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美人すぎる幽霊に告って玉砕したらラブコメが始まった件 ~0から始める小説書き講座付き~(仮)  作者: 鬼影スパナ
超基礎編

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19/29

18話 そしてラブコメが始まるのです。


 というわけで、いまだに腹を抱えて大笑いしている師匠と共にトイレから戻ってきた。

 あ、師匠にはちゃんと後ろ向いててもらったよ? 当然でしょ。


 なるべく急いで戻ってきたんだけど、伊万里さんの説明はもう終わっただろうか?


 と、伊万里さんの部屋を開けると、そこには正座してる部屋の主と、立ってそれを見下ろす2人の客が居た。おっと、気付かれた。


「葉庭先輩! 名倉ばっこ先生の弟子というのは本当ですか!?」

「葉庭くん! 伊万里とは本当に何の関係もないんだよ!?」

「……葉庭君。その、えーっと……2人の質問に答えてあげて?」


 本庄さんはキラキラと嬉しそうな様子で、橋本さんは若干泣きそうな顔で、そして伊万里さんは気まずそうに眼を逸らして、それぞれは言った。


「あー、うん。まず俺は伊万里さんのお姉さん、名倉ばっこ先生の弟子だし、伊万里さんとはそれ以外にはクラスメイトってくらいしか関係はないよ」


 特に隠すことも無いのでそのまま答える。


「ついでに言うと今日初めてこの家に来た。師匠からの手紙を届けるために」

「ばっこ先生の……手紙!? 遺作!?」

「ん? 伊万里、前に葉庭くんから手紙がどうのって言ってたよ? アレとは別?」

「あ、別です……はい。お母さんへの手紙で。あと私へくれた手紙も多分本物でその節は大変申し訳ありませんでした葉庭君」


 どことなくハイライトが消えてそうな目で俺への謝罪を口にする伊万里さん。え、俺がトイレに行ってる間に何があったの伊万里さん?


「いやいや、普通信じられないだろうからね、しかもなんでか1年経ってからとかだし」

「はい、私が推測するにそれはたぶん、アクセスが1年無かったらメールで遺書を、みたいな遺言サービス使ってたんじゃないでしょうか。そんなことより名倉ばっこ先生の手紙ですよ! 手紙を読ませてください! お願いします先輩!」


 はぁー、はぁー! と興奮した様子で俺につかみかかってくる本庄さん。長い前髪の隙間から、ギラギラと肉食獣のような瞳が窺える。何これ怖い。


「いや、さすがにそれは俺じゃなくて受け取った人に聞いて」

「伊万里ちゃぁん!」

「あ、ハイ。机の一番上の引き出しの中ですどうぞ……」


 何があったんだ伊万里さん……? と、本庄さんは机の引き出しを開けるとビニールパックに入った師匠の手紙を見つけた。内容は短いので一瞬で読み終えると、本庄さんはデレっと顔を蕩けさせた。


「あぁぁ……尊い。尊いよぉ……はぁはぁ、ばっこ先生ぇのお手紙尊い……! 最愛の姉とかうらやまけしからん……! 萌え死なせる気ですか先生ぇ! 今おそばに……はっ、いや待て待つのよ汐里。死んだら先生の遺作がアニメ化しても見られないじゃないのそうよ生きて見届けねば! 最悪クラウドファンディングで同志を募りアニメを作るまでは死なないって決めたでしょ私! アイムリビング!」


 さりげなく師匠の隠しメッセージを看破した上にこの暴走っぷり……把握した。本庄さんは、師匠の熱烈な、いや熱狂的ファンである……! 鼻血拭けよ。


『あー、この勢いファンレターで見覚えがあるぞ。そっか、さてはあの子かぁ。地元の子だなぁとは思ってたんだけど……いやぁ、これだけ熱烈なファンがいると小説家冥利に尽きるなぁ! 嬉しいよ私は!』


 そして師匠は腕を組んでうんうんと頷いていた。師匠でそれでいいのか。


「し、汐里。それお姉ちゃんの手紙ってよく分かったわね?」

「当然ですよ伊万里ちゃん! だってにじみ出てますもん!」

「そっかぁ……あはは、さすが汐里ね」


 何が? とは聞かないでおこう。



「相変わらず、汐里はドン引きするほど暴走特急だよ……」


 と、本庄さんの勢いに圧倒されていたが、もう一人居たんだった。


「えっと。それでもう一度聞くけど……その……葉庭くんは、誰かと、つ、付き合ってたりはしてないんだよね? その、男女の関係的な意味でっ」

「ああ。誰とも付き合ってないよ。付き合ったりしたこともない」

「そうなんだ? あ、あはは! ならいいんだよ! あはは!」


 にこっと橋本さんは笑った。まぶしい笑顔だ。


『おっとぉ? さりげなく質問が「伊万里と付き合ってない?」から「彼女とかいませんよね?」に変わってる。これ絶対脈ありですわー。おい弟子、これ告白したら一発OKだぞ。もう告白したら? そうすればきっとお尻揉み放題だぞ?』


