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ハーレム王の新たなる旅立ち 準備編 4

「で、これからどうすることに決まったの?」


立ち直ったクリムが聞いてくる。


「それなんだが……決まってない。」


「はぁ?今まで何してたわけ?」


クリムがおこである。しかし、ずっと寝ていた奴に言われたくない。


「とりあえず、メイリーンたちが逃げ出してきた経緯は分かった。ふたりともここにいれば当面は安全だろう。」


「ふんふん。」


俺の言葉に頷きながら先を促すクリム。


「ノッカー、サキュバス、ハルピュイア達の生活も落ち着いていて、当面大きな問題はなさそうだ。」


「ウンウン、いい事だね。それで?」


「ビャクレンによれば、ダンジョンもターミナル関係も、しばらく魔力充填させてほしい、とのことなので、何かをする予定はない。」


「……つまり?」


「エッチ三昧で放蕩にふけっても何ら問題ないという事だ。」


俺はそう言いながら、メイリーンとアイリが逃げないように捕まえる。


「エッチは1日一時間!使用上の注意をよく読み、用法・用量を守って正しくお使い下さい!なのっ!」


クリムが俺の顔覆いかぶさるようにぶつかってくる。


「1日1時間ってゲームかよっ!用法・用量って薬かよっ!ってかわけわからんっ!」


「ソーマの女の管理はこれからアンジェと私でするからねっ。ソーマは勝手に女の子にエッチなことしちゃダメなのっ。」


「そ、そんなぁ……。俺はこれからどうしたら……。」


その場に蹲り、がっくりと項垂れる。


「そ、そんなに落ち込むことなの?」


俺の落ち込み様があまりにも酷かったのが意外だったのか、クリムが頭を撫でてくれるが、俺の心の傷はそんな事じゃ癒えはしないんだよぉぉぉ!


「そんなこと言っても仕方がないじゃない。ソーマが連れてくる女の子が私の将来にかかわってくるのよ。私の為に協力しなさいよっ!」


これ以上ないくらい自分ファーストな理由だった。


「まぁまぁ、その代わり、今夜は、メイちゃんとアイリちゃんの二人をゴニョゴニョ…………。」


「よし、わかったっ!」


(あのぉ……姫様。私何やら嫌な予感がします。)


(あら、奇遇ね。私もよ。)


(私達、どうなってしまうのでしょうか?)


(さぁ、少なくとも、私達の運命はソーマ様と共にあることは間違いないのですが……。)


(……少なくとも今夜の運命は姫様と同じようですぅ。)


二人が何やらコソコソと話しているようだが、声が小さくよく聞き取れないが、真面目な話をしているらしく、その表情は真剣そのものだった。


クックック、待ってろよ。今夜その顔をたっぷりと歪ませてやるぜ。


「……ソーマ、ゲスい顔になってるよ。」


おっと、いかんいかん。つい期待が顔に出てしまったようだ。


俺はアンジェの指摘に、顔をいったん隠して表情を作る。


「あー、しかし、なんだなぁ。夜まで暇になっちゃったなぁ。」


俺はちらりとアイリを見ると、彼女がビクッと震える。


……イカン、楽しい、癖になる。


「あ、あのっ、だったら、私が道を示しましょうか?」


メイリーンがアイリを庇う様に前に立ち、アルカナカードを見せてくる。


「面白そうね、ソーマお願いしてみたら?」


「そうだな、暇つぶしにはいいだろう。」


「暇つぶし……ですか……(これでも私の力は崇められていたのですが、それがただの暇つぶし……)」


「ん?どうした?」


「あ、あぁゴメンなさい。今から始めます。」


メイリーンは一度目を閉じて集中する。そしておもむろにカードを並べ始める。


以前と同じく、カードの絵柄は真っ白だが、並べ終えたカードの上にメイリーンが手をかざすと、いくつかのカードに絵柄が浮かび上がる。


「これは……神?悪魔?……そして混沌……なんなのこれ?」


「どうした?どんな結果が出たんだ?」


困惑する表情を見せるメイリーンに声をかける。


「あ、ごめんなさい。予想外の結果が出ましたもので……。」


「予想外?」


「あ、それはまた後で。……まずこちらのカードですが、これはトラブルの象徴で……。」


メイリーンが、一つ一つのカードについて説明してくれる。


「……ですので、ソーマ様が現在取るべき道は、この二つのどちらかという事になります。」


「『人』か『魔』ね。……これはまた厄介なことになりそうだわ。」


「なぁ、こっちの『砦』みたいなのはダメなのか?」


アンジェが持つ人間が描かれているカードと、クリムが持つ魔族が描かれているカード、そして下に捨て置かれている砦みたいな建物、この三枚が直近の行動を示すものらしいのだが、メイリーンは砦について触れていないのが気になった。


「あ、それは……その……拠点を示すのですが……。」


「つまり、拠点でゴロゴロするのもアリってことだよな?」


「……確かに、それも一つの選択なのですが、お勧めできません。」


「何かあるの?」


クリムが砦のカードを取り上げながら聞いてくる。


「えぇ、他の2枚のカードに関して、選択の結果はまだ不明瞭なんですが、砦のカードに関してだけは、行動の結果がはっきりと出ているのです。」


「どんな結果なの?」


アンジェが興味津々と言った感じで聞いてくる。


「はい、砦の行動を起こした結果がこのカードです。」


メイリーンが1枚のカードを見せる。そのカードには荒野の絵柄が浮かんでいた。


「このカードが示しているのは『緩やかな荒廃』です。すぐにどうこうという事はありませんが、その先に未来はありません。……緩やかに滅んでいくだけです。」


俺が荒野のカードを眺めて考えていると、メイリーンが俺をじっと見つめた後、決意したように口を開く。


「ソーマ様が、その未来を選ぶのであれば、私とアイ……いえ、私は何としてもここから出て行きます。黙って滅びを迎えることを許容できませんから。」


硬い表情でそういうメイリーンの頭を軽く小突く。


「何マジになっているんだよ。俺がずっとココでゴロゴロするなんてことあるわけ無いだろ?」


「ソーマなら有り得るからメイちゃんも心配しているんだよ。」


折角、割と真面目にクリムがツッコんで来る。


「あのなぁ、よく考えてみろよ。閉鎖された空間で、限られた面子だけで暮らしていくというのは、周りの変化についていけず取り残されるということだ。そうなればいざという時に後手に回る……そんな事許せるわけ無いだろ?」


鎖国していた日本がそのいい証拠だ。それを知っているクリムは納得したように頷く。


……それに、新しい嫁を捕まえるためにも、こんなところに籠もって居られないからな。


「………ソーマ、本音が漏れてる。」


「えっウソ?………漏れてた?」


一様に頷く女性陣。


「……………。ということで、アンジェはハルピュイア、サキュバス達に周辺の調査を、クリムはノッカー達に消耗品の補充の指示を頼んだ。」


「……誤魔化したわね。」


「ウン、誤魔化した。」


「うるさいよ、サッサと行けっ!」


「「は~い。」」


二人は揃って返事をし、部屋を出ていく。


「あの……私達は……。」


部屋の残された二人がどことなく不安そうに見つめてくる。


「安心しろ。邪魔者は排除した。朝までたっぷりと時間はある。」


「全然安心できないですぅ~!」


メイリーンとアイリは、にじり寄る俺から距離を取るように、ジリジリと移動しようとする。


ま、逃がさないんだけどね。


俺は二人がそれ以上動けないように拘束した後、ニヤリと笑って、要求を伝えるのだった。



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