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女神の祝福1 

「いやぁ、ソーマはんのおかげで今回も儲けさせてもらいましたわ。ホンマおおきに。」


目の前の商人はそう言いながら金貨の詰まった革袋を俺に差し出す。


賄賂じゃないよ?ちゃんとした税収だから。


どこの街でも商売をするためには、その街の代表もしくは領主の許可が必要だ。


そして許可を降ろす代わりに一定金額の税を支払ってもらうのだが、大きな街ほどこの税金が高く、大手商会は別として、細々とやっている旅商人には中々厳しいものがある。


そこで俺は、商売するのに税を取るのではなく、この街で買い付けたものに対して1割の、特殊なものに関してはそれぞれに適した割合の税金をかける事にした。分かりやすく言えば消費税だ。


もっとも、この税は一般に人には適用されず、適用されるのは、買い付けに来た商人に対してのみというのが消費税とは大きく異なるところだが。


だけど、実際、うちの商品の内2/3は、ここで買った金額の倍値をつけても売れるものばかりなので、買い付け金額に1割上乗せしても十分な儲けを出すことが出来る。

残りの1/3の商品を買い付けた場合は……、まぁ目利きが出来ない商人ということで、そこは自業自得だと思ってもらうしかない。


そして目の前の商人が渡した革袋には金貨がぎっしり……。つまりこの10倍の金額分買い付けたことになる。目利きがしっかりしていれば、他の街で売りさばけば、この革袋の中身の何十倍もの金貨が手に入るわけで……そりゃぁ笑いも止まらないだろうな。


この目の前の商人は、このハムの街が、名もなき村だった頃、まだ特産品らしい特産品がなかった頃からの付き合いだ。


盗賊に襲われ、さ迷い歩いていたところを、うちのメイドの一人、レリルが見つけて、この村まで案内したのがきっかけだった。


この商人……マイケルという名だが、助けてもらったお礼に何かしたいというので、当時作っていたお酒と作物を、人間の街で売りさばき、代わりに金属類の道具を買えるだけ買ってくるようにお願いした。


とは言っても、盗賊に襲われ身ぐるみはがされ、何も持ってないマイケルなので、移動に必要な荷馬車を用意し、買い付け時に必要なものを指示するためにとレリルをつけてやった。


勿論レリル一人では、何かあった時心配だったので、ヴァンパイア娘を護衛として隠れてついて行かせた。


マイケルは俺の予想以上に、腕利きの商人だったらしく、ウチの商品を相場の1.2倍で売りさばき、ウチが欲するものを、相場の3割引きで購入して帰ってきた。


だから俺は今後も、この村と人族の街を繋ぐ交易商人にならないかと持ち掛けたのだ。


マイケルは、何もない自分を信じて商売を任せてくれた、と俺に恩義を感じ、また行商の間にレリルと仲良くなったこともって二つ返事で引き受けてくれた。


それからはマイケルの助言も聞きつつ、様々な商品を売りさばき、仕入れて、村の経済は徐々に潤って言った、


ハムの街の発展はマイケルの助力無しでは成しえなかったともいえる。もっとも、マイケルも、龍の鱗や爪などの、他所では手に入らない、入ったとしてもマイケルのような駆け出しが絶対に扱えない様な特殊な素材を、タダ同然で仕入れることが出来たのだからお互い様ではある。



「それでだな、マイケルに話があるんだが?」


俺はほくほく顔の商人に声をかける。


「なんでっしゃろ?儲け話ならいくらでも聞きまっせ?」


「んー残念だが、儲け話じゃないなぁ。」


「はて、儲け話でないとなると、ワイが何かお役に立てることありまっか?」


「実はな、近いうちに俺達は旅に出ることにした。そこでだ、マイケルとは長い付き合いだからな、一応選んでもらおうと思ってな。」


「えらぶ?何をでっしゃろ?」


「今後も俺と取引をするかどうかだ。俺達がこの街を離れることになったら、しばらくの間はともかく、徐々に情勢が変化していくのは間違いない。そして、俺達の旅が上手くいけば、魔族領側でここ以上に大きな基盤を築くことが出来るが、失敗すれば、下手すればこの場所すら失うかもしれん。お前も、今ではかなりの大手商会を率いる身だろ?今の立場を守るのであれば、ここで俺達と縁を切っておくのも一つの手だ。俺達に付き合うというのであれば、一蓮托生だ。今以上の成功を収めるか、何もかも失ってぼろクズのように朽ち果てるかのどちらかの未来が待っている。」


