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美人すぎる幽霊に告って玉砕したらラブコメが始まった件 ~0から始める小説書き講座付き~(仮)  作者: 鬼影スパナ
超基礎編

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13/29

12話 小説のマナー ☆


 部屋に帰ってくると、師匠は『ただいまー』と俺のベッドに飛び込んだ。とはいえ気分的なものだけで実際は敷布団が凹んだりもしていないが。

 そうして半透明な師匠はゴロゴロと俺のベッドの上で、タイトなスカートのまま寝転がる……俺しか師匠を見れる人間はいないとはいえ、なんと無防備な。


『なぁー。私が見るに、あれは脈ありだぞ弟子。まさか私の弟子が伊万里にも手を出すとは正直興奮を禁じ得ない。可愛い可愛い妹が弟子の毒牙に……ハッ、これがNTR?』

「いやいや、師匠の妹は小説書く人が嫌いって話じゃないですか。師匠の弟子やってる限りアウトってことなんですけど?」

『ぐっ、それは悩ましいな。弟子が妹と子供作ってくれたら遺伝子的には大体私との子供みたいなもんだから嬉しいと思ったんだが』

「……師匠、それって遠回しに俺と師匠の子供が欲しいって言ってます?」

『な゛!? ち、ちがうぞ! そうじゃない、ちがう、ちがうからなっ! 弟子が私以外の女の子としっかり恋愛して、しかもそれが私の家族だったら弟子と血縁関係になるから嬉しいなって思っただけなんだ!』


 バタバタと手を振って、真っ赤な顔で必死に否定する師匠。……うん、でもその理由否定になってませんよね?


『あ! それはそうとhakuちゃんの中の人のパンツを観察だ! たっぷり鑑賞して、夢の中で私にもhakuちゃんの中の人の生パンを味わわせてくれ!』


 露骨な話題転換だったが、乗ることにした。


「しません。しませんよ師匠? これは明日――は土曜か。月曜に橋本さんに返すまで紙袋に入れて封印しておきますんで」

『くっ、し、しかたないなっ! しかたないなー!』


 ふぅ、師匠が可愛すぎて危うく俺の未練が天元突破なことになってしまうところだった。



 そんなわけで、今日も今日とて文章書きの練習だ。と、ノートPCを立ち上げる。

 ……そういえば、何気に借りてた『凸マジ』の3巻も読み終わって、4巻以降が気になっているのだが、本庄さん曰く「面白かったなら4巻以降は自分で買って下さい! できれば3巻までも買ってね?」ということで貸し出してくれなかった。見事な布教だと感心せざるを得ない。


