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ハーレム王とリィズエリア 2

「あんちゃん、待ちなよ。」


ギルドを出てしばらくしたところで、俺は呼び止められる。


俺は、ギルドを出た時からこいつらに付けられているのは分かっていた。


だから、襲われやすく、また戦いやすいこの路地裏近くへと足を運んでいたのだが、あまりにもの想定通りの行動に、思わず笑みがこぼれる。


「何嗤ってるんだ、あぁん?」


「あ、いや、これは失礼。あまりにも予想通りなのでつい。」


俺は笑みを消すこともなくそう言ってのける。


すると俺を取り囲む奴らの殺気が膨れ上がるのが分かる。


「あぁん?今泣いて許しを請い、全財産おいて行くんだったら、数発殴るだけで済ませてやるつもりだったけどなぁ。半殺しは覚悟して貰う、ぜっ!」


男がいきなり殴りかかってくるが、俺はそれを身を捩って躱す。


「こんな街中で、冒険者が強盗ってか。警備隊長が嘆くわけだなぁ。」



こいつらは、ギルド内で酒を飲んでいた奴らだ。大方、俺が金貨を出すのを見ていいカモだと思ったに違いない。


しかし、相手の実力も分からないっていうのは、三流の証拠だな。


俺が見たところ、こいつらの力はゴブリン並みだと思う。


だから受けれる依頼もいいところゴブリン退治迄。だけど初心者が受けるようなお使いクエストや採集クエストをするのはプライドが許さない、だから昼間から酒を飲んでいるしかなかったのだろう。


「って、ぐわっ……。」


俺は余裕を持って躱したはずだったが、その横合いから殴りかかってくる男の拳を避けることが出来なかった。


「今だ、やっちまえっ!」


殴られ、バランスを崩した俺を、先程の男が殴り飛ばす。


そして回りにいる奴らにぼこぼこに殴られ、蹴られる。


……そうだった。俺の実力も大したことなかった。


いつもは奇襲・不意打ちで倒している為、ゴブリン程度目じゃないと思っていたが、正面から戦えば、2~3匹を相手に出来る程度だった。


しかも、街中で重装備は不要だろうと、今の俺は装備を装着していない丸腰状態だ。


つくづく甘く考えていた、と思いながらも、俺は何とか囲みを抜け出す。


……クソ、体中痛ぇ。


俺はこのままでは分が悪いと感じ、脱出する隙を探る。


……正面の男に砂をかけ、怯んだところで足を引っかけて倒す。助けようと他の奴らが近づいてきたところを躱せば、包囲は崩れるからそのまま逃走……よし、これで行こう。


俺は、この先の行動を決めると即座に行動に移す。


目の前の男に向かって駆け寄り、手にした砂をかける。


目論見通り、眼に砂が入って怯んだ大男の脚を引っかけ、向かってくる男たちの脇をすり抜けようとして……。


「グッ……。」


甘かった。迫る短剣を躱すことが出来なかった。


……まともに心臓を貫かれたか。


目の前が暗くなってくる。


どうせ死ぬなら、最後にひと暴れしてやるか。


俺は胸に刺さった短剣を引き抜き、周りに対して無茶苦茶に振り回す。


「嘘だっ!心臓貫いたのに動けるのかっ!」


「ば、バケモンだぁっ!」


「お、お前ら、怯むなっ!」


大男がそう声をかけるが俺を恐怖の眼で見ている奴らには効果がなく、散り散りに逃げだす。


「く、クッソっ……。どうせ長くないんだ。」


大男はそう捨て台詞を吐いてその場から逃げ去る。


誰も居なくなったところで、俺は膝をつき、その場に倒れ込む。


……こんな場所で死ぬのか?


……そう言えば、俺の不死のスキルって……あぁ、ターミナルで復活するんだっけ?


……ならいいのか。でも、ここまでの記憶も失うんだったよなぁ。って言うか、その復活した俺って、本当に俺なのか?


ターミナル経由による俺の不死のスキルは、いわば、セーブしたところからやり直すようなもので、現実的に言えば、記憶というソフトウェアを複製した肉体というハードウェアに書き込むようなものだ。


つまり、それは俺ではなく俺の記憶を持った複製という事で……。


……ま、いっか。難しい事は後で考えよう。もうすぐ意識も……。


………………。


……………意識も?


おかしい。いつまでたっても意識がハッキリしている。


……。


俺はむくりと起き上がる。


「……傷がない?」


俺は胸もとを見てそう呟く。


確かに短剣で刺された証拠に、避けた衣服と、まだ乾ききっていない血糊がべっとりとついている。


しかしその舌の肌には、傷一つ残っていなく、綺麗なものだった。


「どうなってるんだ?」


俺がそう呟くと、通りの向こうから「にゃぁ」と啼きながらクロがやってくる。


「お前、何やってたんだよ。こっちは大変だったんだぞ。」


「にゅあ、にゃぁ。」


「ん、あっちで美味しそうな焼き魚が売ってる?いやいや、それどころじゃなかったんだって。」


するとクロの背中に乗っていたアルちゃんが、身振り手振りで、何かを伝えてくる。


「えっと、あんなザコに簡単にやられるような、軟弱な男に育てた覚えはない?……そりゃぁ、育てられた覚えもないけどな。」


俺はクロとアルちゃんの訴えに、何か釈然としないものを感じながら、広場で焼き魚や肉串などを買い込んで、少し離れた場所で休憩をする。



「……で、奴らは逃げて行ったんだけどな。でも、コレってどういうことだと思う?」


おれは肉串を食べながらアルちゃんとクロに殺気の出来事を説明する。


しかし、心臓を貫かれたのに、なんともないというくだりのあたりで、アルちゃんとクロは一斉に視線を背ける。


「……何か知ってるのか?」


俺がそう訊ねるとクロたちはフルフルと首を横に振る。


「……そうか、教えてくれないのなら、追加は無しだな。」


俺がそう言うと、横暴だ!と、クロとアルちゃんは必死に訴えだすが、俺だって譲る気はない。


こいつらは知っていて何かを隠していることは、その態度を見ればわかるのだ。


結局、追加の焼き魚と肉串5本で奴らは折れる。


「ふんふん、この間の実験……メイリーンの能力測定の時のか?・……うん、あの時、俺に能力を移譲する際、折角だからって、色々と混ぜたぁ?」


クロとアルちゃんの話では、ターミナルの儀式の間で、メイリーンの能力を俺に写す実験の際に、ターミナルに保存されていた、アンデットだとか、高位悪魔

等の魔石の欠片だとか、様々な術式を織り込んだという事だった。


結果として今の俺は高位アンデット並みの不死性と再生能力が備わっているらしい。


具体的に言えば、頭さえ潰されなければ死なないとの事で……俺も、いつの間にか人間やめていたらしかった。


どおりで、あの後から魔力が増えた感じがしてたんだよなぁ。


アルちゃんが言うには、あのままでは全く術式が発動しない為、俺の潜在魔力を上げる必要があったということ。俺の事前許可があったからビャクレンが実行したというのだ。


確かに、術式が発動するように、命の危険性がない限りは色々試せ、とは言ったけど、俺に色々埋め込めって意味じゃないんだよなぁ。


俺は釈然としない思いを抱えながらも、アルちゃんとクロを連れて、今夜の宿を探すことにするのだった。




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