 ……師匠の言葉に、ぷにゅりとした感覚を思い出す。

 師匠への未練を断ち切るにはいっそ胸から離れてみるというのもアリなのかもしれない……けど、そんな気持ちで付き合ってくださいってのは不誠実っぽいよ。うん。


「あ。そういえばその、橋本さん」

「んよ? なぁに、葉庭くん」

「……パンツは月曜に返すね?」


 橋本さんの顔が、ボッ、と顔が真っ赤になった。


「あ、あれはもう葉庭くんにあげたものだよ! 葉庭くんが好きに使えばいいんだよ! 一度脱いだパンツをもう一度履けだなんて、女の矜持に関わるんだよ! 現役JK生パンツ、葉庭くんちの家宝にするがいいよぉ!」

「いや、ウチ妹とかいるから……もし妹に見つかったりしたらなんて言い訳したらいいか」


 俺の発言に途端にサーっと顔色が青くなる橋本さん。


「あ……そ、そのっ……ご、ごめんだよ、迷惑をかけるつもりじゃなくてっ、あの、捨てて、いいから……ごめんなさい。私の履いたパンツなんてただの生ゴミですからね……燃えるゴミの日に出してください。あ、いや、『もえる』だなんておこがましいですよね。萌えないゴミですよね……」

「え、いや、そこまでは言ってないよ?」

『弟子……女の子にここまで言わせたんだ。帰ったら被ろう。そして嗅ごう? な?』


 な? じゃないですよ師匠。万一その瞬間を誰か()に目撃されたらどうしてくれるんですか? 俺の部屋って鍵とかついてないんすよ? 師匠責任取れないでしょ。


「えーっと。気持ちは嬉しかったけど、そういう事情があるからさ。あと女の子がそうポンポンとパンツを上げたらダメだと思う。橋本さん可愛いんだからさ」

「え、う、嬉しかった? か、可愛い? ……ホント?」

「うんうん、とりあえず紙袋に入れて封印してあるから、月曜にね」

「それじゃあ仕方ないんだよ、月曜に返してもらうよ!」


 あ、橋本さんの語尾に「だよ」が戻った。落ち込むと語尾が消えるらしいな。顔色も良くなった。……表情がコロコロ変わってなんとも面白、げふん。楽しい子だ。妹の小さいころを思い出し、頭を撫でてあげたくなる。



 と、俺が手を伸ばしかけたその時。ぽむっと橋本さんは手を叩いた。


「いいことを思いついたんだよ! 葉庭くん、私たちの仲間にならない?」

「え? 何? 仲間って?」

「Vtuber、hakuちゃんの仲間だよぉ! 葉庭くんもチームに加わるんだよ!」

『何ぃぃぃぃいいいい!? 弟子、弟子! 私も! 私も加わりたい!』


 師匠は死んでるから無理でしょ。


「あっ! いいですねいいですね! 名倉ばっこ先生の弟子ということであれば私には何の否やもありません、そもそもhakuちゃんの中の人に気づいてしまった人への口封じとしてはいいアイディアだと思います! いわゆるひとつの融和政策というやつですね?」


 師匠の手紙を見てトリップしてた本庄さんが復帰し、賛成に一票入れた。


「その通りだよ! 伊万里もそれでいい?」

「まぁ……うん、葉庭君ならいいか……」


 いや本当に何されたの伊万里さん? さっきから全然覇気がないよ? あの壁ドンの時の君はどこに行ったの?


「決まりだよ! 葉庭くん、これから宜しくだよぉ!」

「えっ」

「よろしくお願いします、葉庭さん」

「あの」


 右手を橋本さんに、左手を本庄さんに握られる。柔らかい女の子の手にがっしりと掴まれ……あれ? 俺まだやるって言ってないんだけどもう逃げ場がない感じですか? どう思います師匠?


JK(女子高校生)3人とキャッキャうふふとかラブコメかよ。羨ましいなぁオイ? ……まさかこれ断るなんて言わないでしょ? いやないない。今こそ決断の時でしょ!? GOだ! そしてちゃんと生身の彼女を作るのだ!』


 師匠、めっちゃノリノリですね。わかった、わかりましたよ。師匠がそういうなら俺も覚悟を決めますよ。


「……よ、よろしく頼むよ」


 こうして俺は、よく分からないままVtuberの仲間になった。





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― 新着の感想 ―
[一言] もしかして、バ美ニクするのでしょうか?
[一言] 原稿用紙8枚分のファンレター送ったり、原稿用紙12枚分も書いて物理的に重すぎて届けられなかったりするのは普通ですよね。
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