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ハーレム王の新たなる旅立ち 準備編 2

世界の崩壊と再構築……。


それは、ある一人の女神によって引き起こされた未曽有宇の大災害。


世界は「次元の壁」という見えない隔壁によって隔てられていて、一部の特殊な例を覗いて、その壁を超えることは出来ない。


だから、壁の中にいるもの達は、壁の外に世界があることを知らない。


魔法を極めた人族が中心となった魔法文明が発達した世界、あ力こそすべて、という弱肉強食の世界、魔法と科学を融合させた魔道具中心の魔導文明が脚光を浴びる世界……。壁の中の世界は、それぞれ独自に文明を発展させ、繁栄していた。


しかし、ある日突然、世界の壁が崩れ世界は終焉を迎える。


未曽有宇の大災害を過ぎて、落ち着いた頃には、その世界の在り様は、どの世界の人々にとってもあり得ない程の様変わりをしていた。


大気中には瘴気と呼ばれる澱んだ負のマナが立ち込め、魔族や魔物など、元々負のマナに対する免疫を持っていないものにとっては、生きることが出来ない魔の大地へと変わる。


外界と呼ばれる大部分の大地では、そこで生存できる魔獣・魔族達が、生存権を巡って覇を競い、争いが絶えない。


そして、負のマナの中では生きられない者達……人間、エルフ、ドワーフと言った亜人迄含む人族たちは、各所に散らばった「エリア」と呼ばれる、瘴気を遮断する結界に守られた、数少ない場所で細々と暮らしているのだった。


………



「……と、今の世界の現状はこのような感じなのはご存じですよね?」


メイリーンが俺達を見る。


「あ、あぁ、それくらいは常識だよな?」


俺はそう言いながらクリムを見るが、彼女はスヤスヤと寝息を立てている。


ヤバいと思って、視線をアンジェに向けるが……。


「私、この間目覚めたばかりだから。」


そう言って、恥ずかしそうに視線を伏せる。


「………じぃ~~~~。」


「………………ゴメンナサイ。女の子以外に興味なかったので。」


メイリーンとアイリの視線に耐えかねて、俺は素直に頭を下げる。


多少の事はビャクレンから聞いていたものの、興味がなかったので聞き流していたのだ。


「はぁ……。ソーマ様らしいといえばいいのですかね。」


メイリーンがワザとらしく大きなため息をつきながら、続きを話し始める。


「そのような状況ですので、人が暮らせる場所が限られているのですが、そういう閉鎖された空間であっても、人の業は深くてですねぇ……。」


核エリアの中心部には、結界を維持している重要な拠点があり、そのエリアの代表……大抵は元々そのエリアがあった国の国王……が、その拠点の維持御管理を一手に引き受けている。


その拠点は、そこに暮らす者にとって、文字通りの生命線であり、そこを管理して居るという事は、生殺与奪権を握られているに等しく、そこに新たな身分差が出来上がるまでにそれ程の時間を必要としなかった。


エリアによっては、その拠点の支配権をめぐって争いが起こったり、そういう揉め事の隙をついて近隣エリアが漁夫の利を攫って行ったりと、人類同士の争いは絶えることがなかった。


勿論、そんな事をしていれば、外界に住む魔獣たちの格好の餌場となり、襲われれ滅んだエリアもあるという。


「外界で生き延びていくのはかなり大変ですから……他の魔獣を倒すより、結界が弱った、力を持たない人間を襲う方が容易なのですよ。それに結界が弱まれば、弱い魔物なら容易に入り込めますし、強い魔物に対して、格好の隠れ家にもなりますから、狙われやすいんですよ。」


