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ハーレム王の新たなる旅立ち リィズエリアへ 1

「……という事で、ちょっと出かけてくる。」


「ちょっと待ちなさいよっ!」


俺はさりげなく出て行こうとしたのだが、その首をアンジェとクリムに引っ張られその場に押しとどめられる。


クソ、ちっこいくせに凄い力だ。


「何で一人で行こうとするのよ。」


「いや、普通トイレとかは一人で行くだろ?」


俺はそう言ってごまかす。我ながら完璧な理由だと自画自賛してみる。


「トイレならそこにあるわよ。」


そう言っておまるを指さすクリム。


いや、アレはプレイ用の小道具だし。


「最近はリィズエリアの事をトイレっていうのね。私もおトイレ行こうかしら?」


そう言って微笑むアンジェ。


……ハイ、ムリでした。大体この二人を簡単にごまかせるなんて思っていませんよ、ホント。


「シィッ!二人に気付かれるだろうがっ!」


俺はアンジェとクリムの二人の口を塞ぐ。


メイリーンとアイリは、この1週間無理をさせていたので、その疲れからか、ウトウトし始めていたので、寝室に運んできたばかりだ。あの様子では朝まで目覚めることは無いだろうが、それでも騒いでいれば起きてしまうに違いない。


「あー、まぁ、少し真面目に話していいか?」


「珍しい……でもいいよ。聞いてあげる。」


クリムがそう言って俺の肩に乗ってくる。


「私達の間で遠慮はなしよ?」


アンジェもそう言って、逆側の肩に乗る。


俺は二人に挟まれる格好でソファーに腰を下ろして話し始める。


「俺は暫くリィズエリアに行こうと思う。」


「一応、理由聞いてもいい?」


「まぁ、想像はつくけどね。」


二人の言葉に頷きながら、俺は自分の考えを話し出す。


「まず、今あのエリアが狙われているという事が一番の理由だな。もし、あのエリアがディゲルとかいう奴らの手に渡ったら、この場所もバレる恐れが出てくる。そうなったら色々面倒なことになるだろ?それに、奴らの手に落ちないまでも、割ったエリアを狙って魔獣共が集まってこられたら、これもまた面倒だからな。」


「……素直にあの二人の為って言えばいいのに。」


「あら、見え見えなのに素直になれないところが可愛いのよ?」


「うーん、それはあるかも。」


……違うからな、あの二人の心のつっかえを外してやろうだなんて考えてないからな。


……ほんの少しだけしか。


「コホン。とにかくだ、そう言う事なので、ちょっと行ってくる。」


「うん、いいよ。ちゃっちゃと言って片づけてこよ。」


「そうね、今から行けば10日ぐらいで片づけれるかしら?」


「ちょっと待て。なんで当たり前のようについてこようとするんだ?」


「「えっ?」」


「えっ、じゃない。行くのは俺だけだっ。」


「何でよ~!」


「一人で行く意味が分からないわ。」


二人が猛然と抗議してくるが、これだけは譲れない。


「いいか、真面目な話って言っただろ?お前らには、俺がリィズエリアに行っている間にしてもらいたいことがあるんだよ。」


「ぶぅ~…………で、何よ、してもらいたいことって。」


憮然とした表情のままクリムが聞いてくる。


「このターミナルエリアの防衛と強化だよ。」


「……詳しく話を聞く必要がありそうね。」


そっぽを向いていたアンジェも、放っておけなくなったのか近くに寄ってくる。


「あの二人……と言うかメイリーンだな。アンジェにならわかるだろ?如何に危険な存在になりうるか。」


「あの力……というより血筋の事ね。」


……アンジェもやはり気づいていたらしい。この世界だからこそ起こりえる危険なことに。


「えっと、どういうこと?予言が問題なの?」


「いや、メイリーン自身気付いていないが、彼女が狙われているのは、彼女の力そのものじゃないんだ。」


分かっていないクリムに、俺は簡単に説明してやる。


「彼女の父親が、無制限エンチャントの能力を持っていたって話はしたよな?」


「うん、あのチート級のアイテムが簡単に作れるって事よね?」


「あぁ。で、その力を使えば今のこの世界を簡単に支配下に置けるって事は分かるか?」


「うん、それぐらいわかるよ。石ころを簡単に爆弾に代えれるんでしょ?だったらどれだけの軍団がいても怖くないし、ちょっとした壁でも、何も通さない結界に代えれば、守りも完璧。服に瘴気遮断の結界を張れば、今の外海でも自由に暮らせる。使い方とアイディア次第では、無敵の存在になれるよね?」


「まぁそう言う事だ。しかし残念ながら、その使い手の本人はすでにこの世にはいない。だけどその血を引く娘が存在していることが分かった。だったらどうする?」


「うーん……。そう言えば、前にメイちゃんが言ってたね。子供が産まれればその能力を引き継ぐ可能性があるかもって。」


「まぁ、その可能性がないとは言えないし、メイリーン自身も相手がそう考えていると思っている。だが、そんな時間を掛けなくてももっと手軽に手に入れる方法があるんだよ。」


「え?どゆこと?」


『結晶化です。力あるものが息絶える時、確率でその力を封じた魔石が残ることがあります。この現象を結晶化と言いますが、これは潜在能力が高いほど、起こりやすくなっています。』


