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ハーレム王魔族領へ行く3

「中はあまり、変わらないんだな。」


俺は遺跡の中を歩きながらそう呟く。


「この辺りの遺跡は、たぶん同じ頃に作られたものなのでしょう。同種族が同じ時期に、同じ目的で作ったものであれば、似通うのは当然のことですから。」


案内役のビャクレンがそういう。ビャクレンは、こういう遺跡を調べるのが好きで、暇を見つけては遺跡の調査をしているらしい。その趣味が、今回非常に役に立ったというわけだ。


「この先です。」


前を歩いていたビャクレンが不意に立ち止まる。


目の前には大きな扉があった。


「どうやら、この扉自体にも何か仕掛けがあるらしくて、下手なことが出来ず、まだ開けていないのです。」


ビャクレンの話によれば、開けようとしたときに、何やら声が聞こえてきたというので、とりあえず触らずに調べているとのことだった。


「声か……。あの祭壇の台座に宝玉を置くときにも聞こえてきたな。」


「何か関係があるのでしょうか?」


アンジェの言葉に「わからん」と答えておく。


関係があるとすれば、この扉も認証関連のステムの一環かもしれない。


「最初に扉を開けたものがマスター認証されるとかだったら面白いかもな。」


俺は冗談半分にそう言って扉に手をかける。


『初期設定、起動シークエンス確認…………マスター登録ヲオ願イシマス。』


……マジか。


「ねぇ、ソーマ。なんて言ってるかわかるの?」


アンジェが聞いてくる。


「アンジェにはわからないのか?」


「うーん言ってることはわかるんだけど意味が分からないの。」


「そういう事か。……要はこの扉を開ける資格者として登録しろって言ってるんだが。」


俺はそういいながら目の前に現れた魔方陣に手を添えてみる。


『……魔道パターンチェックOK……認証確認……登録シマスカ?』


「Yes」


俺がそう呟いた途端、身体の中の魔力が大量に吸い出される感覚がした。


『……仮登録完了。メイン端末ヨリ、マスター登録ヲオネガイシマス。』


「えっと、ソーマ、どうなったのかしら?」


黙ってみていたアンジェが聞いてくる。


「あぁ、なんか、この扉を開ける資格は得られたみたいだ。後は中でマスター登録をする必要があるらしい。」


あの機械的な音声はアンジェには聞こえなかったようだ。それとも、登録者の意識のみに通じているのだろうか?


……まぁ、考えても意味ないか。


俺はとりあえず扉を開けるほうが先だと意識を切り替える。


扉を開けて中に入った先は、南西の遺跡のスケールを大きくしたような感じだった。


中央に祭壇があるのも同じで、俺たちはまずそこに向かう。


『マスター登録ヲ、オネガイシマス。』


俺が祭壇に足を踏み入れようとすると、警告音とともにそんなアナウンスが流れる。


「マスター登録ってどうすりゃいいんだよ。」


俺は、何もない空間に向けてしゃべる。


『……登録ポイントヘドウゾ。』


俺の声にこたえるかのようにアナウンスが流れ、祭壇の横の床が光る。


あそこに立てばいいのかな?


俺は何も考えずに光る床の上に立つ。


すると、一瞬にして視界が変わった。


「あれ?みんなはどこだ?」


周りを見回しても誰もいない。目の前には大きなモニターとパネルが並んでいるだけだ。


無機質に見えないのは、所々から樹の枝のようなものが張り出しているからだろう。


目の前のパネルの一つが光っている。


近寄ってみると、どうやらここで登録をするというような文字が現れる。


俺はその指示に従い、光る場所に手を当て、光る文字によるいくつかの質問に答えていく。


そして最後に置いた手のひらから魔力が吸いだされ、唐突に光が消える。


『初メマシテ、マスター。ゴ指示ヲオネガイシマス。』


「指示っていうのはここでしかできないのか?さっきの場所の戻ることは出来るか?」


俺がそう言った途端、瞬時に視界が切り替わった。


「ソーマっ!」


「ソーマっ、大丈夫だったの?」


「無事でよかったぁ……。」


アンジェ達が抱き着いてきて、口々に心配したことを告げる。


俺はみんなを宥めながら、今起きた出来事を、俺がここのマスターになったことを告げる。


その後、みんなが落ち着いたところで、手分けしてこの祭壇について調べることにした。


これに驚喜したのがビャクレンとカミーラである。


二人は、今まで知られていなかった太古の秘術に歓喜し、興味を持って、手あたり次第調べていた。


アンジェも二人ほどではないが、それなりに興味があるようで、気になることを俺に聞きながら、必要なことを調べ上げていく。


それと対照的なのがリズとクリム。


リズは何をしていいか分からず、オロオロとするだけだったし、クリムは現代でコンピューターに触れている分、他の皆より理解していたが、それでも、俺たちがやっていることの理解が追い付かないみたいで、早々に諦めて、オロオロしているリズを愛でて楽しんでいた。


