狐耳奴隷少女
同じだ。
さっきの僕と同じだ。
役立たずと罵られ虐げられ理不尽な目に遭っている。僕と同じ「世界から嫌われた存在」。
気づいてたら僕の体が動いてた。
ゴツン
男の拳が僕の盾に当たる。
「痛ってぇ! 誰だテメェは!?」
あわわわ、まずい事をしてしまった。
でも、この子の事はなんだか放って置けないし……。
僕は盾を男の顎に当て、男を倒し、少女を抱えて逃げた。
「はぁ……はぁ……」
やってしまった。奴隷攫いは重罪だ。衝動的にこんなことをしてしまうなんて……。
でもやってしまったものは仕方ないか。
「君、大丈夫?」
僕は問いかけるが返事はない。
僕は少女の呼吸音を聞こうと耳元を近づける。
……息をしていない!?
まずい、心臓マッサージをするか……?いや僕にそんなことした経験は無いしどうするかも曖昧だ。
どうしたら……。
僕は少女の耳を見て閃く。
彼女は「獣人」だ。僕のテイムの範疇に含まれている。テイマーのスキル「味方になったら全回復」を取得しているので彼女をテイムすれば息を吹き返すかもしれない!
彼女には悪いが、それしかない。ええい、ままよ!
僕は少女をテイムした。
「っけほ……っけほ」
やった……! 息を吹き返した……!
「大丈夫!? 」
「っけほ……。 えっと、あなたは……?」
どうしようか。やっぱり素直に全部話した方がいいか……。
僕は素直に全部話した。
「そうなんですね……えっと……。助けて頂き有難うございます!」
「勝手にテイムした事、許してくれるのかい?」
「むしろ感謝しています。テイムされなければ私は死んでいたので……」
良かった。
命が助かったことも、許してもらえたことも。
グゥ〜
少女のお腹が鳴る。
「あっ……すいません……」
少女は頬を赤らめ恥ずかしそうにする。
「じゃあ、ご飯食べに行こっか! 僕が奢ってあげる!」