クリムの疑問にターミナルが応えてくれる。


「つまりだな、メイリーンを殺せば、その場に力を封じた魔石が残る可能性が高いという事だ。そしてその魔石を取り込めば、メイリーンの残した力を得ることが出来るってわけだ。」


「そんなっ!……でも、メイちゃんの予言の能力ってそこまでして必要なモノ?」


「違うんだよ。さっきも言っただろ?本当に欲しているのは無制限エンチャントの方なんだ。」


「でも、その力はメイちゃん使えないんでしょ!?」


「だけど、その因子は保有しているっ。」


声を荒げるクリムに対し、俺も自然と声が大きくなる。


『儀式の間の技術を使えば、必要な能力の選定、増幅をして結晶化を行う事も、継承させることも出来ます。』


ターミナルのビャクレンが俺の言葉を補足するように告げる。


「……そう言う事だ。」


「……ふーん、つまり、ソーマはあの子の力だけを取り上げようって言うんだ。」


クリムの声のトーンが低くなり、その場の温度が下がっていく。


「待て、お前は何か勘違いしてるぞ。」


「何が勘違いなのかなぁ?」


クリムの周りに魔力が集まりだす。


スパーンッ!


魔力が弾けそうになったその時、快い響きが部屋中に響き渡る。


「クリム落ち着きなさい!ソーマがそんなことするわけないでしょっ!」


「いたた……。アンジェぇ、痛いよぉ。」


ハリセンで叩かれた頭を抱えながら、恨めしそうな目でアンジェを見上げるクリム。


「アンタが短気なのが悪い。」


「でも酷いよぉ……。……で、どういうことなの?」


「落ち着いたか?一応ここの設備であれば、メイリーンの血筋を解析して、必要なスキルを必要なだけ取り出せるって事だ。昨日までの調査結果では、メイリーンの血筋……血統魔法は時空間に由来したものだという事が分かっている。メイリーンの母親は次元を断裂する力、祖父は転移する力を持っていたという証言もあるしな。」


「……その力がメイちゃんから取り出せるって事?」


「簡単に言えばな。」


「……でも、取り出したらメイちゃんはどうなるのよ?」


「……本人に何の異常もなく、能力だけ取り出せるならすでにやっているよ。」


そう、現時点では、メイリーンを生かしたまま能力を取り出す方法はない。それがこの1週間で得た結論だった。


「そう……だよね。」


「ここには世界の命運を左右する力を有する少女と、その力を取り出す設備が整っている。つまり、ここを悪人の手に渡すわけにはいかない、そう言う事だ。」


「悪人ねぇ?」


「どの口がそういうのかしら?」


クリムとアンジェが冷ややかに見てくる。


「ちょ、ちょっと!ここは力を合わせてがんばろ~!ってところだろうがっ!なんで俺が悪人みたいになってるんだよ!」


「………。」


「………。自覚がないってこわいわね。」


「何でだよっ!」


「……じゃぁいくつか質問するから正直に答えてね。」


「あぁ。」


「じゃぁ……ここにモンスターに襲われた女の子がいます。どうしますか?」


「そりゃぁ助けるに決まってるだろ?」


「そうね。では、助け出した女の子は、襲われたときに衣類の殆どを失い、裸同然です。さらには、ショックで立ち上がることも出来ず震えています。どうしますか?」


「そんなのお持ち帰りするに決まってるだろ?」


「もう一つ質問ね。森で泣いている少女に出会いました。どうしますか?」


「それはもちろん、お持ち帰り……じゃなくて訳を聞くよ、うん。」


答えかけた時、クリムの冷たい視線に気づいて慌てて答えを変える。……ふぅ危険なひっかけ問題だったぜ。


「話を聞くと、少女の母親が病気で苦しんでいるけど、薬草も見つからなくて困っているとのことでした。少女は言います「何でもするからお母さんを助けて」と。そしてあなたは、どんな難病も瞬く間に治す伝説のポーション……売れば何億というお金になるモノを、一つだけ持っています……どうしますか?」


「そんなの決まってるじゃないか、もちろん助けるさ。」


「一つしかない伝説のポーションを使って?」


「勿論。」


「その代価は?」


「女の子が何でもするって言ってるんだ。すでにもらったもんだろ?」


「何してもらうの?」


「そりゃぁ色々だよ。なんでもって言うんだからな。」


「もし、母親が一生かかっても働いて代価を支払うって言ったら?」


「病み上がりの病人にそんな事させられないだろ?代価は娘さんをいただくから安心しな、と伝えるよ。」


「……ゲスぃわぁ、ないわぁ~。」


「ほんとね。」


クリムとアンジェから非難の声が上がるが、俺は何かおかしなことを言っただろうか?


何億もする伝説のポーションをタダで何て言ったら助けられた方だって困るだろ?何と言っても、タダより高い物はないんだから。


ここはしっかり代価をいただくことで、お互いに気まずい思いをしなくなるってものだ。


そしてその代価として女の子の方から何でもするって申し出て来てるんだ。つまり女の子自身が代価って事で、何億というポーション以上の価値があるんだぜ?貰わない理由がないだろ?


……うん、俺はおかしなこと言ってないし悪くない。


なのに、アンジェとクリムが俺を見る視線は、果てしなく冷たかった……何故?

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