ハーレム王の遺跡探索 2
「ここが遺跡?」
俺は周りを見回して、思わずそう呟く。何故なら、そこは周りにはなにもない更地だったからだ。
「騙されたのかなぁ?」
「まだそうと決めつけるには、早いんじゃないのかな。取り敢えず周りをもう少し探索してみましょ。」
残念そうに言うクリムにアンジェが応える。
そして数時間後、みんなの顔に疲れも見えてきて、そろそろ休憩をしようか?と言おうとしたとき、ビャクレンが喜びの声を上げる。
「有りましたっ!皆さん入り口を見つけましたよっ!」
俺達はビャクレンのもとに集まる。
ビャクレンが指し示すそこには、茂みに隠されてよく分からなかったが、茂みをかき分けると人が一人通れるぐらいの穴がポッカリと空いていた。
「よく見つけたなぁ。」
「遺跡探索なら任せてください。これは隠し通路の一つだと思われます。ウワモノの建物が無くなったのでこうして見つかりましたが、本来であれば……。」
ビャクレンの薀蓄が始まったので俺達は放置して穴の周りを調べる。
「ハシゴみたいなのがあるわね。取り敢えず崩れることは無さそうね。」
「深さは……10mといったところか。暗いな。」
「それなら任せて………『光よ!』」
クリムがライトの魔法を唱え、光の玉を穴の中に投げ込むと、底のほうが薄ボンヤリと明るくなる。
「………というわけなのですが、って聞いてますか?」
ビャクレンが、独語をやめてこっちの世界に戻ってくる。
「聞いてる聞いてる。じゃぁ先に降りるな。」
俺はビャクレンを適当にあしらうと、穴の縁にあったハシゴに手をかけ、慎重に降りていく。
暫く降りると、ようやく床に足がつく。クリムのライトの魔法のお陰で、周りの様子は伺える。
俺が降り立った場所は、人が10人程立てる程度の広さがあるが、その奥には人が2人並んで歩ける程度の通路が伸びているだけだった。
そのことからも、ここがビャクレンの言う通り、隠し通路の入り口で間違いないとおもう。
俺がそんなことを考えていると、アンジェが、クリムが、そしてビャクレンが次々と降りてくる。
「この先に進むしかないみたいね。」
アンジェがそういう。どう見てもここが行き止まりなので、目の前の通路を進むしかないことは、誰の目にも明白だった。
先頭にビャクレン、その後ろにクリムとアンジェが並び、最後尾に俺という順で通路を進んでいく。
途中、右へ左へとカーブが続いたが、基本一本道で迷うことはなかった。
そして、心配していた罠やモンスターの気配もなく、俺達は広間に出ていた。
そこは何らかの儀式に使われるための広間のようで上手の方に祭壇らしきものがある外は、何もないただっ広い広間だった。
「なんか雰囲気が違うわね。」
クリムが周りを見ながらそう言う。
「確かに、ちょっと違いますね。少し調べてみますので、周りの警戒をお願いします。」
ビャクレンがそういって祭壇周りを調べ始める。
俺たちは、何もない大広間を見つめて、あたりに気配がないかを探りつつ警戒を強める。
しばらくして……。
「アッ!」
「どうしたっ。」
ビャクレンが小さな悲鳴を上げたため、注意がそちらに向く。
「すみません。ガーディアンに引っかかってしまいました。気を付けてください、すぐに来ますっ!」
ビャクレンのその言葉が終わらないうちに、ゴゴゴ……っと、広間の床が盛り上がり、3体のゴーレムが姿を現す。
背丈は5mぐらいで、ゴーレムにしては小さいほうだ。しかし、その体表は、金属なのは間違いないが、鉄や青銅といった、一般的な金属と違い、見たことのない輝き方をしている。
「何のゴーレムかわからないけど、クリム頼んだっ!」
俺はクリムにそう声をかけると、武器を取り出し、ゴーレムの背後へと回り込む準備をする。
「任されてっ。クリエイト・ゴーレムっ!」
クリムが魔法を唱えると、相手のゴーレムの半分ほどの背丈のゴーレムが5体出現し、それぞれ、ゴーレムの動きを阻害し始める。
「からのぉっ……、アイシクル・コフィンっ!」
敵ゴーレムの周りの気温が急激に下がり、その場を凍らせ始める。
ゴーレムの体表は高い魔法抵抗があるのか、凍り付く様から次々と氷を砕いていくが、足元までは追い付かないようで、その場に拘束される。
「動きを止めたら、単なる的だよねっ。……アイシクル・ランスっ!」
クリムが氷の矢を次々と放っていく。
しかし、やはり魔法抵抗力が高いのだろう、あまりダメージを与えているようには見えない。
きぃんっ!