数時間後……。


「とりあえず、こんなところかな?」


俺はそういってみんなに休憩するように声をかける。


「そうね。この辺りで一旦まとめたいわね。」


アンジェも俺の言葉に同意する。


「えーっと、結局どうなったのかなぁ?」


クリムが聞いてくる。


「そうだな、クリムにわかりやすく説明すると、ここは王玉を操作する場所ってことだ。」


「えっ、じゃぁ、ソーマは王様になったの?」


「いや、王玉を操作する場所だけど、王玉はなかった。」


「でも、これで王玉さえあれば、王様になれる準備は整ったことになるわ。」


そうアンジェが言う。


「それで、王玉は手に入るの?」


「それが問題なのよねぇ。一応手はあるんだけど。」


ビャクレンがそういって、資料を片手に説明を始める。


その説明によると、この場所はまだ全体の3パーセントぐらいしか機能していないらしい。


機能させるためには宝玉が必要になるとのことで、その宝玉は俺の魔力を注ぐことで生成できるらしい。


「その宝玉を台座に設置すれば、10%まで機能を引き出すことが出来ます。その後、魔力がたまっていくことで50%までは引き出せます。」


「機能を引き出すって、具体的にはどんなことが出来るの?」


クリムは今一つ、この遺跡の機能のことが理解できないようだった。


「色々出きるわよ。まず、この祭壇のある遺跡を中心に、……これくらいの範囲の気候を操作できるようになるわ。それから、これくらいの場所の土地改良ができるでしょ?それから……。」


ビャクレンが地図を広げながら、範囲を示して出来ることを読み上げていく。


ビャクレンの説明を簡単にまとめると以下のようになる。


・支配エリアの天候管理……降雨量やタイミング、気温などを自由に設定できる。


・支配エリア内の探査……水や鉱石、マナ溜のある場所を探すことが出来る。浅い範囲でなら自動的に採掘や汲み上げなども出来るようになる。


・支配エリアの防護障壁……外苑に沿って強固な防護決壊を張ることが出来る。防壁の方向や通り抜ける物の設定も自在にできる。


・支配エリア内の施設設置……簡単な施設の設置。前述の探査と合わせると、ある程度は自動的に水のくみ上げや鉱山の採掘ができるようになる。


・その他……支配エリアのこまごまとしたコントロールができる。


「ふーん、つまりは箱庭ゲームができるってことね。」


クリムがビャクレンの説明を聞いて、そう一言で言い切った。


……いや、箱庭じゃなくて実際の土地でやるんだけどね。


上記の内容は宝玉にたまった魔力量で順次解放されるらしく、初期状態では、範囲も狭く出来ることも限られているらしい。


「それでね、主様、ここからが本題なんだけど、マスターの……つまり主様の魔力を注ぐことで、新しい宝玉が出来るらしいの。」


何でも、宝玉生成という機能で新しい宝玉が作りだせるというのだ。そしてその作り出した宝玉を台座にセットすることで、前述の機能が解放される。さらには、十分な魔力がたまると、宝玉をエリアストーンへ、そして王玉へと進化させることが出来るらしい。


「それで、その王玉へ進化させるためにおはどれだけの魔力が必要なんだ?」


そう、それが一番重要なことなのだ。


「単体では、最速で7年以上。」


「……それでは意味がないな。」


「慌てないで、「単体では。」って、ビャクレンが言ったでしょ。」


アンジェが、落ち込む俺をそういって宥める。


「さすがはアンジェ様。すでにご理解いただいているようですね。」


ビャクレンが、アンジェを褒め称えた後、先ほどの地図に印をつけて説明してくれる。


「つまり、この場所を中心として、獣人の集落のあるエリア、そして南西の遺跡のエリア、ここに宝玉をセットすれば、ギリギリですがエリアを繋ぐことが出来ます。そうすれば、広がったエリアから得られるマナを吸収することが出来ますので、進化も早くなります。」


「早くなるって、どれぐらいだ?」


「まったく何の問題もなければ4年半から5年というところでしょうか。」


「ギリギリだな。」


問題がなければ、ギリギリではあるが確実に期限に間に合うという計算。……だけど、その「問題がなければ」というのが一番の問題だった。


「ソーマの懸念はよくわかるわよ。それでね、私なりに調べたんだけど……。」


アンジェは先ほどの調査途中で、すでにこの事に思い当たっていたという。そして期限がギリギリだろうことも。だから、その解決方法を調べていたというのだ。


「これはね、確実とは言えないんだけど、遺跡の配置と宝玉の効果エリアから考えて、この辺りにも。同じような遺跡と祭壇があるはずなのよ。そこを押さえて宝玉を設置すれば多少の問題があっても何とかなるはずよ。」


「そうなのか?……ビャクレンどうなんだ?」


俺はビャクレンに話を振る。


「ちょっと待ってくださいね……。」


ビャクレンは、祭壇の前のコンソールを操作して何やら調べ始めた。……というか、もう使い方マスターしてるのかよ。


「はい、アンジェ様が示したあたりに祭壇があれば、アンジェ様の言う通り期間を短くすることが出来ます。1か所押さえるだけでも4年まで、2か所押さえることが出来れば3年半まで短縮が可能です。」


「すると、早ければ3年半後には、俺は名実ともにハーレム王を名乗ることが出来るわけだな。つまりエッチし放題。よしっ、やるぞっ!」


俄然、やる気が出てきた。さぁ、今すぐその祭壇を探しに行こうじゃないか。


「だから慌てないで、落ち着きなさいよ。」


逸る俺をアンジェが押しとどめる。


「地図をよく見て。祭壇があるかもしれない場所は人間族の領……ミストラル帝国と呼ばれている場所よ。」


アンジェが地図を指し示す。


確かに端っことはいえ、帝国領だ。


「よしクリム。この辺り一帯をメテオの連打で押しつぶそうぜ。荒地ならだれも文句言わないだろう。」


「うん、わかった。」


「だから待ちなさいっ!クリムも簡単に返事しないのっ。もっと考えなさいって言ってるでしょ。」


その後アンジェから1時間にわたりお説教を食らった。


手っ取り早く事を済まそうとしただけなのに……。






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