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小さな村の……5 不老不死の理由

「えっと、ゴメンナサイっ!」


俺の目の前でカミーラたちが跪いて頭をたれていた。


「あ、あの……アンジェ、どういうこと?」


「どうもこうも、アンタが犯した相手よ?」


「お、おか、おか、犯し……ってどういうことだよっ。」


俺は声を潜めてアンジェに問いかける。


「大丈夫よ、クリム達は、別の用事頼んでいるからしばらく戻ってこないわ。」


「それはありがたいが……そうじゃなくてッ!」


アンジェの話によれば、目の前にいるのはサキュバス族とヴァンパイア族で、昔、アンジェと一緒に暮らしていた仲間らしい。


そしてこの辺りに流れ着いて、しばらくはここに潜んでいたそうだ。


そんな矢先に、ここに極上の餌……つまり俺がやってきたものだから、それにありつこうと、色々画策したとの事。


そのあとは、俺も知っての通り、魔界の精力剤とかを飲まされたところまでは覚えているのだが、そのあとの記憶が全くない。


「ソーマはあの後、本能の赴くままにカミーラの初めてを奪って、犯し尽くしたのよ。他のサキュバスたちもね。だから、もうあの子達はあなたなしじゃ生きられないって言ってるわ。どうするのよ?」


「俺がそんな事を……ていうか俺童貞卒業?全く記憶にないんだけどっ!」


「うーん卒業(仮)ってところかな?確かに私やあの子たちとヤったことはヤったんだけど、……記憶にないんでしょ?」


「うん……。」


俺は頷く。


「それに、ヤった肉体はクリムによって粉々にされているから、その肉体は新たに構築された、まっさらの新品だから……。」


……ってことは何か?精神的にも物理的にも、ヤったという事実が失われてるってことか?


「ま、まぁ、私の初めても奪われたわけだし、エッチしたのは事実よ。だから(仮)ってところね。」


真っ赤になりながらそんな事を言うアンジェ。


俺が童貞卒業とかどうでもいい。アンジェの初めてを覚えていないなんてっ!


俺は手近にある岩に頭を打ちつける。


「こらこら、そんなことしてると死んじゃうから。」


「大丈夫、死んでも生き返る。」


「いや大丈夫じゃないし。」


「うぉぉ……あ、アンジェの…アンジェの初めてのときの恥じらいを、なぜ俺は覚えていないんだよぉぉぉ……クソ、いっそ殺せぇっ!」


俺は更に大岩に頭をぶつけようとするが、アンジェを始め、その場にいたサキュバスたち総掛かりで止められる。


「落ち着いた?」


「……あぁ、スマン、取り乱した。……で、何の話だっけ?」


「うん、この子達の処遇のことよ。カミーラをハーレムに迎え入れるなら、ちゃんとクリムやリズに説明しないといけないでしょ?あと他の子たちは、私の配下って事になったけど、受入れてもらえるかって相談。流石に放置は出来ないでしょ?」


アンジェがそう説明してくれる。


「うーん、受け入れるのは構わないが、どうするかだなぁ。流石に俺たちの後をゾロゾロと連れ歩けないだろ、何かいい案はあるか?」


「連れ歩く必要は無いわね。私たちが落ち着ける場所を定めたら、そこを拠点にする許可を。それまではあちこち飛び回らせて情報収集にあたってもらうから、定期的に報告を受けて、その際に食事を与えればいいと思うの。」


「それでいいか……って食事の問題があったか。」


「そんなに深く考えなくても大丈夫よ。」


サキュバスとヴァンパイアの食事といえば、吸精と吸血。これだけの人数を賄うには、それなりの犠牲者が必要になるのでは?と危惧するのだが、そんな俺の悩みをアンジェはアッサリと吹き飛ばしてくれる。


