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ハーレム王の遺跡探索 1

「遺跡が見つかった?」


「えぇ、ある貴族からの情報で、裏付け捜査はこれからなのですが……。」


情報を持ってきたアリーシャがそう答える。


「……ギルドは知っているのか?」


「貴族の話では、ギルドに知らせてないとのことですが……こればっかりは信じるしかないですね。」


「だな。」


古代遺跡やダンジョンを発見した場合、下手に手を出さずに、ギルドへ報告する義務が冒険者にはある。


しかし、その制約は冒険者だけであって、貴族や商人たちには適用されない。


つまり、貴族や商人が見つけた場合は、ギルドに報告せず、私的に調査して、中のお宝を持っていくということが多々あるのだった。


とはいっても、実際に探索するのは、貴族や商人が雇った冒険者なので、一度雇ってしまえば、その依頼終了とともに、その存在がギルドに知れることになる。


ギルドとしては、このような状況を快く思っていないが、実際のところ、1回の探索で出来ることなどたかが知れているので、そこは貴族の顔を立てて……といった具合にお互いに暗黙に了承済というのが現状だった。


そして、今回アリーシャが仕入れてきた情報は、そんな報告前の遺跡の存在だった。


遺跡と言っても、様々なものがあり、代表的なのは『塔』『祭事場』『屋敷』などがある。


塔は、古代の魔術師が自らの研究のために建てたものと言われていて、その場合、貴重な研究資料やマジックアイテム、素材に研究資金といったように、間違いなく膨大なお宝が確約されている、いわゆる当たり物件だ。


ただし、確実にその塔を守る守護者(ガーディアン)がいることも間違いなく、研究で生み出された異形の魔物が徘徊していたりすることもある。


また、当の持ち主の性格によっては、塔の中が迷宮(ダンジョン)になっており、致死性のトラップがふんだんに設置されている場合もある。


なので、塔の遺跡の攻略には時間がかかることが多いので、貴族や商人も見つけたらすぐに報告して発見報奨をもらうだけにとどめることがおおい。簡単に言えば割に合わないのだ。


そして、祭事場。


これは、宗教的意味合いの多い建物が多く、古代にそこで、何かの儀式が行われたのだろうと言われている場所だ。


祭事場で発見されるもののほとんどは、宗教的に意味のある祭具や、飾ってある絵画などの芸術品などがほとんどで、稀にロストテクノロジーと言われる技術を使った、大掛かりな装置が見つかることもある。


それだけに、祭事場の遺跡が見つかった場合は、国が絡むことが多いので、一介の貴族や商人にしてみれば荷が重く、ハズレと言える。だから催事場の場合も見つけたらすぐに報告する場合がほとんどだ。


そんな貴族や商人たちの狙い目は、屋敷だった。


今の時代まで、遺跡として残っているような屋敷は、当時の権力者の者が殆どで、その権力にあかせて、守りの魔法をかけて保護していたものが、現代まで朽ちずに残っている。


当時の権力者がそこまでして守りたかったもの……つまりお宝がそこにあるということで、そして、いくら権力者と言えども、自宅の宝物庫を守るために守護者を置いたりはしない……というか出来なかったのだろう。


守りの魔法で防護を固めればそれで済んだという状況だったのかもしれない。


だから、屋敷の遺跡からは当時の大事なもの……財宝が眠っていることが多い。


まぁ、中には、「何でこんなものが?」と頭を抱えたくなるものもあったりもするが、大抵の場合は、当時の通貨や宝石、芸術品が殆どで、たまにマジックアイテムが残っていたりもする。


ダンジョンなどとは違って、ほとんど邪魔が入ることが少ないため、1回の探索で大きなリターンが見込めるため、貴族や商人たちは、屋敷の遺跡を中心に情報を集めているといっても過言ではなかった。



そして、今回、アリーシャが持ってきた情報は、祭事場の遺跡について。


前述のとおり、探索者を雇ってももうけが出ることがほとんどないため、すぐに報告する案件だったが、今回、アリーシャたちが遺跡の情報を探っているというネタに釣られたというわけだ。


ハズレの遺跡で、報奨金と言っても大した額でもないので、そのままギルドに報告するより、アリーシャたちに売ったほうが得だと考えた。なんといっても、アリーシャたちの提示する報酬が、最近話題になっているドワーフ製の最高品質のグラスなのだ。


現物は数が少なく1~2個しか手に入らないが、場合によっては製造元のドワーフに話をつけれる人物を仲介してくれるという。


ハズレ物件の情報を流すだけで、それだけのものが手に入るのなら、と、簡単に食いついてきたのだ。


「それで場所は?」


アンジェが地図を広げながら、アリーシャに訊ねる。


「えっと、地図だと、大体この辺りかな?」


「惑わしの森と刹那の山脈の間あたりね……ギリギリ範囲内ってところかしら?」


「マジか。じゃぁ……。」


アンジェの言葉に、俺は身を乗り出す。


「えぇ、あたりの可能性が高いわ。」


「距離は……馬車で1日ってところか。向こうでの探索に1~2日、帰りに1日と考えると3~4日……5日も観ておけば十分か。」


「そうね、ただ、あまり大勢でゾロゾロと行くのはやめた方がいいかも。」


「それもそうだな。あまり目立つのは避けたいしな。」


そうなると探索メンバーをどうするか……。


「俺とアンジェとクリム、それにビャクレンを連れて行こう。リズは悪いけど、他のみんなと、ここの店番を頼めるか?」


色々な面から、探索にアンジェを外すことは出来ない。そしてそれなりに繁盛している店を、何日も空にするのはよくない。


だからと言って、クリムの火力は、何があるかわからない探索行には必須だ。そうなると自然と店を任せられるのはリズしかいなくなる。


それに、リズは戦闘向きではないので、安全な街の中で店を守ってもらう方がいいとも思う。


そして、遺跡探索と言えばビャクレンの知識が必要になる。


以上のことから導き出した、完璧な布陣だったが、なぜかリズを残しておくのがよくない気がする。


「ヤダなぁ。おにぃちゃん、そんなに私が頼りないですかぁ?」


俺が思う不安を告げると、リズが笑い飛ばす。


「大体、このお店はおにぃちゃんがいなくても回るけど、私かクリム姉様がいないと回らないのが現状ですよ?だから私がしっかりお店を守るので、おにぃちゃんは安心していってきて。」


リズにここまで言われては、引き下がるしかなく、俺は不承不承頷くしかなかった。



そして数日後……。


「おにぃちゃん行ってらっしゃい。お土産よろしくねー。」


笑顔のリズたちに見送られて、俺たちは遺跡を目指して出発するのだった。





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