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ハーレム王の相談屋 3

「やっと着いたのね。」


目前に見える街の入り口を見て、カミーラが疲れたような嬉しそうな、複雑な表情で声を上げる。


しかし、それも無理はないだろう。


なんといっても、ここに辿り着くまでに2週間以上かかったのだ。


当初の予定では、のんびり移動して5日だった。


しかし、森の中に入って、マーダーウルフたちとの遭遇の後、なぜか色々な種族との邂逅を果たした。


インフェルノ・グノーシスビーと呼ばれる巨大な蜂、ディアブロ・スピンと呼ばれる大蜘蛛、キラー・ヘルヴァイパーと呼ばれる大蛇、ブラッディ・ベアと呼ばれる大熊などの魔物のほか、ラミア族、ミノタウロス族、リザード族、ハーピー族などの魔族たち、そして、なぜか多種多様なスライムたち……。


とにかく、歩くたびにそれらの者たちを遭遇し、時には平和的に話し合い、時には問答無用で殲滅していたら、それだけの日数がかかったのだ。


特に、カミーラたちは、必要に応じて、ヴァイセエリアへ連絡してもらうために、行ったり来たりしていたので、余計に疲れたと思う。後でゆっくりと労ってやろう。


ちなみにグノーシスビーはハムの村にいるクインビーと、ディアブロ・スピンはデススパイダーと既知のようで、俺の髪に隠れてついてきたアルケニちゃんが、間に立って交渉し、以後、ヴァイセエリアを中心に俺のエリアで協力してくれるとのことだった。


ヘルヴァイパーやブラッディベアなど他の魔獣たちは、クロたちの戦いを見てうずうずしていたクリムの、ストレス発散の捌け口となって、姿を見せた直後には、丸焼けにされていた。


そして、ラミア族達魔族は、マーダーウルフたちと同じく、以前住んでいたところを追われ、森の中を彷徨っていたところで俺たちと遭遇しただけであり、敵対の意志はなく、むしろ、アンジェやカミーラを見て、出来ることなら自分たちも庇護下に入りたい、と言い出す。


とにかく、ここでは詳しい話も出来ないので、ヴァイセエリアまで移動してもらい、そこでの生活を実際に目にしてもらい、自分たちに何が出来るかを考えてもらうことにした。


庇護下に居れる入れないは、俺が戻ってから考えるので、それまでは客人として考えながら過ごすようにと言って送り出した。……ついでにスライムたちも一緒に連れて行ってもらう。


一度に、多種多様の魔族たちを送り込まれたハルナ達は、今頃大変だとは思うが、頑張ってほしい。



「で、これからどうするの?」


街に入ってしばらくしてから、アンジェが聞いてくる。


「とりあえず、住む場所兼店舗を探さないとな。だから、まずは商業ギルド?へ行ってみようと思う。」


「そういう事なら、私たちはとりあえず一緒にいない方がいいかもしれないわね。魔族は忌避されてないって話だけど、見たところあまり見かけないから、一応用心しておくわ。」


