朝の月
朝の月は
遠く白くうすく
夜の間の
煌々とした輝きは
鳴りを潜め
霞がかる青空に
素知らぬ顔で紛れては
乾いた色で
眠たげに在る
地上が隅々まで
陽に満たされれば
あらゆる川筋に
流れ出た水のように
人びとは動き出し
各々 手を浸しては
生活のつづきを汲む
たゆまぬ営みに
ふと 立ち止まり
見上げた者も
また歩み出せば
いつしか褪せていく
昨日を連ね
光の中を行く
月は
その窪みの影を
明るくさらし
黙したまま
45億年のつづきの朝に
今日も ひっそりと浮かんでいる