者の女性達が煽情的な格好で加害者を挑発し「勃たないのか?このイ○ポ野郎!」と罵るところまでが刑罰だったと記されています。』


「なんて恐ろしい刑罰なんだ……。」


ビャクレンの言葉を聞いて、ソーマが恐れ慄いているけど、性犯罪者なんてもっと思い処罰を与えてもいいと思う。


「……じゃぁ、クリムを普通の人間サイズに大きくするような薬はないのか?」


恐怖から立ち直ったソーマがそんなことを訊ねる。


……ん、まぁ、私としても、ソーマとできるならいいけど。


『……24時間限定という制限付きでよろしければ、存在します。』


「マジかっ!早速調合してくれ。」


ソーマが食い気味にそう訴える。


「……また何か副作用とかあったりするんじゃないの?」


私はそんなソーマを押しのけてビャクレンに訊ねてみる。


『………。』


しかしビャクレンは無言で返してくる。


「あるのね?副作用。」


『…………ハイ。一回使用するごとにバストサイズが1cm縮みます。』


私の無言の圧力に耐えかねたのか、ビャクレンが白状する。


「却下!その薬、レシピごと焼却処分して。」


「なんでだよ~。いいじゃないか、1回や2回ぐらい。減るもんじゃないし。」


「減るわっ!物理的に胸が減るわっ!」


私はソーマに思いっきり電撃をくらわす。


コイツはヤりたいからって、乙女の事情を無視しやがる。危険だよ。


私はマジに、さっきの『勃たなくなる薬』を飲ませようかしら?と考え始める。


「あ、ま、まぁ、冗談は置いといて、他に方法はないのか?」


復活したソーマがそう問いかける。


……マジだったくせに、冗談だったということで誤魔化そうとしてるね。……まぁいいけど。


『……しばらくお待ちください。』


私とソーマは、言われたとおり、じっと待つことにしたのだが、ターミナルの光の明滅を見ているとなんだか眠くなってくる……。



『お待たせしました。』


どれくらい待ってたのだろうか?半分夢心地だった私は、その声に意識を覚醒させる。


「いい方法見つかった?」


『色々検証した結果、クリム様が通常の人型サイズになるのが一番の早道という結果がでました。』


「出来るのか?すぐやれっ、いまやれっ!」


ソーマはターミナルに掴み掛らんばかりに身を乗り出して叫ぶ。


「ソーマ、落ち着きなさいよっ!」


私は軽い電撃を当てて、ソーマを静かにさせる。


「で、その方法は?変な副作用とかあるわけじゃないよね?」


『クリム様が進化すれば、万事解決します。』


「「はっ?」」


私とソーマの声が重なる。


ターミナルが提示したことに、私たちはどう答えていいかわからなかった。







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