俺の答えに、アンジェはそう返す。確かに、もう少しこの街のことを知るまでは、アンジェ達が魔族だとばれないようにしておいた方がいいだろう。


幸いにも、アンジェもカミーラも、その長い髪で魔族の特徴でもある尖った耳を隠し、空を飛びさえしなければ、だれも魔族だとは思わないだろう。


それでも、その人間ではありえないほどの内包魔力量から、魔族と疑われるかもしれないので、用心しておくに越したことはないだろう。


「そうだな。じゃぁ、アンジェ達は適当に街をぶらついて情報を集めておいてくれ。夕刻、そこの宿屋の前に集合な。」


俺はアンジェ達にそう告げると、クリムとリズを伴って、商業ギルドを探すため、街中へ繰り出した。



「と、そうだ。商業ギルドの前に冒険者ギルドに行かないとな。」


「なんで?後じゃダメなの?」


リズがそう聞いてくる。


「あぁ、実は金がない。」


「えっとお金なら……って、あ、そうか。」


リズが革袋を取り出そうとして気づく。


リズの革袋の中にはそれなりの金貨が入っている。もちろん俺の革袋の中にもだ。


しかしその金貨はマルク金貨……メルクリア以東で流通している金貨であり、このミストラル帝国では使えない。


正確には使えなくはないのだが、かなり足元をみられる。


両替えも同じで、2~3割の手数料が取られるため、よほど困っていない限り、現地で金を稼ぐ手段を得る方がいいのだ。


だから手っ取り早く、帝国の通貨を得るために、道中で狩った獲物を売ろう、というわけだ。


幸いにも、俺もクリムもリズも、メルクリアで冒険者登録をしてあるので、多少の手続きは必要だが、この帝国でも冒険者として認められる。


「そうだねー、早くギルド行こうよぉ。」


クリムがなぜか嬉しそうに、先導して歩く。


クリムが何を期待しているかが手に取るようにわかってしまったため、俺の足取りは、クリムたちより重くなるのだった。



カランカラーン……。


ドアを開けると、来客を告げるベルの音が響く。国が違ってもベルの音は同じなんだと、妙なところに感心してしまう。


そして、中に入った俺たちを品定めするような、視線がまとわりつく。……これも、場所が変わっても同じようだ。


視線の主は、併設された食堂兼酒場でたむろしている冒険者たち。


真昼間から、仕事もせずにたむろしているあたり、実力のほどが分かるというものだが、えてしてそういう奴ほど、相手の力量を見抜けずに喧嘩を吹っかけてくる。


「ソーマ、違うよぉ。相手の力量を見抜けない程度の実力(ちから)しかないから、こんなところにたむろしてるんだよ。」


「それもそうか。うん、これは俺が悪かった。許してくれるかな?」


俺はクリムの指摘に素直に自らの過ちを認める。


「あのぉ、ソーマ様、クリム様、それくらいにしておいた方が……。」


リズが困った顔でそういう。まぁ、リズが言いたいこともわかる。俺たちの会話で、周りを取り囲む男たちが顔を真っ赤にしているからだ。


そう、俺たちは、御多分にも漏れず、ギルド内に足を踏み入れてすぐに、この男たちに取り囲まれたのだ。


曰く、実力もないのに女(しかも可愛い)連れで生意気だ。


曰く、俺たちが冒険者の流儀を教えてやる。(だから女を置いて行け)


曰く、痛い目にあいたくなければ、さっさと帰れ。(だけど女は置いて行け)


などなど……。


要はこいつらはクリムとリズが目当てだということだ。俺をボコボコにすれば、クリムとリズを好きにできると思っているらしい。……ほんと、知らないってことは怖いよな。


「あー、一応言っておくが、このまま大人しく席に座って酒盛りをつづける気はないか?何なら1杯づつ奢ってやってもいいぜ?」


「ハンッ!今更怖気づいても遅いぜ。許してほしかったら、有り金前部とその女を置いて出ていきな。」


俺は善意で、なかったことにしてやろうと思ったのに、この態度……。


「ここって、冒険者ギルドじゃなくて、野盗のアジトだったのか?」


俺は奥で様子を見ているギルドの受付のお姉さんに向かってそういうが、お姉さんは、ブンブンと大きく首を横に振る。……というか仲裁に入る気はないんだな。


なら、こっちも出来るだけ抵抗しますか。


「あー、お前ら、この中で一番弱い俺に目を付けたのだけは、賢い判断だと思うがな、もう少し、相手の実力ってのを見極めようぜ。」


俺はそういって煙幕暖を投げると、辺り一面が真っ白な煙幕に包まれて何も見えなくなる。


俺の実力では、確かにまともにやりあえば、こいつらの相手にもならないだろうが、戦いは、試合じゃないのだから、まともにやりあう必要はない。生死の狭間に常に身を晒している冒険者であればなおさらだ。


俺は視界が一切利かない、ホワイトアウトした中を気配だけで相手の位置を探り、一人一人に衝撃の魔道具……スタンガンみたいなものだ……を押し当て昏倒させていく。


そして、リーダー格の背後を取り、その手足をワイヤーで絡めとって押し倒し、その首筋にナイフを置てる。


「クリムっ。」


「はいはーい。」


俺がクリムの名を呼ぶと、クリムはわかってますというように、無詠唱で風の魔法をそっと放つ。


煙幕が急速に晴れていき、ギルド内の惨状が分かるようになる。


足元には、俺たちに絡んできた、15人の冒険者たちが意識を失って転がっている。


そして、リーダー格の男は、いつの間にか縛られて倒されていて、その首にナイフが突き立てられていた。


「まだやるか?」


俺はリーダー格の男にそう聞いてみる。


「えー、やんないの?そんなの、サクってやっちゃえばいいのにぃ。」


男が答える前にクリムが過激な発言をする。


「い、いや、俺たちが悪かった……。ゆ、許してくれ……。」


男はがくがくぶるぶると震え、情けなく命乞いをする。


「えっと、何だっけ?有り金前部と女を置いてけ、だったか?見たところ女はいないようだが……ってあの受付のお姉さんでいいか?」


俺がそういうと、男は困った顔をして許しを乞うてくる。


「有り金は渡す。でも、ミリィさんは関係ねぇんだ。許してくれっ。」


「そっちが先に言ってきたくせに、勝手すぎないか?」


俺は男を蹴り飛ばし、受付に向かう。


「ソーマさん、でしたか?」


ミリィと呼ばれた受付のお姉さんが怖い目で睨んでくる。


「わかってるって、今のは冗談……。」


「じゃなくてっ!ギルド内での煙幕弾の使用は禁止ですっ!飾ってある装飾が汚れるじゃないですかっ!誰が掃除すると思ってるんですかっ!」


……あ、そっちですか。ドウモスミマセン。


その後、30分に渡り愚痴を聞かされた後、ようやく手続きをしてもらって換金することが出来たけど……、商業ギルドに行く気がなくなるほど疲れた。


ちなみに、因縁付けてきた男たちの口座から、有り金はしっかりといただきました……あまり持ってなかったけど。


それでも、魔獣の買い取り額と合わせて、ミスル金貨2枚相当にはなったので、当面の宿代にはなった。



書き溜めていた分がなくなりました。

頑張って毎日更新できるようにしたいのですが、間に合わなかった場合はごめんなさい。


ご意見、ご感想等お待ちしております。

良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。

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