化学
さほど目新しさも無ければ、難問も無かったのではないかと思う。唯一、第一問の問四はセンター試験では珍しい出題だったかもしれない。
終わってみて思うのは、今年は計算問題が少なかった事。見返しても、筆者が紙面で筆算などをしているのはほんの数ページである。硝酸アンモニウムの溶解熱に関わる問題は苦手な人にとっては煩雑な計算になったかもしれない。
また、熱で思い出したが今回はエネルギー図を完成させる様な出題があった。センターの思惑としては、化学を学ぶ我々にそのように考えろとメッセージを送りたいのだと解釈した。実際の教育現場、特に、筆者の高校の化学の教員は熱化学方程式を羅列させ、係数を合わせて足したり引いたりさせていた。
しかし。超非効率的である。あのようなエネルギー図を書くことが最短かつ、絶対に間違えない方法だ。断言しておく。あれさえマスターすれば熱化学は怖くない。本当に怖くない。それどころか、第一イオン化エネルギーなどの範囲を扱う理論にも応用が効くようになる。おそらく多くの生徒は第一イオン化エネルギーの定義を文章で覚えているのではないだろうか。それは構わない。構わないが、理解しているだろうか。あれは【陽イオンになる時に必要なエネルギー】に相当する訳だが、その時電子はどうなる?
そう、電子は原子から外されるのだ。つまり、バラける。
基本的に、エネルギー図は上に行くほどバラバラの状態になる。
ということは?
あれは吸熱反応だ。
物質は皆、バラバラの方が不安定で高エネルギーなのだ。
では、電子親和力は?
勿論電子が原子にくっつくのだから安定化する、つまり発熱反応だ。
こう考えれば両者の違いや周期表とグラフの対応も良くわかるだろう。
個人的にこの問題は超良問だと言える。
さて、その他で受験生が悩んだものは第五問の問一だろう。これは筆者もはたと手が止まった。しかし、Mの線に対称になるような補助線を引けば事足りる。数ⅠAが得意な人は偏差的な考え方も出来ただろう。
第七問の問二も一見新しい問題だ。しかし、こういうモノを出題した時ほど簡単なのがセンターだ。まず、ジペプチドAに硫黄Sが含まれていることは大きすぎるヒントだ(ジペプチドという言葉を知らなければ論外だが)。システインがまずひとつ決まる。
そして、炭素Cを見ると、ジペプチドに含まれるCの質量パーセントはそれほど大きくない。故に、もう一方はチロシンでない。
あとはアスパラギン酸かシステインかで足し算をして質量パーセントを調べ、グラフと合うものを見つけるだけで良い。なお、結合の際に水がひとつ欠落することもお忘れなきよう。
化学もまた、過去問が命である。間違えた問題はとことんやり直しをすることをおすすめする。または、間違えた問題だけをより合わせて時間を測ってやってみても良い。時間配分の練習は、それこそ予想問題や模試を用いれば良いのだ。
ちなみに筆者は化学を解くのがやけに遅い。特に悩んでいる気もないのだが、気がつくと時間が過ぎていることがままある。なので、次に説明する物理を第一解答科目にして早々に終わらせ、残った十分程度で先に第二解答科目の化学を解いている。あくまで個人のやり方なのでおすすめはしないが、同じ悩みを抱えている方は参考にしていただけると良いかと。