慰
勇者パーティに属していただけあって僕の財布の懐は大抵の人間より温かい。
「有難うございます……! えっと……」
「僕の名前はカイトだよ。よろしくね」
「あ……私はアリアって言います。よろしくお願いします。カイトさん」
「じゃあ、早速頼もっか。 お、このコースメニュー美味しそうだな。アリアちゃん、このコース二人からしか頼めないんだけどアリアちゃんもこのコースでいいかな?」
「は……はい!」
コースの料理が一品ずつ運ばれてくる。
僕は料理に口をつける。
うん、まあ、美味しいかな。
「美味しいかい?アリアちゃん……ってえぇっ!?」
アリアは料理を食しながら涙を流していた。
「どうしたんだい!? 何か変なものでも入っていたのかい!?」
「いえ……違うんです……。こんなに美味しい料理、食べたことがなくて……」
「なんだ、美味しかったんだね。良かった」
「アリアちゃん、テイムは解こうと思っても最低一週間効果は継続するんだ。その間だけ僕と行動を共にしてもらうけどいいかな?」
「はい!」
「じゃあ日も暮れてきたし、宿屋に行こっか!」
僕たちは宿に着きお金を払う。
部屋は二人一部屋で、ベッドは二つだ。
女の子と二人で泊まるなんて緊張するなぁ……
「じゃあアリアちゃん。さきにシャワー浴びてきていいよ」
「は……はい! 有難うございます!」
アリアはシャワールームへと入る。
……
「お待たせしました、カイトさん」
アリアが風呂から上がる。
うおっ。さっきまでは薄汚れていて分からなかったけど、超絶ケモミミ美少女じゃないか!
茶髪にモフモフの狐耳。綺麗な赤い瞳。
さらに湯上りだから魅力度はアップしている。
僕はこんな子をテイムしてしまったのか……。
「じゃあ僕もシャワー浴びてくるね」
僕は考える。
テイムしたってことはなんでもさせられるのでは!?つまり、エッチなお願いができるのでは!?
いや、それは流石に人として……。でも、これを逃すと一生機会なんて無いかもしれないし……。
……うん、流石にそれは駄目だ。
それは駄目だけど一応念のためもしものために、体はよく洗っておこう。あと歯も磨いとこう。
「お、お、おまたせ……デュフフ」
「お……おまたせ……?」
アリアは髪をといている。
うーん、可愛い!
変な気が起きないうちにさっさと寝よう。
「じゃあ僕もう寝るよ。おやすみ」
「は……はい! 灯消しますね」
僕は眠りにつこうとする。
しかし、今日のパーティ追放の出来事が頭にフラッシュバックする。
お前首な! 足引っ張ってるんだよ!
陰キャすぎ。笑い方きもいし、息臭いし
「ううっ……ううっ……」
僕は泣き出してしまう。
「カイトさん……?」
やばい、アリアに気づかれた。
取り繕わなきゃ。
でも涙が治まらない。
僕が泣き続けているとアリアが僕の布団に入ってきた。
「ア……アリアちゃん……?」
アリアが僕を抱き、頭を撫でる。
「大丈夫ですよカイトさん……。私がいますから」
「ううっ、ううう」
僕はアリアの胸の中で泣き、その内眠った。