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ハーレム王の結婚式と夜の生活その1 アンジェ編

……平和だなぁ。


俺は自室の窓から村の様子を眺めながらそう思う。


そう、俺が求めていたのはこういうスローライフなんだよ。


可愛い女の子とイチャイチャしながらのんびり過ごす。ここには締め切りもノルマも、怖いブラック上司もいない。これこそが俺の求めていたものなのだ、と感慨にふける


そして、そうなれば次にやることは一つしかない。


俺はある決意を胸に秘め、部屋を出るのだった。




「結婚してください!」


俺は土下座をしながらそう叫んだ。


俺が今顔を上げれば、困惑した表情の嫁たち……つまり、アンジェ、クリム、リズ、カミーラを見ることが出来たはずだ。


だけど俺は一つのけじめとして、返事がもらえるまでは顔を上げないつもりでいた。


「えっと、またいきなりね。今度はどういう遊び?」


「遊びじゃない、俺は真剣なんだっ!」


俺は先ほどのけじめとやらを、ポイっと捨てて、顔を上げてアンジェに応える。


「とはいっても……ねぇ?」


アンジェは困ったように、他の女の子たちと顔を見合わせる。


「うーん、私はてっきり、すでに主様の嫁にされてると思ってたから。」


カミーラが少し頬を染めながらそう言う。


「いや、そのつもりではあったけど、こういうことはやっぱりしっかりとしておかないといけないなって思って。」


俺がそういうと、クリムが「はぁ」と、小さくため息をつきながら口をはさんでくる。


「あのね、ソーマ。真面目にプロポーズするなら、いきなり土下座はないわ~。しかも4人まとめてってギャグにしても笑えないよ?」


「くっ……分かった。じゃぁ……。アンジェ、はじめて会った時から好きだった。お前のそしてお前のその知略には助けられてばかりで、もうお前なしでは生きていけない。これからも公私ともに俺のパートナーでいてくれ。」


俺はアンジェに向き直り、その肩に手をかけ、アンジェの瞳を見つめながら、そう言葉をかける。


「クリム。初めて会った時、これは運命の出会いだと思ったよ。ここまで俺好みの女の子に出会えるなんて、これはまさしく奇跡の出会いだ。一生俺についてきてほしい。」


アンジェからクリムに向き直り、ずっと思っていたことを告げる。


「リズ、お姫様だか何だか知らないが今のお前はただの女の子だ。国のこととか色々なことはすべて忘れて俺についてこい。後は俺が何とかしてやるよ。」


続いて、リズのそばによって、耳元でそう囁いてみると、リズの顔は一瞬にして赤く染まる。


「そしてカミーラ……。」


次はカミーラだが、言葉が出てこない……何かあったっけ?


「まぁいいや、結婚してくれ。」


「なんやねん、それっ!うちの扱いぞんざい過ぎやでっ!」


思わず関西弁で起こるぐらいに、カミーラはおこだった。


でも、他に言葉が浮かばなかったんだからしょうがないじゃん?


俺はやり切った感を出し、どうだ!と言わんばかりに4人を見る。


「しかし、そんな俺に対し、クリムは顔の前で大きなバッテンを作る。


「40点。プロポーズはいいけど圧倒的にムードが足りない。さらに言えば、4人まとめてって感じはそのまま。」


「うっ……じ、じゃぁどうすればいいんだよ。」


「それ女の子に聞く?ないわ~。」


クリムに思いっきりダメ出しをされてしまった。クリムの横では、リズもウンウンと力強く頷いているところからして、本当にないのだろう。


「はぁ、仕方がないなぁ、そんなソーマにアドバイスを上げるよ。」


落ち込む俺の肩をクリムがポンポンと叩きながら言う。


「一人ひとり呼び出してね、さっきの言葉をムードたっぷりなシチュエーションで聞かせてね。あ、指輪は必須だからね。」


クリムはそういうと、他の3人を促して部屋を出て行った。



「……そんなにダメだったか?」


俺は後に残ったメイドのフリーシャとミランダに聞いてみる。


「「ダメですねぇ。」」


二人は声を揃えて答えてくれた。


「アベルでも、もう少しましな口説き文句を言ってましたよ?」


「うーん、カインは主様と同じ感じでしたけどねぇ。」


……俺はあの二人以下ってことか。


ちなみに、ミランダはすでにアベルとは別れており、フリーシャとカインの仲もかなり危うく、別れるのは時間の問題だと言っていた。


……誰が言ってたかって?そんなこと言うのは、マリーナ以外にいないだろ?


