2章「起承転結、転。」
下校の時間となった。
私は彼が出てくるタイミングを見計らい、
出てきたタイミングで彼と接触する。
彼の下校時間はとても遅いのでファンの子達も流石に帰ってしまう。
ここまで熱狂的なファンであり、恋しているのも私ぐらいだろう。
「こんにちは。新庄君」
「やあ、新山さん。お帰りかい?今日はちょっと塾だから。じゃあね」
彼は駆け足で私の元を去っていく。
ああ、彼の後ろ姿、とっても綺麗・・・
じゃあないぃぃ!!
追いかけなくては!
私は全速力で彼の元へ急ぐ。
ようやく背中が見え、回り角を曲がる。
ああ、待って!
そして私が周りを見ずに角を曲がった時だった。
何か黒い物体とぶつかってしまった。
意識が薄れていく・・・
・・・・・・
・・・?
私を目を覚まし、周りを確認した。
曲がった角だ。
場所は変わっていないらしい。
冷たいいつもの風が吹く。
ああ、派手に転んじゃった・・・
私は立ち上がる。
・・・
あれ?
何で、私、4本足で立ってるの?
二本足で立とうとしても立ち上がれない。
人間の誇りの二足歩行が出来なくなるとは。
手を目の前に突き出した。
・・・
黒い。
黒い、フサフサの毛に囲まれてる。
そういえば、服を着ている感触もない。
ただ、匂いに妙に敏感になっている。
手を再び見ると、掌の部分が・・・
ピンク色の肉球に変わっている。
私はようやく気付いた。
・・・私、猫になってる。
「ニャアアアアアア!?」
ああ、駄目だこれ。叫び声も鳴き声だ。