地理B
初めに断っておく。
他の社会科目とくらべ、地理は高得点を狙うのが難しい。なぜなら覚えるだけで勝ち逃げできないからだ。それなのに筆者の高校は理系には地理の選択しか無い。これぞ、自称進学校と言われる所以である。満点が狙いにくすぎる。歴史はやる気さえ出せば満点が優に狙える。
さて、今年の問題。
正直難化している。昨年はムーミンの印象が強いが、実の所はさほど難しくない。
その差はなにか。
特に大きいのは地誌での出題地域だろう。
本誌では大概、【東南、東、南、西アジアのいずれか】プラス【ヨーロッパ】または【南北アメリカ】、時折【アフリカ】という組み合わせである。
今回は【地中海地域】と【中央アジア~旧ソ】(ウクライナとウズベキスタンの比較地誌)である。
何れも本誌ではあまりお目にかからない(地誌では)。
もちろん系統地理においては地中海地域はCs気候の総本山、スタン系は乾燥地域、ウクライナとその周辺は黒色土壌のチェルノーゼムなど、重要なポイントだ。
しかし、それ故にその知識だけが先行していてさらに詳しい地形などを見たことがある受験生は少なかったのではなかろうか。
今回有利だったのは現役でも浪人でもない。地図帳を眺めるのが好きな人、だろう。勿論、総合的に考えたり同緯度帯との比較等をするのも大事だが確信を持って回答出来たのは後者だろう。
また、第三問【村落と都市】に関しては、ダイレクトに都市の名前だけを選択肢に入れていたり、さらに、川の名前を放り投げられている問題もあった。不親切と言えばそれ迄だが、これもまた地図帳をながめ、都市名や河川名称と地形や存在位置と比較出来るかどうかが肝である。確信がなかった筆者は川の名前の雰囲気で何語かを判断して回答しておいた(それであっていたので、そうやって解くものなのかもしれない)
大して自慢出来るような点数でもないので偉そうなことは言わない。しかし、地理もまた過去問が最良の問題集である。統計資料や世界地図を詳細に覚えることなど不可能だが、そのような統計になるには必ず何かしらの背景がある。それを学ぶのが地理であり、それを用いて戦うのがセンター地理である。
GNIひとつ見ても、国の豊かさに加えて人口の感覚も用いる必要がある。例えば、インドネシアは先進国家でもないのにGNIがかなり高い傾向にある。これは単純に人口が多いからだ。一方、先進国でもさほどGNIが高くない場合もあるが、それは人口が少ないからだ。一人あたりのGNI換算を行えばその差は歴然となるだろう。
新テストで地理がどのようになるのかは知らないが、来年、最後のセンター試験を受ける方には是非今からでもその感覚を養っていただきたい。
そして、これはちょっとした裏話だが、センター地理は実際に行う二年前には作問が終わっている。私も初めてこれを聞いた時は驚いた。よって、最近の新聞に載っている話題はあまり出ない。というか、ほとんど出ない。二、三年前、何があったか思い出してほしい。熊本で大きな地震があった。そして今年の試験、九州が題材。これは偶然だろうか。恐らくそうでないだろう。
こういう見方をして次の出題地域を考えるのも一興かと思う。
次は化学を扱います