結局俺はフリーシャたちに教えを請い、指輪を用意して、一人一人にプロポーズをして回ることになった。


全員からOKの返事をもらうのに、10日はかかった、とだけ伝えておこう。



俺たちの結婚式は、村の祭りと合わせて、細やかに行われた。


何でもこの世界で結婚式を挙げるのは貴族階級……しかも上位の貴族だけだというのだ。


男爵家や騎士爵家など下級貴族などは、お披露目のパーティを盛大にやるくらいで、平民に至っては、役所に届け出を出し、近所を集めてちょっとだけ騒ぐという程度らしい。


そして、村規模程度であれば、村長に届け出て、それを受諾して、ハイおしまい、というあっさりしたもので、アンジェ達魔族に至っては、結婚式という概念がそもそもなかった。


そのことを知ったクリムがかなり落ち込み、リズも幼いころに憧れていた結婚式がないことにショックを受けて寝込むということがあったため、色々と頑張って、お祭りを俺たちの結婚披露のお祭り、という名目に変えて騒ぐことにしたのだった。


そして、今夜から4日間……そう、初夜なのだ。


俺もこれで童貞から卒業できるっ!そう思えば感慨深いものがある。


俺は、はやる心を抑えながらアンジェの部屋へと向かう。



「いらっしゃい、ソーマ。」


アンジェはベッドの上に、薄いネグリジェ姿で座って俺を出迎えてくれる。


俺は遠慮なくアンジェの横に腰を下ろし、アンジェの肩に手を回す。


「まずは乾杯しましょ。」


アンジェは、俺の手をさりげなく振りほどくと、サイドテーブルに用意してあったグラスにワインを注ぐ。


「それってあの……。」


「えぇ、この前仕込んだワインよ。私たちが初めて飲むことになるわね。」


ヴァンパイア娘達を黙らせるの大変だったんだから、と笑いながら言う。


「何に乾杯する?」


「私達の出会いに。」


「「乾杯!」」


俺たちは互いのグラスを軽く合わせた後、グラスに口をつける。


舌先に軽い刺激があり、のど越しはまろやか。少し雑味があるがそこがまた自作感があっていい……。それが俺のワインに対する評価だった。


「これがワインなのね。」


アンジェは、驚いたようにそう言いながらそのまま飲み干す。


俺は空いたグラスに、瓶からお代わりを注ぐ。


せっかくだから、今、この時間を楽しもう。


…………。


……。


すでにワインの瓶を2本空にし、夜も更けたころ、俺たちは当然のようにイチャイチャしていた。


「ァン……、ソーマ、そこダメよ……。」


「そこってどこだい?はっきり言ってくれないと分からないなぁ。」


「ン……もぅ、意地悪ぅ……。」


たっぷりとアンジェの身体を味わい、興奮が抑えきれなくなったところで、とうとうその瞬間が……俺の卒業の瞬間が訪れる。


……長かった、ここまで来るのが長かったよ。


感慨もひとしおであるが、今はとにかく先に進むべきだと、俺は前に進もうとしたその瞬間……。


ドーンッ!


近くで何かが爆発するような音が聞こえ、すぐに、地響きが起きる。


「何事だっ!」


周り中で響く轟音と、人々の叫び声で、俺たちはそれどころじゃなくなり、手早く着替えて部屋をでる。



「あ、主様。起こしてしまい申し訳ございません。」


俺に気づいたミランダが頭を下げる。


「いや、いい。それより何が起きている?」


「それがその……はぐれワイバーンの急襲だとか。」


ミランダが指さした上空を見上げると、そこには悠々と上空を徘徊するワイバーンの姿がある。


「アレが邪魔をしたのね……。」


さっきを感じて振り返ると、そこにはとても素敵な笑顔のアンジェがいた。


ただ、笑顔なのにあふれ出る殺気は全く隠す気はないらしく、傍にいたメイドたちが大きく距離を取っていた。


「カミーラ、他の娘たちに声をかけて。アレ、潰すわよ。」


「は、はいぃぃっ!すぐにっ!」


カミーラもアンジェの殺気にあてられ、怯えながらも、指示を遂行すべく動き出す。


……結局、この騒ぎに一通りの片がついたのは明け方近くになってからだった。


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