俺は背後からゴーレムを切りつける。
相手は動けないので、背後に回る意味が少なかったが、それでも奇襲は背後から、というのは様式美だ。
謎の金属はかなり固く、俺の持つショートソードは簡単に弾かれてしまう。
しかし、俺は落下しながらも、ゴーレムの継ぎ目……関節部分を狙って切り付けていく。
ガキッ!
「よしっ、関節部分はやはり弱いぞっ!」
構造上の関係か、関節部分は他の部位に比べて、刃が深くまで食い込む。
「アンジェ様、ここをお願いします。」
魔法攻撃より、物理攻撃の方がダメージが大きいと見てとったビャクレンは、祭壇の制御をアンジェに任せると、愛用の剣を抜いて、手近なゴーレムに対して切りかかっていく。
ゴーレムたちは、クリムの魔法と、クリムが呼び出したゴーレムたちによって動きが阻害されており、連携はもとより、自身の敵に対する迎撃すらおぼつかなくなっている。
どれくらい戦っているだろうか・・・・・。
動きが鈍いと言ってもゴーレムの身体は頑丈で思った以上にタフだった。
縦横無尽に動き回り、切りつけている俺とビャクレン、そして魔法で援護してくれているクリムに疲れが見え始めたころ、アンジェから声がかかる。
「そのゴーレムの弱点が分かったわ。額と首元、それに胴体の中心にあるクリスタルを破壊してっ!それが制御装置になってるわっ。」
アンジェの言葉を聞いて、改めてゴーレムを見てみると、確かに言われた場所に光る石が埋め込まれている。
「そうと分かればっ!……クリム様、援護お願いしますっ!」
そういってゴーレムに正面から向かっていくビャクレン。
ゴーレムは当然、ビャクレンを迎え撃つために、その上腕を振り上げる。
「やらせないよっ!ソル・レイッ!」
クリムがその腕に向かって光のレーザーを放つ。
「てぃりゃぁぁぁぁぁぁっ!」
動きを止めたゴーレムに向かって大きくジャンプしたビャクレンが、その手にした剣を真下へと振り下ろす。
剣筋は見事にゴーレムの身体の中心を真っ二つにするかのように続いている。そしてその場所には、当然のことながら三つのクリスタルが存在していて、それが真っ二つにわられている。
ビャクレンが受け身を取りつつ着地するのと、ゴーレムが崩れ落ちるのは同時だった。
「次、行きますっ!」
ビャクレンはすかさず、次のゴーレムに狙いを定める。
そして同じようにクリスタルを砕き、気づけば、俺の目の前にいた三体目も、ビャクレンが倒していた。
三体のゴーレムが崩れ落ち、しばらく見守って、完全に停止したことを確認すると、ようやく俺たちは一息つく。
「ビャクレン、助かったよ。」
「いえいえ、アンジェ様が弱点を探し出してくれたおかげです。それに、クリム様の的確な援護がなければ、あそこまで簡単にはいきませんでした。」
「それでも、助かったのは確かなんだkら、ビャクレンはもっと誇っていいぞ。」
「ありがとうございます。」
俺が頭をなでながらそう言うと、ビャクレンは頬を染めながら小さな声でお礼を言った。
「アンジェ、どうだ?」
俺たちは祭壇で操作しているアンジェのもとに行くと、ちょうど、何かを発見したようで、アンジェが俺たちに向かって一言告げる。
「通路が開くわ。」
アンジェの言う通り、何もなかった空間にいきなり扉が現れ、その扉が開く。
「あの先に行けってことだよな?」
この先に何があるのか、全く情報のないまま、俺たちは慎重に扉をくぐるのだった。
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