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ハーレム王、魔族領へ行く2

「これが祭壇か?」


俺は目の前に広る光景を見てそう呟く。


オーガ族たちが見つけてきた、マジックストーンを祭る祭壇。


話しによれば、魔族領にある遺跡の1/4からはこのような祭壇が見つかるらしい。


「でもこれって……。」


クリムが息をのむ。


うん、言いたいことは分かる。


これはどう見ても……。


「コンピュータールーム……だよなぁ。」


「「こんぴゅーたぁ?」」


アンジェとカミーラが声を揃えて言う。


まぁ、科学の概念がなければ、意味不明だよなぁ。


俺は巨大なコンピュータールームを歩き回る。


大きな機会に時々明滅する光……神秘的と言われればそうかも?と思えるぐらいには荘厳な景色だ。


その管理する事柄と併せて考えれば「祭壇」と呼ぶのもあながち間違いではないかもしれない。


グルグルと廻ってみていると、中央の台の上に、丁度魔石が嵌る台座があるのを見つける。


「王玉はないのね。」


それを見たアンジェが残念そうに呟く。


俺はブレスレットから、マヴロスからもらった宝玉を取り外し、台座の上に置いてみる。


すると突然回りの光が激しく明滅を始める。


『ピィー……規格外デス……コノママノ使用不可……デス。……フォーマットシマスカ?」


俺は慌てて宝玉を台座から取り外す。このままフォーマットしたらまずい気がしたからだ。


俺が宝玉を取り外すと、周りの光の明滅がやみ、元の静けさを取り戻す。


「何だったの、今のは?」


アンジェが呆けたようにつぶやく。


「たぶん、エリアストーンの初期起動シークエンスだろうな。俺の持つ宝玉をフォーマット……つまりここで使えるようにするか?って聞いてきたんで止めさせた。なんかヤバい気がしたからな。」


「うーん……まぁ、ソーマの直感に従えばいいんだけど。そのままだったらどうなったかは興味あるわね。」


アンジェはそう呟いた後、コンピューターの周りを調べ始め、大小様々の魔石を取り出して、とっかえひっかえ台座に置きだす。


どうやらアンジェの研究者魂に火を点けたらしい。


結局俺達はその場で一晩を過ごすことになった。


……だって、アンジェが動かないんだモン。


その間に、俺達は祭壇周りの遺跡を調べてみる。


すでに探索しつくされているので、めぼしい発見はなかったが、祭壇周りで非常に珍しい鉱石が、わずかであるが採掘できることが発見された。


翌日、ビャクレンに、ここを管理する人材と護衛をよこすようにハルナに伝えるよう言伝を残し、彼女を置いてきたの遺跡へと向かう。



「なぁ、気付いてるか?」


北に向かい半日ほど馬車を走らせたところで、俺はアンジェやクリムに聞いてみる。


「気づいてるって何が?」


「まさか、誰かつけている?」


クリムは気づいてないが、アンジェは俺の口ぶりから察したようだった。


「えっ、マジ?」


クリムは慌ててなにやら唱える。


「うわぁ、マジだぁ。って言うかソーマ何でこんな遠いのに気付くの?」


「……気配を察知することと気配を消すことが出来なければ、ゴブリンを倒せなかったんだよ。」


俺は当時、ゴブリンに気付かれる前に相手を察知し、ゴブリンに気付かれないように近づいて奇襲をかける、という事をやっていた為に、気配を察知するのも隠すのも得意なのだ……と言うか、それ以外の取り柄がない。


因みに相手の居場所は10㎞後方、見つからないように樹々の上を通って移動している。


人数は4人だが、時々3人になったり二人になっている。


俺がそう伝えると、アンジェが少し考えてから口を開く。


「10㎞も離れているんじゃぁ、ターゲットが私達とは限らないかも?」


「俺もそう考えて、途中進路を90度変えてみたんだが、しっかりとついてきてるんだよ。後、半径20㎞には大きな気配はない。って事は俺達を狙っているとみるのが妥当だろう。」


