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転生


 まるで、大量殺人鬼を弾圧するかのごとく、世間の目は俺をきびしく貫いた。家から出れば、好奇の視線でみられ、子供たちからは指をさされて笑われる。


 27歳彼女なしフリーターの俺は、近所に住む情報通のおばさんの標的と化していた。彼女により、俺は『笑って楽しむ』ための存在にされてしまったのだ。……何でそんな状態なのに俺は家にこもらず、普通に外に出てバイトをしているのだろうか。もしかしたらやけくそになっているのかもしれない。


「相変わらず授業はつまらなかったな。こんな生活が毎日続くなんて、耐えられないよ……おい、あいつがいるぞ。良し! 殺しちゃえ」

「いいね~」

「楽しそ~う」


 俺よりもやけくそになっている子供たちに遭遇してしまった。気づけば前も後ろも子供たちに囲まれてしまった。まあ、子供の力なら丈夫だろう。


「おらっ」

「えいっ」

「そりゃっ」


 ……全然大丈夫じゃなかった。力が、抜けていく。あまりにも多くの人たちが俺をおもちゃにしていたせいで、子供たちから殺してもいい存在だと思われてしまったみたいだ。


 まあ、子供なら人を殺しても普通の人生を歩めるのだろう。悲しいけど、俺は虐げられたまま終わり、俺を殺した子供たちは仕事に恋愛に大忙しの充実した人生をあゆむのだろう。


 ……無駄かもしれないけど、最後の悪あがきをしよう。



 ピッ、ピルルルルルルルルルルルルルルルル



 最後の力で少年のランドセルから防犯ブザーを引きちぎり、それを力いっぱい引く。……どうせ少年たちは大した罪には問われないだろう。それでも、なぜかあがいてみたかった。


 ……もう、意識を保てそうにないや。こんなにもうるさくブザーが鳴っているのに、俺の意識はどんどん遠のいていく。……おやすみなさい。












「お気をつけください」


 あれ? 声が聞こえる。俺は死んだはずじゃ……ここはどこだ?


 美しい声により目が覚めると、そこは、まっくらな空間の中だった。上も下も、右も左も、全てまっくらな空間だ。だが、何故か自分自身の姿はハッキリと見える。……声の主が、姿を現したよう


 その姿を見たとき、俺の心臓は破裂してしまった……いや、心臓が破裂するほどの衝撃を受けたのだ。あまりにも美しい。


 もしオークションで販売したのなら、一束だけで家を買える金額になると思えるほど美しすぎる長い髪に、見ているだけで現実とうひできるほどの現実離れした可愛らしさを持つ顔。完璧な美を前にして、俺は目の前の存在が女神であることを悟ったのだ。


「よく見ました。私は神の女神です。私を称賛してくれてありがとう。」


 あれ? 俺は彼女を直接ほめていないはず。まさか、俺の脳内を直接……


「これは本当です。 神は心を探求する能力をもっています。」



 心を探求する能力……すごい、すごすぎる。さすがは神様だ。人間にはできないことを普通にこなしてしまう。


 ……神様という事は、何らかの理由によって俺……いや、私をここに呼んだのかもしれない。一体何のために……


「世界を見るために。 私たちはあなたを異なる文化の世界に送り、世界がどのように変化しているかを見ることができる幸せな女神です」



 ……ダメだ、私には理解することができない。彼女の言っていることが、何一つ分からない。私は、このくうかんでも役に立たない人間なのかな。



「あなたはむだな人ではありません。 私はあなたの人生を知っています。あなたはその日の寒さのために、壊れることなく自分のペースで働いて、すばらしい人生を送ってきました。 ……生まれた世界との相性が悪いだけです」


 やさしい笑顔を浮かべていた女神様は真剣な表情になり、力づよく私の存在を肯定してくれた。そして彼女は右手を伸ばし、頭の上をやさしくなでてくれた。そして、優しく言葉をかけてくれる。


「それは言葉の相互関係の結果です。 あなたのスキルは私のスピーチをばかげた。 ……状況はオープンです! 歌ってください。 言葉が悪い理由を調べる」



 歌う? この状況で、歌を……恥ずかしい。こんなに素敵な人の前で、歌なんて歌えないよ。



「恥ずかしがらないでください、あなたは私と同じようにします。 彼は困難な状況でも働き続けることができる人だからです。 ……あなたの歌は素晴らしいです」


 相変わらず何を言っているのか分からないけど、彼女は天使の笑顔でこちらに微笑んでくれる。……彼女の期待に、応えなくっちゃ! 


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