スライム
僕たちは町を抜け、ナテラの森へ歩く。
「カイトさん、ナテラの森ってどんな所なんですか?」
「駆け出しの冒険者がまず最初に行くような場所だよ。弱いモンスターしか居ないから、安心して! 」
最も、僕が今から退治するのはCランクモンスターのサーベルウルフなんだけど。
「アリアちゃんは何もしなくていいからね! 散歩だと思ってよ」
「いえ、そう言う訳には……。 カイトさんにはお世話になっているので、私も頑張ります!」
健気でいい子だなぁ。
そういえば勢いで行けると思ってこのクエスト受けたけど大丈夫かな?
僕自身でモンスターを倒した経験は無いけど流石にCランクモンスターくらいは倒せるよね?
……なんか不安になって来た。
「この森ですか……?」
ナテラの森に到着した。
初級向けダンジョンだけあって穏やかな雰囲気だ。
「うん。 「サーベルウルフ」を見かけたらすぐに知らせてね。 場違いなモンスターだから直ぐに分かると思う」
「わ……分かりました!」
僕たちは森の中に入る。
しばらくして茂みからカサカサと物音が聞こえた。
「スラーーー!」
「うおっ!」
スライムが現れた!
半透明で青い球状の生物。
間抜けな目と間抜けな口をしていて愛らしい見た目をしている。
鳴き声は「スラ」。
アリアは初めて見るスライムに目を輝かせている。
「か……かわいい……!」
「スラ?」
アリアはスライムを抱き上げる。
「プニプニして冷たくていい触り心地です……!」
「スラっ!?スラっ!スラっ!」
スライムが離れようともがいている。
僕が最初スライムを見たときは結構怖かったもんだけどアリアちゃんは肝が据わってるなぁ。
「こらこら。 スライムが嫌がっているじゃ無いか。 離して上げなさい」
「あ……はい……。 ごめんね、スラちゃん……」
アリアはスライムを離す。
「スラーー!」
スライムは逃げていく。
「それにしてもこの森結構広いから、サーベルウルフを探すのは骨が折れるなぁ」
「地道に探すしかないですね……」
とその会話の直後道の先から鳴き声が聞こえた。
「スラーーーーーーー!!!!」
スライムの悲鳴だ。
「どうしたんでしょう……?」
「分からない。行ってみよう!」