「そうなると、時々人数が変わるのは、何処かに報告している為とも考えられるわね。」


「殺っちゃう?」


クリムが物騒なことを言い出す。


「待て待て、ここは平和的に行こう。」


「平和的って?戦略破壊兵器を背景に、いつでも滅ぼせるぞ?と威圧しながら握手すること?」


……うん、その発言、色々危険だから、後でゆっくり話そうね。


「って事で、アンジェ、何かいい方法はないか?」


困った時のアンジェさんである。


「うーん、出来なくはないけど……クリム,遮断結界って張れる?」


「あ、ウン大丈夫だよ。」


「だったら何とかなるかも……。あの先にある森の中に入ったら洞窟を探して、そこで仕掛けるわ。」


アンジェの言葉に従い、俺達は森のある方向へ進路を変更するのだった。



「おい、ターゲットの様子はどうだ?」


定期報告から戻ってきた男が確認する。


「あぁ、大丈夫動いていない。ひょっとしたら今夜はここで夜営するのかもな。食事の準備もしてるし。」


「そうか……しかし、この距離は近すぎやしないか?」


男はそう苦言する。なんて言ってもターゲットから1㎞も離れていないのだ。


「仕方がねぇよ。この森に惑わしの結界が張られているみたいで、これ以上離れると気配の欠片すら分からなくなるんだからな。」


「そうか、でも、気をつけろよ。ターゲットもそれが分かっていて、俺達みたいな『目』を欺くためにここに入ったのかもしれないからな。」


「大丈夫だ。この森の結界のおかげで、あっちからの気配探知も効きづらくなっているからな。それより、ほら食えよ。味がマシな最新の携帯食だ。大体お前は昔から心配性なんだよ。そんなだから振られるんだぜ……」



『……そんなだから振られるんだぜ……。』


「とまぁ、こんな感じだけど?」


クロ、ありがとな。


俺はクロが咥えていた水晶を取り外すと、周りに静寂が戻ってくる。


今使ったのは遠見の水晶という魔道具だ。と言っても一般に出回っているものではなく、遺跡で偶然発見したもので、今回の度に役立つかも?と持ってきていた道具の一つだ。


使い方は簡単で、魔力を通した片方の水晶に映った映像や音声を、対になる水晶に映し出すというもの。


流石にある程度まで近づかなければ音声は拾えないので、今回は気配を消すのが得意だという、クロの仲間に頼んだのだ。


「さすがにあれだけの会話じゃ、どこの間者かまでは分からないけどとりあえず責めてきたりって事はない様ね。だったら話は早いわ。カミーラ?」


「ウン分かってる。」


カミーラとアンジェから、薄い薄い魔力が流れ出し、この辺り一帯を覆っていく。


「なぁ、今……。」


「しっ!この後、私がいいって言うまで、一切声を出さないで。」


珍しく真剣な声でアンジェが言うので、俺は大人しく黙ることにした。


仕方がないので、俺はクロの咥えている水晶に魔力を流し、向こうの様子を映し出す。


何か阻害しているのか、やや不鮮明で、音声も届かないが、一応相手の様子は分かる。


しばらく見ていると、見張りが慌てた様子で仲間に何かを告げている姿が映った。


そして、慌しく、走っていく男たち。


クロの眷属にはその後をこそっとつける様にお願いする。


彼らは俺達が向かう反対側の、森の奥へ奥へと移動していく。かなり距離が離れたせいか、画像が不鮮明になってきたので、クロに、もういいよ、と告げると、しばらくして水晶の画面が消える。


おそらく、通信を切ったのだろう。クロは俺に頭をすりよせ、褒めろと訴えてくるので、思う存分なでてやる。


後で、水晶を運んでくれた眷属も撫でてやらないとな。


「……この辺りでいいかな?」


アンジェとカミーラが緊張を解き、魔力の放出をやめる。


「なぁ、今何したんだ?見張ってたやつら森の奥へ行っちまったぞ?」


「そう、なら成功ね。」


「簡単な事よ。あの人たちに幻覚を見せたの。」


アンジェが満足げに頷き、カミーラが自慢するように言ってくる。


「幻覚?」


「そう、私たちが休憩をやめて移動したという幻覚。この森の魔力と私たちの力を使えば、あれくらいは造作ないわ。」


「今頃、あの人たちは、急に私たちの姿が見えなくなったから慌ててるでしょうね。」


カミーラがクスクス笑う。


「さぁ、今のうちに出発しましょ。森を出てしまえば、あの人たちが戻ってきてもどこに向かったかわからなくなるわ。」


アンジェの言葉に従って、俺たちは出発する。


夜通しの強行軍だが、馬車を引くのは疲れ知らずのゴーレムだし、俺たちは馬車の中で寝てればいい。


そして、目を覚ました時には、目の前に北の遺跡があるのだった。

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