 なので明日の休みは本屋にでも行こうかと思っていたところ、師匠がつんつんと突っついてきた。触れられはしないけどちょっとぞわっぞわっとするんだよそれ。


『弟子、弟子。明日暇? 出かけたくない?』

「なんですか師匠。まぁ明日は本屋行きますから出かけるつもりですけど」

『今日、伊万里と会ったじゃない? それでさー、いい機会だと思ってね』

「ん? まさか……成仏するんですか!?」

『いや、それはしないけど。お母さんにも手紙を書いとこうかなって思いだしたの。妹にだけって不公平じゃない?』


 そういうのってもっと早く言うものではないかなと思ったが、黙っておいた。


『というわけで手紙書くよ! 代筆よろしく』

「はぁ、まぁいいですけど。また破り捨てられても知らないんで、ポスト突っ込んでおくだけでいいですかね?」

『優しい弟子を持って師匠は嬉しいよ!』


 封筒と便箋も購買で買っておけばよかったか。


「今思い返せば、クリアファイルにノート破いたページとか雑過ぎましたね」

『流石に印象が最悪だったねぇ……あ、そうだ。お礼にいいことを教えてあげよう。文法というかマナーのお話なんだけどね』

「文法、ですか? 唐突ですね」

『印象で思い出したんだ。というわけで、今日は小説を書くにあたって守っておいた方がいい文法的なマナーを教えるよ。私の経験では、基本は4つだ』


  1.『(三点リーダ)』や『(ダッシュ)』は2個セット単位で使う

  2.段落の頭にスペース。ただしセリフのカギ括弧(「)の前には入れない

  3.「!」や「?」の後にもスペースを入れる。連続している時は最後だけでいい

  4.閉じカギ括弧(」)の前にはスペースや句読点をいれない


「へぇー。『…』とか『―』って2個づつ、『……』とか『――』って使うんですね。なんでですか?」

『うーん、私も詳しくは知らん!』

「……なんか好きに書いていっていい気がしてきました」

『だがこのマナーは守っておいて損はないぞ。なんと出版業界の校正ルールで大体こうなってるからな』

「権威におもねるって、表現者としてどうなんですかねー」

『本は出版社から出るんだぞ? 出版社のルールに揃えたほうが良いだろう。本にするとき直す量も少なくて済むしさ』


 まぁ確かに、知らないならともかく知っててわざわざ逆らっても良い事はなさそうだ。


「……しかし、これちょっと面倒そうですね」

『慣れてしまえば息をするようなものさ、自然にできるようになる。私はそうなった』


 それも、この4点をマナーと言った理由らしい。



『演出でもないのにこれを守らないというのは……そうだな。例えるなら、スーツネクタイ着用のドレスコードがあるレストランに、アロハシャツで行くようなもんだぞ』

「場所によってはつまみ出されますね」


 そうでなくても顰蹙(ひんしゅく)を買う事は必至だろう。


『別にいいんだよ? アロハシャツでも。レストランを貸切って今日のドレスコードはアロハシャツOKだという主張を押し通せる権力や財力があれば。……小説で言い直すと、文法やマナーを無視しても黙らざるを得ない程に超絶面白い小説が書けるなら守らなくたっていい』

「お、おう」

『反対意見を捻じ伏せて「この人はこれでいいんだ。むしろこの人がやってるならこれが正解だ」って万人に言わせしめる実力さえあれば、どう書こうが全くもって構わないということだ』


 確かにそれなら……いや、それでも色々問題があるんじゃなかろうか。


『あ、師匠はもちろんそんな事は無理でした』

「師匠でも無理でしたか」

『そらそうよ。だから弟子がマナーを捻じ伏せる実力を身に着けてくれるなら師匠は嬉しいぞ? 是非弟子には師匠越えを果たしてほしい!』

「はい! 大人しくマナーを守りたいと思います!」

『そうか……ま、プロの間で洗練されたルールに則ったマナーだ。倣った方が無難だね』


 ちょっと残念そうに言わないでほしい。こちとらまだ素人に毛が生えたばかりの、むしろ素人で産毛も生えてるかどうか怪しい所なんだから。



『この4点を守っていれば、素人でもリクルートスーツ着てる就活生くらいには「お、ちゃんとしてるな」ってなるぞ』

「なるほど……んー、出版するわけじゃないなら不要ってことですかね?」

『そうでもないぞ。このマナー守ると守らないでは実際読みやすさが違うしな』


 文頭にスペースを入れて置けば、改行するような長い文章が何個か続いたときに上に戻った時目が滑りにくくなるし、『!』や『?』は後ろにスペースを入れることで前の文章だけをきっちり強調してくれる効果がある。

 カギ括弧の前後にスペースや句読点を入れないのは、カギ括弧自体がスペースで句読点みたいなものだからだ。そこにスペース重ねたら余計に幅をとって見づらいし、句読点を前に入れないのも同じ。

 それと『……』や『――』も、使い方が決まってて揃ってた方が綺麗だとか。


『それに、なるべくなら多くの人に読んでもらいたい、という人はこの4点くらいはしっかり抑えておくべきだ。印象に関わるからな』

「あ、そういえば印象で思い出したって言ってましたっけ」


 ここで話が戻ってくるわけか。


『服をちゃんと着てる人が「信用できそうだな」と見られるように、文章のマナーがしっかりできている方が「小説の完成度も期待できそうだな」と思われるんだ』

「そうなんですか?」

『言い方は悪いが、「この程度も知らんとは、未熟な作家だな」って感じで、この4点のマナーが守られているかどうかを続きを読む読まないの判断基準にしてる人もいるくらいだぞ』