なんでも、俺の持つ生体エネルギーは、すごく高濃度で、サキュバス達は一度吸精すれば10日から2週間ぐらいは食事の必要がなくても大丈夫らしい。だけど、いつもギリギリだといざという時に困るので、大体2~3日に1回ぐらいの割合でサキュバス達の食事に付き合う……御奉仕を受ければそれだけでいいらしい。


ただ、その時俺は手を出してはいけないと釘を差される。


その理由は、今の俺は無意識にドレインを発動させるみたいで、俺が手を出して相手をイかせてしまうと、そのタイミングで相手の生体エネルギーやらマナやらを根こそぎ奪ってしまうらしい。


エネルギーを供給する相手から逆に奪ってしまうのは本末転倒だから、と。


……なんてことだ。アンジェの言うことが本当であれば、俺はこれからずっとエッチが出来ないってことじゃないか。


ガックリとうなだれる俺を、アンジェとカミーラが「コントロール出来るようになれば大丈夫だから」と慰めてくれる。その手伝いもしてくれると。


その時の俺には、二人が天使に見えたね……羽根は黒かったけど。


ちなみに、ヴァンパイア達の食事については、これも1週間から10日ぐらいの割合で吸血させれば良いらしく、しかもその量は1回200ml程度で良いらしい。


首に噛みつく必要もなく、手首や足からでもいいらしい。


ならなぜ首に?と疑問を口にしたら、カミーラが「様式美です」と答えてくれた。


……うん、様式美は大事だよね。


とにかく、ヴァンパイア達の吸血に関しては、別に俺じゃなくても大丈夫らしいので、クリムやリズ、それにカエラ達護衛衆の協力を仰ぐことで決まった。


まぁ、それ以外の細々したこともあって、クリムたちが戻ってきてから改めて紹介することになり、一応はこの件について決着がついたのだが………。



「出たな、ロリ女神。」


一通り話もまとまり、クリムやリズたちも合流したところで、いつの間にか、アイツが目の前に現れたのだ。


転生させたあとは神の干渉は無いというのがお約束だと思うのだが、ここではそんなことは無いのだろうか?


「随分なご挨拶ね。せっかく重要な情報を持ってきてあげたのに。このまま帰ってきてもいいんだよ?」


どうするの?とニヤニヤしながら視線で問いかけてくる。


ロリ女神の言葉に、俺はウっと言葉に詰まる。


この世界の事について俺はまだまだ知らないことが多すぎる。そうでなくても情報はとても大きなアドバンテージになるモノだ、しかもそれが曲がりなりにも神からのものならば、その有用性は計り知れない……はず。このロリ女神の事なので、どうでもいい情報で俺を振り回すのが目的という事もあり得るのが笑えない話なのだが。


そこまで考えた上で、俺は一瞬で判断を下す。すなわち……。


「申し訳ありませんでしたぁっ!」


見事なまでの土下座が決まる。


「あ、う、うん、わかればいいのよ。」


俺の素晴らしい土下座に、さすがのロリ女神も引き気味だった。


「コホンっ。でね、いい情報と悪い情報があるんだけど、どっちから聞きたい?」


ロリ女神は、咳払いをして、今までの一連の事柄がなかったかのように、話を続ける。


「悪い方から。」


俺は即決して答える。こういう時は常に悪い方からと決めているのだ。俺は美味しいものは最後まで残しておく性質なんだよ。……もっとも、それで取られることも数多くあるのだけどな。


「じゃぁ、いい情報から。」


「オィっ!」


「何で私がアンタを喜ばせることをしなきゃいけないのよ。」


……うん、こいつはそういう奴だ。知ってたよ。


「それでね、まぁ、一言でいえばあなたのことがバレたのよ。」


「バレた?誰に?そもそも俺のことがバレるのがいい事ってどういうことだ?」


「そうねぇ、おバカな下等生物のアナタにも分かるように説明してあげるとね……。」


ロリ女神の言う事を簡単にまとめると、次のようなことになる。


この世界は、多種の神々が見守る世界なのだが、長い間見てるだけ、というのは大変暇でつまらないのだそうだ。だから、時折世界に干渉したり、コマを送り込んだりして遊戯に更けたりすることもあるそうで、それがこの世界の者達から見れば、救済だとか試練だとか災厄というものにあたるらしい。