さぁどうする?とマイケルに問いかける。


「いややわ、ソーマはん。そんな今更試すようなことせんでもええでっしゃろ?ワイがここまでこれたのは、ソーマはんあっての事や。今後も何があってもソーマはんについて行くのは当たり前のことでっせ。」


「そうか。ありがとうな。じゃぁ、とりあえずは今まで通りに、何か頼みたいことが出来た時はミルカを通じて伝えるから、いつでも連絡が取れるようにしておいてくれ。たぶん近いうちに大量の食糧が必要となるはずだから、今の内に日持ちをするものを買い集めておいてもらえると助かるかな。」


「分かりましたで。後、ソーマはんが魔族領へいかはるんでしたら、是非魔鉱石をお土産にお願いしますで。」


「ふっ、余裕があればな。」


俺はそう言ってマイケルと固い握手を交わした後、次の街へ行くというマイケルを見送った。



事の起こりは単純な事だった。


簡単に言えば、最後までできない俺に対して、アンジェ達の溜まりに溜まったストレスを、どう解消しようかと考えていた時、脳裏に「焼き討ち」という言葉が浮かんだのだ。


そう、かの有名な戦国の英雄が行った、宗教に対する行動。


よく考えてみれば、今の状況の原因はあのクソ女神の所為じゃないか。あのクソ女神の呪いの所為で俺だけじゃなく可愛い嫁たち迄苦しんでいる。それを黙って受け入れる必要があるのか?そんなクソ女神信仰

など潰してしまえ。


熱に浮かされたようにそう話す俺に、クリムが、アンジェが、カミーラが、セレーナが、他の皆が同意する。


唯一リズだけが躊躇っていたが、「じゃぁ、このままリズとのエッチはナシでいいのか?」と耳元で囁くと、リズも渋々受け入れてくれた。


この時、俺は……いや、俺だけじゃなく、嫁たちも含めて、どうかしていたのかもしれない。


しれないが、その原因を作ったのもクソ女神の所為だと思えば、別にどうでもいい事だった。


かくして、俺達による、女神教弾圧が開始された。


メルクリア王国南部領にある街や村に行っては、そこにある教会を潰し、女神が如何に性格が悪いのかを説いて回る。


破壊の限りを尽くす俺達に怯えていた人々も、俺の話を聞くうちに同情的になって、教会の破壊活動に加わってくれる者もいた。


その8割が若い男性だったことについては……うん、同志!と言っておこう。


そして、南部殆どの教会を叩き壊したころ、そいつは現れたのだ。



「ちょっと、少し眼を離した隙に何やっちゃってくれるわけ?」


「出たな、ロリ女神(諸悪の根源)!」


「誰がロリよ……って、これ、マジでシャレになんないんだけど。」


「うるさいっ!これ以上破壊されたくなかったら俺にかけた呪いを解けっ!」


「呪いじゃないって、祝福だってばっ。」


「うっさい、これのどこが祝福なんだよっ。」


俺はロリ女神を捕まえてその首を絞める。どうせ首を絞めたぐらいでは大したダメージを与えることも出来ないし、苦しがっているのもただのポーズだというのは分かるが、それでも俺の気が晴れるまで締め続けてやる。


「困りましたねぇ、本当に祝福なんですよ。」


突然あたりが光輝き、別の女神が姿を現す。


「初めまして、色欲を司る女神エルゥスと申します。」


「お前が、この呪いの元凶か?さっさと解呪しろやぁ!」


「先ほども申しました通り、のろいなどではなく祝福ですよ。」


憤る俺を鎮めるかのようにのんびりとした口調で話すエルゥス。


「あと5年、あなたが女性と交わらずに過ごせば、この世界のあらゆる魔法を行使することが出来るもの……すなわち賢者になれるのです。過去にも賢者に至るものはいましたが、あなたにはそれらをはるかに凌駕する資質を感じます。あなたならきっと、賢者を超える賢者……大賢者への道を開くことが出来るでしょう。」


「賢者……だと……。」


確かに魔法が使えるというのは憧れる。あと5ン年我慢すれば、その力が俺の物に……。


「……話がうますぎる。何か代償があるんじゃない?」


心がぐらつきかけていた俺を、アンジェの一言が食い止める。


「そうだ、なにかあるんだろ?」


「何もありませんよ?しいて言えば……。」


エルゥスが告げた内容は驚くべきもので、俺は暫く身動きするのを忘れるほど呆然としていた。


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