「……そんなに気にする人いるんですか?」

『気にしない人は気にしないけど、気にする人は気にする。ならばここは気にする人に合わせたほうが見てくれる人が増えるって、単純なロジックさ』

「まぁ、そうですね」


 単純に引き算がされないわけなので。


『ほかにもこんな利点があるぞ。……「この程度も知らないんですか?」とマウント取ってくるやつを抑制できる』

「あー……いそうですね。ネット界隈ではよく見るヤツだ」

『うむ。Web小説だと尚更この手の輩は多くいるからな。もちろん本当に親切で教えてくれる人もいるが……半分はマウントがとりたいだけだろうね』

「……まぁ、最初からマナーを守ってた方が無難、ってのは分かりました。はい」


 と、ここで師匠がくいくいと手招きした。どうせ俺にしか聞こえないので意味はないのだが、俺は師匠の口元に耳を近づける。


『……あと、ぶっちゃけた話になるが、出版された本をよく買う人ほどこのルールに馴染みがある。そして人は馴染みのあるモノがあればとっつきやすく感じるもんだ』

「つまり?」

『本になったときに積極的に買ってくれる人に、より読まれやすくなるという利点があるわけだな。ほんのささいな、それこそ無意識レベルの話かもしれないがね』

「なるほど」



 とにかく、マナーは守って損はない。と、そういう事が分かった。

 師匠の言う4つのマナーは大人しく守って、早めに身に着けておこう。マナーを無視できるほど面白ければ問題ないというが、マナーを守った上で面白いなら更に良いにきまってるもんな。



 * * *


『まぁ印象といったらこれよりもっと先に「タイトル」や「あらすじ」が出てくる。作品の顔となる第一印象をあたえる存在だ。が、それはまた後日としようか』

「はーい。……そういえば師匠。第一印象で思ったんですが、師匠、最初自分がどんな格好して俺の前に現れたか覚えてます?」

『スーツ着用で、この人になら身も心も任せたいって感じだったろ?』


 スーツはスーツでもバニースーツだっただろ師匠。


『……あれは妹の緊張をほぐすための姉なりの努力だったんだ。忘れてくれ』

「あ、はい」


 俺の師匠への第一印象が『美人だなぁ』ってのと、それで大抵の言動を許せてる気がするのは心の中だけにしまっておく。



『それよりも手紙だ手紙。お母さんへの手紙……くっ、緊張するなぁ』

「とりあえず今度は封筒もしっかり用意したほうが良いですよね?」

『思ったんだけど、ノートで封筒つくれば良くない? 買いに行くの面倒だし』


 ……また破り捨てられても知らないからな、師匠。

 ともあれ、師匠のお母さんに渡すための手紙が書きあがった。




(↓文頭にスペースを入れたほうが見やすいかどうかのテスト↓)


 文頭にスペースを入れて置けば、改行するような長い文章が何個か続いたときに上に戻った時目が滑りにくくなるし、『!』や『?』は後ろにスペースを入れることで前の文章だけをきっちり強調してくれる効果がある。

 カギ括弧の前後にスペースや句読点を入れないのは、カギ括弧自体がスペースで句読点みたいなものだからだ。そこにスペース重ねたら余計に幅をとって見づらいし、句読点を前に入れないのも同じ。

 それと『……』や『――』も、使い方が決まってて揃ってた方が綺麗だとか。

 とにかく、マナーは守って損はない。と、そういう事が分かった。

 師匠の言う4つのマナーは大人しく守って、早めに身に着けておこう。マナーを無視できるほど面白ければ問題ないというが、マナーを守った上で面白いなら更に良いにきまってるもんな。



文頭にスペースを入れて置けば、改行するような長い文章が何個か続いたときに上に戻った時目が滑りにくくなるし、『!』や『?』は後ろにスペースを入れることで前の文章だけをきっちり強調してくれる効果がある。

カギ括弧の前後にスペースや句読点を入れないのは、カギ括弧自体がスペースで句読点みたいなものだからだ。そこにスペース重ねたら余計に幅をとって見づらいし、句読点を前に入れないのも同じ。

それと『……』や『――』も、使い方が決まってて揃ってた方が綺麗だとか。

とにかく、マナーは守って損はない。と、そういう事が分かった。

師匠の言う4つのマナーは大人しく守って、早めに身に着けておこう。マナーを無視できるほど面白ければ問題ないというが、マナーを守った上で面白いなら更に良いにきまってるもんな。



(私としては文頭スペースがあった方が次の行へ目が移動したときに今どこの行かってのが分かりやすくていいと思います)


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― 新着の感想 ―
[良い点] 1.『…三点リーダ』や『―ダッシュ』は2個セット単位で使う   2.段落の頭にスペース。ただしセリフのカギ括弧(「)の前には入れない   3.「!」や「?」の後にもスペースを入れる。…
[一言] パンツを師匠にお供えすれば味わえるのでは? 封筒は作るより買ったほうが早いと思います。
[一言] 」の前に。をつけないって学校で習うのと逆だから混乱を招くよね
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