神々は、地上の者たちが、そのような状況に陥り、右往左往する様を眺めて楽しんでいるのだとか……まったくふざけた話である。


そして、その遊戯の一つに、異世界からの転生者を送り込むというのがあるのだが、これは世界のバランスを崩しかねないため一定のルールが設けられていた。それが、クリムが受けた転生にあたっての説明にあったように、受け取れる能力などの制限などで、これを詳しく説明し、十分に理解を得たうえで、双方納得して転生させることになっているのだそうだ。


しかし、目の前のロリ女神は、めんどくさがって、そのルールを破った……つまりロクな説明をしないまま俺を適当に放り出したことだ。


本来であればそれがバレたら責められるのであるが、目の前のロリ女神は、その追及を避けるために、俺が運命のサイコロで、0のゾロ目を出したことをあっさりとバラした。


「……って言うか、それって、バレた、じゃなくてバラしたんじゃねえかっ!」


「いいのよ、細かい事は。それでね、そんな神々も凌駕するほどの摩訶不思議な運命の持ち主はどんな奴だって事で、多くの神々がアンタに注目してるのよ。」


ロリ女神が言うには、俺の行動の一つ一つが、神々の余興のネタにされているらしい。つまり、ロリ女神の目論見通り、俺をネタにすることによって、自分への追及をかわすことに成功したわけだ。


そして、俺の運命がどう動くのかに興味津々な神々は、俺の行く先々に関して色々干渉しているのだとか。


「干渉?」


「そう、例えば、本来起きる筈のない戦争を起こしてみたり、出会うはずのない種族と出会わせてみたりとか色々ね。後、色欲を司る女神様はあなたの色恋の様子に大変興味を持っているから、あなたが思うような恋愛は出来ないと考えたほうがいいわよ?」


「マジか……。って言うか、色々なトラブルに会うのはお前らのせいかよっ。そもそも、この情報のどこが「いい情報」なんだよっ。」


「あら?とってもいい情報じゃない。だって、アンタが色々困るのよ。しかもその原因が全部アンタの所為って、他の娘たちにも知られちゃったし、これからどうするのかしらねぇ。あぁ、おかしい。これからが楽しみで仕方がないわぁ、私にとって、これほどいい情報はないわよ?」


「チッ!お前にとっていい情報ってかっ!ふざけんな。……で、悪い情報ってのは?」


「……ふんっ。そんな聞き方で教えてあげるとでも?」


ロリ女神が先程とは打って変わって、明らかに機嫌を悪くする。


先程の言い方だと、悪い情報=ロリ女神にとって悪い情報で間違いないらしく、それで機嫌が悪くなっているらしい。


「いいのか?お前の話だと、他の神々が注目してるんだろ?ルール違反をしてるって大声で叫んでもいいんだぜ?」


「クッ……出来るものならやって……わ、わかったわよっ。」


俺が天に向けて大声を張り上げようとするのを必死になって止めるロリ女神。ルール違反というのはよほどの事らしく、さすがのロリ女神も顔を青ざめさせていた。


「アンタに、何も能力を与えてないって、問題になったのよ。」


「与えてないって……『不老不死』の能力がそうじゃないのか?」


「『不老不死』なんてスキルがあるわけないでしょ。あんたに与えたのは『ラーニング』と『リバース』の力よ。それが疑似的な不老不死をもたらしてるだけ。」


ロリ女神の説明では、俺に与えた能力『ラーニング』はあらゆることを学び、留める力で、『リバース』は元に戻す力とのこと。


俺の身体の情報を、ラーニングで常に記録しておき、何か損傷を受けた場合、リバースで元の状態に復元する……つまり、殺されても、ラーニングで得た死ぬ前の状態にリバースで戻しているという事らしい。