「ちょっと待て、どういうことだ?」


俺はメイリーンの説明に引っかかることを感じる。


「弱い魔物なら結界に入れるってどういうことだ?」


「えっとですね、ソーマ様が外界に出ても平気なのは、特殊な免疫があるから、負のマナである瘴気の影響を受けない、それで間違いないですよね?」


「あぁ、自分ではよく分からないが、そう言う事らしい。」


「それでですね、私達普通の人間が、外界に出るためには、瘴気から身を護る魔道具とか魔法が必要になるわけです。」


そう言って、メイリーンは指輪に視線を落とす。


メイリーンの指輪は⒨特殊なアイテムボックスになっていて、色々な魔道具が治められているらしい。


「それで、エリアの結界というのは、その瘴気から身を護る魔法を拡大した様なものなんです。ここまではいいですか?」


「あぁ、つまり普通の魔法なら自分の身体の周りを覆うだけだけど、拡大して複数の人が入れるようにした、という解釈でいいんだよな。」


「ハイその通りです。で、この魔法というのが瘴気を遮断……と言うか弾いて近寄らせない特性を持っているのですが……。」


メイリーンはそこまで言って、一旦言葉を切り、俺を見つめる。


「ソーマさんは、魔獣や魔族が外界で平気でいられるのはなんでだと思いますか?」


「そりゃぁ、俺みたいに免疫があるからだろ?」


「違います。」


メイリーンはにっこりと笑いながら否定する。そしてそのまま話を続ける。


「行為の魔族であればその可能性もありますが、殆どはその体内に瘴気を宿しているからです。そして、それが先程の答えに繋がるのですよ。」


「だから、強い魔獣ほど結界内に入れないって事ね。」


話を聞いていたアンジェが、納得したように頷く。


「さすが御姉様です。話が早いですわ。」


「どういうことだ?」


二人はお互いの納得して頷きあっていて、なんか仲間外れにされたようで淋しい。


「つまりですね、魔獣は体内に瘴気を宿しています。だから瘴気をはじく結界に弾かれるのですよ。そして、強い魔物ほど内包する瘴気の量は大きく強いので、瘴気に反応する結界に近づけなくなるのですよ。」


だから、瘴気量が少ない弱い魔物であれば結界内に入り込めるし、結界が弱まれば、入り込める魔物の種類も増えていく。だけど、弱ってはいても、瘴気量に反応するため、多くの瘴気を内包する強い個体は阻まれる、という事らしい。


余談ではあるが、「冒険者」たちの主な仕事は、そういう入り込んできた魔物や、エリア付近にいる魔物を倒すことだという。だから、この新しい世界でも冒険者はいるし、それを支援する冒険者ギルドも存在するとのことだった。


「とまぁ、これで、今の人類の置かれている現状が分かってもらえたと思うのですが……。」


「あぁ、要は小さな公園の中の、狭い砂場でガキ大将争いをしているってことだろ?」


「……身も蓋もないですが、要はそう言う事です。」


「で、それとメイたちの事とどういう関係があるんだ?」


俺がそう聞くと、メイリーンは、少しだけ言いよどむ。この期に及んで喋ってしまっていいものかどうか悩んでいるようだった。


「……『砂場を広げることが出来る』そう言うことね?」


そんなメイリーンにアンジェが助け舟を出す。


「えぇ、正確には『砂場を広げることが出来るかもしれない』と、その程度の事なんですけどね。」


メイリーンは小さくため息をつきながら、御姉様は何でもお見通しなのですね、と小さく呟く。


「私が追われていたのは、私の持つ魔道具と私の能力(ちから)を手にすれば、『砂場』を広げるだけでなく、新たな『砂場』を手に入れることが出来る、そう思われたからなのですわ。」


メイリーンの言葉は、拙い比喩表現に隠されているが、その本質を紐解いてみれば、大げさでなく、世界の根幹を揺るがすほどの影響力がある、と宣言するに等しいものだった。


GW半ばです、みんな、読書してますかぁっ!


そして、この作品も、今回で百話です!……なのにちょっと短いっ!

でも、次話は少し長めなので勘弁してください。


丁度100話で1万5千PV達成!!

これもみんなのおかげです、ありがとう、ありがとう!!

(予約投稿しているので、実際とずれが生じています……たぶん)

とにかく、ここまでこれたのは皆さまの応援のおかげです、ありがとうございます。

そしてこれからも応援よろしくお願いします。


ご意見、ご感想等お待ちしております。

良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。

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