だから、リバースが発動できる最低限の肉体情報と魔力がなければ、俺は生き返ることは出来なくなる。そのような不完全なものを『不老不死』とは言わないらしい。


元々「不老不死」なんてスキルはないのだから、本来であれば、その事を説明する義務がロリ女神にあるのだが、それすらも怠って、適当な能力で誤魔化したことが責められているらしい。


「だから、不本意だけど、あなたの望みの能力を与えてくるようにって言われてるのよ。だから何が欲しいの、早く言いなさいよ。」


「早く言えって、どんなのがあるんだよ。まさかなんでもってわけでもないんだろ?それで俺が言った能力を聞いて、「それは不可。無理難題を言うなら何もあげません」とか言ってごまかす気じゃないだろうな?」


「何故わかるのよっ!アンタ神々の心が読めるのっ……なんて恐ろしい子。」


「あほかっ。」


どうやら俺の予測通りだったらしい。よくある思考パターンをそのまま言ってみただけなのだが、見事にそのままだったとは、却ってあきれ返るしかない。


「それで?何か制限があるんだろ?」


「……。アンタにはすでにSクラスの能力を二つ授けているから、Bクラス一つかCクラス二つを与えることが出来るわ。」


渋るロリ女神から何とか聞き出したところによると、Bクラスは、英雄級と呼ばれる武器もしくは装備一式、各属性の中級魔法、各属性に対する高抵抗、各状態異常の完全無効化、各能力値の大幅上昇、そして、一部の特殊スキルなど。


Cクラスは名人級の武器もしくは装備一式、各属性の初級魔法、各属性に対す抵抗値上昇、各状態異常に対する高抵抗、各能力値の小幅上昇などがあたるらしい。


因みにクリムが使えるアイテムボックスなどの空間魔法は別格らしくて、今回は貰える候補に入っていないとのことだった。


「あー、じゃぁ、体力の大幅上昇で。」


「それでいいのね?後からやっぱり別のってのは受け付けないわよ。」


「あぁ、問題ない。今の俺には『体力』がとても必要なんだよ。」


……体力が大幅に上昇すれば、アンジェ達とエッチしても死なずに済むし、複数人相手にするのにも、体力はあったほうがいい。そう、ハーレム維持のためには体力が必須なのだっ!


「はぁ……その顔を見れば何を考えているか、手に取るようにわかるけど……まぁいいわ。受け取りなさい体力の恵みを女神の祝福(のろい)と共に!」


ロリ女神から溢れた光が俺の身体を包み込み、俺の体内に力が漲ってくるのが分かる。それはいいのだが……。


「おぃ、今、祝福ってところに不穏なルビがついてなかったか?」


「気の所為よ。女神の祝福(のろい)付きなのよ、光栄に思いなさいな。」


「今、のろいって言ったぞ。どこが祝福なんだよっ!」


「祝福よぉ。アンタがエッチな行為に及ぼうとした際、ランダムで様々な事が起きるようになってるの。色欲の女神様からの特別な贈贈り物よ。有り難く受け取りなさいな。ウフフフフ……ざまぁ。」


ロリ女神はその言葉を残して消えて行った。


「クッソ……マジか。」


ロリ女神が残した言葉が本当であれば、俺の脱童貞の道は果てしなく険しいものになったと言わざるを得ない。


フッと息を吐いて、周りを見てみると、俺とロリ女神のやり取りを唖然としてみている仲間たち(ハーレムメンバー)の姿があったことに気づく。


「あ、今のは、その……。」


状況を知っているクリムやアンジェは別として、リズたちにさえも、俺の事は何も話していなかったのだ。それなのにいきなり、神がどうのとか、不老不死がどうとか言われたら……。


俺がどう誤魔化そうかと悩んでいると、おもむろにカエラが近づいてくる。


「あ、今のはな、……って、えっ?」


カエラが有無を言わさずに、俺の胸に剣を突き立てた。


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